インフィニット・ストラトス~死神と呼ばれるIS~リメイク   作:神喰いの王

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お待たせしました。
これで、第一章は終了です。


エピローグ

「作戦終了―――と言いたいところだが、お前たちは独自行動により重大な違反を犯した。帰ったらすぐに反省文の提出と懲罰用トレーニングを用意してやるから、そのつもりでいろ」

 

『・・・・はい』

 

福音との戦闘を終えた俺たちに待っていたのは、祝福ではなく鬼の説教であった。

俺達は健在、全身から真っ赤なオーラを漂わせた姉御の前に正座させられている。勝利の余韻とかそんなモノは姉御の顔を見た瞬間に吹き飛んだ。

 

「あ、あの・・・織斑先生。もう、その辺にしましょ?けが人もいる事ですし・・・」

 

「ふん・・・」

 

今この瞬間、麻耶ちゃん先生が天使に見えた。怒れる姉御を前にしてアタフタしていてちょっと情けねぇが・・・。

 

「じゃ、じゃあ。一度休憩してから診断しましょうか。ちゃんと服を脱いで全身見せてくださいね。―――あっ!ちゃんと男女別ですよ!わかってますね、織斑君、マックスウェル君!」

 

「いや、山田先生。休憩より先にマックスウェルを診断させましょう」

 

ゲッ・・・もしかして姉御・・・気づいてる?

 

「他の者は水分補給をとってから診断に入れ。マックスウェルは別室で医療班が待っている。勝手に病室を抜け出した件について医療班の先生方が話しをしたくて、仕方ないようだからな」

 

先ほど収まった姉御の怒気が再発して俺の全身から嫌な汗が止めなく流れてきた。

 

「い、いや~・・・で、出来れば、麻耶ちゃんに治療されたいな~・・・なんて」

 

「いいから来い」

 

「ぐえ!?」

 

姉御に首根っこ摑まれ、そのまま引きずられながら部屋から連れ出された。

 

「・・・・・」

 

部屋を出て別室に向かう際、姉御は一言も喋らなかったが、掴んでいた手を放し心配そうに俺の方に振り替える。

 

「・・・体調はどうだ?」

 

「だいじょーぶだよ。心配しなさんな」

 

左手をプラプラと振りながら大丈夫な事を伝えるが、姉御は俺の正面まで来て片膝をつき俺と同じ目線の高さに合わせるとそっと右腕に触れた。

 

「ッツ!」

 

「強がるな。・・・・右腕、折れているだろう」

 

「・・・さっすが、ISスーツに隠れて見えねぇからバレてないと思ったんだけどな・・・」

 

今更だが、俺のISスーツはダイバースーツの様に肌の露出面積が少ない。しかも露出している部分も首から上を除けば手と足ぐらいしかない。

というか、姉御が触った途端、相棒が施した麻酔が切れたのか全身に激痛が走ってきやがった・・・!!

 

「大丈夫か?顔色が急に悪くなってきたぞ?」

 

「な、なぁに・・・麻酔が切れて痛みが出始めただけっすよ」

 

「麻酔?――――いや、今はそれよりもホラ。摑まれ」

 

「悪いっすね」

 

俺は姉御の肩に摑まりながら立つとそのまま医療班のいる部屋に向かって歩き出した。

 

「デュオ・・・すまなかったな」

 

歩きながら姉御はそんな事を言ってきたが・・・。

 

「気にしないでくれよ、姉御。俺が勝手にやったことだし、それに・・・・」

 

「それに?」

 

俺は首にかかって相棒を見ながら微笑しながら、

 

「こっちも収穫があったから、イーブンって所かな?」

 

俺がそういうと、姉御は苦笑しながら、そうか・・・と苦笑した。

 

 

 

因みに、医療班のいる部屋に到達した後、俺は医療班の先生方に治療されながらこっ酷く叱られたのであった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

治療を終えた俺は、医療班の目を盗み病室から抜け出し俺はある所に向かいながら電話を掛けた。

数回のコールの後、そいつは電話に出た。

 

『・・・何の用だ』

 

相変わらず無愛想な口調だな・・・。

 

「・・・・よお、ヒイロ。さっきは助かったぜ、サンキューな」

 

『問題ない。お前のミスを清算しただけだ』

 

あいっかわらずこっちの神経を逆撫でする言い回しをしやがるな・・・。

 

「ヘーヘーそいつはワルーゴザンした。取り敢えず今回の事は貸しにしてくれや」

 

『・・・要件はそれだけか?』

 

「いや、待てって!それだけの為に秘匿回線まで使うかっての!」

 

ホント~に相変わらずゆとりっつーか遊びのねーヤローだ。

 

「今回、お前も見ただろ?俺が戦った相手。そいつの戦闘データをお前のISに直接送る。もし対峙したときに役に立ててくれ」

 

『・・・・了解した。トロワには送らないのか?』

 

「ああ。トロワは近々、本国によるみてーだからな。そん時に渡すわ」

 

『わかった。通信を終了する』

 

ブツ・・・。

 

「あっ!?オイ、コラ!・・・・ったく、勝手に切りやがって。もう少し会話を楽しめよな~・・・」

 

ハア~っとため息を零しながら目的地に着くと気配を消しながら森の中に入っていく。

森を抜けた先の岬に二人の女性がいた。一人は岬の柵に腰かけている篠ノ之束。もう一人は篠ノ之束の背後に立っている千冬の姉御。俺は身を隠し気配を隠しながら二人の様子を窺う。

 

「束、お前は今朝、ISのコアをお前以外にも作った人間がいるといったな」

 

「うん。そーだよー」

 

「そいつらは今どこにいる?」

 

ナイスだ姉御。その質問は俺も訊きたい事だ。

 

「知らない」

 

が、篠ノ之束は即答で答えやがった。

 

(チッ・・・流石にあのクソオヤジ達の現在の居場所は知らねぇか・・・)

 

「もう一つ。お前はその科学者たちとどこで知り合った?少なくとも私の知る限りではそんな人物はいなかったはずだ」

 

「うーん。ちーちゃんが知らないのは無理もないかな~。だって、初めて会ったのはちーちゃんと出会う前だし、それからも直接会ったのは片手で数えられるだけだし、後は専用のチャットでのやり取りがほとんどだったからね~」

 

「そう、か・・・」

 

(にしても、あのクソオヤジ達と篠ノ之束が接点があったとはな・・・いや、なにも不思議ではねぇか。元々エジプトの一企業、それも当時の中東のIS制作技術は今と違って遅れていた。そんな状況で一企業に希少なISコアを複数も持たせるか?しかも作っていた機体は全てワンオフ機。ウィナー家は確かに中東の国家、全てに顔が効く程の影響力があるが・・・もしかしてそれが狙いでウィナー家に近づいたのか?・・・クソッ!頭がこんがらがってきたぜ・・・・。取り敢えず、一度本国に帰って情報を整理しねぇとな)

 

「ねえ、ちーちゃん。今の世界は楽しい?」

 

篠ノ之束のそんな声を聴きながら俺はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

因みに帰る途中、何やら浜辺で爆発音やら悲鳴やら怒号やら聞こえたが、流石に野次馬に行く余裕は無かったので無視することにした。

更にその後、旅館に帰ったら医療班の先生とシャルに見つかり、説教と絶対安静の名の元に文字通り布団に縛り付けられた。更には監視役としてシャルが俺の直ぐ傍で寝ていてまた、理性と本能の狭間で苦しみ一睡も出来なかったのだが、それはまた別の話・・・・というか、聞かないでくれ・・・・・マジで。

 

 

ただ一言、シャルロットさん。幾ら俺が怪我してて縛られてるからって無防備すぎだろ!浴衣、肌蹴てるから!!

あ、コラ!!寝返りうつな!見えちまうだろうが!?

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、朝食を終え、すぐにISの撤収作業に当たる。因みに朝食の席で昨日の作戦に関わっていない他の生徒が俺の姿を見た瞬間、旅館を揺るがすほどの悲鳴が響き渡った。

まあ、そりゃあそうか・・・。半日姿を見せなかっただけで右腕はギプスで固定され包帯で吊ってるは、全身を包帯やらガーゼやらで覆って、薬品の匂いを漂わせればそりゃあ、誰だってビックリするわな。

そんで、他の生徒が質問攻めに殺到するが、そこは我らが恐怖の姉御の一喝で瞬時に沈静。んで、俺は怪我のお陰で・・・・じゃなくて、所為で撤収作業は見学した。

撤収作業が終わり全員がクラス別のバスに乗り込む。昼食は帰り道のサービスエリアで取るらしい。

 

「ふぁ~~あ~・・・」

 

「あ~・・・」

 

俺が欠伸をする隣で、一夏が疲れたようなため息を吐いた。

 

「どーしたよ?なんか・・・・ボロボロだけど・・・」

 

「まあ・・・色々あってな。そう言うデュオこそ、何か眠そうだな?」

 

「あ~・・・・まあ、な。・・・一つだけ言えることは昨日の俺はよく頑張った」

 

感慨深げにしきりに首を縦に振る俺に一夏は首を傾げる。

それにしても・・・なんでこいつこんなボロボロなんだ?確かにISの撤収作業は重労働だけどここまでボロボロになるか?

 

「なあ、デュオ。なんか飲み物持ってないか?」

 

俺が一夏の状態を不思議に思っていると一夏がそんな事を聞いてきた。

 

「あ、飲み物?・・・ワリィ、今手元にないわ」

 

「そうか・・・別にいいんだ。なあ、誰か飲み物持ってないか?」

 

一夏が周りに視線を送るが、

 

「・・・唾でも飲んでいろ」とラウラ。

 

「知りませんわ」とセシリア。

 

「な、なにを見ているか!」と箒+脳天チョップ。

 

あっ(察し)

こいつ等のやり取りで大体察しがついた。大方、この馬鹿がまた何かやったんだな・・・。でも、そーなると箒の反応がちっと可笑しい。こりゃあ、次のサービスエリアに着いたらシャル辺りに聞いてみるか。

その後、結局、一夏は誰からも飲み物をもらえなかった。

そして、小休止のためバスがサービスエリアに到着すると俺はすかさずシャルの所まで行った。

 

「なぁなぁ、シャ~ル」

 

「・・・・なに、デュオ?」

 

あれ?なんでシャルの奴、んな嫌そうな顔してんだ?

 

「・・・・デュオ、一夏達の事を聞きたいんでしょ?」

 

「おお!さっすが、幼馴染~♪よく分かってんじゃんン!」

 

「そりゃあ、そんなに目を輝かせてれば否でも分かるよ・・・」

 

ハァ~っとため息を着くシャル。しまった。面白そうなネタだけに自然と目が・・・不覚!

 

「も~あんまり面白半分で場を掻きまわさないでよ?収めるの大変なんだから・・・」

 

「分かってるって♪んでんで、昨日、俺がいない時、具体的には浜辺付近で何があったんだ?」

 

「そこまで分かってたんだ・・・」

 

ハァ~っともう一度、ため息を吐くシャル。が、結局は昨日の出来事を話してくれるようだ。やっぱいい奴だぜ。

んで、要約すると昨日の夜、一夏がいない事に気付いたセシリア、鈴、ラウラは一夏を探しに向かった。シャルはラウラに頼まれて同行したらしい。そして、浜辺で一夏を発見。しかも箒も一緒に・・・しかもしかもシャルが言うにはかなりいい雰囲気だったらしく、もう少しでキスまで行く勢いだったようだ。そんな雰囲気を見たらシャル以外の他のメンバーが黙っている筈もなく、何時もの乱闘騒ぎを起こし姉御に見つかり何時もの様に説教を喰らったと・・・。因みに、シャルは一足先に逃げたそうだ。

しっかし・・・・。

 

「元気な奴らだな~~。昨日あんな戦闘をしといて、まだ痴話ゲンカする余裕があったのかよ」

 

流石に俺の呆れた物言いにシャルはアハハッと苦笑するしかなかった。

 

「よし!」

 

突然、シャルの隣に座っていたラウラがお茶の入ったペットボトル片手に立ち上がった。その表情は何か覚悟を決めたような表情だ。

 

「行ってくる」

 

「お、おう」

 

「ど、どうぞ」

 

流石に今のラウラをからかう気にはなれず自然と道を開けてしまった。

そして、覚悟を決めたのはラウラだけではなく箒とセシリアも同じようにペットボトル片手に一夏の元に向かった。

 

「なんつーか・・・」

 

「考えている事はみんな同じみたいだね」

 

ラウラ達の様子を見ながらシャルと目を合わせて互いに苦笑する。

 

「「「い、一夏っ」」」

 

「ねえ、ちょっといいかしら」

 

三人が一夏に声をかけ一夏が振り向きかけた時に車内に一人の女性が入ってきた。

 

(アイツは・・・)

 

突然入ってきた女性は二十歳ぐらいで鮮やかな金髪が夏の日差しに反射して輝いている。服装はブルーのサマースーツで、姉御のようなビジネススーツではなくカジュアルスーツだ。開いた胸元からは大人の女性的な魅力ある谷間が覗いており4、その谷間に持っていたサングラスを預ける。

 

「デュオ・マックスウェル君はいるかしら?」

 

その女性は俺と一夏を訪ねてきたようだ。まあ、当然か・・・。

 

「デュオ、知り合いなの?」

 

「ああ、お前もよく知ってるぜ」

 

「僕も?」

 

俺はその女性の方へ歩み寄る。後ろでシャルも慌ててついてくる。通路を塞いでいる三人に退いてもらい女性の前に立つ。

 

「君が、デュオ・マックスウェル君?」

 

「そーだぜ。こうして会うのは初めてか?ナターシャ・ファイルス」

 

「デュオ。この人を知ってるのか?」

 

「知ってるも何も昨日、お前も合って戦ってるだろうが」

 

俺の言葉に一夏だけじゃなく後ろにいる四人も驚いて女性―――ナターシャを見る

 

「え?ま、まさか・・・」

 

そんな視線にナターシャはにっこりと微笑む。

 

「ええ。お察しの通り私は『銀の福音』の操者よ」

 

「もう、体はいいいいみたいだな」

 

「ええ。お陰様で・・・。今日はお礼を言いに来たの。あの子を助けてくれてありがとう。貴方と貴方の上司が手を差し伸べてくれなかったらあの子はあのまま永久に空を飛べなかったわ」

 

「なぁに、気にすんな。こっちも色々と得るモノがあったからな。それに、アメリカに貸しを作っとくのも悪くねぇからな」

 

「フフッじゃあ、そういう事にしといてあげる。それと・・・」

 

そう言ってナターシャは微笑みながら顔を近づけ、

 

「チュッ・・・。これはお礼よ、黒い死神さん」

 

俺の唇の横ギリギリにキスをしてきた。・・・・・・・・え?

 

「ちょっ!?おまっ・・・・」

 

「じゃあ、またね。バーイ」

 

突然の出来事に混乱するもナターシャはひらひらと手を振りながらナターシャはバスを降りて行った。

俺は、彼女の後姿を呆然と眺めながらただ一言。

 

「柔らかっかたな・・・」

 

「ふ~ん・・・柔らかっかったんだ~・・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヤッベェ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

恐る恐る振り向くとそこには暗黒オーラを前回のシャルロットサンが立っていた。

 

「あ、ああああ、あああのな、シャル?」

 

「な~に、デュオ?」

 

全身から止めなく嫌な汗と寒気が襲い、歯がガチガチと鳴り全身が痙攣しているみたいに震えてきやがる・・・。

俺が今まで経験した事のない、圧倒的なプレッシャー。間違いねぇ、俺の長年の戦士の勘が告げてる。

 

俺は今、ここで死ぬ。

 

「え、え~とですね・・・。お、お落ち着いて、ははは、話し合おうじゃ、な、ないかな~って?」

 

「うん、ソウダネ。学園に着くまでたっっっっぷり話し合おうネ?」

 

「ア、ハイ」

 

優しく腕を組まれたはずなのに、まるで鋼鉄の拘束具を着けられた様な感覚だ。

そして、シャル連れられて席に着くとき、その席が断頭台のように見えたのは気のせいだと思いたい。

それからサービスエリアから学園に着くまで、生きた心地がしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご苦労様でした、サリィさん」

 

エジプト、ウィナー社地下ににある一室。

そこでカトルは自身の秘書兼ボディガードのラシードを後ろに控えさせながら部屋に入ってきたビジネススーツを着た女性、サリィに労いの言葉をかけた。

 

「あの程度の交渉、どうって事は無いわ」

 

あそこまで交渉材料が揃っているなら楽勝よ、と告げるサリィはカトルの対面に腰かける。

 

「ですが、IS委員会とアメリカ、その両方を相手にこちらに有利な条件で交渉を進められたのは貴女のお陰ですよ」

 

ニッコリと微笑みながらサリィを褒めるカトルだが、すぐに表情を真剣なものに変える。

 

「それにしても、まさかデュオが相討ちに持ち込むのがやっとな状況に陥られるとは・・・」

 

「そうね・・・彼自身の腕が鈍っていた、ということを差し引いても相手は相当の手練れね」

 

「ええ。正直、今の時期にヒイロを敵に晒すのは時期尚早だと思いましたが、デュオの命には代えられませんからね」

 

フゥッと重いため息を吐くカトルにサリィは優しいわねと微笑ましく感じた。

 

「でも、これから先、否が応でもIS学園は戦火の中心になるわ。向こうにはデュオの他に更識楯無とブリュンヒルデがいるからといっても、流石に戦力が足りなくなるんじゃないかしら?」

 

「そうですね・・・・どうやら当初の予定より早く向こうに行ってもらう事になるようですね・・・・トロワ」

 

そう言ってカトルは視線を横にずらし、先ほどから気配を消して待機していた人物を見る。片目が隠れるほど長い前髪のカトルと同じ年位の少年が腕を組んで壁に寄りかかっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次章は夏休み編、その中でデュオの過去編を組み込みたいと思います。
それと、就職の関係で半年くらいは更新はできませんのでご了承ください。
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