がっこうぐらし!ver2.0_RTA 『一人ぼっちの留年』ルート≪参考記録≫ 作:ゆキチ
私が大活躍で無双する(予定)なRTA、はーじまーるよー!
暗転して、即、翌日の教室に移行しました。
アウトブレイク当日です。
やれる事はやったのでどぅんどぅん行きます。
まずは、原作に従いましょう。
ゆきちゃんの補習の一環で、屋上にある園芸部を手伝わせる為に、めぐねぇがゆきちゃんを迎えに来ます。
それが来るまで、景気付けに隣の席のゆきちゃんのほっぺをもにもにして、気合いを入れます。
「うにゃ!?……にゃーきゅん……?」
かあいい(思考停止)。
ですが、これは皆様にエンターティーメントを提供出来るユーモラスな私をアッピルしているのではありません。
ゆきちゃんは一定の好感度のある人物からスキンシップを取られると正気度が増えます。またやる方も、ほっぺの絶妙なモチ肌で癒されるのか微量ですが増えるのです。
アウトブレイク前でも、あって損は無いのでやれる暇がある時はやっときましょう。
ホラホラホラ!どんどん行くぜぇ!(十八連打)
「うにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ」
「……なにやってんだあのバカップル」
同じクラスで主要キャラの一人であるチョーカーさんが呆れた目でこっちを見ています。
彼女は、原作ではモブのように『かれら』になってしまいますが、ゲームだと助ける事が出来ます。色々と便利なスキルも持っているので助けには行く予定です。……チャート通りに行けば。
「――丈槍さん、ちょっといい……相変わらず、仲が良いですね二人は」
おっと、めぐねぇがやってきました。
丹念にこねた餅が名残惜しいですが、ゆきちゃんを見送ります。また後でな!地獄で会おうぜ!(直喩)
「……ほっぺ真っ赤ですけど大丈夫?」
「ふへへ、あい……」
「そう……」
二人の背中を見送った後――急いで逆方向から屋上に先回りします。
持久力カスのショタですが、スタミナバーギリギリまで走って回復させてからまた走ってという非人道的走法を使えば、容易く二人より前に屋上に行けます。
「あら、柳くん?どうし――えっ、なんでそんなくたくたなの?」
コラテラルダメージだ。気にするでない。
屋上には、園芸部の活動をしている主要キャラの一人、若狭悠里ことりーさんがいます。巨乳美人で隠れ発狂枠です。丁寧丁寧丁寧に扱いましょう。
ゆきちゃん幼馴染ルートの恩恵で気安く挨拶してくれるので、こっちも気安く挨拶しましょう。
さて。此処にやってきたのは、アウトブレイクを屋上で迎えたい……という事でもありますが、確認をしておきたい事があるからです。
おうりーさん!その恵体(筋力値、主要キャラ中三位)で育てた畑には何があるんだい?
「畑?このプランターのお野菜のこと?ええっとね……」
アウトブレイクの際、最初に手に入る食べ物は、この屋上にあるプランターの野菜です。
ゴリラと私が三階を制圧するまで、食べられるのがこの野菜だけなので、そこで育てられる種類はとても重要です。
ランダムで二種類育てられています。因みに季節感は関係ありません(ゲームだからね)。
優良なのはキャベツです。生で食えて、且つ茹でれば満腹度が増えます。キャベツがあれば、後一種類は適当でいいです。
これで「育ててるのはきゅうりとミニトマトよ」って言われたらリセット……までは行きませんが、三階制圧の予定を早める必要があります。
そんなんじゃ腹は膨れねぇんだよぉ!(男子高校生並感)
「育ててるのは、キャベツとサツマイモね」
ファ!?(歓喜)マジで!?(素)
キャベツは良しとして、サツマイモですか!これは実に運が良いです。このショタの『発見』スキルはこれにも作用するんでしょうかね(リサーチ不足)。
サツマイモは、野菜の中で唯一甘味にも属する万能食材です。火を通さないと食べられないのがネックですが、お菓子などの甘味が手に入らない序盤・終盤はとても心強いです。
甘味を食べれば、正気度回復や好感度上昇に繋がります。『一人ぼっちの留年』エンドには好感度が重要なので、稼げる手段は多い方が最高です。
さらに、このサツマイモから作られるデザート、スイートポテトは正気度回復と好感度上昇の値がとても高いのです!
良いですね!実にベネ!ディモールト!
サツマイモは、育てられている可能性が低いので、最初から選択肢に入れていませんでしたが、これはチャート変更が求められますね……。
りーさん対策にありがたいので、これは利用しない手はありません。
「ん?スイートポテト?ああ、確かにいいわね。サツマイモも大きいし、美味しくなりそう……」
りーさんも美味しそうやな……(体を見ながら)。という冗談はよしましょう。
サツマイモは、スイートポテトだよねと話題を振り、りーさんがそれに乗ってきたら、「いつかごちそうするね」と言います。
「あら、いいの?ふふっ、期待してる。ありがとね」
ふふふのふ。約束フラグが立ちました。
りーさんには、アウトブレイク前にこういった日常を想わせる約束をしておくのが重要です。
りーさんは、アウトブレイク後は料理などの家事・物資の管理など雑事のオールラウンダーとしてとても重宝するのですが――いかんせん正気度がくっそ低いのです。正直ゆきちゃんの半分ほどしかありません。ひっくい!
そのせいでほっとくと気付かない内にひっそりと発狂し、非実在系妹を脳内に召喚したりしてしまいます。さらにこのショタがいると実在系弟にもしてくる、姉を名乗る不審者にもなります。人の業とはやべぇですね。
……私は『偽物の家族』エンドも好きですが、今回は『一人ぼっちの留年』に行きたいので、りーさんの正気度はきちんと管理していきます。
こうした約束は、正気度を大きく回復させるのでありがったい。運が良い、実に!
「若狭さん。お待たせしました。……あら?」
「あっ、やーくん!とぅ!」
おや、二人がやってきたみたいですね。条件反射で飛び込んできたゆきちゃんはりーさんにでも受け流しておきましょう。
補習イベントは適当に流しながら、この途中で起きるアウトブレイクに備えます。
……ふむ。
先ほどスイートポテトをごちそうするぜ!っと、このショタは言いましたが――おわかりの通り、このショタは料理スキルは持っていません。その為、スキルポイントでの取得が必要です。
早めに取っておけば不測の発狂にも役立つので、屋上手前攻防戦はチャートよりも多く稼ぐとしましょうか。なあに、私のプレイスキルを以てすればそれほどのロスにもなりますまい(自信)。
あと、サツマイモ自体普通に食べれるように火も確保しておきましょう。
三階制圧で火が使えるようになりますが、初日から使えるようになっていればキャラの正気度の減少を抑えられます。
攻防戦の際に、不良の『かれら』を倒すと、一定確率でライターが手に入りますので、それを使って火を起こし、アウトブレイク初日は焼き芋を食べましょう。温かい食べ物を渡すと、少しですが好感度も上がりますし。
大胆なチャート変更は、走者の鑑。
これをプロジェクト:スイートポテトと名付けましょう。
――悲鳴が聞こえてきました。アウトブレイクが始まります。
屋上から校庭を覗くと、命を賭けた逃走中が始まってるのが確認出来ます。もう始まってる!
……あっ、ゴリラが
「なっ、なに?」
「やーくん?」
不安そうにしているりーさんとゆきちゃんを宥めます。この際、私自身も困惑している風なのを忘れないようにしましょう。あまりにも超然としていると前述した“不審な下準備”に該当します。
『屋上!? なら絶対に鍵をかけて絶対に誰も入れちゃダメ!!ひっ!だれか職員室の――』
「神山先生!……神山先生!!」
めぐねぇが同僚メガネからの電話を受けてました。
屋上施錠のフラグです。
この時に、この助言に従うと屋上手前攻防戦がキャンセルになります。タイムを意識するなら、これに従うべきですが、良い稼ぎを逃す訳には行きません。
「……先生は、校舎の様子を見てきます。丈槍さん達は此処に居て下さい。扉は閉めて、私や他の生徒じゃない時は絶対に開けないように」
「めっ、めぐねぇ……」
「大丈夫です。……大丈夫ですからね」
めぐねぇがそう言って、校舎に消えていきます。
おっ、待てぃ(江戸っ子)。私も行きましょう。居て下さい(居るとは言ってない)の精神です。
「柳くん!駄目よ。……危ないわ」
知ってる。
でも、行くの。スイートポテトの為に。
初日に、焼き芋。食べたいでしょう?私は食べたい。
怯えるゆきちゃんをりーさんに任せ、私も校舎の中に入ります。
こちら現場です。
はい。有り体に言って、地獄です。以上。
「こっ、こんなの……ありえないっ……!」
私が隣に来ている事も気付かずにショックを受けているめぐねぇは正気度減少中です。
でも、安心してください。初日に焼き芋を食べさせれば、減った正気度などちょっちょいのちょいです。
「……柳!めぐねぇ!」
おっ、どんどん増えていく『かれら』の隙間から、
「いったい何が起きたんですか!?」
「わかんないっ!いきなり襲って来たんだよ!ゾンビみたいに……それで、先輩が……!」
「っ、屋上ならまだ安全なはずです!そちらに行って下さい!」
「はいっ!」
おう、気を付けろ。
因みにシャベルなら分かりやすい所に置いといたからな(優しさ)。
めぐねぇが『かれら』の一人と目が合いました。
「――ひっ!」
さて。増えた『かれら』がこちらの存在を捉えました。
『かれら』との戦闘、開始です。
初戦である屋上手前攻防戦は、時間制限付きの無限湧きイベントで、クリア条件は『時間経過』か『屋上に立てこもる』で達成します。
スキルが整ってない内に、大勢とやり合うのは大変ですが、まとまった数出てくるので良い稼ぎになります。
普通プレイでもスキルポイントを手に入れる為、何体か狩るのが定石ですね。
無論、私もそれに従います。特に狙い目は不良『かれら』です。焼き芋の為に、わかりやすいリーゼントな『かれら』には犠牲になって貰いましょう。
だから、掃除ロッカーにバールを隠しておいたんですね(例の構文)。
呆然とするめぐねぇを尻目に颯爽と前に出ます。
ふっ……ショタ無双する瞬間をとくと見るんだなぁ!私のプレイスキルの見せ所さんです。見とけよ見とけよぉ(自信)
ロッカー の中に バール が ある!
取りに 行く!
「――やーくん、ダメぇ!!」
あっ!(腕を捕まれる)
このゆきちゃん(唐突なエントリー) つよい!(フィジカル)
ぼぼぼぼぼぼぼっ!(振りほどけない) ぼあっ!(ダメージ)
ゆきちゃあああああん!?
なぁんで邪魔するのぉ!?いつもだったら屋上にって……そういえばこれ幼馴染ルートだっ、たぁ!(池沼)
好感度が高いと不安で見に来るのを忘れてました。
おおおおおちつけ、まだ焦る時間じゃあありません。
慌てず騒がず、抵抗しましょう。
離して?
「嫌!」
なんで?(半ギレ)
「危ないよやーくん!逃げよっ!もう、みんな……無理だよぉ!」
危なくない!無理じゃない!まだ間に合う!まだ行けるから!バールがあれば大丈夫だから!バールでいけるからぁ!
うぉぉ!離せぇ!流行らせコラっ!(がっこうぐらしRTA) ムーミン野郎!(精一杯の罵倒)
くっ、クソザコ能力値のこのショタではゆきちゃんですら振りほどけません!
ち、ぢぐじょぉ……!
こっ、この中に『合気道』持ちの方はいらっしゃいませんか!いらっしゃったらこのゆきちゃん投げ飛ばしてくださぁい!
うわぁぁ!『かれら』が来た!無限湧き特有の複数で来たぁ!
むっ、無防備では流石のプレイスキルを持つ私でも無理です!ゆきちゃん離して!バール取らせて!頼むお願い何でもするからぁ!
ぬわぁぁぁぁん!(絶望)
こんな事なら「私のプレイスキルで行けます(笑)」とか言ってこんなショタ使うんじゃなかったぁぁ!さいっしょから『アーノルド・シュワルツェネッガー』って入力して、ターミネータープレイにしときゃ良かったよもぉぉん!!
ああ……終わっ……えっ、あれ?
めぐねぇが前に出てきました。えっ、なして……?
――ガッシャンッッ!!
………………
…………
……
万寿くんは、職員の間でも有名だ。
なんでも卒なくこなして、面倒見も良くて下手な女の子よりも可愛くて――幼馴染思いの子。
友達だって多くて、学校中の子と知り合いだって言われてる。……ちょこっと灰色な青春を送った私には、正直、ちょっと羨ましいぐらいな子だ。
それに優しい子だ。
……先生の目を盗んで、答案を幼馴染に見せるというのが果たして優しさなのかと思わなくもないが、それでも優しい子だ。
それに丈槍さんもちょっとおっちょこちょいで、勉強をおろそかにする気弱な子なのに、万寿くんの事になるともの凄い行動と主張をし出す面白い子だった。
丈槍さんの補習を見ている内に、なにかと万寿くんとも仲良くなった。
二人との関係は、他の生徒よりもちょっと抜きん出ていた。充実していた。
このまま続けば、きっと――安穏とした幸せが、あったはずなのに。
なにかありえない事が起きた。
突然の悲鳴、逃げ惑う生徒の姿。神山先生の切羽詰まった電話。
校舎に入って見えた――人が人を喰らおうと襲う凄惨。
ほんの数分前の現実は、血で潰され始めた。
恵飛須沢さんが一人の男子生徒を背負って走って来た。
状況を聞いても、まるで映画みたいとしか思えない。彼女を屋上へ誘導する事しか私には出来なかった。
――その時。
ふら、と――万寿くんが、私の前に出てきた。
どうして、と思う前に、その後ろから彼の腕を掴む丈槍さんも出てきた。
……つくづく私の話を聞かない二人だ、と逃避ぎみに思った。
「ゆきちゃん離して!」
「危ないよやーくん!逃げよっ!もう、みんな……無理だよぉ!」
「――無理じゃない!!」
それは彼にしては強い口調だった。聞いた事が無いくらい激しい叫びだった。
「無理なんかじゃない!まだ……まだ間に合う!絶対に!」
丈槍さんに引っ張られながら伸ばされた彼の手は、前に伸ばされている。
その先には――襲われ、血を流しながら、変貌していく生徒だった『かれら』。……万寿くんの友達だったはずの『かれら』がいた。
……万寿くんは信じられないんだ。
たった数分。ほんのその時まであったはずの輝かしい記憶、思い出。それがこんな凄惨なもので塗り潰されているのを。
『かれら』の一人が万寿くんへと手を伸ばす。
それが友好的ではない事は私にも分かった。……それはきっと万寿くんにも伝わっただろう。
伸ばした手を下げた彼の目に、恐怖が浮かんだのを横目で見て……
「―――」
私の中に駆け巡ったあの時の感情は、今でも言葉で表せない。
――ガッシャンッッ!!
我に返ったのはロッカーが倒れた音でだった。
『かれら』の一人に当たって倒れた。先生が、私が、生徒だった『かれら』を突き飛ばして……ロッカーが倒れた。
「めぐねぇ……?」
茫然と呟く万寿くんの声が背中から聞こえた。ロッカーに潰された『かれら』の一人は血を流しながら動かない。
――殺した。私が。
「めぐねぇ、前!」
丈槍さんの声が聞こえた。
前を向くと、『かれら』の一人がこちらに手を伸ばして近寄って来ていた。口は裂け、血と唾液が溢れて気持ち悪い。
一歩後ずさる。カンッ、と足に何かが当たった。
視線を向ける。そこには、ロッカーが倒れた時に散乱したであろう掃除箒に混じって。
――銀色に輝く長柄の
「――」
なんでここにあるかなんて考えなかった。葛藤は直ぐ。
――目の前には、守るべき生徒
――背には、守るべき生徒
……葛藤なんて言ったが。
今思えば、そんなものあってないようなものだったのかもしれない。
確かな重さの物を振り抜いた。ぐしゃりと湿った柔らかい感覚は今も手に残っている。自分のせいで倒れたあの人型は、忘れられない。
息は切れ、足だって震えたし、気を抜けばその場で吐きたくなるくらい気持ち悪かった。
「私の……」
それでも……きっと。
「私の生徒に手を出さないで……!!」
『かれら』の数は、悲鳴が聞こえなくなると一緒に増えていった。
対処出来ないのは直ぐに分かって、急いで私達は屋上へと戻った。
鍵を掛け、農業用具があったロッカーを倒して、バリケードを作る。直ぐに『かれら』が扉を叩いてきたけど、頑丈なおかげで『かれら』は入って来れない。
……屋上は安全だった。
血に塗れて茫然とする恵飛須沢さんを、泣きながら必死で抱きかかえる若狭さんと、その近くでスコップが突き刺さってる人型。
何があったかは一目瞭然だった。
それでも、ここは安全だった。
これは――現実だ。と私はその時初めて思った。
手に握る血塗れのバールが、それを如実に教えてくれた。
「め、ぐねぇ……」
「……っ……っ」
弱弱しく私を呼ぶ丈槍さんとこちらを見て震える万寿くんを、私は抱きしめる。
腕の中で震える二つの温もり。
それを守れた事は、確かに現実だ。
――私達の絶望はこの日、この時始まった。
――そして
――失いかけたものを守れたこの感覚だけが、私の、残された希望だった。
―――――
なっ……なっ……!
私のバールがめぐねぇに盗まれたぁぁぁ!!!?
なぁんで覚醒めぐねぇに……?
ていうか、こっ、攻防戦……すっ、スキルポイント……!
すっ、すっ。
スイートポテトぉぉぉぉぉぉ!!!!(断末魔)
――――