煌めいた彩りは新しい春を運ぶ   作:♡チェケ♡

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レッスンを重ねていくうちに煌成にはある疑問が……。
丸山には、確実に足りないものがある…。
一体、彩は何故オーディションに受かったのか…?



※視点変更があります。
オリジナル設定が盛り沢山です。


私だけの『個性』

ー某アイドル育成スタジオー

「1.2.3.4、5.6.7.8」

リズムをとりながら一心不乱にダンスを踊る丸山を見ながら煌成はずっと考えていた。

顔もよし。性格もアイドルとしてはよし。スタイルも悪くない丸山だが、明らかに足りないものがある。

それは、()()だ。丸山に圧倒的に足りてないもの。

しかしこれはオーディションの時に見られているはずだし、俺が上の人にあいつのことを説明された時に、「個性があって未来がある子だ」と言っていた。

だからこそこんな疑問を抱くはずがないのだが……。

「7.8……。よし。今日はここまでだ。丸山、上がっていいぞ」

考え事をしていると時間が進むのを早く感じるな……。もういい時間だし、家に帰ってから考えよう。

そう思い帰る支度を始めようとすると、丸山から声をかけられた。

「あ、あの……!」

「ん?どうした?」

「煌成くん…、何か悩み事があるんじゃないですか?」

「!!」

そこまで露骨だったか。これは不覚だ。

だがこれは同時にいい機会だろう。聞いてみよう。あの時(オーディション)のことを。

「丸山。お前、オーディションの時に何か派手なことをやったか?」

「え?派手なこと…?うーん、やってないと思いますよ?」

自覚はないか…。再現してもらえばわかりやすいか……?

「丸山。疲れているとこ悪いんだが、オーディションでやったことを再現して貰えないか?これも大切なことなんだ」

やはりサポートしていく立場として、丸山の中の個性は知っておかなくてはならないだろう。案の定、丸山は元気に返事していそいそと準備を始めた。

「じゃあ、質問のとこお願いしますね!」

「おう。任せておけ」

俺自身も他の人のオーディションをやったため、一応質問内容は覚えている。

「じゃあ丸山さん。あなたは何故アイドルになろうと?」

「はい。それは私はあるアイドルに……」

 

 

 

色々と聞き出せた。しかし再現でわかったことと言えば、丸山が噛みまくったことくらいだろう。なんならなんで受かったのか分からなくなってきてしまったレベルだ。

だが、このトーク下手を凌駕する()()がオーディションであったはずなんだ……。はず…だよな……。

他の審査員に心の中で問いかけつつ、俺と丸山は帰る支度をしていた。

「煌成くん。今日もありがとうございました!」

「おう。お疲れ。じゃあまた次の……」

「煌成くん?」

突然言葉を切った俺を丸山が不思議そうな顔をして見ている。

「丸山…お前の()()って……なんだと思う?」

やはり、気になってしまう。

俺はそこに、丸山彩というアイドル性が詰まっている、そんなことを思っているのだから…。

 

 

「私の…個性……?」

 

 

 

 

ー3日後・花咲側学園1ーB教室ー

キーンコーンカーンコーン

キーンコーンカーンコーン

4限目を終えるチャイムがなり、途端に周りが騒がしくなる。

くぅ〜。

どうやら、私のお腹も限界が近かったようだ…。

アイドルとして、恥ずかしい……。

そんなこと考えながら、お弁当を持ち、同じクラスの花音ちゃんの所へと向かう。

「花音ちゃ〜ん。お昼、食べよ〜」

「うん、彩ちゃん。私、もうお腹ペコペコだよ」

「私もだよ〜。そのせいで授業中、食べ物のことばっか考えてたよ〜」

「彩ちゃん、なんかソワソワしてたもんね」

「えぇ!?そんなソワソワしてた!?」

そんなぁ…。恥ずかしい…。

確かに授業にあまり集中していなかったが、それは別にお腹が空いていただけでは無い。

 

「お前の個性って……なんだと思う?」

 

煌成くんに言われた、あの一言。

それが未だに胸につっかえている。

「私の個性かぁ……」

なんて小さく呟くと、花音ちゃんに聞かれてしまった。

「個性?彩ちゃん、個性がどうしたの?」

「え?聞こえてた?」

「うん。私の個性かぁ…って。バッチリ」

思わず顔が赤くなる。

しかし、これは相談出来るいい機会かもしれない。

「今ちょっと悩んでることがあってさ……」

そう切り出し、オーディションの再現をしたことや、煌成くんに言われたことを花音ちゃんに話した。

 

「……でも私は自分の個性っていうのがよく分からなくて…。どうすればいいのかな?」

「うぅーん……」

軽く唸ってあと、花音ちゃんはゆっくりと話し始めた。

「彩ちゃんは可愛いし、面白いし、とってもいい子だと思うよ…!それに、明るいし、あ、あと趣味も沢山あるし…え、えーっとつまり…彩ちゃんは元々個性豊かなんじゃないかな…いやでも個性について聞かれるってことはそれじゃ…ふぇぇぇ……」

「……」

なんか、私が恥ずかしいだけな気がする。

しかし、こんなに他人にいい所というのを言って貰えると、なんだか勇気が出てくる気がする。

煌成くんに個性について聞かれた時、私は一瞬私とのレッスンでは個性を感じない、そう思われたんだろうと思っていた。

私の中身がカラッポとまでは言い過ぎかもしれないが、そんな感じのことではないか、と考えていた。

「ありがとう花音ちゃん。私、頑張るよ!」

しかし、花音ちゃんは未だにこんがらがっていた。

「ふ、ふぇぇぇ……」

「か、花音ちゃーん!?」

 

 

 

 

ー その頃2ーB教室ー

どこもかしこも昼休みで騒いでいる中、1人だけ机に突っ伏している青年がいた。

そう。黒峰煌成。

クラスの中でも面倒見のいい性格で人気者の彼だが、疲れている時は机に突っ伏す癖があるというのは周知の事実のため、誰も彼に近づかない。

……決して嫌われてはいない。むしろ好かれている。

「はぁ〜っ。はぁ……」

…溜め息しかでてこねぇ……。

まさか、こんだけ悩んどいて理由が()()はねぇだろ……。

 

 

 

ー時を遡ること、5時間前ー

学校前にスマホを見ると、上司から動画が送られてきていた。

それは丸山のオーディションが保存されているものであり、煌成が無理を言って送って貰ったものであった。

上司に感謝を込めてLINEを送り、煌成は真剣な気持ちで動画を再生させた……。

 

 

そして、今に至る。

「なんで…。()()はあいつにとって派手なことじゃないとでも言うのか……!?」

そこで煌成が目にした物は、正気を疑うものであった。

それは、再現の時に省いた、自己紹介の部分であった。

 

「じゃあ君、番号と名前を」

「1227番!まん丸お山に彩りを!丸山彩です!よろしくお願いします!」

 

衝撃だった。

本来元気をアピールするくらいしかない、名前の部分。別のことなんか言おうものなら即刻退場も有り得る。

そこでまさかの最大級の個性(とちり)が来るとは……。

そりゃあ個性のある子だったって言うよ!だってやべえ奴だもん!

偶然にも審査員が1番の古株で1番の決定権を持つ好奇心の塊の様な人だったからギリギリ通ったようなものだ。

謎は解けた。だがなんかスッキリしない。

次のレッスンの前に、しっかり問い詰めてやろう。

そう腹に決めた煌成であった……。

 

 

 

それから2日後のレッスンで、彩がこってり怒られたのは言うまでもないだろう……。




なんか…難しいなって……。
前回よりも大分長くしました。良ければコメント、評価をよろしくお願いします。
オチを考えるのはとても難しいですね…。私も彩のように日々精進。
頑張っていきますので応援していただけると嬉しいです。

彩と煌成の未来のお話

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