インフィニット・ストラトス~死神と呼ばれるIS~リメイク 作:神喰いの王
六月頭、日曜日。
その日デュオはカフェテラスにてある人物と待ち合わせしていた。
「お待たせ、デュオ」
テラスで新聞を読みながらコーヒーを飲んでいたデュオに一人の女性が声をかけてきた。
「いいや、ンなに待ってねぇよサリィ」
声をかけた女性『サリィ・ポォ』はそう?と返しながらデュオと対面に座り、注文を取りに来たウェイターにコーヒーを注文した。
デュオは読んでいた新聞を畳みサリィに向き直った。
「そんで?俺を呼んだ理由ってなんだよ?」
「あら?わからないの?」
「大体察しはつくが当たって欲しくはないってのが本音だな」
肩をすくめるデュオにサリィはご愁傷様と笑いかけた。
「前回の襲撃に事件についてよ。報告書は読んだけど直接、貴方にその時の状況を聞きに日本まで来たのよ。丁度、日本に立ち寄る用事があったしそのついでにね?」
「お仕事熱心なことで・・・」
デュオの皮肉にサリィはお互い様ね、と返してきた。
「っつてもよぉ~。聞くもなにも話す内容なんて報告書に書いた通りだぜ?他に何を聞くんだよ?」
「いいから、いいから。あ、あと。気になった所は私が質問するからそれにも答えてね」
「りょ~か~い・・・」
面倒臭そうに返事をするも事件の詳細を話すデュオなのであった。
「ん?あれ、デュオじゃないか」
「ん~どうした一夏~?」
デュオがサリィに事件の詳細を話している途中、丁度カフェの前を一時帰宅し中学時代からの友人『五反田弾』と一緒にゲーセンへ向かう途中でテラスで見知らぬ女性と話しているデュオを見つけた。
「あ、いや。あそこに居るのもう一人の男子のデュオなんだよ」
「なぬ!?」
弾は一夏が指さした方向を慌てて確認すると長い茶髪を三つ編みにまとめた黒服の少年とその対面で何やら楽しげに会話している(注:弾視点)茶髪のキャリアウーマンの女性がいた。
「おいおい。なんか楽しそうに会話してんな、あの二人」
「ん?そうなのか?」
「ああ。あれはかなりの仲だな!・・・ってお前に言っても分からねぇか・・・」
先程までの興奮は何処へやら、弾は一夏のほうを向くと溜息を吐いた。
「何でだよ?まぁ確かに仲良くは見えるな・・・」
一夏の視線の先にはデュオはともかく対面の女性は楽しげに話しているように見えた。
「でもよ、気になんだったら直接聞けばいいだろ?ついでにデュオのことをお前に紹介しようか?」
「バッカ、止めとけよ。お邪魔みたいだし、紹介するのはまた今度でもいいだろ?それより、さっさとゲーセン行こうぜ?今日こそお前に黒星をつけてやるよ!」
「・・・わかったって、でもそんな事言って中学の時のようにボロ負けすんなよ?」
「バッカ!お前、中学の時の俺とは違うんだよ!」
そう言って、先に行く弾の後を負いながら一夏はもう一度デュオたちの方を振り向き、明日学園で聞けばいいか、と考えて弾の後を追った。
「もういいだろう?他に話すことなんてないぜぇ~」
一夏達が去って暫くした後、デュオは疲れたようにグテーっとテーブルに突っ伏した。
「ええ、ありがとう。お陰さまで有意義な時間だったわ」
「そらぁ良かったな~」
「じゃ、申し訳ないけどもう行くわね?これからヨーロッパ方面に行かないといけないのよ」
「ヨーロッパ方面?具体的には?」
「・・・ごめんなさい。それは言えないわ」
「ふ~ん・・・ま、深くは訊かないでおいてやるよ」
「ありがとう、デュオ。それじゃあ、ここの代金は私が奢るわね」
サリィは代金をテーブルの上に置くとじゃあね~と手を振りながらカフェテラスを後にした。
「・・・・(ヨーロッパ方面か・・・ということはドイツかフランスのどちらかか、あるいはその両方か・・・)」
デュオはサリィを見送った後、思考に耽っていた。
(そ~いや、もうしばらくの間、里帰りしてねぇな。あんだけ世界中回ったのにな・・・。そ~いや、シャルの奴、元気にしてっかな~。俺がカトルん所に引き取られてから連絡とってないし・・・うん。夏の長期休暇を利用して一度フランスに帰ってみるか)
そう言えばカトルの所に引き取られる時、アイツ大泣きしてたっけな~っと思い出し笑いをするデュオは残ったコーヒーを飲み干し、カフェテラスを後にした。
その後、どうやって幼馴染を驚かそうかと考えながらデュオは帰路に着いた。
真逆、その再開の機会がお待ったより早く訪れるなどこの時デュオは夢にも思わなかっただ・・・。
その夜、デュオの部屋のにて・・・
「ね~ね~デュオくん」
「ん~なんだよ楯無?」
何時もの様に勝手に部屋に入ってきてベットで寛いでいる楯無をデュオはいい加減に慣れたのか備え付けの椅子で同じく寛ぎながら返事をした。
「今日、一緒にいた女の人って誰?」
ガタタッ!!
「ひゃっ!?」
突然、背後から物音が聞こえたため振り返ってみるとデュオが椅子からずっこけていた。
「・・・大丈夫?」
「だ、大丈夫だって!なんでお前がその事を知ってんだよ!?」
ガバッ!と起き上がり楯無に詰め寄るデュオに楯無はチッチッチと扇子を振りながら胸を張った。
「更識の情報網を舐めないで。その程度、すぐに調べあげられるんだから!」
「いや、んな事で更識の情報網を使うなよ!?職権乱用な上に公私混同じゃねぇか!!」
「あら、デュオくん知らないの?権力とはね使うためにあるのよん♪」
「使い方間違ってるー!!」
こんなのが日本の暗部で大丈夫かよ、とデュオは頭を抱える。
「そ・れ・よ・り、あの女の人は誰?おねーさんに教えて欲しいなー」
ニッコリと笑う楯無。ただし目が一切笑っていなかった。
「あ~・・・アイツはサリィ・ポォ。俺んところに所属している諜報員だよ」
「諜報員?何でそんな人が
「先日の事件の事についてだよ。あの人形もどきが襲撃してきたからな俺たちも無関係って訳じゃないし、丁度こっちに来る用事があったみたいでその序でに話を聞きに来たらしいぜ」
「へ~そうなの・・・で、彼女との関係は?」
「ただの同僚だよ。それ以上でもそれ以下でもねぇよ」
「本当に?」
「ほ、本当に」
詰め寄って鼻先が触れ合うほど距離を詰めてくる楯無にデュオは若干頬を赤くしながらも答える。
「・・・うん。信じてあげる」
「そいつはどーも・・・」
扇子を口元に当てながら楯無はニッコリと笑った。それを見たデュオは疲れたように溜息を吐いた。
「そ・れ・にしても、デュオくん?ど~して、赤くなってるのかな~?」
「なっ!?べ、べべべべ別にぃ?あ、赤くなってねぇーし!」
楯無に指摘されデュオはどもりながもそっぽを向いた。
「ウフフッ♪も・し・か・し・てぇ~おねーさんに興奮しちゃったのかな~?」
「んなっ!?ば、ばっかじゃねぇーか!んな訳あるか!」
ピトッと擦り寄りながら耳に息を吹きかける楯無にデュオは慌ててと飛び退いた。
「ッ~~~!!ったく、ホラ!さっさと自分の部屋に帰れ!また姉御に説教喰らうぞ!!」
「クスッ・・・は~い。またね、デュオくん♪」
楯無が部屋を出ていくとデュオはバフッとベットに寝転がった。
「あ~・・・休日のはずなのに全然休めてないような気がする・・・」
そう誰にともなく愚痴るとデュオは眠気に身を任せたのであった。
因みにこの後、時間差で襲撃してきた楯無によってデュオの睡眠時間は大幅に削られたのだが、それはまた別の話である。
さらに余談だが、その二人の騒ぎに千冬の堪忍袋の緒が切れデュオは(楯無は隙を見て逃げ出し)朝まで正座する羽目になった。
さらにさらに余談だが、逃げおおせた楯無は後日、虚の厳重なる監視体制の元、生徒会で書類整理をする羽目になったのだが本編には関係ない話である。
オマケ
~たっちゃんの夜這い~
カチャカチャ・・・・・チャカン。
「フッフッフッ。甘いわよデュオくん。相手を一度油断させておいて、奇襲で一気に叩くなんて兵法の常識なんだから・・・」
あくどい笑みを浮かべながら暗部の技術をフルに使った隠密行動でデュオが眠るベッドへと近づく楯無。
そして、デュオを自身の間合いに入った瞬間、
「それじゃあ、いっただきまーす・・・・」
「させるかぁーーー!!」
一気にデュオの上に覆い被さろうとした楯無だが、気配を察知したデュオはバッとシーツを楯無に被せて横っ飛びにベットから転がり落ちた。
シーツで視界を塞がれた楯無は勢いを殺せずそのまま枕へと突っ込んでいった。
「ふに゛ゃ!?」
顔から突っ込んで奇声をあげた楯無はすぐさま復活すると、シーツを剥ぎ取りベッドの上で仁王立ちになりデュオに対して不敵な笑みを浮かべた。
「フッフッフッ。やるわね、デュオくん。私の完璧な隱行を見破るなんて」
「バカヤロー。あんな妙な殺気を出しといて何が完璧な隱行だよ。嫌でも気づくわ!」
「そう・・・私もまだまだね。なら、こっからは実力行使!」
「諦めて帰るって選択肢はないのか!?」
「問答無用!貞操頂戴!!」
「そこはお命だろうが!!」
そのまま二人は激しい格闘戦を始めることになった。
そして、その数分後。自身の睡眠時間を削られて怒りが天元突破した千冬が阿修羅すら凌駕する表情で二人がいる部屋へと駆け込んできたのは当然の結果である。
「あの大馬鹿共がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」