まさら「投稿頻度が激減して、みんなも覚えてないから。このテキトーなあらすじも少しは役に立つわね」
しぃ「ひ…酷い言われよう。学校あるんだししょうがないじゃん」
こころ「知ってますよ?家に帰ってきてからの空いた時間、疲れた〜とか言いながらゲームやってるの?」
しぃ「うっ!」
ももこ「しぃが最近忙しく、て投稿頻度が落ちてるけど、ゆっくり待っててくれ。それじゃ、六十七話をどうぞ!」
──結翔──
夜、月明かりと街灯だけが頼りになる闇の時間。
つい数分前に出ていったまさらを追うように、俺も家を出る。
正直、泣きついて止めようとしたこころちゃんを、振り払って来たのは辛い。
だって、しょうがないじゃないか。
今のアイツに敵うのは、この街で俺しか居ない。
即ち、俺しかアイツを──まさらを倒せない、と言う事だ。
加えて、こころちゃんにとって、まさらはかけがえのない親友、戦うことなんてきっと出来ない。
決め付けだと言われても仕方ないと思うが、事実そうなる事は明白だ。
生来、俺と同じで、彼女は人を傷付ける事に向いてない。
時間が経てば経つほど、同種の人間だと分かる。
だから、置いて来た。
それに、負けるとは限らない。
調整屋で話した事の中には二つの嘘がある。
一つは『気まぐれアサシンのうわさ』の、能力…と言うより特性の話だ。
自分が敵だと認識した者以外からの攻撃を通さない、そう言ったが、本来は通さないのではなく極端に通り辛いだけで、一応ダメージは入る。
……まぁ、前回は全くダメージが入った様子は見えなかったけどな。
そして、もう一つの嘘は、ウワサを倒せる確率が1%あるかないか、って言う話だ。
…やろうと思えば、俺は確率を五分まで持って行ける。
命懸けの勝負になるが……いつもの事だ。
過去のヒーローたちの炎の力を、全て借りて成れる一時的な強化フォーム……みたいなもんだ。
持つ時間はキッカリ三分。
元々、三分しか戦えないヒーローたちも混じってるから、ちゃんと三分力が持つだけマシだ。
…勿論、デメリットはある。
体調が絶望的な今の状態で、変身解除させられたら、死ぬのは確定事項だろう。
でも、方法はこれしかない。
やらなけきゃ勝てないなら、やるしかないんだ。
自分自身にそう言い聞かせながら、まさらの背中を追っていく。
やがて辿り着いた場所は、いつもの建設放棄地だった。
「なんだよ、最初っから気付いてたのか?」
「後ろを歩かれて、気付かれない方がどうかしてる」
「…なるほど、一理あるな」
カラカラと笑い、彼女の言葉を流す。
癪に障ったのか、まさらは既にウワサを纏った状態に変身している。
…でも、前回までのとは違うな。
体の所々に青白い炎が点っている。
まるで、体を守る鎧のように。
不気味な感覚が肌に刺さるが、関係ない。
「変身!!」
そう言って、俺も姿を変える。
俺にとっての『変身』は、理想の自分に──憧れのヒーローになる為の言葉。
簡単に言えば、今より強い自分になる為の言葉だ。
着慣れた、昔の踊り子のような黄色い衣装に身を包むと、赤いラインが引かれていた部分に豪炎が点る。
それと同時に、まさらと同じように、体の所々に蒼炎が点る。
対をなすように向かい合う俺たちは、開始の合図もなしに拳を混じえた。
恐らく、一発一発がお互いにとって必殺の一撃。
避けて、受け流して、時には相殺して、防戦をやり過ごし機を見て攻撃に移る。
一歩も引けない戦いだった。
一歩引いた時点で負けが決まるような戦いだった。
蒼炎と豪炎がぶつかり合い、辺りを熱気が包んでいく。
彼女が放つ回し蹴りを屈んで回避し、そこから飛び跳ねるような勢いをつけてアッパーカットを仕掛ける。
だが、まさらも負けじと、上半身を仰け反らせるような形で俺の攻撃を避ける。
チャンスだと思った。
上半身が仰け反った体制が悪いまさらに、俺は上を取っている。
飛び跳ねるような勢いをつけたお陰で、地面から軽く二メートルは浮いていたのだ。
体を捻り、空中で一回転しもう一度勢いをつけ直してから、踵落としを放つ。
避けられない事を悟ったのか、まさらは腕をクロスし防御体制を取ったが……甘い。
それぐらい貫通出来る!!
踵落とし食らったまさらは、体制の悪さから地面に叩き付けられ、全力で背中を打った。
受け身なんて取れやしない、気絶させる勢いでやったつもりだ。
なのに、
「……嘘だろ…マジかよ!?」
彼女は起き上がった。
地面に軽く、クレーターのような陥没地帯が出来ていると言うのに。
……ダメージは確実に入っている、それを証明するように、唇の端からチロチロと血を流してるし、動きもどこかぎこちない。
「そこまでして…何がしたいんだよ、お前は」
「……………………」
「黙り…か」
ウワサを纏っている状態だと、喋れないって事か?
……だったら、一度力づくでウワサを剥がして、話させるしかない。
丁度、残り時間が一分を切った所だしな…。
右手に力を──魔力を集中させる。
徐々に豪炎が集まっていき、やがて俺の右腕全体を覆っていく。
「今、終わらせてやる」
「……………………」
そう言い放つと同時に、俺の拳も放たれる。
豪炎を纏った拳が、あと少しで当たる、そんな時。
「………………助けて」
「──っ!?」
数センチ、あとほんの数センチの所で、俺の拳は止まってしまった。
どうして……どうして!?
今になってその言葉を!!
怒りと困惑が混ざり合う中、不意に聞いた事のある声が響く。
「僕の──いや、僕たちの予想通り。ヒーローさんは手を止めたね」
「だねぇー。察すがわたくしたち! アサシンさーん? そのまま追い込んじゃって〜?」
「キルしたら許さないカラ?」
「……………………」
「…どうして、マギウスがここに? っ!? まさか!」
急いで、辺りの魔力を探る。
すると、出るわ出るわ。
黒羽根や白羽根の判別は少し難しいが、少なくとも十や二十じゃない。
積み上がったコンテナの上でふんぞり返ってるマギウスと…みふゆさん。
その後ろには、白羽根が二人控えている。
十中八九天音姉妹で決まりだろう。
やられた……
囲まれて、逃げ場がない。
もう、残り時間も僅か。
強制変身解除なんてさせられたら、確実に死ぬ。
まさらが俺を殺さなくても、他の誰かが殺す。
酷い詰みの仕方だと、我ながら思う。
用意周到にも程があるよ、全く。
だが、そんな状況をどうでもいいと思わせる程の激痛が、体に走った。
……クソッタレ、腹に入れられた。
込み上げる嘔吐感を我慢して蹲っている内に、二回目の攻撃が俺を襲う。
まさら渾身の前蹴りが、追撃よろしくまた腹に刺さり、後方に吹き飛ばされる。
運が良かったのは、マギウスが居る場所とは反対側、建設放棄地の入口側に吹き飛んだ事。
運が悪かったのは、吹き飛ばされて激突した場所が鉄骨置き場だった事だ。
強打した背中と、前蹴りを入れられた腹を襲った耐え難い痛みが、限界の来ていた魔法少女への変身を解除してしまう。
……ヤバイな、マジで詰んだかもしれない。
項垂れながら、震える身体を無理矢理起こす。
昨日、気絶した時よりか、体調自体はマシな方だが、揺れる欠けた視界とフラつく体はどうにもならない。
「…ははっ、年貢の納め時って感じか?」
「うんうん、そんな感じだよ〜? 邪魔なヒーローさんには──イレギュラーなヒーローさんには、早く退場して欲しいんだよね? ……この世から」
「悪いね。僕たちの計画に、ヒーローさんが居るのは不都合であり、不安要素なんだ。しょうがない事だと割り切って、潔く負けて貰えると助かるよ」
「バットな展開だヨネ、ユウトには? でも、ユウトが最初からこっちにカムしてれば済んだ話だカラ」
「……………………」
まさらとみふゆさんだけは何も言わず、ただこちらを見つめている。
「まだ、何かあるんだろ?」と、問いかけてきているようだ。
……まっ、その通りなんだけどな。
詰む可能性は最初から織り込み済みだよ。
だから、みたま先輩にお願いしたんだ。
メールしてくれってな。
だって、あの話をされたら、絶対みんな来るからな。
「悪いけど、そこどいて!!」
「アタシらは急いでんだよ!!」
「邪魔、しないで下さい!!」
「ちょっと、鶴乃! ももこ! 粟根さんも! 突っ走らないで!」
「…うむ、随分と賑やかだな。自分も混ぜてもらおう」
「か、十七夜さんまで加わらないでくださいよー!」
「結翔のにーちゃん! 助けに来たぞー!」
「わ…私も、居ます!」
……どうしよう、予想してたより多いんだけど。
いや、やちよさんにお願いした時点で、みかづき荘のメンバーの何人かは来ると思ってたけど、まさか全員来るとは…。
まぁ、良いか。
チームみかづき荘に、十七夜さん、ももこ、こころちゃん。
戦力的には十分だ。
「朝には、まだ早いからな。ここからが勝負だぜ」
……戦えないけどな、俺。
──こころ──
結翔さんが出ていった後、数分もしない内に、インターホンが鳴った。
玄関前で立ち尽くしていた私は、一瞬、「結翔さんが帰ってきたのか!?」と、思ったが…結翔さんならインターホンなんて鳴らさない。
何せ、自分の家なんだから、何も言わずに入って来る筈だ。
じゃあ、誰だ?
…私は、恐る恐る玄関ドアを開ける。
するとそこには、ももこさんたちが居た──結翔さんが絆を紡いだ魔法少女仲間が居た。
「…どうしたんですか? 結翔さんなら、今は──」
「そのバカヒーローの事で用があるんだ。…悪いけど、一緒に来てくれるか?」
「こころちゃんも一緒に、結翔にお説教しよう!」
「今なら、まだ間に合う筈よ」
「家族なら、絶対に諦めちゃダメだよ。こころちゃん!」
「そうだぞ! 結翔のにーちゃんを一発ガーンとぶん殴ってやろうぜっ!」
「…助けましょう。私たちは結翔さんに、助けて…貰ったんですから」
「自分も賛成だ。借りは返せる内に返さないとな」
なんだか嬉しくて、笑みと同時に涙が零れた。
私の大切な人は、みんなにこんなにも想われてるんだと思うと、嬉しくて堪らなかった。
……行こう。
「結翔さんを助けに、行きましょう!」
『おー!!』
近所迷惑なんて気にしないくらいの声が、夜の街に響く。
まさらも結翔さんも、どっちも助けて…帰るんだ。
私たちの家に!
次回もお楽しみに!
誤字脱字などがありましたらご報告お願いします!
感想や評価、お気に入り登録もお待ちしております!