がっこうぐらし!ver2.0_RTA 『一人ぼっちの留年』ルート≪参考記録≫   作:ゆキチ

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(題名がキャッチー過ぎると言われたので)初投稿です。
長いかも、ごめぬね。


九日目 “THE SHINING” of りーさん -PART1-

 

運が良ければ今日は大幅短縮なRTA、はーじまーるよー!

 

九日目に入りました。

二桁が見えてきましたね。もうそろそろ終盤です。

 

昨日は少し予定外な部分が入ってしまいました。

ですが――

(結果的には)マニュアルの隠蔽。

(犠牲になったラジオ君に捧ぐ)けーちゃんの救出フラグ。

(愛しいマイハニーの)『ゆきのぼうし』。

と――実にうまあじな一日でした。

 

後顧の憂いも人手も好感度調整も。終盤に向けてどれもが重要です。運が良かったですね。

それにけーちゃん救出フラグが出たので――今日にも“おでかけ”イベントが発生するはず。

そうすれば、後衛組ならではのタイム短縮が可能なのです。期待しましょうか。

 

 

「――はーい。みんな、朝ごはんですよー」

 

「わーい!おなかすいたーっ!」

「うーい。……なんかりーさんがすっかり食事係になっちゃったな」

「まあ、うまいし。私は文句はないよ。料理ができるって訳でもないしなぁ」

「……いいんですか、ゆうりさん。流石にお手伝いを……」

「いいんですいいんです、気にしないでください。……さっ、なぎくん。どうぞ」

 

 

謝謝茄子!(エセ中華)

 

ほう…………オムライスですか。

卵と米、ケチャップさえあれば作れる簡素さ、尚且つ満腹度も正気度も回復幅が大きいありがた料理の一つ……大したものですね(メガネクイッ)。

 

部室での、いつものお食事シーン。

 

今日は全員いますね。顔も特に暗くなく、“あめのひ”前の和やかな感じが戻ってきました。正気度が落ち着いてきた良い証拠です。

 

特にりーさんが笑顔なのが実によき。

 

りーさんは日が経つほどに疲れを隠さないようになるので、昨日の爆睡然り今日の笑顔然り――しっかり、学園生活部が心の支えになっているようで。

日頃の私の行いのおかげでしょうか?えがったえがった。

 

 

「今日は良く出来たと思うの。召し上がれ?」

 

 

では、頂きましょう。

 

時に、皆さん。

オムライスにケチャップで絵を書くっていうのは最早あらゆる所での定番ですよね?

 

このゲーム、オムライスを作って他人に振る舞うと……その人への好感度がわかります。

 

――好感度が普通なら無難なもの。

――好感度が高ければハートマーク。

――好感度が低ければ……ケチャップはセルフサービスです。…………地味に効くんだよなぁ!?(思い出し泣き)

 

机に並べられたりーさん謹製オムライス。めぐねぇ達のは無難ですね。真ん中にブチョーっと出されてるだけです。

 

問題は私のオムライスですが……さてはてショタへの好感度は――

 

 

「すげぇ……一面ハートマークなんだが」

「ハートマークの中にもハートマークあるぞ。……贔屓も極まると笑えるなこれ」

「あはは……」

 

 

こっ、これは好感度が極高状態にのみ起こる乱れ撃ちハートマ――

 

 

「――ふんっ!!」

 

 

ゆきちゃぁぁん!?

スプーンの腹でハートをぐりぐり潰してる…………。

いや、わかるけど。わかるけども!好感度的に!

 

でもさ。

 

 

「あっ……」

 

 

ほら!ゆきちゃん見て!

りーさんの悲しそうな顔を見て心痛まないのゆきちゃん!私そんな子に育てた覚えありませんよ!?

三人もちょっと責めるような目で見てるよ?…………――私を!

えっ、ゆきちゃんがやったんですけど!なに、監督責任かなにかです!?

 

 

「浮気はだめなんだよ、やーくん」

 

 

いっ、いやでもねゆきちゃん――

 

 

「浮気はだめなんだよ、やーくん」

 

 

せっかくのご厚意というのを無駄にするのはね――

 

 

「浮気はだめなんだよ、やーくん」

 

 

……ていうか、私達“恋仲”状態でもないし――

 

 

「う・わ・き・は!だめ、なんだよ……やーくん……?」

 

 

ひぃ!?

ゆきちゃんおかしい……おかしくない……?(困惑)

 

ここまで独占欲高いのは……いやでも、信頼イベントクリアしたし、仲の良い女の子はすぐに嫉妬するってラノベに書いてあったし……(真剣ゼミ理論)。

 

さもありなんか……?

 

 

「ああ、()()()()()。それならしょうがないわ。ごめんね、ゆきちゃん」

「うんっ!ちゃんと理解してくれるならわたしももう怒らなっ――」

「次はゆきちゃんにバレないようにやるわね」

「もーっ!そうじゃないの!やーくんはわたしのやーくんなの!ぷんすか!」

 

 

あっ……周りの空気が和みました。よかった、いつものじゃれあいだと分かってくれたみたいです。

まあ、真顔で愛情を潰し始めたら流石にね…………。

 

にしても、りーさんの好感度が極高なのは驚きです。

そりゃあ地道に稼いで来たので、順当に上がっててもおかしくはありませんが…………りーさんの好感度が高すぎると、下手すればとんでもない地雷が炸裂するので……どうしましょうか。

 

乳でもビンタすれば好感度下がるかな。

 

 

「なぎくん?どうしたの?いつもと作り方違うけど、これも美味しいわよ」

 

「……いつもの作り方?」

「ええ、私た………じゃない、私の家だとごはんにお肉とかお野菜を細かくして混ぜるんです。今回は食料に余裕がなくて……」

「へぇー、手間をかけてるんですね。私が作るとどうしても面倒で……お米、卵、ケチャップだけのシンプルなのなっちゃって」

「めぐねぇ……それはシンプルじゃなくて必要最低限って言うんじゃないかな……」

 

 

まあ、やらないけど。やったらむしろ減りすぎて別の地雷が炸裂しそうだし。

地雷女(直喩)りーさん、侮りがたし……!

 

まあ、好感度調整は追々。

今は血の池地獄になったオムライスを平らげて、次の場面へと進めましょうか。

 

 

「あっ!やーくん!あーんっ!」

 

 

……まだ食べさせてくれるのか……。

まあ、ええんですけども。自分のもちゃんと食べなねゆきちゃん……。

 

 

「それで……皆さん。大事なお話があるんですが」

 

 

はふはふはふはふ(返事をしないお行儀わる子)

 

 

「……話って?」

「シビアですが……ごはんの話です」

「あー……確かに。もう場所が……」

「ええ。もう取れるところは取っちゃってます。購買、食堂……これ以上違う場所探しても……」

「あってもお菓子ぐらいですもんね。……なぎくんにはおいしいごはんを食べてほしいですし」

「だな」「そうだな」「勿論です」

 

 

まだ地下がありますねぇ!ありますあります……(超絶モスキート小声)

 

 

「ですから余裕がある内に――“外”に行こうと考えているのですが、どうでしょうか?」

 

 

ヨシッ。

予測通り、“おでかけ”のフラグが経ちましたね。

 

前に説明した通り、巡ヶ丘市内の各スポットに行ける探索パートです。お食事問題でお外に出るなら、私が何もしなくても100億%ショッピングモールに行きます。

うちはゴリラを二人飼っていますので、これでみーくん救出は確定です。

や(↑)ったぜ。

 

 

「あたしは良いと思うぜ。さんせー」

「四の五の言ってられないもんな。私も賛成」

「…………。そうですね。良い機会だと思います」

「おでかけだー!」

 

 

“おでかけ”では、編成するパーティの面子が重要です。

まあ基本、特に触らなければ――全員出撃の脳筋スタイルになります。皆も最初からその方向で話が進めますしね。

それで問題はありません。『かれら』も次のあめのひまでバリケードを越える事は滅多にありません。

 

話をボタン連打でスルーしてちゃっちゃと進めちゃいましょうか。

 

 

「面子はどうする?あたしとめぐねぇは確定として」

「危ないけど全員でいいんじゃないか?雨でも降らなきゃ、奴らも三階には上がってこないだろうしさ」

 

「……()()。万が一ってのもあるわ。二人ぐらいは、残ってた方がいいと思うの」

 

 

……会話がまあまあ長いので………。

――“おでかけ”に行くことになるイカれたメンバーを紹介するぜ!(唐突)

 

くるみは……何も言わなくていいよな!(最初から紹介になってない)。

めぐねぇは今回、“覚醒”しているのでくるみに次ぐ戦闘要員としてイケるぜ!

りーさん、チョーカーさんは……特に突出してはないが、人手=物資の数なのでありがたいぜぇ、ふぇい!!(謎の掛け声)

 

 

「そうか?前みたいに、連中をどっかに誘導すれば一日くらい……」

「いいえ。くるみ、劇的だったのはわかるけど――あんなのを信用して行動するのは危険だと思うの。……ここは私達の家なのよ。誰かが待っていないと」

「そりゃぁ……たしかに」

 

「いやでも、悠里。人が居た方が沢山集められるだろ?」

「でも、帰ってきたらまた三階入ってるってあるかもしれないでしょう?たかえちゃん」

「……まあ、それもそうか。帰ってきたらもう一仕事ぉ……は嫌だしな、うん」

 

 

そしていっちゃん重要なのはゆきちゃんです。

ゆきちゃんは戦闘クソザコの代わりに『発見』などの探索系スキルが極まっています。ゆきちゃん一人いるだけで集まる物資の質が全然違う。ハンバーガーが、かぶりつく奴からフォークで食う奴に変わるくらい違う。

最高かわいい愛してる(確定事項)

 

んで、この私は……ですが、と。

 

 

「それで、やなぎくん。あの、ね――」

 

 

唐突ですが、皆さん。

 

私――名探偵です。

かのシャーロック・ホームズに匹敵するとも(私に)言われています。

 

最初から今までの、状況。

ショタと彼に取り巻く人々の心情・イベントフラグ・各種パラメータを正確に読み取ることで――予言にも近い卓越した推理を披露できます。

 

ここでショタがこう言うとしましょうか。

 

 

――連れてって?

 

 

そしてこう返されます。

 

 

――ダメです。

 

――なんで?(半ギレ)

 

 

はい。

最早いつもの流れですね。

不毛です。ロスです。ロスチャイルドです。これはフリーメーソンの策略です(陰謀論者風飛躍的解釈)。

 

ここは抗う必要はありません。

いつものように説得しようとしてくる会話もロスなので、さっくりこっちから伝えちゃいましょう。

 

――あっ、私お留守番で。

 

 

「……そう、ですか。でもやな――」

 

「――()()()()()。なぎくんはお留守番として。他にもう一人誰が残るか決めましょ」

「……だな。流石にやなぎを一人にしとく駄目だし」

「……私が残ろうか?バリケードを点検してあいつらを入れないくらいなら――」

 

 

一人お留守番を選択すると、もう一人お留守番を選択しなければなりません。ツーマンセルが基本です。

何もしなければ、この中ではりーさんかチョーカーさんでしょう。たまにゆきちゃんになったりもします。

 

編成を選択しない事によって、数秒でもタイム短縮。それ以降の会話もズバッといきたいですねぇ……。

 

ここは、かかかっとオムライスを掻き込んで平らげて朝食の時間を切り上げる方向で。

ゆきちゃんスプーン返して。昼休憩中のサラリーマンみたいに食べるから。

 

 

「えー……やーくんお行儀」

 

 

男子高校生だからセーフ(正論っぽい暴論)。

 

 

「ねぇ、私が残ってもいい?」

 

「りーさんが?」

「ええ。…………えっとね?やっぱりお外で頑張るなら帰ってきたら美味しいご飯があったら嬉しいでしょう?――食料に余裕もある事だし、少し凝ったのを作ろうかなって」

「おっ、それいいな」

「……?でも、りーさん。さっき食料に余裕ないって――」

「――それはオムライスの材料が、って事よ。心配しないで」

「そっか。おけおけ」

 

 

ふむ、りーさんがペアですか。

……まあ、その体じゃあ満足に行動できないでしょうからねぇ……(ねっとり視線)。

 

 

 

ふぅ……(まんぷく少年)

 

さて。オムライスを食べ終わりました。朝食終了として、引き上げる…………前に。

 

――皆、聞いてほしい。とっても重要な事なんだ。

 

 

「……っ!なんですかやなぎくん」

「なんだよ改まって」

「どうした?」

 

 

――駅前のマックでハンバーガー買ってきて。

 

 

「……へっ?」

 

 

――後、駅前の本屋でジャンプ買ってきて。

 

 

「……おっ、おう?」

 

 

――駅前の酒屋さんでお酒も買ってきて。チューハイがいいな。

 

 

「……いや、流石にそれはダメだからな?」

 

 

……お留守番になると編成に口出せても、行き先の指定はできませんからね。

 

ここまで言い含めておけば、けーちゃんのいる駅前に寄ってはくれるでしょう。そうすればイベント発生――結果はお任せですが、タイム短縮したいので致し方なし。

 

まあ、それでも行かない時はありますが……まあ、そのときはそのとき。

私がけーちゃんの分までごはんを食べればいい訳ですし。太っちょショタもアリだと思います(幅広い度量)。

 

んじゃ、よろぴくとばかりに席を立ちます。これ以降の会話は全てロスです。

ほな、さいなら。頑張ってなー。

 

 

「あっ、その、やなぎくん――!」

 

 

はい!余計なイベントが発生する前に廊下に出る!

七日目の教訓!

 

 

 

 

廊下に出ました。

向かう先は一にも二にも――寝室です。

 

“おでかけ”は拠点である学校では入手できない物資を獲得できる重要なイベントです。

 

本チャートであるならば、ここで颯爽と先頭に躍り出て、皆を率いて繰り出します。

――戦闘スキルもなく、そもそも武器すらもない今のショタでも、『発見』スキルがあるので、レアアイテムとかも見つけやすいです。

 

ですが、それ以上に。

この“おでかけ”でお留守番をしていた方が、タイム的には良いのです。

 

“おでかけ”でお留守番を選ぶと学校内での行動になり、そこから選択できるのは『バリケードの点検』と『会話』、そして『休む』だけ。

 

重要なのは『休む』――端的に換言すれば、おひるねです。おひるねショタです。

皆が帰ってくる夕方頃まで時間を飛ばすことができます。

 

……タイム短縮ですね?(得意気)

 

ゲーム的にはクソつまんねぇので誰も選択しないお留守番……RTAでは有用の有用です。

 

とはいえ、お留守番の場合。

 

“おでかけ”イベントは、某艦これで言うところの遠征と似たようなものに変わります。

違いは――下手すると死ぬとこでしょうか。

 

皆に全てを任せる事になるので――成果も無事も何もかもランダム……まあ、そこまで不安になることはありません。

成果はともかく、無事はゴリラと一緒なら――生存確率は八割は堅いです、ガチで。そこに覚醒めぐねぇも加えれば九十九割大丈夫大丈夫。

 

 

――スパーンッ!と寝室の扉を開け放ちます。

 

――とぅ!と布団にダイブ……あかんお腹打った痛いっ!(HP半減)

 

――うずくまりながら、ゆきちゃんの布団にくるまりましょう(これを役得と言います)。

 

 

後は寝て夕方になるのを待ちます。

果報は寝て待て、これ至言。

 

いやぁ……これは良いタイム短縮になったんじゃないでしょうか!(誇らしげ)

 

丸々半日……だから、リアルで30分くらい?かなり大きいんじゃないかと!……まあ、その代わり成果に期待は出来ませんが。

 

うーん、ショタが戦力外じゃなけりゃなぁ……“外”には有用なのは結構ありますし。例を一つ挙げるなら、警官かれらの六連拳銃とか。人の形をしてれば何でも一発で殺せる公式チーテムです。

 

……いっそ『ゆきちゃん化』でもしてれば、気晴らしにと連れてってくれるんですが…………まっ、それ以上にメンドイのであれですけどね。

 

ささっ、お腹いっぱいなので眠気も十分。

すぐに画面が暗転します。

 

んー。

さてどうなるかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こんっこんっこんっ!やーくんやーくん!』

 

 

……なんやねん、騒がしいなぁ(巡ヶ丘クレーマー)。

 

寝室には……誰もいない?

あっ、ドアの前。陽の光のシルエット的にゆきちゃんですね。

時間は……寝る前とさほど変わらない……?

 

ゆきちゃんも行くはずですが……あっ、いってきますのあいさつ?新婚さんかな?

 

 

『あちゃ寝てた?ごめんね、やーくん。でも、ごはん食べたあとにすぐに寝たら牛さんになっちゃうよ?』

 

 

牛さんになっても私はかわいいから問題ありません(暴論)。

 

 

『そっかー』

 

 

納得するのか……(困惑)

 

 

『…………ねぇ、やーくん』

 

 

はい?

気を付けていってらっしゃいねゆきちゃん。

 

ゆきちゃんはいかんせん好奇心が先走って危険な状況に合いやすくて、目を離すとすぅぐ襲われたりしますからね。……『ゆきちゃん化』してれば、妄想めぐねぇとかが諌めてくれるんですけど。

 

……他の皆?ゴリラがいるからなんとかなるよ(ある種の信頼)。

 

 

『やーくん……いっしょにお外行かない?』

 

 

――いやです……(小声)。

 

 

『――なんで?』

 

 

タイムの為……(ささやかな抵抗)。

 

 

『――お外はこわくないよ。あぶないのはみんな、くるみちゃんとめぐねぇがえいってやっつけちゃうもん。たかえちゃんもいるし、りーさんもおいしいごはんを作って待っててくれるよ?』

 

 

……ゆっ、ゆきちゃんになんて言われようともタイムすら消えてしまえば私のRTAとしての意義が……!(苦渋)

 

 

『わたしだって一緒にいるよ。……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

……なんか今回のゆきちゃん、やけに頭いい事ばっか言ってる……(偏見)。

 

でもまあ、率先して下がったのはちょっとマイナス印象ですからね。ショタにデロ甘なゆきちゃんでもちょっと苦言してくるのもしょうがないでしょう。

 

ですが―ータイムの為。

私はその為ならば、負け犬にもなりましょう。

くぅーんくぅーっん(私はかわいい)。

 

流石にゆきちゃんの好感度下がるでしょうが、やむを得ません。

ここはざっくりと拒否を示します。

 

 

――こわいからいや。

 

 

『……そっか』

 

 

……ん?

声のトーンが想定と違いますね。失望するときの暗い感じじゃありません。

……ままええか。幼なじみだから減らないだけなのかも。

 

 

『――わかった!じゃあ、やーくんはそこにいてね!わたしがうんと美味しいもの取って来るからね!』

 

 

ハンバーガーよろしくね。

 

 

『テリヤキワッパーなら任せてっ!』

 

 

いや、それバーガーキン…………行っちゃいました。

 

…………うーん?まあ、いいか。

 

さあさ、寝ましょう寝ましょう。

ゆきちゃんが状態の良いメガマックでも見つける事を願って……!(打ちきり並感)

 

すぅ……すぅ……。

 

…………。

……――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇ、なぎくん。起きてる?』

 

 

寝てます!!!!!(クソデカ肯定)

いや、寝かせて?タイム短縮以前の話になっちゃうだけど!なぁんの為にお留守番選んだと思ってるんですかねぇ!?

 

ていうか、りーさん?ゆきちゃんならともかくなんで今――

 

 

『入るわね』

 

 

うんともすんとも言ってないんだよなぁ……。

 

 

「ああ……やっぱり起きてた。ごめんなさい、眠たいわよね」

 

 

はいはい、りーさん。

それでどうして来たの?眠いんだけど?(塩対応)

 

まぁったく、どう、して……………………あれ?

 

 

 

――なんで、包丁持ってるの?

 

 

 

「皆行ったわ。言いくるめるの、ちょっと大変かなって思ったけど、なぎくんが残るって言ってくれたからスムーズだった。……やっぱりわからなくても通じ合ってるのかもね、私達」

 

 

おっ、おう……?

 

 

「そういえば、なぎくん――()()()()()()()

 

 

えっ。

さ、さっきぃ……すれ違いませんでした……?

 

 

「…………。そうだったわね。ゆきちゃんもお外行くのよね?」

 

 

はっ、はぁ……。

 

 

「……そう。そう!なら、私達は……ふふっ!なら丁度良いわ。話したい事があるの。私達にとって、とっても大切な事」

 

 

あれれー?おっかしいぞー?(死神並感)

今の状態でこのテキスト出るのはぁ……――あれ、マズくね?

 

 

「これまで言おうか言うまいかずっと悩んでたわ。なぎくんは多感な年頃だし、拒絶されたらって思うと悲しかったし。でも、こんな状況でしょう?貴方も心細いと思うから言おうと決めたわ。でも……でもね……?」

 

 

いやぁ……流石にこれはぁ……。

あのエンド?あのとてつも理不尽なりーさんのバッドエンディング?

じょっ、条件満たしてる……満たして――ない!満たしてない!満たしてないったら!!(現実逃避)

 

 

「――皆は違うじゃない?私達だけが……なんて言われて、なぎくんが傷ついたらって思うと躊躇っちゃって。だから、ずっと……ずっと待ってたの」

 

 

正気度はまあ、それなりに低いな、うん。

好感度はぁ……高いな。さっきのオムライスがある。

『ゆきちゃん化』……あっ、やべぇ。目の前でショタ倒れてたぞ。するぞこれ、運悪いとしてるぞこれ。

 

 

 

「やっと――()()()()()()()()()()()

 

 

 

あー…………うん。

ちょっと。

 

 

……………………ちょっと気絶していいですかぁ!??!??!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

血で塗り潰されたのは平坦な日常。どうせ惜しくもないのにどこか恋しい、くだらない日々。

 

化け物になった同級生達が徘徊する学校。目まぐるしく進んでいく、絶望にしか変わらない現実。

 

 

――頭が痛かった。

ほんとは痛くないのかもしれない。でも痛かった。

自分でも何を思っているのかもわからない。ただ意識を押し潰すような現実に、痛みを感じているのはすぐにわかった。

 

どうしてこんな目に合わなきゃいけないのだろう。これでも嘘はあまり吐かず、誠実にを心掛けて過ごしていたのに。

 

そんな馬鹿を嗤うように。

家族を失った私から、今度は日常すら奪った。

 

なら――()()()()()()()()()()()

その答えは返らない。

ただ、呻きと意識だけが削られていく日々が流れていく。

 

ぐちゃぐちゃと揺れ動く思考を何とか取り繕いながら――私達は生き残る為に行動し始めた。

 

皆が一緒で良かった。

もし、私一人だけだったらどうなっていたかなんか考えなくても分かる。

 

皆、いい人達だ。

 

くるみは――私の人生の中で一番のお友達。こんな状況でも私達を守る為に前を歩いてくれる勇気があって優しい子。

……わかってればこんな事になる前からお友達になってれば、なんて思うくらい。

 

佐倉先生……めぐねぇは優しげでぽやぽやしたちょっと頼りない先生だと思ってたけど、とんでもない。彼女は大人として私達を守ろうとしてくれている。……震える身体を押さえ付けて。

もう“先生”なんて肩書きは肩書きですらないのに。それでも、私達を助けてくれる――立派な先生だ。

 

たかえちゃんは元々友達が沢山いたからか、私達にすぐに馴染んだし――なぎくんに助けられる前はひどい目に合ったせいか、やけに肝が座ってて。所々で支えてくれている。

 

あと。

ゆきちゃんと――なぎくん。

正直、私はこの二人に対して複雑な気持ちを抱いていた。

 

 

だって、二人だけだったのだ――失っていないのは。

 

 

くるみは、恋していた先輩を失った。

めぐねぇは、安穏とした日常を失った。

たかえちゃんは、人としての尊厳を失った。

 

なら、あの二人は?

 

手を繋いで、お互い触れ合って、仲良く連れ添って。

彼が苦しそうだと彼女が寄り添って。彼女が悲しそうだと彼が笑わせて。

確かに、二人も……友達を家族を日常を失った。でも――互いを思い合ってる二人は残っている。

 

とても――(ねた)ましい関係だった。

 

でも、嫌いという訳じゃない。二人とも良い子だし、居るだけで励まされた。

あいつらを処理した氷のように冷たい手を溶かした――あの焼き芋の暖かさは、何があっても忘れる事はないだろう。

 

だからか、いつしか二人は私達の大切なものに変わっていった。

もう戻ってこない日常の形。友達であり、恋人であり――家族である形。

 

 

それが私達の希望だった。

 

もう、それは粉々になってしまったけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『家族はなれるし、なるものなんだよ!』

 

 

ああ、だからかな。

 

 

『家族はなれるし、なるものなん■よ!』

 

 

私は大切な事を思い出した。

()()()()()()()()()()()()()()()――私となぎくん……二人だけの秘密。

 

 

『家族はなれ■し、なるもの■ん■よ!』

 

 

ごめんね。ごめんね。

どうしてこんな大切な事を忘れていたんだろう。

なぎくん、もう大丈夫よ。泣かないで。

 

 

『家族は■■■し、なるもの■ん■■!』

 

 

ゆきちゃんの代わりに。

 

 

『家族は■■■■、なるもの■■■■!』

 

 

今度は絶対に――()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

こんな事になってから聞く事は無くなった聞き慣れたエンジン音。駐車場から校庭へと躍り出た赤のお洒落な軽自動車。

私は車に疎いけど――いかにもめぐねぇらしい車だと思った。

 

エンジン音に誘われて、校庭のやつらがゆるりと車に近づくけど、追い付く事はなく。

めぐねぇとくるみ、たかえちゃんを乗せた車は校門を出て――“外”へと出た。

 

私達が知っていて、そして知らない街並みへと。

 

 

 

「…………」

 

 

私は、それを二階の教室から眺めていた。

 

三階のバリケードの“外”。階段を降りた二階すぐの教室。その窓枠から校庭へと垂らされた火災避難用の梯子の先を撫でる。

 

“外”に出るにしても、二階はともかく一階は予想以上にやつらが多かった。

だから、ここから三人は降りた。

 

ふと先ほどまでの会話が耳の奥から響いてきた。

 

 

『……やなぎに会わなくていいのか、めぐねぇ』

『ええ。ちょっと、急ぎ過ぎたみたいです。……やっぱり怖いわよね』

『まあ、露骨に避けてた感じだったな。要求だけはきちんとしてたけど』

 

 

めぐねぇは言った――“外”に行こうと。余裕がある内に行動しようと。

 

それは嘘じゃない。

でも、それを建前にした本当の理由に気づかないほど私達は鈍くはない。

建前なんて置かずに、直接言えばいいなんて益体の無い事を考え付いたりもするが――私がめぐねぇの立場になっても濁した言葉で誘う事しかできなかったろう。

――それが彼を傷つける可能性がある限り、一歩踏み出す事は決して出来ない。

 

まあ、だからこそ。

それを私は利用できた訳なのだけど

 

 

『行く予定はショッピングモール……だっけか』

『はい。そこなら食料もそれ以外の物も沢山あるでしょうから』

『柳のご所望の物はどうする?』

『そうですね……駅はショッピングモールの通り道ですし、寄るだけ寄りましょう。危なければ避けるイメージで』

『りょーかい。酒は……こどもビールでいいか』

『逆にウケそうだな』

 

 

三人は“外”に行くにしては穏やかな会話をしていた。

奴らと対峙してきた自信からか。それとも帰るべき家があるからか――守らなくちゃいけない存在がいるからか。

 

 

『んじゃ、頼んだりーさん。帰りもここ使うから、連中が入らないようにドアは閉めといてくれ』

『美味しいご飯、期待してるよ。こっちも期待しててくれ』

『夕方には戻りますが、奴らが多そうなら夜を待ってから帰ります。やなぎくんを、見ていてね――ゆうりさん』

 

 

先ほどまでの三人の会話。頼まれた事。

私はそれをぼんやりと反芻して――

 

 

「………よいしょっと」

 

 

――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「…………ふふっ」

 

 

溢れた笑みは、呻きに覆い隠される。

私がいる事に感づいたやつらが緩慢に寄ってきてる。

が――そんな事はどうでもいい。

 

 

「さぁって。なぎくんに美味しいご飯を作ってあげなきゃ」

 

 

バリケードへ向かい、屈んで通って――開けた穴を念入りに塞ぐ。これでいい。

家の廊下を進む。まずはお料理の下ごしらえをしないと。

 

 

「ふんふん、ふーん……♪」

 

 

ああ、やっとだ。

やっと二人きりになれた。

私の家族――たった一人だけの、私の(おとうと)と。

 

 

私達はもう二人だけ。

奴らのせいじゃない。ずっと前からそうだ。お父さんもお母さんも、ずっと前に亡くなっている。

 

冴えないサラリーマンだったお父さん。

いつも優しいけれど、悪い事は叱ってくれたお母さん。

そして――小さな小さな、私の弟。

 

慎ましくてよくあるような家族だった、幸せだった。

事故が全て奪っていったけれど。

 

 

ああ、今でも思い出せてしまう。

 

買い物に出掛けると言って、小さな壺に収まって帰ってきた二人。

その悲しみが消える前に、私の目の前で車に轢かれて、血塗れになったあの子……私は、なにも、できなく、て………………?

 

 

あら?じゃあ――どうしてなぎくんは、

 

――『なにもおかしくない』――

 

 

ふと振り向けば、窓に薄く私が写し出されている。

眺めていると――小さく笑みを浮かべた。

 

()()()。なにもおかしくない。

私はあの時、何とかあの子を――なぎくんを助けられた。病院に連れてってお医者さんに治して貰った。

うん、そうだ――()()()()()。久しぶりに思い出したから、記憶が混同しちゃった。後でぎゅーってなぎくんを抱き締めてあげなきゃ。

 

 

リビングに入る。邪魔なものは多いけど、片付けは後。

 

今は料理が優先。

私はあらかじめ準備しておいた物を使って――カレーを作り始める。あの子が良く食べたいとせがんでいたコーンカレー。

甘口で挽き肉は多め。お野菜は細かく、特に人参は念入りに。……少しでも人参が目につくと嫌だ嫌だとグズっていたのが懐かしい。

 

……お父さんは私がカレーを上手く作れる事を誉めてくれたっけ?お母さんは……ちょっと嫉妬して、悔しそうにしてた気もする。美味しい美味しいと笑顔で食べてくれるあの子の笑顔も忘れられない。

こんな事になってもこうして家族と過ごせるなんて、私は幸せだわ。

 

………………。

…………。

……――いや、待って。じゃあ、なんでなぎくんの名字は私と同じ若狹じゃないの?そもそも同級生だったし、それにもう一人私の大切な、

 

――『きにすることじゃない』――

 

ふと、具材を刻んでいた包丁が目に入る。

手首を返す。てらりとした刀身に、歪んだ私の口許が反射していた。

 

 

…………そうよ。そうだった。

なぎくんはお父さんの連れ子だった。お父さんとお母さんは再婚して、私はお母さんの連れ子。

でも、お母さんが自分と血が繋がった私以外育てたくないって言って……お父さんはお母さんの我が儘を聞いちゃって。

お父さんは国の偉い人だったから、小さななぎくんの戸籍を偽装したんだわ。その時、年齢も誤魔化した。

だから、なぎくんは他の人より小さいのよ――本当は年下の私の弟だから。

 

これよ。()()()()()()()

……やっぱり私も疲れてるのね。こんな大事な事忘れるなんてあり得ない。お姉ちゃん失格ね。

 

 

「ふぅ……」

 

――少し落ち着こう。家族二人きりになって、テンションがあがちゃったのがいけないんだ。

 

思い出に浸るのもいいけれど、これからはなぎくんと家族として新しい思い出を作らなきゃ。

――()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「……そろそろ一回、なぎくんとお話しようかしら」

 

 

――小さい頃の話だから。

なぎくんは私と家族である事はきっと覚えていないだろう。でも、お話すれば。

何度も何度も話そう。思い出を。私しか知らない、覚えていない思い出を。

そうすれば、きっと。なぎくんも――思い出せるはず。

 

 

カレーが良い具合に仕上がるには時間が掛かるから、その間にすれば、終わる頃には出来上がってるはずだ。

 

 

 

 

 

「……いないわ」

 

 

リビング(部室)、廊下、バスルーム(シャワー室)、トイレ、お庭(屋上)。家の中を少し回ったけどなぎくんは居ない。……流石にお姉ちゃんに黙って“外”に出るのはあり得ないし…………。

 

 

「……むむっ」

 

 

そこでふと、寝室でぼそぼそと声が聞こえた。ああ、おひるねしてたのね。

耳を済ますと誰かと話しているようにも聞こえる。

 

 

「……ゆきちゃん……」

 

 

私となぎくんが親の勝手な都合で離ればなれになっているときに――()()()()出会った、なぎくんの幼馴染。

今でも、なぎくんの心にいるほどに、大切な子。

 

 

ああ、苦しいのね。悲しいのね。

でも、もう大丈夫。家の中には家族だけ。もう煩わしいものも邪魔をするものも居なくなった。

 

それに。それにだ。

とても重要な事――()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

声掛けをして、部屋に入る。

……ちょっと不機嫌そう。ノックをしなかったからかな。年頃だし、そこら辺は気にしちゃうのかも、ふふっ。

 

 

そんななぎくんを喜ばせる為に、ゆっくりとゆっくりと言葉を紡ぐ。

少し勿体ぶっちゃったけど、その方が嬉しいのも一塩よね?

 

 

ああ、震えるなぎくんの大きな瞳には――笑顔の私が映っている。

 

私は幸せだ。

だって――これからずっと家族と一緒にいられるんだから。

 

 

ねぇ、なぎくん?

 

もう我慢しなくていいのよ?

 

なぎくんもきっと――もう気づいてくれているはず。

 

 

さあ

 

 

また

 

 

 

もう一度

 

 

 

 

ずっと

 

 

 

 

 

 

 

私をお姉ちゃんって呼んで?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

………………。

 

 

「………………」

 

 

………………お――

 

 

「……っ!お?――」

 

 

――お断りだよばぁぁぁか!!!はいっ、横すり抜け脱出!!早く同じ空間から離れないと!

 

 

「まあ!……もう、なぎくん反抗期?だめよ、お姉ちゃんに向かってそんな事言っちゃあ」

 

 

まずいまずいまずい!!

よりにもよってぇ!よりにもよってりーさんのバッドエンドの中で一番最悪なの引いた……!

 

――『偽物の家族』エンド!

 

 

「ふふっ、鬼ごっこ?そういえば昔やってたわね。いいわ。私が鬼役ね?――」

 

 

くそぅ!くそぅ!

えっ、イケる?……無理くね?特にフラグ建ても、ああもう!

これじゃあタイム短縮案も今までやってきた事も全部ぱぁ!じゃねぇか畜生めっ!

 

鬼!悪魔!デカ乳!

 

 

「絶対に逃がさないわよ。私の私の、大切な弟」

 

 

ああ…………(諸行無常)。

 

 

 

 

 





ーーーーーーーーーーー
※解説byWiki

エンディングNo.R3
『偽物の家族』

達成条件:りーさんが『ゆきちゃん化』し、且つ好感度が高い状態で――二分間、二人きりで同じ空間にいる。


りーさんの『ゆきちゃん化』によって発生する世にも恐ろしいバッドエンド。その理不尽さはゲーム内でも五指に入る。
この時のりーさんは『家族を名乗る不審者』『姉もしくは妹、あるいは妻なるもの』『ファミパンりーさん』『ふぁみりーさん』など多くの通り名がある。


・概要
『りーさんと主人公が、お互いを自分の家族(兄弟・姉妹)であると思い込むようになり、二人は仲良く幸せに暮らしました』というエンド。因みに“恋仲”状態だとこれが夫・妻に変わる。

エンディングの際、他の面々は姿を見せない。

これは、そこら中に血が不自然に散らばっている事や、最後のスチルの『手を繋ぎながら互いに微笑み合う』側で、他の面々を象徴する品が血塗れで放置されているのを鑑みて――『家族の生活に邪魔だと思われて殺された』と見るのが、現在の主要な考察である。

それだけでも非常に恐ろしいが、このエンディングの真の恐ろしさは他にある。

それは、達成条件を満たした瞬間――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

進行状況だとか装備、体制だとか。
そういったなにもかも全て吹き飛んで、エンディングへと向かうその様は即堕ち二コマなどという、そんなチャチなものでは断じて無い。
ポルナレフのような恐ろしい片鱗を味わう事になる。能力的にはディアボロであるが。


・エンディング移行までのプロセス
りーさんの正気度が減少し続け、何らかの“覚醒”イベントに失敗して『ゆきちゃん化』し――りーさんがふぁみりーさんに成ると、主人公に対して『私達は家族だからずっと一緒よ』と告げ、迫ってくる。

こうなるとエンディング回避は不可能に近い。

何故なら、ふぁみりーさんには『貴方と私は家族である』という謎に確信めいた確固たる前提があるせいで、反論や証明による“説得”も――『でも私達は家族だわ』で一切合切封殺されてしまうのである。

会話が続くと主人公自体も洗脳され始め、こちらの操作を受け付けなくなる。

それでもなんとかしようとしていると、達成条件の“()()()()()()()()()()”がクリアし、エンディングに移行するという悪辣な罠も潜んでいる。

なら、逃げればいいと考えるのが必定だが……隠れても逃げても――手段を選ばず追い縋ってくる。
ふぁみりーさんは、ゲーム内の数あるりーさんの中でも、一番倫理観が終わりーさんなので、かれらを殲滅してでも、主人公の手足を折ってでも、向かってくる――私達は家族だと信じさせる為に。

こうなってしまうと――世の中、どうにもならない事もある、という気持ちが心を過るようになる。
まさしく諸行無常。引き際だと心得よう。


・対策
――と。
散々脅しつけたが――このバッドエンド自体を発生させないのは難しいことではない。

りーさんの正気度と好感度をきちんと管理し、『ゆきちゃん化』による発狂を起こさせない。
ちゃんと気配りし、りーさんに急がし過ぎないほどには仕事を与えて、考え込ませる時間を与えない。
――等々。
対策自体は特に苦労するものでもない。

が、りーさんの発狂は基本、外に見えるように起こらないので――気が付いたら成っているという事態も多い。
だから、地雷女(直喩)りーさんとか呼ばれたりするのである。

ふぁみりーさんに成ってしまうと、極論、排除するしかないのだ。

数少ないエンディング回避の方法には()()()()()()()()()()()()()()()()()というのもあるが、アウトブレイク以前・“友人”状態・何らかの約束ができる状況……と条件が厳しくて現実的ではない。


・エンディング回避による恩恵
回避に成功すると――りーさんの好感度と正気度が高い状態で固定になって下がる事はなくなり、且つ何を指示しても拒まなくなるという利点がある。
“おくりもの”も手に入るので、挑む価値は非常にあるが――難易度はこのゲーム屈指の難しさであるので、上級者以外はあまりおすすめできない。






・余談
運営が何を血迷ったのか、このエンディングを音声作品として再編集し、『若狭悠里のぞわぞわ洗脳ボイス~あなたは私の家族でしょ?~』として発売した。
大手CDレーベルから出たせいか、発売一週でオリコンチャート堂々の一位を叩き出し――多くの何も知らぬ日本国民を困惑させた事件は記憶に新しい。


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