無感動な少女と魔眼使いの少年(リメイク版)   作:しぃ君

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 やちよ「前回までの『無少魔少』。裏技とか言って先回りした結翔と私が戦ったり、認めることを賭けていろはが砂場の魔女に挑んだわ」

 結翔「相変わらず、ここのあらすじってざっくりしてますよね」

 こころ「長々と説明口調になるより良いんじゃないんですか?」

 まさら「そうね。しぃは説明下手だし。最終回が終わったら、設定資料集でも出すわよ」

 結翔「それ、何ヶ月後の話だよ……」

 まさら「さぁ、私とこころは今回出番があるから機嫌が良いの、面倒な事は振らないで」

 やちよ「あなたから振ったんじゃ……。はぁ、楽しんで十四話をどうぞ」


十四話「長い一日の終わり」

 ──結翔──

 

「やった、いろはちゃん!」

 

「はい、はい。やっちゃいました」

 

「どうだ、やちよさん!」

 

「どうしてももこが得意げになってるんだか…」

 

 

 目の前で起こっている微笑ましい光景を俺は見守る。

 心底嬉しそうに笑みを零すいろはちゃんと、それ以上に嬉しそうに笑うももこ。

 そして、嬉しさから得意げに言ったももこに若干呆れるやちよさん。

 

 

 懐かしい光景のリプレイを見ているような感覚だ。

 

 

「さぁ……」

 

「なに、これ以上、難癖付けようっての?」

 

「まさか、実力は認めるわよ。最初から大丈夫だろうとは思っていたからね」

 

「やっぱりそうか…」

 

「え、え、そうなんですか?」

 

 

 嬉しそうな表情から一転、いろはちゃんは驚いたような表情に変わる。

 そりゃそうだ、試されてると思っていたのに、本当は戦う前から認めていたんだから。

 俺だって、そんな事されたら驚くし、何だか肩透かしを喰らったようで腑に落ちない。

 

 

「えぇ、何となくだけど、その人を見れば分かるわ」

 

「なんだ…。だから、魔女を譲ってくれたり…」

 

「いや、人を弄んだだけだ…」

 

「別に弄んでなんかないわよ。目的のために導線を引いただけ」

 

「導線…?」

 

 

 そろそろ来るか…。

 俺はそっと、腕に抱えていた小さいキュウべぇを肩に乗せて、いつでも魔力で剣を編み出せるように準備を始める。

 まぁ、やちよさんは目敏く俺の行為に気付いているみたいだけど……

 多分、力づくで取りに来るだろう。

 

 

 小さいキュウべぇの……命を。

 

 

「そう…。ちょっといじめすぎたのかしらね。私の前に、このキュウべぇは現れてくれないから…」

 

「え……」

 

「小さいキュウべぇ…。今まで有り得なかったイレギュラー。気が付いたら、神浜市からいつものキュウべぇは消えていて、この子しか存在しない。どう考えても危険な因子にしか思えないのよ」

 

「はっ…!? 藍川さん!!」

 

「大丈夫」

 

 

 やちよさんが槍を持って俺に突撃してくる。

 最小限の動きで俺の肩から小さいキュウべぇを叩き落とす気だろうが……そうはさせない。

 瞬時に剣を魔力で編み、下から刃ではなく柄の部分を狙って切り上げる。

 

 

 刃に当てなくても、柄の部分を切ってしまえばその先にある刃も意味は無くなる。

 リーチも短くなる為、やちよさんは一旦下がりざるを得ない。

 

 

「…あなたも分からず屋ね。そのキュウべぇに関わるとロクなことにならないわ」

 

「いやいや。元々、コイツだけじゃなくて、他の個体に会った時点でロクなことにはならないでしょ」

 

「それもそうね…。だけど、あなただってその小さいキュウべぇを探していた筈でしょ? イレギュラーは出来るなら排除したいって、前にボヤいてたじゃない」

 

「言いましたね、そんな事。……安心して下さい、もし本当に危険な存在だって分かったら──その時はどうにかしますよ。でも、今はまだ何もしてない。だから、俺からも何もしない」

 

「これから何かするかもしれないのに、あなたは排除しないって言うの? リスクの芽は早々に詰んでおけって、口を酸っぱくさせて言ってきたつもりだったんだけど…?」

 

 

 向かい合う俺とやちよさん。

 彼女は息を吸うように魔力を操り、新しい槍を作って俺に向ける。

 俺も俺で、肩に乗せている小さいキュウべぇの頭を撫でながら、やちよさんに剣を向けた。

 一歩も引く気はないと、やちよさんの表情からビシビシと伝わってくる。

 

 

「お願いです、止めてください! …そんな事されたら、聞けなくなっちゃう! その子は……大切な子かもしれないのに!!」

 

 

 いろはちゃんの叫び声は切実なもので、それを聞いた瞬間俺は決めた。

 責任は全部俺が取ればいい。

 だから、この小さいキュウべぇをあの子に託そうと。

 

 

「悪ぃなチビスケ…。投げるぞ!」

 

 

 肩に乗せていた小さいキュウべぇを、俺はキャッチボールをするような要領でいろはちゃんに投げる。

 下手したら最高時速100kmはくだらない速さで小さいキュウべぇは飛んでいき、いろはちゃんの腕に収まる形でようやく止まった。

 …………若干目を回しているように見えるが、気にしないでおこう。

 

 

「きゅ、キュウべぇ!?」

 

(あれ……意識が……)

 

 

 いきなり飛んできて目を回している小さいキュウべぇを、心配するような素振りを見せた刹那、彼女は膝から崩れ落ちるようにうつ伏せに倒れてしまう。

 クソ! 

 やっぱり不味かったのか! 

 

 

「いろはちゃん!!」

 

「しっかりしろ、いろはちゃん!!」

 

「はぁ…だから言ったでしょ…。アナタの自己責任よ」

 

「……いいえ、俺の責任です。俺がチビスケを──」

 

 

 少しの後悔の中、小さいキュウべぇを排除しようと決めた時、俺はそれを見てしまった。

 気を失っているいろはちゃんの頬を舐める、小さいキュウべぇの姿を。

 どこか慈しむように頬を舐める姿は……まるで──

 

 

「…ももこ、調整屋にいろはちゃんを運ぶ」

 

「小さいキュウべぇは?」

 

「…私が消して──」

 

「俺が連れて行きます。…俺の勘は間違ってませんでした」

 

 

 そう言い残して、俺とももこはその場を去る。

 小さいキュウべぇはさっきの事もあり、少し俺を警戒していたが、俺が笑うと「モッキュ!」と鳴いて、俺の肩に飛び乗った。

 …お前を信じて正解だったよ、きっと。

 

 

 一旦、考えるのをそこで辞めて、行きと同じ方法で調整屋に帰っていった。

 

 

 ──いろは──

 

 …………………………

 ………………

 

 抱きしめた小さなキュウべぇから……何かに…来る…

 

 

「お姉ちゃん、今日も来てくれたんだねっ!」

 

 

 お姉ちゃん…? 

 夢の中に出てくる桃色の髪を持つ少女が、私にそう笑いかけながら言った。

 訳が分からないまま…何かが流れてくる。

 

 

「あーあ、早く元気になって。お姉ちゃんと学校に行きたいなぁ」

 

 

 ずっと入院しているこの子…

 私…どこかで…! 

 

 

「お姉ちゃん…息が…はぁ…うぅ…」

 

「ゆっくり体起こそうねっ! ■■は強い子だから大丈夫だよ!」

 

 

 私…知ってる…

 あの子の苦しそうな顔も嬉しそうな顔も…全部…

 あの子、そう名前…なんだっけ…

 懐かしくて愛おしい、あの響き…

 

 

「お姉ちゃん、本当に私、退院出来るの…?」

 

「そうだよ、うい!」

 

 

 退院出来る事に驚いたあの子に、私はそう言ったんだ。

 うい…? 

 うい…うい…

 そう、ういだ! 

 

 

 私の妹…。

 ずっと入院していて、身体が弱くて、すぐに消えてしまいそうな……

 かけがえのない私の大事な妹…

 どうして私…こんな大切な事…

 

 

 ……キュウべぇに願ったのに、私の願いの根幹だった筈なのに……

 

 

「お願い! 妹の病気を治して! ういを元気にしてあげて! そのためなら…。私、何でもするから…!!」

 

「環いろは、それが君の願いなんだね」

 

 

 無感動にそう言ったキュウべぇを、私は今、思い出した。

 そして、夢は覚める。

 

 

「はっ……………」

 

「あらっ! ももこぉ、結翔くぅん、いろはちゃんが目を覚ましたわよっ!」

 

「えっ、ほんとに!? いろはちゃん、大丈夫!?」

 

「ももこ、あんま詰めよんな。起きたばっかりなんだから」

 

「ももこさん……みたまさん……()()さん……」

 

 

 思い出した、私は思い出したんだ。

 自分の抜けていた記憶を。

 そして、その記憶の中で私は……結翔さんに会っていた。

 何回も、何回も会っていたのだ。

 ういが居た病院で──

 

 

「……どうしたの、いろはちゃん?」

 

「私…思い出しました…。どうして魔法少女になったのか…」

 

「えっ……?」

 

 

 戸惑うももこさんを他所に、私は……浮かんでくる言葉をそのまま吐き出す。

 上手く纏められないから、そのまま吐き出す。

 大丈夫だと、私は思ったから。

 結翔さんなら、理解してくれると勝手に思ったから。

 

 

「私、妹のために…。あの子の病気を治すために、魔法少女になったんです…! どうして忘れてたんだろ…こんな大切なこと」

 

「忘れてたって…どういうこと…。長い間、離れて暮らしてるとか…」

 

「いえ…ずっと一緒でした…。この間まで、同じ屋根の下で一緒に寝て、ご飯も食べてました。でも、みんな消えてるんです…。なかったことになってるんです…。あの子がこの世界に居た事が…」

 

「そんなことって…」

 

 

 有り得ない。

 私だってそう思いたい。

 だけど、きっと現実だ。

 ういは確かに居た。

 妄想なんかじゃない、幻想なんかじゃない。

 

 

 私が作り出した夢なんかでもない。

 本当にそこに居て、何かの拍子で霞のように消えてしまった。

 

 

「でも、実際にそうなんです。家に帰っても、ういが居ないのが普通になってて…。お父さんとお母さんと三人でいつも通り暮らしてた。私だって、さっきまで自分の事一人っ子だって…」

 

「……なるほどねぇ。それって俺たちが妹ちゃんに会ってても、忘れてるかもってこと?」

 

「はい…きっと…。結翔さんとも、私は会ってます。…きっと、ういに関する全てが消えてるのかも…」

 

「…魔女の仕業かしらぁ?」

 

「魔女の可能性もあれば、異能力者の可能性もありますよ…。存在事消すなんて異能力も魔女も聞いた事ないけど…ね」

 

 

 結翔さんたちでも……知らないナニカ? 

 違う。

 多分、そうじゃない。

 もっと近い……ナニカだ。

 それに──

 

 

「私が思い出せてない事が他にあるのかも…」

 

「モッキュ」

 

「キュウべぇ…。…もう、あなたに触っても何も思い出せないね。でも、あなたがういの事を思い出させてくれたんだよね?」

 

「キュ?」

 

「きっとそうなんだよ…。そんな気がする…。………………。うん…決めた…」

 

 

 この街には、きっともっと手掛かりが埋まっている筈だ。

 だから──また来よう。

 

 

「いろはちゃん?」

 

「私、また来ます。この神浜市に」

 

「目的は果たせたんじゃないの?」

 

「今度はういを探さないといけませんから…。きっと、この神浜市のどこかに、手掛かりがある気がするんです。ういが消えちゃった理由も、あの子が今、どこにいるのかも。ういの事を思い出させてくれた。この小さいキュウべぇが居る街だから…」

 

 

 この子が思い出させてくれたんだ。

 ういの事を。

 私の大切な…妹の事を……

 

 

「…その記憶が実はウソで何かに理由があって植え付けられた。そんな事も考えられると思うんだけどぉ」

 

「それでも私は、この記憶を信じます」

 

 

 だって、ういの事を考えるだけで愛おしく感じるから。

 鮮明になった思い出が、あの子がいたって実感を与えてくれるから。

 そして何より……

 

 

「今の私は…。()()()って妹がいる環いろはだって思えるから…」

 

 

 ──結翔──

 

 何の理屈にもなってない言葉だ。

 だけど、とても良い言葉だと、俺は思った。

 

 

「環ういがいる環いろは。その記憶を信じて、妹ちゃんを探すんだね。この神浜市で…」

 

「はいっ!」

 

「俺は大歓迎かな。役目に重みが増すのは、俺にとって悪い事じゃないし」

 

「わたしもお客様が増えるし無理に止められないわぁ」

 

「みたま先輩…」

「オマエなぁ…」

 

 

 俺とももこの言葉が重なると、みたま先輩がクスリと笑う。

 食えない人だなぁと、そんな事を思いながら、肩に乗せている小さいキュウべぇを見ながらいろはちゃんとの話を続ける。

 

 

「取り敢えず。次にいろはちゃんが来るまで、チビスケは俺が預かっとくよ。どうも、この街からは出たがらないみたいだからさ」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「それじゃあ、いろはちゃん」

 

「はい」

 

「この子に名前を付けてあげてくれる?」

 

「名前?」

 

「ずっと小さいキュウべぇなんて、可哀想じゃなぁい? だから、なにか分かりやすい新しい名前をって思って」

 

 

 普段通り、緩い雰囲気を纏うみたま先輩の提案は最もなものだった。

 確かに、いつまでも小さいキュウべぇやチビスケと呼ぶのは可哀想だ。

 呼び名があれば、コイツも喜ぶかもしれない──まぁ、かもしれないだけど……

 

 

「でも、私が…いいんですか?」

 

「良いんじゃない? コイツは多分、きっといろはちゃんにとって大切な存在だと思うよ」

 

「…それじゃあ、えっとキュウべぇちゃん…」

 

「あら、本当にそれでいいのぉ?」

 

「それじゃあ、えっと…。チィで、どうでしょうか?」

 

「ふふっ、良いんじゃない?」

 

「だな、チビスケも喜んでる」

 

 

 新しい名前を貰って小さいキュウべぇ──もといチィは尻尾をフリフリしながら喜んでいる。

 今にもその辺を駆け回りそうな雰囲気が出ている所を見ると、相当喜んでいるらしい。

 ……名前を付けてもらうってのは、嬉しいもんだよなぁ。

 

 

「チィ、これから一緒にういを探してくれる?」

 

モキュキュ(うん、もちろんだよ)!」

 

「よろしくね!」

 

 

 肩から降りたチィはいろはちゃんの手に乗り尻尾を振っている。

 ……何だろう、キュウべぇ(クソ野郎)だって言うのに愛くるしい犬に見えてきた……

 よし、考えを逸らす為に、話を変えるか。

 

 

「そう言えば、いろはちゃん。俺と昔会ってたって言ったけど、どこで会ってたの?」

 

「えっと、ういが入院していた病院で…。里見メディカルセンターって言うんですけど」

 

「あぁ〜! 行ったことあるよ。…でも、俺が通ってたのは三年前くらいまでだよ? それ以降、俺は怪我とかしなくなっちゃったし」

 

「……??? で、でも、私はそこで結翔さんと会ったんです。妹とも楽しそうに話してたのを覚えてます!」

 

「……むむむ。分かったよ。俺の方もういちゃんと里見メディカルセンターの事、色々調べてみるよ」

 

 

 戸籍情報を洗うのは……咲良さんに頼むか。

 俺は足を使って里見メディカルセンターの面会情報を……

 こう言う時、国家権力の盾は役に立つ。

 改めて、警察組織に入って良かったと思うよ。

 

 

「ありがとうございます!!」

 

「今日は遅いし、もう帰ろっか。駅まで送ってくよ」

 

「すいません。色々と…」

 

「こんな夜道を女の子一人で歩かせるのは、警察官としてアウトだしね」

 

 

 そう言って、カラカラと笑いながら俺は調整屋を出る。

 いろはちゃんが眠っている間に、作っておいてハムエッグサンドをテーブルに置いてから。

 

 

「みたま先輩、泊まってくなら食ってください。迷惑料金です。……ケチャップとか梅干しとか付け加えないで下さいよ?」

 

「もう、ももこや結翔くんの料理にそんな事しないわよぉ〜」

 

「なら良いですよ」

 

 

 笑顔でそう言うみたま先輩に、俺は苦笑いしながらももこやいろはちゃんを追い掛ける。

 こうして、今日と言う長い一日は──終わらなかった。

 

 

 ──まさら──

 

 結翔が帰ってこない。

 もう九時は回っていると言うのに、家に連絡すら来ない。

 何かあったのではないかと心配するこころを、落ち着かせながら待つのも段々と疲れてきた。

 早く帰ってこないものか……

 

 

「ただいま〜」

 

「! 結翔さん!」

 

 

 玄関から聞こえるただいまの声に反応し、こころがリビングを出て玄関に小走りで向かって行く。

 私も、こころの後を追い、玄関に顔を出す。

 そこには、何故か頭に小さいキュウべぇを乗せた結翔が居た。

 

 

「…………結翔さん?」

 

「何で、そんなのを頭に乗っけてるの?」

 

「ああ、コイツか? 色々あって家で預かる事になった」

 

「そう。まぁ、それはいいわ。それじゃあ、家に帰るのが遅くなった理由を話してもらいましょうか? 貴方の所為で色々大変だったのよ…? 納得出来る理由を話してちょうだい?」

 

 

 私の声は、いつもより低く、結翔やこころからは怒ってるように聞こえるだろうが、私は別に怒ってない。

 ただ、私やこころを差し置いて、今の今までどこかに行っていた理由を聞きたいだけ。

 …二度目になるが、別に怒ってない。

 

 

 胃のあたりがムカムカするが、怒ってない。

 怒りとは、もっと熱くなる事だ。

 だから、これは怒りじゃない。

 

 

 取り敢えず、後でキックでもかましてやりたい。

 

 

「い、いやぁ、実は街の外から来た魔法少女が居てさ。…その子のいざこざに付き合ってたらこの時間に……」

 

「あくまで遊び歩いて訳じゃないと?」

 

「あ、あぁ」

 

「…今回は許してあげる。こころも、これ以上は何も言わないで」

 

「う、うん。元々、私は怒ってないし…」

 

「私は怒ってない」

 

「いや、でも、少し声が低いし、不機嫌そうだよ?」

 

「怒ってない」

 

「で、でも──」

 

「怒ってない」

 

「……はい」

 

 

 ……少し強く言い過ぎただろうか? 

 はぁ、得た感情をコントロールするのは難しい。

 怒ってないつもりでも、相手からは怒っているように見えてしまうのだから。

 

 

「ご飯にしましょう。こころが作ってくれた料理が冷めるわ」

 

「お、おう。そうするか…」

 

「モッキュモッキュ!」

 

「この子、何食べるんでしょう?」

 

「……何でも食べるんじゃない?」

 

「おかずで作ったサバの味噌煮の余り、食べますかね?」

 

 

 そんな事を話しながら、私たちはリビングに入っていく。

 ここからは、普段通りの私たちだった。

 食卓を囲んで、何でもない話をして、テレビを見て、ベットで眠る。

 

 

 …最近、結翔の傍で寝る事に安心感を覚える自分が居る。

 私はどこか変になってしまったのだろうか? 

 それとも──

 

 

「………………どうでもいい…か」

 

 

 眠気に抗う事はせず、瞼を下ろす。

 今日もまた、私は結翔の隣で………………

 




 次回もお楽しみに!

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