インフィニット・ストラトス~死神と呼ばれるIS~リメイク   作:神喰いの王

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以外に早く出来上がったので投稿します


死神は狩りにも全力全開です

「それは本当ですの!?」

 

「う、嘘じゃないわよね!?」

 

月曜の朝、教室に向かっていたデュオとシャルル、それに途中で一緒になった一夏は廊下にまで聞こえる声に目を瞬かせた。

 

「なんだ?」

 

「さあ?」

 

「なんかやけに騒がしいな?」

 

「本当だってば!この噂、学園中で持ちきりなんだよ?月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑くんやマックスウェルくん、デュノアくんのどちらかと交際でき――――-」

 

「俺たちがどうかしたって?」

 

「「「きゃああっ!!」」」

 

一夏が声をかけた瞬間、集まっていた女子は取り乱したように悲鳴を上げた。

 

(おいおい。な~んか、今聞き捨てならないワードが出てきたような気がすんだけど・・・)

 

一夏が手近な鈴とセシリアに尋ねるが二人は笑って誤魔化し、そそくさと自分のクラスか席に戻っていってしまった。

 

「なんだったんだ?」

 

「さあ?」

 

「(・・・気のせいだよな?)気にしてもしょうがねぇだろ。さっさと席に着こうぜ」

 

結局デュオはその疑問を気のせいで終わらせてしまった。

 

 

ただ、先程からデュオの勘が告げていた。

絶対碌でもないことである、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、デュオとシャルルと一夏の三人は廊下を並んで歩いていた。

 

「一夏、今日も放課後特訓するんだよね?」

 

「っつても、今日も最初は基礎訓練だけどな」

 

「うっ・・・分かってるって。ええと、今日使えるのは――――-」

 

「第三アリーナだ」

 

「「わあっ!?」」

 

「お、篠ノ之。お前も訓練か?」

 

箒の突然の割り込みに一夏とシャルルは揃って声を上げ気配に気づいていたデュオは何事もなく返事をした。

箒は一夏とシャルルが揃って声を上げたのが気になったのか眉をひそめるも一応、デュオにそうだと返事をする。

 

「・・・そんなに驚くことか?失礼だぞ」

 

「そうだぜぇ二人共。篠ノ之が可哀相だぞ~」

 

「お、おう。そうだな、すまん」

 

「ごめんなさい。いきなりのことでビックリしちゃって」

 

「あ、いや。別に責めている訳じゃないが・・・」

 

折り目正しく謝るシャルルに箒は罰が悪くなったのか、ゴホンと咳払いをした。

 

「ともかく、だ。第三アリーナに向かうぞ。今日は使用人数が少ないと聞いている。空間が開いていれば模擬戦も出来るだろう」

 

(一夏の為にそこまで調べるとは健気だねぇ~・・・)

 

「それから、マックスウェル」

 

「ん?」

 

先に行こうとしていた箒が突然振り返りデュオのほうを向いた。

 

「いい加減、私を篠ノ之と呼ぶのはやめろ。お前には助けられた借りがあるし、箒と呼んでいい」

 

「ん・・・そうか?じゃあ、箒って呼ばせてもらうぜ~」

 

苦笑しながら返事をすると、箒も満足したようにああと頷き踵を返して第三アリーナへと向かっていた。

一夏はそんな箒の態度に苦笑しながら後についていき、シャルルはどういう事?と視線で問いかけてきたが、デュオはウィンクするだけで歩き出し、シャルルは一瞬呆けるも慌ててついて行った。

第三アリーナに近づくにつれて、何やら慌ただしくなってきている。

さっきから廊下を走っている生徒も多く、疑問に思ったデュオ達は観客席に行き様子を見ることにした。

そして、そこで見たものは――――-

 

ドゴォンッ!!

 

「「「「!?」」」」

 

突然の爆発に驚いて視線を向けると、爆煙を切り裂くように影が飛び出す。

 

「鈴!セシリア!」

 

一夏が二人の名前を呼ぶが遮断フィールド阻まれているため当然二人に聞こえるわけがない。

一方の二人は爆発の中心を苦い表情で睨んでいた。

そこにはデュオのタナトスとは別の漆黒のISがいた。

 

「『シュヴァルツェア・レーゲン』・・・ボーデヴィッヒか」

 

デュオの言うとおり、そこにはシュヴァルツェア・レーゲンを纏ったラウラが立っていた。

鈴とセシリアの方を見るとISはかなり損傷しておりISのアーマーが完全に破損している部分もある。対してラウラの方は所々損傷はしているが、それでも二人と比べて軽微である。

 

「何をしているんだ?――――-お、おい!」

 

「無理だぜ一夏。こっちからの声は聞こえねぇよ」

 

デュオの言うとおり、鈴とセシリアは目配せすると二人はラウラへと向かっていく。様子を見るからに二対一の模擬戦のようだが、明らかに有利であるはずの鈴たちが劣勢であった。

 

「真耶ちゃん先生の時より連携は取れているが、相性が悪すぎんな・・・」

 

「どういう事?」

 

三人の模擬戦を見ながらデュオはそう評した。

疑問に思ったシャルルの問いにデュオは視線をアリーナの方に向けながらこう答えた。

 

「鈴の甲龍の『衝撃砲』はボーデヴィッヒのシュヴァルツェア・レーゲンのある機能とは相性が最悪なんだよ」

 

「ある機能って・・・?」

 

慣性停止結界(AIC)さ」

 

慣性停止結界(AIC)!?実用化されていたの!?」

 

慣性停止結界(AIC)。アクティブ・イナーシャル・キャンセラーの略で、もともとISに搭載されているPICを発展させたものである。対象を任意に停止させることができ、1対1では反則的な効果を発揮する。

デュオの言うとおり鈴の衝撃砲はラウラが右手を突き出しただけで完全に無効化された。

ラウラはすぐさま肩に搭載されたワイヤーブレードを射出し複雑な軌道を描いて鈴の迎撃射撃をかいくぐり右足に絡みついた。

鈴が捕まったのを見てセシリアがすぐにビットと狙撃による援護射撃を開始したがラウラはそれを余裕で躱し、今度は両手で慣性停止結界(AIC)を発動しビットの動きを止める。

慣性停止結界(AIC)を発動中のためラウラの動きが止まったのを見てすかさずセシリアがスターライトMkⅢで狙撃するがラウラも大口径リボルバーカノンによる砲撃で相殺される。

すぐさま連続射撃をしようとするセシリアだが、そこに先ほど捕まえていた鈴を振り子の原理でセシリアへとぶつけた。

 

(マズイな・・・。二人には悪いが実力が違う。代表候補生とオルコット家頭首の二足の草鞋のオルコットと、代表候補生としての経験一年と少しの鈴。対して相手は軍人として鍛えられ更には姉御のIS指導を直接受けその後も軍人として厳しい訓練を受けたボーデヴィッヒ。実力も経験にも差がありすぎるな・・・)

 

デュオの思った通り二人はなんとか抵抗していたが、やがて二人共ワイヤーブレードに捕まり、ラウラによる一方的な蹂躙が始まった。

二人の機体が機体維持警告域(レッドゾーン)を超え、操縦者生命危険域(デッドゾーン)へと到達した。

それでもラウラは攻撃の手をやめず、その顔には愉悦の笑みが浮かんでいた。

 

「おおおぉっ!!」

 

それを見た瞬間、一夏は白式を展開し、遮断シールドを雪片で切り裂きラウラへと突っ込んでいった。

 

「あのバカ!・・・クソッ!シャル、行くぞ!!」

 

「うん!」

 

激情に任せて突っ込んでいく一夏に悪態をつきながらデュオはシャルルと共に一夏が破壊した穴を通り一夏を追った。

瞬時加速を使用し一気にラウラへと肉薄する一夏だが、ラウラは直ぐ様、慣性停止結界(AIC)を発動し一夏の動きを封じる。

 

「やはり敵ではないな。この私とシュヴァルツェア・レーゲンの前では貴様も有象無象の一つだ。――――-消えろ」

 

一夏に向けて大口径リボルバーカノンが向けられ発射する瞬間・・・

 

「一夏、離れて!」

 

シャルルからのプライベートチャンネルが聞こえ、同時に二丁のアサルトライフルの弾雨がラウラへと降り注いだ。

 

「チッ・・・。雑魚が」

 

ラウラは慣性停止結界(AIC)を解除し、距離を取る。が、シャルルが追撃を行わないので不審に思うがすぐに反撃に出ようとした瞬間、彼女の目の前に突然、ビームサイズが迫ってきた。

 

「なっ!?チィッ!!」

 

自身の首目掛けて迫って来るビームサイズをラウラは咄嗟に身を屈めて横に回避する。咄嗟だった為、地面に転がるように回避したラウラはキッとビームサイズが現れた場所を睨む。

そこには――――-。

 

「貴様は・・・死神」

 

忌々し気にラウラはその相手の名を呟く。

 

「よ~ウサギちゃん。中々楽し気なことやってんじゃねぇか。俺にもやらせろよ」

 

(シャル。一夏とそこの二人を連れて下がってな)

 

(うん。デュオも気をつけて・・・)

 

ビームサイズを肩に担ぎデュオを嫌味たっぷりに笑いながら、プライベートチャンネルでシャルに指示を出す。

 

「もっとも、俺がやるのは兎狩りだけどなぁ!!」

 

「この死神風情がぁっ!!」

 

ビームサイズを構え瞬時加速を利用し突進してくるデュオにラウラは両手にプラズマ手刀を展開し、向かい打った。

ぶつかり合う、ビーム刃とプラズマ刃。

小回りと手数の多さで優っている筈のラウラだが、デュオの変幻自在のビームサイズ捌きと圧倒的な間合い、更にはビームサイズの出力にプラズマ手刀が負けているために完全に攻めあぐね、徐々に押されていった。

 

「らぁっ!!」

 

デュオの強烈な一撃にラウラは両手で防御の姿勢をとるがそれでも勢いを殺せず、後ろへと飛ばされてしまった。

 

「オラオラァ!死神様のお通りだ!!」

 

「グッ・・・この、調子に・・・乗るなぁ!!」

 

開いた間合いを詰めるために向かってくるデュオに向けラウラは右手を突き出し、慣性停止結界(AIC)を発動した。

 

「うおっ!?」

 

「「デュオッ!!」」

 

慣性停止結界(AIC)に捕まり身動きを封じられたデュオにシャルルと一夏が彼の名を叫びを、ラウラが笑みを浮かべる。

 

「ふはははっ!所詮貴様も私の停止結界の前では有象無象でしか「知ってるか?」――――-なに!?」

 

「死神はなぁ・・・」

 

単一仕様能力(ワンオフアビリティー)『ハイパージャマー』発動。敵フィールドのジャミングを開始します》

 

「相手を狩るまで決して止まらねぇんだよぉ!!」

 

「な、なんだとっ!?」

 

慣性停止結界(AIC)で完全に動きを封じ込めているはずなのに、デュオはそれをあっさり破りラウラへとビームサイズを振りかぶった。

絶対の自信があった慣性停止結界(AIC)を破られ当惑するラウラにデュオは容赦なく、ビームサイズを振り下ろした。

 

「ガッ!!?」

 

絶対防御が発動したにも関わらず、衝撃でかなりのダメージを受けラウラは膝をつきながらデュオを睨む。

 

「クソッ!どういう事だ?私の停止結界は確かに機能していたはずだ!!貴様一体何をした!?」

 

「おいおい。手品ってのはバレたらつまんないだろ?だったら、言わないのが花だぜ?」

 

悪態をつき激昂するラウラにデュオは油断なくビームサイズを構えたまま飄々と受け流す。

 

「さって、と・・・おいボーデヴィッヒ。もうこの位で引いたらどうだ?今引くってんなら見逃してやるぜ?」

 

「・・・ふざけるな」

 

明らかに上から目線のデュオの発言にラウラのプライドを酷く刺激した。

 

「ここまで虚仮にされて、今更引き下がれるか!!」

 

両手に再度プラズマ手刀を展開し、デュオに向かって切り込んでくるラウラにデュオは獰猛に笑いながらビームサイズを振りかぶる。

そして、二人が衝突しようとした瞬間、二人の間に影が割り込んできた。

 

ガギンッ!!

 

金属同士の甲高い音が響き、その影の正体を確認した瞬間、ラウラは加速と同時に血が上っていた頭を急速に冷えていった。

 

「・・・やれやれ。ガキの相手はこれだから疲れる」

 

「教官!?」

 

「姉御!?」

 

「千冬姉!?」

 

影の正体は何時もの黒いスーツを身に纏い、しかしその手にはIS用の近接ブレードが握られラウラの一撃を受け止めていた。

 

(オイオイ。IS用の近接ブレード一体何キロすると思ってんだよ!?相変わらず、化物じみてんぜ姉御・・・)

 

デュオは千冬の常人離れした身体能力に顔を引き攣りながら冷や汗を流した。自分でもIS用の近接ブレードを持てないこともないがラウラの一撃を生身で受け止められるか?といえば無理と即答できる。

それを軽々とやってのける千冬にデュオは内心で尊敬しつつもあまり彼女をからかわない様にしようと誓った。

 

「模擬戦をやるなとは言わん。――――-が、アリーナのバリアーまで破壊する事態になられては教師としては黙認しかねる。この戦いの決着は学年別トーナメントでつけてもらおうか」」

 

「教官がそうおっしゃるなら」

 

「俺も姉御がそう言うならそれでいいぜ」

 

デュオとラウラは素直に頷きISの装着状態を解除する。

 

「織斑とデュノア、お前たちもそれでいいな?」

 

「あ、ああ・・・」

 

あまりの事に惚けているのか、一夏は曖昧な返事しか返せないでいた。

 

「教師には『はい』と答えろ。馬鹿者」

 

「は、はい!」

 

「僕もそれで構いません」

 

返事をした二人の言葉を聞いて、千冬は改めてアリーナ内すべての生徒に向けて言った。

 

「では、学年別トーナメントまでの私闘を一切禁ずる。解散!」

 

パンっ!と千冬が手を叩く。それはまるで銃声のようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「・・・・・・」」

 

場所は保健室。先ほどの模擬戦から一時間が経過していた。ベッドの上では打撲などの治療のために包帯を巻かれた鈴とセシリアがむっすーとした顔で視線を明後日の方向に向けていた。

 

「別に助けてくれなくても良かったのに」

 

「あのまま続けていれば勝っていましたわ」

 

(よく言うぜ。強がりもここまで来ると感心するわ・・・)

 

二人の態度にデュオは呆れながらも感心した。

 

「おまえらなぁ・・・。はぁ、でもまぁ、怪我がたいしたことなくて安心したよ」

 

「こんなの怪我のうちに入らな――――-いたたたっ!」

 

「そもそもこうやって横になっている自体無意味――――-っつうう!」

 

「馬鹿じゃねぇの、コイツら?」

 

呆れながら二人を指さし同意を求めるデュオに一夏はウンウンと頷いた。

 

「馬鹿って何よ馬鹿って!バカ!」

 

「そうですわ!バカって言う方が馬鹿ですわ!」

 

今にも噛み付いてきそうな二人にデュオは大げさに距離をとり、一夏はどうしたもんかと頭を悩ませていると、

 

「好きな人に格好悪いところを見られたら、恥ずかしいんだよ」

 

「ハッハーン。なるほどねぇ~・・・」

 

飲み物を買いに行っていたシャルルが戻ってきて二人の内心をズバリ言い当て、デュオは納得が言ったように意味深に笑い、言い当てられた二人は顔を真っ赤にしながら否定するも全くの無意味である。

唯一人、当の一夏だけは聞き取れなかったのか首を傾げていたが。

シャルルは二人に頼まれていた飲み物を渡し、一休みしたら部屋に戻ろうと話しているとき、それは起きた。

 

ドドドドドドドドドッ!!!!!

 

「な、なんだ?何の音だ?」

 

「あ、あれ、なんでだろうな?今すぐここから逃げろって直感が・・・」

 

「こ、怖いこと言わないでよ・・・」

 

近づいてくる地響きにデュオの危機察知能力が警鐘を鳴らし、そんなデュオの態度にシャルは若干怖くなってきた。

そして・・・。

 

ドッカーーーン!!!!

 

比喩でも大げさでもなくドアが吹き飛んだ。

そして、同時に雪崩込んでくる人、人、人。

 

「織斑くん!」

 

「デュノアくん!」

 

「マックスウェルくん!」

 

雪崩込んできた女子生徒たちはあっという間にデュオたちを包囲し、亡者の如く手を伸ばしてきた。

まだ夕方なのに、軽いホラーである。

 

「な、なんだなんだ!?」

 

「イテテッ!!ちょ、誰だ!?人の髪引っ張ってんのは!?」

 

「ど、どうしたのみんな・・・ちょ、ちょっと落ち着いてよ」

 

「「「「これ!!」」」」

 

状況が飲み込めず混乱するデュオ達に一斉に突き出されたのは学内の緊急告知文であった。

それには、今月の学年別トーナメントはより実践的にするために二人組での参加を必須にすることで、ペアが決まらなかった場合には抽選で決めるという事。

そこまで読んだ後、また一斉に手が伸びてきた。

 

「私と組もう、織斑くん!」

 

「私と組んで、デュノアくん!」

 

「マックスウェルくん、私と一緒になろう!」

 

何故いきなり学年別トーナメントがタッグマッチになったのか?その理由は色々と予測はできるが今はデュオにとってどうでもいいことであった。問題は今彼の隣で返答に困っているシャルルの事であった。シャルル・デュノアが本当に男だったら問題ではないが、彼女は女、シャルロット・デュノアなのである。流石に自分以外でペアになってしまえば、高い確率でバレてしまうだろう。

それが一夏でもそれは避けねばならない。

故に・・・。

 

「悪いな。俺はシャルと組むことになってるか他をあたってくれや」

 

シーン・・・と先程までの喧騒が一瞬で消え去った。

 

「まあ、二人は幼馴染って言うし・・・」

 

「他の子と組まれるよりかは・・・」

 

「男同士ってのも絵になるし!」

 

「ハァハァッ・・・デュノア×マックスウェル?いえ、マックスウェル×デュノアかしら!」

 

最後の腐海の住人については後でゆっくり話を伺うことにして、デュオはコソコソと逃げようとする一夏に向けて意地の悪い笑みを浮かべながら、

 

「そういやぁ、一夏はまだペアがまだ決まってなかったなぁ?」

 

「でゅ、デュオ!?お、おまえなんて事を――――-ヒィッ!?」

 

こっそりと身の危険を感じて抜け出そうとした一夏だったが、デュオの身売り発言に抗議の声を上げるが、それがいけなかった。

一瞬で包囲され亡者のごとし手の波が彼を飲み込もうとしていた。

 

「あ、ちょっ・・・まっ――――-」

 

アッーーーーーーーーーーーーー!!!!?

 

保健室に一人の男の叫びが上がった。

 

 

 

 

 

 

 

「もう、デュオ?ダメだよ、あんまり一夏を苛めちゃあ」

 

夕食後、部屋に戻るなりシャルルは腰に手を当てて注意してきた。

 

「いやー・・・悪かったって。さっき一夏にも謝っただろ?」

 

「全然、反省の色のない顔でね・・・」

 

ジト目で睨んでくるシャルルにデュオはクックックッと笑いながら先ほどのことを思い返した。

あの後、数多の女子生徒(もうじゃ)達の手から逃げようとボロボロになりながら一夏は丁度、彼を探していた箒と出会い、自分は箒と組むことを宣言。

女子たちは、幼馴染同士なら・・・という事で若干意気消沈しながら手を引いた。

しかし、鈴とセシリアはそれでも引き下がらず自分と組めっと申し出てきたが、ISのダメージレベルがCを超えていたため不承不承で出場を断念した。

そこで、一夏は先ほど自分を貶めたデュオに文句を言おうとしたが、既にデュオは先ほどの女子の群れとともに保健室から姿を消したあとであった。

その時のデュオは帰りながら、

 

「フッ・・・計画通り!」

 

「・・・テイッ」

 

「アダッ!?」

 

某新世界の神ばりの笑みで去ろうとしていた彼の頭をシャルルが可愛い掛け声と共に結構な力で後頭部を叩いたのは全くの余談である。

 

「ま、いいじゃねぇか。侘びの印としてあいつらの特訓付き合うんだからよ」

 

「いや、僕が言いたいのは反省の色なんだけど・・・」

 

そこまで言ったシャルルは言っても無駄と悟り深くため息を吐いた。昔からこういう他人を巻き込んだ悪戯には全力投球な彼の性格はちっとも治っていないと改めて実感したシャルロットちゃんなのであった。

 

「・・・・まあいいや。・・・・・あ、あのね、デュオ」

 

「ん?何だぁ~シャル?」

 

急にモジモジし始めたシャルルに怪訝に思いながらも尋ねるデュオにシャルルはえっと・・・あの・・・と言い淀み顔を赤くしながらも真っ直ぐデュオと向き合う。

 

「あ、あのねっ。遅くなっちゃったけど、助けてくれてありがとう」

 

「ん~?・・・・気にすんなよ、友達じゃんか」

 

ニシシッと笑うデュオにシャルルも暖かく笑うのであった。

 

 

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