煌めいた彩りは新しい春を運ぶ   作:♡チェケ♡

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今年もバレンタインがやってきた。去年失敗してしまった彩は今年こそと意気込む!煌成は煌成で何か悩み事があるみたいで……?



※オリジナル設定注意
視点変更あり


煌めく日常。近づく別れ。

「ね、眠い…」

 

眠気で頭が働かなくて学校に行く気にもなれないよ……。

 

2月14日の朝。リビングのソファで目を覚ました彩はなんとか体をおこして朝の支度を始めた。

 

ボーッとする頭は特に何も考えておらず、ただただ日常の行動を繰り返していた。

 

「いってきまぁす……」

 

外に出ると少し肌寒い風が吹く。眠気も少しだけ和らぎ彩はいつも通りに学校へと向かった。

 

 

 

 

「おはよぉ…」

 

な、なんかいつもよりも学校が遠く感じた…。ね、眠いよ…。

クラスの皆に挨拶をしてから彩は机にドサッと突っ伏した。

 

「あら彩ちゃん。随分眠そうね?」

 

「彩ちゃん昨日美味しいの作るって気合い入ってたもんね」

 

「あ、花音ちゃん。2人ともおはよ〜」

 

机で寝そうになっていると千聖ちゃんと花音ちゃんがきた。ていうか2人とも何の話を……?

 

「彩ちゃんはいつ黒峰くんに渡すの?」

 

「え?何を?」

 

「バレンタインチョコよ、バレンタイン」

 

え…?バレンタイン……?

 

「ああーーーーっ!!」

 

急いでカバンを開けるが、その中には教材しか入ってない。

 

「い、家に忘れた……」

 

そうだ…夜更かしして煌成くんにチョコを作ったんだった…!それで今日はこんなに眠かったんだ…。

 

「ど、どうしよ……」

 

そいえば今日のお昼ご飯煌成くんと食べる予定だった…それでその時に渡すって言ってたのに…。

 

「あ、あばば、あばばばばばば」

 

「あ、彩ちゃん!?」

 

「し、しっかりして!彩ちゃーん!」

 

テンパる彩とは対照的に、煌成は2つの考え事をしながら自習をしていた。

 

大学を決まった高校三年生は三学期授業は無いが、煌成は将来の夢のために学校に来ていた。

 

 

 

 

ー4限目ー

 

「ん?煌成今日は随分ご機嫌だな」

 

「ああ雅也。今日はバレンタインだからな」

 

「はあ…お前みたいにイケメンだったらバレンタインも楽しいだろうな…。羨ましい限りだぜ」

 

隣の席で自習に励む男、宮倉雅也は煌成とは昔からの仲で煌成の昔の事も全て知っている。いわゆる親友だ。

 

「でも雅也、お前彼女いるんじゃなかったか?」

 

「ああ…いるにはいるけどあいつ今海外留学の準備で忙しいからな。やっぱりあいつの夢は応援してやりたいからな」

 

「……へえ…」

 

少し俯いた後、煌成は口を開いた。

 

「なあ、雅也。やっぱり、好きな人が遠くに行くのは寂しいか?」

 

「…急にどうしたんだよ」

 

「いや、聞いてみたいだけだ」

 

少しじとっとこっちを見てきたが、何かを察したかのように雅也は前を向いて言った。

 

「寂しいよ。すっごくな。なんなら今でも寂しい。好きな人といられる時間程幸せな時間はねえからな」

 

「……そうだよな」

 

「……でもな、煌成。好きな人の夢ほど、応援したくなるものってないんだぜ」

 

「!!」

 

「お前は確か、音楽の先生になりたいんだっけか?」

 

「…ああ」

 

あいつら(パスパレ)と一緒にいてできた夢。俺は誰かと共に成長するような人生を送りたい」

 

「なら、お前のことを待っている奴もきっと待ってくれるさ。どこかのピンク髪の子がな」

 

「なっ!ま、雅也!それはお前っ……!」

 

慌てて雅也の口を抑えようとする煌成だが、雅也が慌てて扉を指さす。

 

「ほら、煌成!カノさんがお呼びだぜ!」

 

「えっ?」

 

バッと後ろに振り向くとそこにはちょこんと扉からこっちを覗く彩の姿があった。

 

「ほら、とっとと言ってやれよ。煌成」

 

そう言い背中をポンと押される。その手を振り払い俺は精一杯の皮肉を込めて

 

「ありがとよ!」

 

と言い、彩の元へと歩く。

 

俺の残りのわだかまりも無くなった。彩なら、きっと俺の夢を応援してくれる。

 

 

 

 

 

ー屋上ー

 

 

「チョコ…家に忘れちゃった……」

 

「…え?」

 

うう…か、顔を合わせられないよ……。

 

「あのね、頑張って夜遅くまで作ってね、綺麗に出来たから明日持ってこうとしたんだけど寝るのが遅かったから…朝、忘れちゃって……」

 

ちらっと煌成くんの方を見ると険しい顔をしてこっちを見ている。やっぱり、怒ってる…?

 

「彩」

 

そう言い私は煌成くんに抱き寄せられた。

 

「えっ?」

 

「…ありがとな。俺のために夜遅くまで作ってくれたんだろ?」

 

「で、でも…結局家に忘れちゃって…」

 

「全然大丈夫だ。俺が怒ることがあるとすれば夜更かししたことくらいだ。目の下にクマあるぞ」

 

「ええっ!?か、隠せて無かった…」

 

うう…色々と恥ずかしい…。あ、そういえば……

 

「煌成くんはまだ学校にいるの?」

 

「ああ、今日は自習で来てる。まあ、今日が最後だけどな」

 

「あ……」

 

「俺が次学校に来る時は、卒業式だな」

 

「…そっか。そうだよね……」

 

もう卒業なんだ。煌成くんは………。

 

「ほら、これ」

 

俯く私の前に差し出された煌成くんの手には、1つのリストバンドが握られていた。

 

「え?これは……?」

 

「俺はお前にホワイトデー返せないからな。このバレンタインで渡そうと思っていたんだ」

 

そう言い私の腕に付けられたリストバンドには、1つの言葉が書かれていた。

 

 

I want to be with you forever(永遠に君といたい)

 

 

「早すぎるかもしれないけど、いつか、いつか遠くの話かもしれないけど」

 

私の目をしっかりと見据えて煌成くんは言葉を紡ぐ。その言葉を一語一句1つも逃さないように私は耳を傾ける。

 

 

 

「また、俺とお前が一緒にいれるような時が来たら、その時は……」

 

 

 

いつか、私も煌成くんと2人で、永遠にいるために…………

 

 

 

 

「その時は、結婚しよう」

 

 

そう言い恥ずかしそうな目をそらす煌成くん。その顔を手でくいっとこっちに向け、私は煌成くんに顔を近づけた。

 

 

「私も、ずっと一緒がいい」

 

 

 

煌成くんが卒業したら、しばらくは寂しい。でも、ずっと離れ離れになる訳じゃない。

 

私は、煌成くんの夢を応援する。そして互いに頑張って、いつか……

 

 

 

この別れは、互いの夢の始まりなんだ。




読んでいただきありがとうございます。とっても更新が遅れてしまいました、すみません。
この話が終わって残りは2話となりました。次は煌成のいる状態だのパスパレラストライブです。もう残り2話なのかと少し驚いています。

なるべく早く残り2話を投稿するつもりでいるので、是非応援宜しくお願いします。

彩と煌成の未来のお話

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