煌めいた彩りは新しい春を運ぶ   作:♡チェケ♡

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学校の創立記念で三連休!
レッスンの途中で煌成からのまさかのお誘い?
彩と煌成の二人旅!しかしそこで明かされる煌成の過去……



※オリジナル要素大盤振る舞い
前編後編の隙を生じぬ二段構え
話はどんどこシリアスへと……


煌めきの影は消えることのない過去ー前編ー

頭の中で鳴り響くブレーキ音。クラクションの音。

耳元で叫ばれる苦痛の声。そして目からなにかが流れた感覚。

俺は朝から()()()の夢を見た。

「……最悪だ」

今年も、この日がやってきた。

朝から煌成は顔をしかめカレンダーを見る。

「元気かな……」

1人つぶやき事務所へと向かう背中は、いつもより小さいようだった。

 

 

ーレッスン場ー

「おはようございまーす!」

元気よく扉を開けるも、まだ煌成くんは来ていないようだった。

今日から3日間も時間がある。しばらくモデルの仕事はないからダンスの練習しっかりやっておかないと……。

気合を入れ、靴紐をギュッと結ぶと煌成くんが入ってきた。

「あ!おはよう煌成くん!」

「……。あ、おう。おはよう」

いつもだと笑いながら返してくれるのに、なんだか元気がないように見える。大丈夫かな……?

「煌成くん。体調悪かったりする?」

「そんなことないぞ。悪いのはお前の頭くらいだ」

「あー確かに……ってもー!急にいじらないでよー!」

うう…いつも通りの煌成くんだ…良くも悪くも。

 

最近煌成くんはやけに私をからかってくる。まあ楽しいからいいんだけど……

 

「じゃあ始めようか。まずはダンスからだ」

「はい!」

 

 

ー昼休憩ー

「だっはぁ〜!疲れた〜!」

思わず床に寝転ぶ。今日は一段とハードだった。

「まあ今日はキツめにやってるからなー。でももう少し……」

ブーッ、ブーッと煌成くんのポケットからバイブ音がなる。メールだろうか?

「すまない丸山。少し部屋の外に出てる」

そう言い煌成くんは部屋から出ていった。出ていく直前、険しい顔になっていたのを私は見逃していなかった。

 

 

「まったく…言われなくても大丈夫だっての……」

思わず愚痴が出てしまう。俺の元に届いたのは一通のメール。叔母からのなのだが、問題はその内容だ。

 

『そろそろ会いに行ってやれ』

 

そう短く書かれていたメールは、一年に一度この時期に届く。

事故で入院している姉に顔を見せにいけというのだ。

正直行きたくないのだが、行かないと叔母に説教される。行かざるを得ないだろう。

だが姉が入院しているのはかなり遠い。行くとなるとホテルをとらなければならない。

 

姉のお見舞いなんて、普通行くものだろう。だが、その入院する()()()()が俺である以上、やはり行きづらいものだ。

 

夢へと輝いていた姉の夢を壊してしまったのは、俺なのだから。

 

 

午後のレッスンが始まるが、俺はあまり集中出来ていなかった。

ずっと頭の中がお見舞いのことでいっぱいになっている。…去年もこんな感じだったな。

「煌成くん?どうかした?」

少し険しい顔になっていたのだろう。丸山が不安そうな顔で訪ねてくる。

「いや、なんでもない」

そう答えるも、やはりすぐに頭の中はお見舞いのことを考えてしまう。

すると、丸山はぐいっと顔をよせ、眉をひそめている。

「……どうした?いよいよ思考回路が停止したか?」

「うーん…なんかいつもよりも顔が疲れてる気がするなーって…」

丸山に悟られるレベルだったか…それはそれで嫌だな。

「なにか困ってることがあるなら、私でよければ相談乗りますよ?」

ドヤ顔でそう言ってくるが、丸山に話したところで……

 

いや、待てよ?

 

丸山の担当が決まった時に、姉にとあることを報告したら、「じゃあ次の時に担当してる可愛い子を連れてきなさい」って言われたことを思い出した。

……だが、正直俺は連れていきたくない。だけど丸山も最近キツいレッスンばかりで少しは遊びたいかもしれない。

最近はモデルに加えて歌とダンスのレッスンが前より格段に厳しくなった。理由は知っての通り丸山たちのアイドルユニットのためだ。

そのことは丸山も知ってるから努力を続けていたが、疲れているように見えるのは一緒だ。

 

「…丸山」

「はいっ!なんですか?」

「来週の土日、少し旅行しないか?」

まあ実際はお見舞いだが、丸山にとっては旅行なのだから変わらないだろう。そう考え言ったのだが、丸山は何故か沈黙している。

「どうした丸山。というかお前今すごい面白い表情してるぞ」

顔を赤くし目がくっきりとしているが、少し泳いでいて口をパクパクさせている。変顔路線でもやっていけそうだな。

「こっこここ煌成くん?」

「どうした」

「土日旅行ってことは…泊まり?」

「そうだな。1泊2日だな」

そう答えると、顔はさらに赤くなり耳もピクピクし始めた。

「い……」

「い?」

「いきましゅっ!あ…行きますっ!」

 

……なんだか久しぶりに噛んだのを聞いた気がする。

 

 

こうして俺と丸山の1泊2日の旅行が決まった。

 

 

ー翌日ー

「じゃあお母さん、行ってきます!」

朝の6時というかなり早めの朝だが私のテンションは上がりまくっている。

お母さんには同じ事務所の人と言ったら同じアイドル目指している子だと勘違いされた。だけど私は間違ったことは言ってないしそれが正解だとも答えてない。私は悪くない。

昨日お姉さんのお見舞いにも行かせて欲しいと言われたけれど、なにやらそのお姉さんにもあって欲しいらしい。

私も煌成くんのお姉さんには会ってみたい。学校ではイケメンだと先輩の学年だけでなく1年でも噂されているような人のお姉さんだ。きっとめちゃくちゃ可愛いんだろうなぁ……。

 

ーその頃の煌成ー

 

……俺はなんて馬鹿げたことを言ってしまったのだろう。

普通に考えて後輩と1泊2日なんてありえない事だ。俺も頭が悪くなってきたのか…?

それだけではない。丸山にとって姉は、まったくの無関係という訳では無い。それに、俺の過去のことを聞いたら丸山は俺のことを恨むかもしれない。

まあとりあえず姉の命令はクリア出来る。ホテル代も二人分だしてくれるらしい。電車代もだ。

 

…流石に稼ぎまくった()()()()()はレベルが違う。

 

丸山には、しっかりと説明しなければならない。

なにせ、あいつが憧れていたアイドルの正体が、実は俺の姉だったのだから。

 

 

 

ー花松駅ー

駅で私は煌成くんと合流し、電車に乗った。

聞くと3時間以上かかるらしく、中々の長旅になりそうだ。煌成くんも「最初の1時間は終点までだから寝る」と言って席を確保した瞬間目を閉じてしまった。

私も寝ておこっと。

 

ー1時間後ー

「お?もう着いたか。丸山も少しは寝れたか?」

「…えっ?ああ、うん。もうぐっすりだよ!」

…しまった。煌成くんの寝顔みてたら1時間たってた……。

だけど眠気もどっかいってしまっているので大丈夫。次の電車で少し寝ればいいし……

 

次に来た電車は、まさかの満員電車だった。

「人多すぎだな…これに2時間か……」

「えっ?これにずっとなの?」

「…そうなるな。頑張れ」

 

…キッツーい!!

 

電車に乗ると、すぐに出発した。私は扉の1番目手前の席の壁になってる所に寄りかかっている。煌成くんが誘導してくれたのだ。

それに加えてその前に煌成くんが立って人がこっちに来ないようにしてくれている。…紳士すぎるんじゃない?

煌成くんが色んな人にイケメンと言われるのは、至極当然なことのような気がしてきてしまった。

 

煌成くんのお陰で2時間もそこまでキツくもなく、私たちはやっと目的地に着いた。

 

「やっと着いたな…丸山、喉乾いたりしてないか?」

「えっ?だ、大丈夫だよ!」

やっぱりイケメンすぎる…ちょっと怖いくらいだよ……

 

今日はお姉さんのお見舞いに行く予定になっている。コンビニで軽めの軽食を買い、徒歩で10分くらいの病院を目指す。

「にしても、ここら辺の街もすごく綺麗だね!高いビルもいっぱいあるし…」

「ここら辺は最近どんどん発展していってるらしいからな。でもまだ俺たちの街の方が発展してるかもな」

などといった世間話でぶらぶら歩いているが、煌成くんの顔はどんどん暗くなってくる。

「丸山。お前に話しておかなくちゃいけないことがある」

突然真剣な顔で煌成くんは話し始める。それは、煌成くんとお姉さんの話だった。

 

「俺の姉の名前は、黒峰楓。元アイドルの白峰楓だ」

「……えっ?」

白峰楓。それは、私がアイドルを目指すきっかけとなった人。

どんな時でも笑顔を絶やさずに、ファンと一緒に楽しそうに歌い、踊る姿に私は胸を打たれた。

数年前に突然活動を停止してしまい、私も悲しくなったが、アイドルを目指していれば会えるかもしれないと思っていた。

なのに、病院にいる?煌成くんのお姉さん?頭の中がこんがらがってくる。

しかし、その後煌成くんは、もっと驚くことを言った。

 

 

「俺の姉、黒峰楓は、4年前に俺を庇って車にひかれ、下半身不随でアイドルを辞めた」

 

歪んだ顔で、煌成くんは語りだした。

 

黒峰楓(お前の夢)を終わらせたのは、この俺なんだ」

 

そして語りだした煌成くんの過去は、壮絶なものだった。

 

 

 

後編へ続く




こうして書いていると、これまで書いたものと設定で矛盾が生じてないかが不安になってきますね。シリアスな話は個人的に大好きです。
今回も読んで頂きありがとうございます。
前編後編の2つになっていますので、後編も楽しみにしていてください。

これまでとっていたアンケートの結果、次に書くのは千聖さんの話となりましたので、彩の話の中の時間軸が新年となったら書き始めようと思います(今は11月です)

それでは、次のお話で会いましょう

彩と煌成の未来のお話

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