インフィニット・ストラトス~死神と呼ばれるIS~リメイク 作:神喰いの王
長らくお待たせしました。『死神と呼ばれるIS』更新再開です。
いや~長かった。PCが壊れて以来、数々の誘惑に負けに負け、結局五月まで修理に出すのが遅れてしまいました。修理が終わってもモチベーションを取り戻すまで、結構かかってしまいました。
これから、なるべく月一で更新していこうと思います。・・・リアルが忙しくならない限り・・・・。
あの後、学年別トーナメントは中止になった(まぁ、当然である)。
ラウラは保健室へと運ばれ、一夏と箒、シャルルは教師陣から事情聴取が行われている。
そして、デュオはというと・・・・。
「で、何か言い訳があるか?この大馬鹿者」
「流石に今回のことはおねーさん、ちょ~と看過できないかな~」
「・・・・(冷や汗ダラダラ)」
“世界最強の女”織斑千冬は視線だけで人を殺せるようなものすごい目でデュオを見下ろし、“学園最強”更識楯無は口元を扇子で隠し、表情は笑っているが目は決して笑っておらず、極寒のロシアの地を思わせるよな冷めた目でデュオを見下ろしていた。
そして、そんな二人に見下ろされているデュオは硬い床に正座し、顔を青を通り越して士気色に変化して冷や汗を滝のようにダラダラと流していた。
「あ、あのですね・・・」
「誰が発言を許可した?」
「す、すいません!マム!!」
恐ろしい程低い声音で喋る千冬にデュオはもう戦々恐々であった。
何故、この様な状態になっているかといえば、学年別トーナメントでのラウラの一件である。
本当なら鎮圧の教師部隊が迅速に現場に駆け付けるはずであったのだが、この馬鹿は・・・・
「アリーナのシステムに介入して教師部隊をアリーナに入れなくするとは、呆れて何も言えん」
「しかも、事が終わったあとにシステムを元に戻すというオマケ付き。ホント、ここまで来ると呆れを通り越して感心しちゃうわ」
二人共、心底呆れているのか腕を組んで溜息を漏らす。
「それで、何か言い訳はあるかこの大馬鹿者。聞くだけは聞いてやる」
「あ~・・・っと。まあ、単純に言えば意地っすかね?」
「意地?」
再度問う千冬にデュオは肯定し、
「俺も一夏も姉御の真似をしたあんちくしょうが許せなかった。だから、他人に邪魔されたくなかったんすよ。一夏はただ一人の姉として、俺は憧れの人物として、あの模造品を許せなかった。だから他人に介入して欲しくなかったってだけだよ・・・」
「・・・・・」
恥ずかしそうに理由を述べるデュオに、千冬は恥ずかしくなったのか若干頬を赤く染めそっぽを向いた。
一方、そんな二人を間近で見ていた楯無は面白くないようで、つまらなそうな顔でゆっくりとデュオに近づくと彼の足をツンッと扇子で突っついた。
「っ~~~~~~?!!?!?」
「あはっ♪面白いぐらい悶えちゃってるわねデュオくん」
長時間、硬い床に正座していたため両足が痺れてしまっていたので、軽くつつかれただけでも想像を絶する痛みにさしものデュオも悶えまくりである。
「お、おまっ・・・・!?い、いきなり何すんだ!?」
「織斑先生、デュオくんの罰はこれでいいんじゃないですか?」
「ちょっ!?」
「フム・・・・いいかもしれないな」
ニタリと悪そうな笑みを浮かべ近づいてくる二人にデュオはしびれた足を引きずって本気で後退し始めた。
「ちょ、まっ――――-」
アンギャッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!?!?
数多くあるIS学園の一室で形容しがたい悲鳴が響き渡った。
「(チーーーーーーン・・・・)」
「・・・・一体何があったんだ?」
「さ、さあ・・・・?」
夕食時、一夏とシャルルは教師からの事情聴取も終わり食堂で食事をしようと食堂に移動しそこで、何故か真っ白に燃え尽きたデュオが机に突っ伏していた。
「でゅ、デュオ?大丈夫・・・?」
「・・・・」
(返事がないただの屍のようだ・・・)
シャルルがデュオの肩を揺するがデュオはピクリともせず、そんなデュオに一夏は何故かそんな事を思ってしまった。
「ん~・・・気を失っているみたいだけど、本当に何があったんだろ?」
「多分、千冬姉に絞られたんじゃないか?俺たちと違って千冬姉に連れてかれたし・・・」
「ああ。多分そうだね・・・」
まあ、こうなった原因は彼の自業自得なのでしょうがないのだが・・・。
などと二人で考えなが二人は持ってきた料理に箸をつけ始めた。
因みにこの後、一夏が持ち前の鈍感&唐変木っぷりを披露し箒にボコボコに殴られたのだが、至極いつも通りなので割愛する。
「・・・はっ!?ここはダレ?俺はドコ?」
「目覚めて早々、お約束なボケを言わないの」
「アタッ」
目覚めたデュオは寝起きなのにも関わらずボケをかまし、シャルルに頭を小突かれた。
「シャル?なんでここに・・・っていうか、ここは俺の部屋か?」
デュオは辺りを見渡し自分の現在地を確認し、それと同時に日が完全に沈んでるのを確認すると、どれだけ気を失ってたんだよ・・・と落ち込んだ。
「っていうより、大丈夫?結構長く気を失ってたけど・・・」
「あ~・・・まあ、大丈夫だよ。それより、俺は食堂に運ばれた所までは覚えてんだが、ここまでシャルが運んでくれたのか?」
重かっただろう?と心配してくるデュオにシャルルは首を振り、
「ううん。大丈夫だったよ、一夏も手伝ってくれたし、後でお礼をいいなよ?」
「そーだな。で、その一夏はどこいったんだ?」
「一夏なら、大浴場に行ったよ。僕も誘われたんだけど、デュオの看病をするって断っちゃった」
「まあ・・・・お前は軽々しく一緒には入れないよなぁ~」
目を閉じ染み染みと言うデュオにシャルルはアハハッと苦笑い。
「デュオはどうするの?お風呂」
「あ~・・・その前にお前に重大発表がある」
「?」
いきなり神妙な顔つきになったデュオにシャルは小首を傾げた。
「ホレ」
「わっ!?」
ポイッと懐から取り出したものをシャルルに投げ渡す。
「え?これ・・・銀行のキャッシュカード?」
「ああ。お前名義のな」
「え?」
「あ、因みにデュノア社は本日付でウィナー社に吸収合併されてウチの傘下になって消滅しちまったから」
「え、ええ!?」
「そしてシャルにはウィナー社、フランス支部所属の専属パイロットになってもらったから、そこンとこよろしく!」
「ええ~~!!」
矢継ぎ早に言い渡される衝撃的な事実にシャルルの脳はパンク寸前であった。
「ど、どういう事!?」
「どういう事ってそのまんまの意味だぜ?デュノア社はウチに株価の50%以上を買い取られて、M&Aを受けざる得なくなりウチに吸収されちまいました、と」
「そ、そんな簡単に・・・」
「ま、そういう訳でこれからは同僚として宜しくな。シャル?」
「えっと・・・よろしくお願いします・・・」
未だに混乱するシャルルだが差し出されたデュオの右手に思わず握り返す。
「まあ、あとは色々と手続きがあるけど・・・それを終えたらはれて自由の身だ」
「じ、ゆう・・・」
自由という言葉の意味を噛み締めるように呟くシャルルにデュオは笑いかけた。
「おう。また昔みたいにいっぱい遊んだり、好きな場所行ったりできんだぜ」
「・・・・」
言葉も発せずにシャルルの目から大粒の涙が溢れ出した。
まるで、今まで流せなかった分の涙を流すように、彼女の――――-“シャルロット・デュノア”の目から止めなく涙が溢れだした。
そして、涙で濡れる視界で目の前の幼馴染に向かって精一杯の笑顔を浮かべ、
「ありがとう、デュオ」
感謝の言葉を送った。
「あれ?デュオ、もう目が覚めたのか?」
「ま~な。そっちこそ、もう上がったのか?」
あの後、シャルが声もなく泣き出してしまったので居たたまれなくなったデュオは大浴場へと向かい、大浴場に着くと丁度一夏が体から湯気を出しながら出てきた。
「ああ。本当はもっとゆっくり浸かりたかったけど、お前が心配だったからなちょっと早めに上がったんだ」
「あ~・・・そうなのか。なんか悪いことしちまったな」
申し訳なさそうに頭を描くデュオに一夏は笑顔で気にすんな、という。
「別に今日だけじゃないからな。また次の機会に入るさ。それより、シャルルはどうしたんだ?」
「あ~アイツな、ちょ~と用事があるらしいんで、俺だけ早く来たんだよ」
実はシャルルは女なんです、しかもアイツのために大企業を一つ潰しました。なんて言えるはずもなくデュオは適当に誤魔化す。内心、罪悪感を感じるデュオに一夏はそうなのかーと呑気に答え、デュオは余計に罪悪感が生まれた。
「それじゃあ、ゆっくりはいれよ」
「おう。んじゃあ~な」
一夏と別れ、デュオは大浴場の中へとはいっていった。
「へ~昔、世話になった楯無ン所より大きいのは当たり前だけど日本ってかなり風呂に力入れてんだな・・・」
脱衣所で服を脱ぎ、湯船に髪をつけたらいけないと昔、更識の家で教わったため髪を纏めて結い上げた後、浴場に入ったデュオはそんな感想を述べた。
それから、頭と体を洗い終え、湯船へと入っていった。
「あ~~~・・・生き返るぜ~~~~」
タオルを頭に乗せ肩まで湯船に浸かるとデュオは間延びした声で感想を述べた。
(ここん所、こんなにゆっくりとしたのはあんま無かったからな~。なんか、全身の疲れが徐々に抜けていく感じがするぜ~・・・)
ここ最近、具体的に言えばシャルたちが転入した時から本人が気づかない程、疲れが溜まっていたのかデュオは今までにないほど安堵感に浸っていた。
だからなのか、脱衣所で人の気配に気づけずにいたのは・・・。
カラカラカラ。
(ん~?一夏の奴、あんなこと言っといてもう一度、入る気か?ったくしょうがねぇ奴だな・・・)
完全に気が緩んでるのかデュオは後ろにいる人物を確認せず放置し、剰え口元を湯船につけてブクブクやっていた。
それでいいのか、エージェント。それ以前に行儀が悪い。
そして、足音が真っ直ぐデュオの方へとやってきて・・・・
「お、お邪魔します・・・」
「ブゥッーーーーーー!!!?」
ドボンッともの凄く聞き覚えのある声をすぐ傍で聞いて顔半分を湯船に浸かっていたデュオはあまりの事態に盛大に吹き出した。
「ちょ、デュオ!汚いよ」
「それ以前の問題だろうが!?――――-ッ!?」
あまりの事態にデュオは思わずシャルロットの方に振り返りツッコミを入れるが、瑞々しい彼女の裸体を直視し慌てて体ごと視線を逸らした。
「な、なんで入ってきたんだよ!?」
「ぼ、僕が一緒だと、イヤ・・・?」
「い、いや、そういうわけじゃねぇけどよ!?」
別に彼女と一緒に入るのが嫌ではない。嫌ではないが・・・・色々と察して欲しいと感じたデュオなのであった。
確かに幼い頃、まだ彼が孤児院であるマックスウェル教会にいた頃は彼女と一緒に風呂に入った頃はある。が、あれからもう八年も経っているのだ。彼も彼女も色々と成長している、幼い頃の面影もなくピタリと彼女と背中合わせの状態でデュオは内心でこう思った。
成長したなシャル、と。
「しゃ、シャル?きゅ、急にどうしたんだ?」
「う、うん・・・」
背中越しでもお互いの心臓の鼓動が手に取るようにわかるほど二人は緊張していた。二人の顔の赤さは決して風呂によるものだけではないであろう。
「さ、流石にコレは拙いんじゃないか?」
「ムゥ~・・・前デュオが言ったんじゃないか。一緒に入ってやろうかって・・・」
「いや、確かに言ったけど!?あ、ありゃあ冗談のつもりだったんだが・・・」
この男、普段は結構セクハラ紛いなことを言うが、積極的に迫られたりすると尻込みしてしまうヘタレなのであった。
「フフッ♪ごめんね?でも、どうしてもお礼をしたかったから・・・」
「お、お礼・・・?」
高鳴る動悸を抑えつつデュオはどういう事か問いかける。
「うん。デュノア社の事、保健室で庇ってくれた事。この学園に来てからデュオには助けられてばかりだったから、どうしてもお礼がしたかったんだ」
「その事かよ・・・別に礼を言われるほどのことじゃねぇぜ。なにせ俺が好きでやったことだしな」
「じゃあ、僕がこうしてお礼するのも好きでやってることだからいいよね?」
「うぐっ・・・」
確かにそうだが・・・いやでもそれとコレとは・・・とデュオが悶々としている中、シャルロットは彼の髪を軽く触った。
「髪、結い上げられたんだね。教会にいた時は出来なかったのに・・・誰かに教わったの?」
「ん?あ、ああ。何年か前に日本に来た時、世話になった人たちに教えて貰ったんだよ」
いつまでも子供じゃないからな、と笑うデュオにシャルロットもそうだね、と言って笑う。
「・・・ねぇ、デュオ。僕、明日みんなに本当のことを言うよ」
「・・・そっか。いいんじゃねぇか?お前が決めたことだし、俺は反対はしねぇよ」
それに、と言葉を続ける。
「もし何かあっても俺はお前を裏切るつもりはねぇから安心しろよな」
「うん!」
デュオは背中合わせで彼女の顔が見えないが返事をした時の彼女の顔は花が咲いたような笑顔であった。
「ほら、デュオ。ここに座って!」
「いいって、ンな事しなくてもよ~」
「ダ~メ♪」
入浴後、シャルロットはデュオをベッドに座らせ、手に持ったブラシで彼の長い髪を梳き始めた。
「フフッ懐かしいな~。昔、こうやってシスターに髪を梳いてもらっていたよね~」
「ん~そうだな~・・・」
髪を梳いてもらって気持ちいいのかデュオは気持ちよさそうに目を細めながら間延びした声で答えた。
実を言うとデュオはマックスウェル教会を出た後は誰にも髪を梳かせさせないでいた。それこそ、日本で数年過ごしていた更識家の楯無の母にもやらせた事は無かったので、シスター以外ではシャルロットが初めてである。
「デュオはいっつも顔を真っ赤にしながら髪を梳いて貰ってたよね」
「い、いつの話だよ!って、もういいだろ?」
一気に顔を赤くしたデュオはシャルの手から離れる。
「あ!?コラっまだ終わってないよ!!」
「ジューブンだって。ンな事よりもう寝るぞ?もう直ぐ消灯時間だしな」
「あ、コラッ!」
デュオは素早くシャルロットから離れるとお休み~と言いながら布団の中に潜り込んでしまった。
そんなデュオにシャルロットはもう!と頬を膨らませるが直ぐに何か思いついたのか、ニンマリと笑うと部屋の電気を消し布団に潜り込んだ。デュオの布団の中に。
「って!なんでこっちに入ってくんだよ!?」
「もう、デュオ。あんまり暴れないでよ、落ちちゃうじゃないか」
「イヤ!そういう問題じゃないんですけど!?」
ぴったりとデュオの背中にくっついたシャルは彼の背中に額をくっつけると、
「お願い。今日だけは一緒に寝て?」
コレが楯無のようにこちらを弄る気満々なら抵抗できるが、今の彼女は全くその気がないため、断れず仕方なしにデュオは
「ッ~~~~!!!・・・・しょ、しょうがねぇなぁ・・・今日だけだぞ?」
「うん!」
デュオの許しを得たシャルロットはギュッと彼の背中に抱きつき安らかな寝息を立てた。
それと同時にデュオは後悔した。
(ああっ!背中に柔らか~い感触がっ!!振り向きたいけど、背中をがっちりホールドされてて振り向けない!!っつーかこの状態で寝ろってか?無理に決まってんだろ!?)
その夜、デュオは彼女のやわらかい感触を背中で感じながら翌日、当然のごとく寝不足になったのは言うまでもないことである。
翌日、デュオは襲い来る睡魔と懸命に戦いながら自分の教室までたどり着いた。本当は隣にいるはずのシャルロットは今朝方、職員室に用事があると言って別れたっきりである。
「オーッス、デュオ。なんかやけに眠そうだな?」
「・・・ああ。実はかなり寝不足でな・・・」
「?昨夜何かあったのか?」
「いや、そうじゃねぇよ・・・・ただ、理性と本能の狭間で悶えてただけだって」
「なんですって?」
「いや、なんでもねぇよ・・・」
デュオは眠りそうになるのを必死にこらえながら、目をゴシゴシとこすりながら一夏達に答えながら、自分の席に着く。
「デュオ、そんな眠そうな顔で授業受けたら千冬姉にシバかれるぞ。今からでも顔を洗ってきたらどうだ?」
「そうしたいのは山々だが、生憎と手遅れみたいだぜ」
デュオがそう言い終わると同時に何やら疲れた表情の真耶がフラフラになりながら朝の挨拶をしてきた。
「み、皆さん、お早うございます・・・」
何時もなら元気よく挨拶する真耶だが、今日はそんな元気すらもないようである。
「今日は、ですね・・・皆さんに転校生を紹介します。転校生といいますか、既に紹介はすんでるんですけど・・・ええと・・・」
「?」
イマイチ要領を得ない真耶の説明に首をかしげる一夏だが、この瞬間デュオはものすごく嫌な予感がした。
「それでは入ってください」
「失礼します」
真耶の言葉と共に教室のドアが開かれそこから出てきたのは――――-。
「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてお願いします」
スカート姿のシャルロットがペコリと礼をする。
その彼女の姿にクラス中が騒然とする中、デュオだけは微笑を浮かべながらクラスの方を見ていた。
(ま、そ〜なるわな。でも、思いのほかクラスの反応は悪くはねぇな。流石は日本の女子高生、順応能力が高いねぇ~)
と、クラスの反応を楽しんでいたデュオだが、ある生徒の発言でそうはいかなくなった。
「ちょっと待って!昨日って確か、男子が大浴場使っていたわよね!?」
バンッ!!
「一夏ぁーーーーーっ!!!」
教室のドアを蹴破る勢いで開けたのは隣のクラスの鈴。しかも、既に甲龍を展開済み。
(いや、どんな耳してんだよ!?地獄耳とかそんなレベルじゃねぇぞ!!?)
「ちょ!?ま、待て鈴!!いや、鈴さん!!確かに昨日大浴場には入ったけど、一緒に入ったのはデュ――――-」
「問答無用!!死ねぇ!!!!」
必死に弁解しようとする一夏。が、阿修羅と化した鈴は聞く耳持たずフルパワーの衝撃砲を一夏目掛けてぶっぱなした。
瞬間、デュオを含む一夏の周りにいた生徒は一瞬で避難し、心の中で一夏に十字を切った。
ズドドドドオオンッ!!!!
「ふーっ!ふーっ!ふーっ!」
怒りのあまり肩で息をしている鈴。その姿は猫が敵を威嚇しているようだ。
(一夏、お前ってやつはどうしようもない鈍感な朴念仁だったし、お前のとばっちりでこっちにまで被害が来て大変だったけどよ。お前のことは一限が始まる時まで忘れないぜ・・・・多分)
教壇の陰に隠れて一夏の方を見ながら何気にひどい事を考えていたデュオだが、煙が晴れて目にした光景に目を奪われた。
ズッキューーーーンッ!!!
と、効果音が付きそうな一夏とラウラのキスシーンが繰り広げられていたのだから・・・。
パシャッ。
「お、お前を私の嫁にする!!拒否は認めん!これは決定事項だ!!」
「・・・嫁?婿じゃなくて・・・って!何撮ってんだデュオ!!」
「いや~。突然の出来事で無意識に写真を撮っちまったぜ♪」
いい笑顔でサムズアップするデュオに一夏はぶん殴りたい衝動に駆られるが、彼の周囲(主に彼に好意を寄せている女子陣)がそれを許さなかった。
「あ、アンタねえぇぇぇぇっ!!!!!」
「うふ、うふふふふっ!!一夏さん?少しおイタが過ぎるのじゃなくて?」
「・・・・・斬る」
もはや阿修羅すら凌駕する勢いの鈴。
顔は笑っているが目は一切笑っていないセシリア。
いつの間に持ってきたのか、能面のような無表情で刀を抜く箒。
瞬間、一夏は自分の命運を悟った。
「ねぇ、デュオ?一夏は大丈夫なの?っていうか、生きてるの?」
目の前の惨劇を目にして、シャルロットは戦々恐々しながらデュオに尋ねる。
「大丈夫だって、つーかじきに見慣れるさ。・・・それよりも、よ」
「?」
「苗字、〝デュノア”のままにしたんだな。言ってくれれば別のモン用意したんだぜ?」
カトルが言ってただろ?と尋ねてくるデュオにシャルロットは苦笑しながら頷き、
「・・・うん。確かに今朝、ウィナーくんも同じ様なこと聞いてきたけど、やっぱりデュノアって苗字はシャルロットと同じでお母さんとの想い出でもあるから、全部抱えて生きていこうと思うんだ」
「・・・そっか」
決心した顔つきのシャルロットにデュオはそれ以上何も言うことはせず、愁い気な眼差しで目の前の修羅場を眺めていた。
どうやら、ここでの生活もまた一段と楽しくなりそうだ。
因みに、12話を加筆修正しました。