無感動な少女と魔眼使いの少年(リメイク版)   作:しぃ君

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 鶴乃「鶴乃です、今回も出番はあまりないそうです。鶴乃です、次話からやっとまともに出られるそうです」

 まさら「まさらです、今回も出番はないそうです。まさらです、メインヒロインズの一人なのに一章に入ってから出番があまりないです」

 こころ「こころです、今回は出番はないそうです。こころです、メインヒロインズの一人なのにまさらと同じく一章に入ってから出番があまりないです」

 みたま「みたまです、今回も出番はないそうです。みたまです、メインヒロインズの一人なのに上二人と同じく一章に入ってから出番があまりないです」

 ももこ「……大丈夫かこれ?」

 結翔「前回までの『無少魔少』。口寄せ神社のウワサを追い始めた俺とやちよさん、掴めるものがあまりない中辿り着いたスタンプラリーでいろはちゃんと出会う」

 ももこ「……どうなるんだ十九話。まぁ、楽しんでどうぞ!」



十九話「怖いくらい真っ直ぐで」

 ──いろは──

 

 絶交ルールの事件から早一週間。

 その間、私はももこさんたちのチームにも協力してもらい、神浜の街を探し回ったが、一向に調査は進んでいない。

 

 

 けれど、報告をし合っている途中、かえでちゃんからウワサの被害に遭っていた人達が戻ってきたことを聞いた。

 最初は有り得ない事だと思ったけど、そこで私はある事を思い出す

 妹の──ういの言葉だ。

 

 

 灯花ちゃんとねむちゃんが喧嘩している時だったかに言った言葉。

 

 

『想像する小説家のねむちゃんと、想像を叶える科学者の灯花ちゃん。なんかふたりを見てると、この世界はたくさんの想像があって、その想像はいつも本当になってるんだって思う。それってあれだよね、ふたりがいれば、この世界って何でもできるってことだよね』

 

 

 ういはこの言葉を、とても嬉しそうな笑顔で言っていた。

 私はこの言葉から、ウワサを調査する事を決意し、動き始めた。

 だけど、思っていたように調査は進まず、みたまさんの助言で水名区にまで足を伸ばしたのは良いものの、助言にあった神社の噂は聞けず、途方に暮れる始末。

 

 

 同じ魔法少女だったら色々と聞けるのに、そんな不満を叫んだ時に一人の女の子が目の前に現れた。

 サイドテールに纏めた明るい茶色の髪に、元気が溢れ出すような赤橙色の瞳を持つ魔法少女、それが自称最強の由比鶴乃ちゃん。

 

 

 彼女から口寄せ神社のウワサを聞き、鶴乃ちゃんも調査してる事から協力し合うことに。

 翌日──であり今日、私は一人で鶴乃ちゃんに言われた水名区に伝わる伝説から、口寄せ神社のウワサを調べる事になったのだが……

 

 

 なんと、調べる手段はスタンプラリー。

 しかも、明らかに町おこしのためのものだ。

 ……でも、手掛かりは少ないので無駄にする訳にもいかず、私はチィとペアでそれを回ることに。

 

 

「男性の家、逢瀬を重ねた路地裏、追い詰められた南門、切り捨てられた旧邸宅、最後に男の手紙にあった水名大橋。……はぁ、やっと揃った…」

 

 

 時間は掛かったが、何とか最後まで回りきった。

 ウワサの調査が進行したかは分からないが、なんとも言えない達成感がある。

 スタンプラリーなど久々にやったからだろうか? 

 

 

 嬉しさに浸るのもそこそこに、口寄せ神社の場所を探そうとすると……

 用紙にはこう書かれていた。

 

 

 AとB、ふたりの紙を線に合わせて重ねましょう。

 太陽に透かしてみると、重なったスタンプが地図になってふたりを導いてくれるでしょう。

 重ねましょう……ふたりの……

 

 

「………………えっ?」

 

 

 え、え、私の紙…A…。

 これって、もしかしなくても、ふたりで回るものだったの? 

 達成感と嬉しさの感情が一転、時間を無駄にしただけだという虚しさと悲しさに変わる。

 

 

「そんなぁ〜…」

 

「あなた、何してるの…?」

 

「おっ、いろはちゃんじゃん。どしたの、こんな所で?」

 

「ふぁっ!? やちよさんに結翔さん!?」

 

 

 回りが見えないほどの落ち込みだったのか、私は突然現れた二人に対して大袈裟な驚き方をしてしまった。

 だけど……あれ? 

 でも、二人もここで何をしてるんだろう? 

 

 

 疑問はあったが、聞かれた事は答えないと。

 普段通りのスタンスで、私はここに居る理由を──何をしているかを話した。

 

 

「あ、えっと、実はスタンプラリーを回ってて…」

 

「スタンプラリーって…。妹を探すと言っていた割には、呑気なことをしてるのねと、言いたいところだけど、まさな、同じことをしてるなんて」

 

「奇遇だね〜。あぁ、それと、そっちの方手伝えなくてごめんね。色々と立て込んでてさ。仕事が入っちゃったんだよ」

 

「いえ、それは大丈夫ですよ。結翔さんが忙しいのは分かってますから。それより、同じことって、やちよさんに結翔さんも?」

 

「えぇ、これで最後のスタンプよ。で、どうすればいいのかしら…。………………」

 

「………………んん?」

 

「あ、あの…」

 

 

 結翔さんと先に、やらかしたなぁと言った顔に変わる。

 やちよさんも、徐々に顔色が変わり、驚愕の色が見て取れる。

 多分だけど、二人とも気付かないでやってたんだろう。

 ……それぐらい必死だったのかな? 

 私が声を掛けても、二人は全く反応してくれなかった。

 

 

「AとB!? はっ…! 環さん、もしかしてあなたも…」

 

「はい………………」

 

「はぁ、最初に気付いてれば良かった…。道理で、紙が二束あった訳だ」

 

 

 私は、二人に口寄せ神社の事を話す。

 ため息を吐いた結翔さんは落ち込んでいたが、私が話し始めると真剣な態度で聞く姿勢に入った。

 

 

「実は口寄せ神社のことを調べてて、それでヒントになるかなってスタンプ集めをしてたんです…」

 

「ふーん…」

 

「な、なんですか…?」

 

「思ったより、ちゃんと調べてるのね。ただ、調べてるのが口寄せ神社だなんてね…」

 

「神浜うわさファイルに載ってたりしますか…?」

 

「答える必要はないわ…」

 

「やちよさん…」

 

「あぅ…」

 

 

 語調の強い言葉に、私は一瞬怯んでしまう。

 何と言うか、やちよさんは優しい人だが、同時に厳しい人だ。

 どこかサバサバとしていて、色々なものを割り切っている感じがする。

 

 

 私のそんな様子を見兼ねた結翔さんも、やちよさんに対して呆れた表情を向けている。

 しかし、やちよさんは気にすることなく話を続けた。

 

 

「それ以前にあなたは、うわさから手を引いた方がいい。前にも言ったけど、半端な気持ちで首を突っ込んで痛い目を見ても知らないわよ?」

 

 

「でも…」

 

「私が何を言っても、調べるでしょうね…。本当に、嫌な所ばかり似てるわね

 

 

 小さく呟いた声は聞こえなかったが、諦めの着いた表情からは、もう無理矢理にでも止める意思はないらしい。

 私はそれに、少しの安堵を覚えた。

 結翔さんが味方をしてくれるとは思うけど、何度も狙われるのは流石にごめんだ。

 

 

「はい、ういを見つけるチャンスかもしれませんし…」

 

「妹のことになると本当に頑固なんだから」

 

「あの、やちよさんは…」

 

「なに?」

 

「やちよさんはどうしてイベントに参加したんですか?」

 

「それも、答える必要はないわ」

 

「……ごめんね。こればかりは、俺も答えられないよ。結構デリケートな問題だから」

 

「これもですか………分かりました。でも、最後まで調べるつもりなんですよね?」

 

「えぇ、そのつもりよ」

 

 

 良かった。

 だったら、運が向いてくるかもしれない。

 私の紙はAだけど、二人の紙がもしBだったら……

 

 

「それならあの、私…Aなんです!」

 

「何を急に…って、そういうこと? 私は…」

 

「一応、俺のも……」

 

 

 書いてあるAとBを確認するのに、さして時間は掛からない。

 数秒もしない内に、二人から同じ答えが返ってきた。

 

 

「何の因果かBよ」

「俺もBだね。ラッキーだよ、いろはちゃんが居て」

 

「それじゃあ!」

 

「はぁ…仕方ないわね…。結翔」

 

「了解です」

 

 

 私が紙を渡して、結翔さんが自分の紙を重ねる。

 またしても、数秒の内に結翔さんから納得の言った声が漏れた。

 そういう事か……と。

 

 

「なるほどね。なんてことないスポットだ」

 

「分かるんですか?」

 

「まぁね。付いてきて、案内するから。……良いですよね?」

 

「えぇ、構わないわ」

 

「やった!」

 

 

 嬉しさのあまり浮き足立った私は、先に体が動き出してある物が落ちた。

 それをやちよさん言われて気付いた。

 

 

「何か落としたわよ?」

 

「え…?」

 

「この、ノートあなたのでしょ?」

 

「あはゃっ!? あの、これは!」

 

「何を慌ててるの?」

 

「慌ててまひぇん! ただの宿題ですから…!」

 

「………………そう?」

 

「…………え? 何この厨二病黒歴史ノート拾った時の反応見たいの。嘘、まさか、いろはちゃん……」

 

 

 動揺が激しすぎた所為か、案内しようとしてくれた結翔さんにあらぬ誤解をされた気がするが、その時の私には誤解に気づく余裕はなかった。

 

 

 誤解を解いたのは、少しあとの話である。

 

 

 ──結翔──

 

 水名神社、内苑と外苑に分かれているほどの大きく立派な神社。

 そこそこの知名度があり、訪れる人も少なくない。

 かく言う俺も、初詣に来た事が何度かある程だ。

 

 

「ここがゴール…すごく大きい神社ですね…」

 

「内苑と外苑に分かれているぐらい立派な神社よ」

 

「あの、やちよさん…。もしかしてこの神社が、口寄せ神社だったり…」

 

「だったら良かったんだけどねぇ」

 

「違うんですか…」

 

「俺とやちよさんが調べた限りじゃ違うかな、何も起きなかったし」

 

「それに、元々は縁結びとは関係がない神社だから」

 

「でも、スタンプラリーの話は本当かもしれませんよね?」

 

 

 ガッカリそうな表情のいろはちゃんだが、これで挫けるような玉じゃないらしい。

 何か掴もうと、必死になっている目が見て取れる。

 ……奔走してるのはどっちも同じか。

 

 

 仲間を探しているやちよさんも、妹を探しているいろはちゃんも、被害者を増やさないようにウワサを潰そうとする俺も。

 必死なのは──諦めずにもがいているのは同じだ。

 

 

「どうだろうね、結局何も起きなかったし。……まぁ、それだと多分、神様じゃなくて、民話が影響してるのかも。伝説や伝承とも言うけど」

 

「…本当ですか?」

 

「えぇ、本当よ。私も一緒に居たもの」

 

 

 そこで一度会話を切り、中に入る。

 神社に入ると、すぐに巫女さんがやってくる。

 案内の為なんだろうけど、来慣れてるからあんま意味ないな。

 一応……厚意は受け取るが、申し訳ない気分になる。

 

 

「ようこそ、お参りくださいました」

 

「スタンプラリーのゴールってこちらでしょうか」

 

「あ、スタンプラリーに参加してくださった方ですね?」

 

「はい。このスタンプの用紙、こちらで回収していただけますか?」

 

「はい、大丈夫です。確かに、頂戴……あら、両手に花ですね」

 

「言わないで下さいお願いします」

 

 

 用紙を受け取って貰ったのはいいが、要らぬ誤解まで勝手に受け取られてしまった。

 決してそんな関係ではないので、楽しそうにニマニマとこっちを見ないで頂きたい。

 ……いや、マジで本当にっ! 

 

 

「コホン。では、最後に…」

 

「最後に?」

 

「何か?」

 

「な、なんですか」

 

「こちらの神社の中で三人それぞれ想いを伝えあって下さい。今回の景品として縁結びのお守りを差し上げます」

 

「えぇ…?」

 

「なんて恥ずかしい…」

 

「うっそぉん…」

 

 

 傍から見ると、修羅場の始まりだぞ。

 方やモデル業をこなす落ち着いた大学生、方や可愛くて幼さが残る中学生。

 ……地獄かな? 

 

 

「行きましょう、環さん…」

 

「修羅場は御免だ。申し訳ないけど、出よっかいろはちゃん…」

 

「…うぅ、やちよさんって何考えてるか分からないです」

 

「え、言うの?」

 

「へ?」

 

「ふっ、ふふ、あなた素直過ぎるわよ」

 

「あ、ご、ごめんなさい」

 

 

 二人は二人で盛り上がっている。

 これから、俺にも矛先が向くと思うと少しホッコリしそうだが、俺は心臓バクバクだ。

 返しを間違えたら告白と取られかねない。

 ……あれ? 

 やっぱり地獄じゃない? 

 

 

 ……死んだら、怪獣墓場にでも行きたないぁ。

 生のゼットンとかタイラント見たい。

 

 

 俺が遺言と死後のことを考えている間に、話は進む。

 

 

「…はぁ…もういいわ…何でも言いたいこと言って」

 

「な、何でもって言われると…。えぇと…よく分からないけどいい人だなって思ってます…。結翔さんは頼りになる優しい人だなって…」

 

「そう。ちなみに私はあなたと結翔のことこう思ってるわ。怖くなるくらい真っ直ぐだって。さて、あとはあなただけよ結翔」

 

「……俺は、いろはちゃんのこと良い子だなって思ってます。あと、肩に力を入れすぎかなって。やちよさんのことは──昔と変わらず優しい人だなって」

 

「……そう」

 

 

 その後は、お守りを貰って帰って行った。

 帰り道、やちよさんが少し上機嫌に見えたのは、きっと見間違いではないだろう。

 

 




 次回もお楽しみに!

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