煌めいた彩りは新しい春を運ぶ   作:♡チェケ♡

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3月8日。卒業式前日の日曜日、煌成最後の仕事の日がやってきた。
それぞれの夢の形を思い、6人は今日も夢を追いかける。



※オリジナル設定注意
視点変更あり


私達は今を煌めいている。

「おはよう、煌成くん」

 

「ん?ああ、珍しいな」

 

最後のライブへと向かう車に一番最初に来たのは彩だった。

 

「えへへ…なんか早く来ちゃった」

 

そう言い車に乗り込む彩。その横顔は少し暗い。

 

「今日は……絶対成功させようね」

 

「……ああ。頑張れよ」

 

それから俺達は何も言わずに他のメンバーを待ち続けた。

 

 

いよいよ、俺にとって最後のライブだ。見届けよう、最後まで。

 

 

 

 

 

今日で何度目かのワンマンライブ。いつもは緊張しかしてないけど、今日はなんか違う。絶対に成功させたい、その思いが体中にみなぎっている。

 

そしたら朝早く目が覚めちゃってすぐに支度して集合場所に向かってた。

 

「おはよう、煌成くん」

 

するとスマホを見てた煌成くんは驚いたような顔をしてこっちを見た。

 

「ん?ああ、珍しいな」

 

確かに私はいつもそんな早いタイプじゃない。いつもは緊張してるからかなぁ……。

 

「今日は……絶対成功させようね」

 

「……ああ。頑張れよ」

 

それから私達は何も言わずに他のメンバーを待ち続けた。

 

 

 

もう、何も言われなくたって大丈夫。君に頼りっきりの私じゃない。

 

自分の成長を感じて少しジーンとなりながら、パスパレが乗った車は会場へと向かっていった。

 

 

 

 

 

ー控え室ー

 

「……時間になるかな」

 

煌成くんの言葉に空気がピシッとなる。やっと、始まる。私達のライブ……!

 

「…俺は、この1年間ずっとお前達を見てきた」

 

「「「「「!!!」」」」」

 

「確か最初は人生ゲームをやったな。なかなか面白かった。初ライブの時にはみんな今よりも緊張してたしな。祭りにも行ったか……」

 

これまでの沢山の思い出が頭に溢れてくる。

この1年間。いや、この2年間がどれだけ充実したものだったかなんて誰かに聞くまでもない。

 

「楽しかった。ありがとう」

 

「煌成くん…」

 

零れ落ちるその言葉は一体誰が言ったのか。私かもしれないし他の誰かかもしれない。

 

「俺は、お前達のステージを舞台袖でしか見た事がない。だから観客がどう思ってるのかなんて知らん。ただ、お前達は最高だ。誰がなんと言おうと最高のアイドルだ」

 

スタッフから時間ですと声が聞こえる。でも私達は煌成くんの方を見て動かなかった。

 

すると煌成くんはスッと両腕をあげた。

 

「……楽しんでこい。以上!!」

 

「「「「「はい!!!」」」」」

 

イヴちゃん、日菜ちゃん、麻弥ちゃん、千聖ちゃんの順でハイタッチしてステージに入っていく。

 

「……彩」

 

「ちゃんと、見ててよ。私の……」

 

煌成くんの手を思いっきりパチンと叩いてステージへと走る。

 

 

 

最っ高に輝いてる姿を!!!!

 

 

 

 

ーライブ終了後ー

 

「パステルパレットでしたー!!」

 

観客からの拍手を受け、控え室へと向かっていく私達。

 

「最っ高の出来だったわね、みんな!」

 

「ん〜!もうるるるるるんっ!って感じだよ!」

 

みんなで盛り上がりながら私達は控え室へと向かっていた。今回のライブは今までの中で最高に楽しかった!早く煌成くんに褒めて欲しいな……。

 

煌成くんも、このライブなら悔いもないかもしれないし……。

 

 

「煌成くん!ライブ終わった……よ……?」

 

扉を開けると、そこに煌成くんの姿はなかった。

 

代わりに机の上に置かれていたのは5枚の手紙。それぞれのイメージカラーの手紙が置いてあった。

 

「煌成くん……」

 

5枚の真ん中に置いてあるピンク色の手紙を手に取り、開く。

 

 

『彩へ』

 

この手紙を残した理由も、私にはなんとなくわかる。それはみんなも察しているようだった。

 

「……白鷺へ」

 

千聖ちゃんは、ぽつりぽつりと自分の手紙を読み始めた。

 

『お前は5人の中で1番経歴が長い。表情の作り方やバラエティーの対応の仕方だってわかっているだろう。他の4人と協力しながら最高のアイドルを目指して欲しい。あと、勉強を頑張るのはいいがテストの度に目の下にクマを作るのは良くない。定期的に勉強しろ。お前なら……子役からずっと頑張ってきたお前なら…グスッ。頑張れる…はずだ……。黒峰煌成』

 

一筋の涙が頬につたうその姿は、美しい女優にも負けていないようだった。

 

「…大和へ」

 

『お前には昔から世話になったな。お前とのセッションがしばらく出来ないというのは少し寂しいような気もする。楽器経験の長さじゃお前がパスパレの中でトップだ。周りの音に気を配りながらリードしてやってくれ。あともう少しファッションは気にしろ。この前パジャマで外に出てるの見たぞ。次見かけたらはっ倒すからな。……お前も、アイドルなんだ。沢山の人に可愛いって言われる…アイドルなんだから、自分に自信を…持てよ、っス…。黒峰煌成』

 

涙を拭い作った笑顔は、今までの笑顔よりも何倍も輝いた笑顔だった。

 

「…若宮へ」

 

『これからはお前も彩の分もモデルの面倒を見れなくなる。かと言って彩を頼りにしないでしっかりと担当の指示を聞くこと。これ本当に。お前は誰よりも真っ直ぐにアイドルに向き合っていた。これから苦労することがあってもお前は自分を見失うな。あと1つ謝りたいことがある。実はもう日本に忍者はいない。モデルにアイドルにとこれからも忙しいことはあるだろうがフィンランドから日本に来てアイドルを目指すような気持ちの強さはお前だけの武器だ。頑張れ。黒峰煌成」

 

ちょっと呆気に取られたような顔をした後に微笑んだ顔は、一緒にモデルをやっている私でさえドキッとするような笑顔だった。

 

「……氷川へ」

 

『新しい担当に迷惑をかけないように。絶対に。でもその自由な発想や運動神経の高さは天才のお前にしかできない。人と違うことは何にも替えられない最高のものだ。お前だけの武器を磨き続けろ。ギターのテクニックももう俺に追いつきそうだな。やめて。でもお前は人を笑顔にする才能がある。お前が笑顔になれば周りを笑顔にできるような才能が。お前だけの夢を周りに見せてやれ。お前だけのアイドルを見せてやれ。お前なら、お前にしかできないものは、きっと…ある。黒峰煌成』

 

すっごい微妙そうな顔をしていた日菜ちゃんが最後にクスッと笑った笑顔は、少しだけ悲しそうな笑顔だった。

 

「…………彩へ」

 

煌成くんは、私にどんな言葉を残してくれたのだろうか。

 

ヒラリと開いたそこの紙には、予想を遥かに超えた内容が書いてあった。

 

 

 

『卒業式の後、話がある』

 

 

 

窓から吹いてきた風は、少しだけ暖かかった。

 




次回、『煌めいた彩りは新しい春を運ぶ』最終話。

彩と煌成の未来のお話

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