ハイスクールD×D ~太陽のカラスと龍と赤龍帝~ 作:ソースケ_研究中
俺は今、前に来た総督さんのマンションの一室に居た。前と変わらずゲーム機や遊具などがある男の趣味と言ったテーマが似合いそうなその部屋で、前と違ってちゃんと電気を点けているから明るい。
その部屋で二人は向かい合うようにソファに座り、俺と総督さん白と黒を基調としたは首を守る様な装甲の様なメカパーツっぽいの特殊な端末を首につけ、俺達の身の回りに以前のアーシアの時と同じく大量のホロウィンドウが空中に展開されている。
そして互いが向かい合うように座っている彼等の前にあるテーブルには一メートルくらいの槍と刀、自動拳銃が置かれていた。それは少々機械じみた外見をしており、槍の方は穂先辺りの太刀受けには蜻蛉を模したマークと”TONBO”の文字があり、穂先の形状や太刀受けの白く塗装されている部分が、なんとなくスクールペンのペン先を思わせる形状をしている。刀の方は鍔は黄色く、長方形で鞘の口元辺りも同じ色である以外は先に見た通り、機械じみた灰色の日本刀の外見をしている。
さらに自動拳銃の方はグロック18の外見をしている。総督さんがホロウィンドウを操作しながら
「――――――にしてもこんな端末があるとはな、この”ハードポイント”ってのは一種の神器《セイクリッド・ギア》だな。」
「いや、何でもかんでも不思議アイテムを神器《セイクリッド・ギア》にするなよ。それにこいつは術式技術と科学技術の外装で出来たパソコンみたいなものだ。」
「おいおい、ただのパソコンが簡易的な収納空間、術式の収納から出力まででき、さらに通常のネット回線にアクセスできて出来て神器《セイクリッド・ギア》調整まで出来る。おまけにネット回線の通信料はいらねぇし、アクセスした履歴も残らねぇ、動力は同期した地脈から少々拝借するくらいで使用分は全部地脈に還元されるとくりゃ、十分そうだと思うがね。」
という総督さんの言い分を聞きつつ操作を続ける。
今さっき総督さんが説明した通り、俺達の今、首につけている最近作ったこの端末は一種のPCとしての役割やあらゆる面でのサポートを要点にして作ったものだ。
コイツのプロトタイプはただの術式を付与した紙を媒体にして組んだ簡易PCである為、術式の使用と相手の術に干渉する位の能力しか持っていなかった物を改良。此方で改良、術式付与した電子部品に全部置き換えてグレードアップした代物だ。さらに防水処置もされている。これと同じものをアーシア嬢は前の簡易PCと併用して使っている。
そして俺は、総督さんに”そうかね”というと彼は
「――――――――で、どうだったんだ?」
「・・・どうだったとは?」
「ヴァーリの事だよ。前にアイツに交渉を持ちかけるとか何とか言ってただろう?―――――ソイツがどうなったのか気になってよ。」
「それなら、とりあえず一つ目は成功した。その過程ではっ倒した。」
「はっ倒した?―――――ふ、ふはははははははっ!はっ倒したか!!あの天狗になっていたあのヴァーリ・”ルシファー”の鼻をへし折ってやったか、こいつは良い!!」
「―――――――あ?今なんつった?”ルシファー”だと?」
「アレ、言ってなかったか?ヴァーリは旧魔王”ルシファー”の曾孫で、さらに悪魔と人間のハーフだ。
昔、両親に捨てられたアイツを俺が引き取って育てた。そんでまぁ、俺に似て求道者でな。俺は神器《セイクリッド・ギア》に興味があったんだが、アイツは戦いや強くなる事を選んだ。アイツの目標は”真なる白龍神皇になること”らしいぜ。」
と淡々と説明しだす総督さんを俺は操作の手が止まり、目を見開いて見ている。人間と悪魔のハーフだったのは感知していたが、まさか旧魔王の曾孫だったとはなスペックが高いはずだ。さらに半分人間だから表に出せなかったが、その代わり白龍皇を宿したと言った所か・・・。
暫くして頭を掻きながら作業に戻りながら半目で
「―――――聞いてないぞ。ったく、なんでこう突発的に言うんだ。こいつら親子は・・・。」
「あ、アイツがなんか言ったのか?」
「あの戦闘馬鹿、禍の団《カオス・ブリゲード》に入っているんだとよ。」
「ああ、そうか・・・・。まぁそういう素振り見せてたな、そういや。」
放任主義にも程があるんですが?と言っても言って止まる奴でもないんだけどな。アイツは・・・。だとしてもテロリストは止めろよ。こっちもあっちも面倒臭くなるだろうが。俺が交渉を持ち掛けなければ大変な事になっていたなと言ってもまだ完全に成功したとは言えなんだけどな。
とりあえず、姫さん等の当面の目標は決まっている。今更焦ってもしょうがないし、出来る事をやるしかない。
そして俺が
「でまぁ、そのテロリストどもがトップ会談を襲撃するんだとよ。」
「ふぅん。そいつの対策はどうすんだ?」
「簡単だ。とりあえず予定通り会談をするで良いだろう。こっちはこっちで準備はできている。悪魔側には送ったし、総督さんの方はどうだ?」
「ミカエルんとこには送ったぞ。ああ、近々アイツこっちに来るってよ。お前と赤龍帝に用があるらしい。」
「そいつは好都合だな。俺も向こうに送りたいものがあるんだ。」
「あんときに一緒に送っときゃよかったじゃねぇか。」
「こいつは信用ある奴に渡したいんだ。そのミカエルさんってのは人格者なんだろ?」
「絵に描いたみたいな人格者だよ。アイツに渡しときゃ問題ないだろう。そんなに見込みのある奴が向こうに居んのか?」
そう聞く総督さんの言葉に頷きながら収納空間から、俺が座っているソファの隣に置いていた赤と白を基調としたハードポイントを見て
「というより、個人的に使ってほしいって言うか・・・・・・・・奴には補習だとか言っておきながら何もしていないしな。」
「―――――――はぁ?」
「いや、気にしないでくれ。使う奴は大丈夫だ。潰れてなければ十分に使いこなせるだけの素養ある。」
「―――まぁ、そいつはお前個人のもんだ。そいつをどう使おうと俺が関知する所じゃねえな。」
そう言い彼は、目の前の契約神器《コントラクト・セイクリッド・ギア》に視線を移しながら
「まったく、お前らと組んで正解だったよ。最初は取り入れてみようか程度でしかなかったんだが、流石にこうも神器研究が上手く行くとは思いもしなかった。――――――――俺の契約神器《コントラクト・セイクリッド・ギア》も完成し、新しく作っている神器の出来も良い。
そして今調整しているコレも神滅具《ロンギヌス》クラスの力を持った神器だしな。凄いもんだよ。」
「スペック的にはそれぐらいは出来ると思う。槍と刀の方は中の奴の能力のおかげでやり様によっては禁手化時に事象にも干渉出来るんじゃないだろうか?」
「お前、一体何を目指しているんだ?」
「万物の大敵を相手取る事が出来る武器。」
「事象に干渉し、万物の大敵を屠りし兵器。さしずめ事象兵器《クリエーション・アークエネミー》と言った所か、それならお前さんの太陽龍王の力や月狼女王の力、蒼の力がそうなんじゃねえのか?」
「まぁ、多分そうだと思う。」
そう言って俺はホロウィンドウを消して調整が終わった槍と刀、拳銃を新たに出てきた『収納』と書かれたホロウィンドウに押し込むんでハードポイントの収納空間に収納する。
そしてハードポイントを首から外してイグニスの収納空間に入れて立ち上がり、俺は
「こいつの調整は終わったし、今日は帰るわ。」
「そうか、まぁきりが良いとこだし今日はこの辺にしとくか・・・。」
俺は神器の事になると何時もみたい少年の笑みになる総督さんに帰りに玄関で挨拶してから俺は家路に着く、その頃にはもう真夜中だった。だからと思う、人気は何処にもないのに帰る最中に感じた妙な視線が終始が気になった。
翌日、いつもながら薄い布地の緑のマフラーを首に巻き、猫状態の刀舞を乗せて鳥類なのに死んだ魚の様な目をして眠気眼を擦り、授業を終えた俺達は姫さんに呼ばれて旧校舎のある部屋の前に立っていた。その扉は警察が使っていそうな黄色いテープに『keep out』の文字が書かれているが、それは見た目だけでテープ自体に封印の効果を付加しているようだ。
彼女が言うにはここにアーシア嬢と同じ僧侶《ビショップ》だが、変異の駒《ミューテーション・ピース》を使うほどの能力があるのだが、制御できないから危険で今まで封印していたらしいが夜限定で旧校舎内だけを行き来して良いらしいが、それを拒否している所からして完全な引き籠りになっていると言う。でもこの中でも一番の稼ぎ頭でパソコンを使って特殊な契約を取っているらしい。つまり引き籠りであるが働いている為、一様はニートではないという事か?
そう聞いている俺はなんだか聞いていてイライラとして来ているのを抑えながら姫さんの説明を聞いていると刀舞が
『―――――どうしたんや?気い立っとるみたいやけど・・・。』
「気にすんな。こいつは俺個人の問題だ。私情は挟まねえよ。」
変に嫌な事を思い出す。チラチラと思い出す以前の地霊殿の異変の時の暴走した姉ぇちゃんの笑みが脳裏に浮かび、あの時の止められず、霊夢達を待つことしかできなかった無力な自分を思い出して俺にもこう言う未来があったかもしれないと思うと少しイライラしてしまう。
あの異変は自分のああなってしまうのではないだろうかと恐怖があって力が上手く使えず、ほとんど何もできなかった。そのあと共に克服したが、それでも俺にとっては忌々しい記憶でしかない。早苗には悪いが、その原因を作ったあの妖怪の山の二神にはあまり好きじゃない。嫌いと言っても良い。自分達の思惑で利用されたとなればなおさらだ。たとえ会っても突っかからないがどうやっても憎まれ口しか出ないだろう。
だが、別に今から合う相手が悪いわけではない為、だからこの怒りは俺の勝手でしかない。この怒りをぶつけるのはどう考えたって間違っていると思うから俺は表に出さないように抑えている。
溜め息を吐きながら大分後方で姫さん達のやり取りを見ていると魔法陣が展開され、封印結界を模したテープが剥がれて赤い粒子になって四散し、姫さんが筆頭に閉ざされていた扉を開けると少女のような悲鳴が響き渡り兵藤が驚く
「―――――な、なんだ!?」
それを気にした様子なく、なんか慣れた感じで姫さんが暗い部屋の真ん中にある変に装飾された黒い棺桶に話しかけている。
「御機嫌よう。元気そうでよかったわ。」
「何事なんですかぁ!?」
朱乃嬢が殆ど悲鳴のような声のする棺を開けながら出てくるように諭すが、聞く耳持たないといった感じに声が響き渡る。そうして出来たのは背を向けて寝そべる様に蹲っている首元まである金髪のショートヘアに綺麗な赤みががった濃い紫色の瞳が涙目になっているウチの女子生徒の制服を着ている少女。それを見て女の子だと喜ぶ兵藤。
そして何より気になったのはレミリヤやフランは前は封印状態で出ていなかったが、彼女らと同じ少し尖がった耳にかわいいお口にから覗く尖がった犬歯は、まぎれもなく吸血鬼の象徴である。それを見た俺は答えを口にする。
「なるほど吸血鬼か・・・。でもなんで女物の制服を着ているんだ?」
「はぁ?きゅうけつき?―――――――ってか馬鹿だな霊烏路。お前なぁ、女の子が女物の制服を着いているのは当たり前だろうが。」
「お前に馬鹿なんて言われたかねぇんだよ。ぶち殺してやろうか?テメェの股間センサーは狂ってんのか?それとももう受け入れ態勢なんですか?あのキューティフェイスは男の子だ。いや”男の娘”だ。」
「んだとこらぁぁぁぁぁ!!!!女の子なら何時でも受けれ態勢だよ!!後俺のセンサー正常だぁ!!あんな可愛い子が男なわけねぇだろ!!」
「・・・・そんな事どうでもいいです。――――――― 悠先輩。口で言っても発音同じなんでわかりません。それに何で言い直したんですか?」
「多分、業界的に訂正が入ると思ったから。」
「――――いや、業界って悠君。」
そう言いつつ何故言いなおしたのか聞く小猫の嬢ちゃんと苦笑している木場。
そして目が点になっている兵藤に答える様に姫さんと朱乃嬢が
「この子は男の子よ。」
「――――――え?」
「ええ、間違いありませんわ。悠君の言うには”男の娘”らしいですけど・・・。」
「――――――――え?」
「ほ、本当なんですか?ユウさん。」
「ああ、間違いねぇ。コレでも見る目には自信がある。」
アーシア嬢が俺に聞いている中、兵藤は姫さん、朱乃嬢の順に視線を向けて最後に吸血鬼で男の娘な彼に視線が向けると
「マジっすか?」
「本当よ。この子は見た目は女の子だけど男の子。だけど女装趣味があるからこんな恰好をしているのよ。」
姫さんは彼に近づいて安心させる為だろうか、少し抱き寄せて続ける
「この子は”ギャスパー・ヴラディ”私の眷属。もう一人の僧侶《ビショップ》。一様この学園の一年生でユウの言う通り、転生する前は半分は吸血鬼でもう半分は人間のハーフヴァンパイアよ。」
「ああ、だからユウさんが吸血鬼って言ったんですね。」
「えっ、って嘘だろ!?!吸血鬼!?こいつが!?」
アーシア嬢はそう言われて納得し、兵藤はあまりにも彼の思っているイメージと違うのか吸血鬼である事に驚愕の声を上げる。俺は別にそこまで驚く事はなかった。別に威厳の無い吸血鬼なんて見慣れているし、俺。でも兵藤のダメージはその格好が似合っている分デカいみたいだ。一瞬でもアーシア嬢とヴラディの金髪美少女ダブルビショップを夢見た分さらに効いている。初対面の奴なら、こんな見た目で股に小憎らしいあんちきしょうを装備しているなんて誰も想像しないだろうしな。本人も好きでやっている分、何とも言えない。
そんな事を思っていると落ち込んでいる兵藤の隣で姫さんが
「ギャスパー。お願いだからお外に出ましょう。ね?」
「嫌ですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!」
「ほら、部長が言っているだからさ―――――。」
そう言って兵藤がヴラディの女の子のように細い腕を掴むとそれは起こった。彼の眼が光った同時に周囲の色が変わり、皆が石のように固まってしまった。俺の頭に乗っている刀舞も同じく止まっている。
そして俺は掴まれた腕をどうにか引っこ抜こうと必死になっているヴラディが目に入る。同じく兵藤が止まってしまって掴んだ腕が抜けないようだ。ああ、なるほどね。こいつがヴァーリの言っていた時間停止の神器《セイクリッド・ギア》を持っているのはこいつだったのか・・・。サクヤンと似た感じの力なのにこうも性格が違うとはね。悪戦苦闘している彼に俺が声をかける
「おい。そんな事してないで一度、能力を解けば良いじゃないか?」
「ひぃ!?!!嘘!?!なんで動けるんですか!?!!」
突然、かけられると思っていなかった声に驚き俺の方に視線を向ける。その答えに
「どうしてって言われてもな。動けるとしか言えねぇしな・・・・。」
「――――そんなでたらめなぁ!?!」
《それは我が説明しよう。》
そう言った突然聞こえた声に驚いたように悲鳴を上げるヴラディ。俺の適当な答えの代わりにイグニスが両方の手の甲を横に長い長方形の形に発光させて喋る。
《我らの能力である消滅と浄化の力、我の特性、悠の特性をもってすれば時間停止状態でも直に活動可能だ。》
「えっ!?ええぇっ!?!!」
こいつも断片的にしか説明しないから余計に混乱しているヴラディ。ようは俺の神的要素とイグニスの龍神的要素にパニッシュメントの能力が絡んでくるから簡単に無効化できるらしい。神器は思いによって進化すると言うが、こいつは彼の感情の高ぶりによって誘発されたんだろうな。この空間でも特性と言う抵抗力が強く、さらに自動的に発動した能力のおかげで活動できるようになった。後は動き出す可能性が高いのは赤龍帝である兵藤らしい。で俺は
「その分だと力。ちゃんと制御できないらしいな。」
「あ、あうぅ。は、はいそうです。」
今まで必死になって逃げようとした彼は気まずそうに下を向く、俺は
「で、どうしたいんだ?」
「あ、え?」
「どうしたいんだ?って聞いたんだ。」
「えっと、腕をどうに出来ないでしょうか?」
そう言うので俺はビクつくヴラディを気にした様子もなく、額に術式符を張り付けて起動すると今さっき座っていた場所から、棺桶から出て少し後ろに転移したヴラディは起こった事についていけずに目を丸くして首を可愛く傾げている。
そうして額の術式符を外し、暫くして可愛らしい女の子のような彼の自室の隅まで移動して蹲り始める。今さっきの事を思い出して涙目でぐずっている。どうにか精神を落ち着かせないとどうにもならんなと思った俺は後頭部に精神安定用の術式符を張り付ける。
「へぇ!?今何をしたんですか!?」
「精神を安定させるもんだ。少しすれば、神器の影響も消えて元に戻る。」
「今さっきの何時の間にか移動した紙と同じものなんですか?」
「まぁそんなもんだ。」
そう言う俺を不思議そうな眼で見ているヴラディに俺は、落ち着くまで暇だったからその場に座り込んで収納空間から部品を取り出して何かを作り始めた。硬質な金属等の擦れる音を聞きながらヴラディは俺が次々と部品を組んで、形になってきている物を興味あり気に見ていた。
そして数十分経って、出来上がったオレンジ色と白が基調の首につけるメカっぽいパーツの目立つ機械が気になって彼は
「そ、それは何なんですか?」
「うん?これはハードポイントって言ってな。簡単に言えばパソコンだ。」
「え?こんなのがパソコンなんですか?」
そう言いつつ、起動させると俺とヴラディの中間、空中に二つのホロウィンドウが展開して『地脈に同期中:暫くお待ちください』と『ネット回線:接続中』言う文字が表示されていた。それが暫く続くと同期と接続が完了したのか、二つのホロウィンドウが消えて代わりに一枚の彼の見覚えのある検索サイトを表示したホロウィンドウが展開されたのを見て
「す、すごい!?本当にパソコンなんだ。どうやって操作するんですか?」
「ここのアイコンを押すとキーボードが展開されるからそいつで文字を打って、見たい所を指で押せばいい。」
「画面は空中投影でさらにタッチパネル式なんて本当に凄いスペックですね!!このパソコン!!」
「さらに前に使っていたパソコンの環境を全部こいつでインストールできるぞ。」
俺はつければ首の後ろ辺りになる丁度、真後ろにある台形のパーツを押すと開いて接続端子があり、それを繋げる約一メートルほどの接続ケーブルと一緒に彼に渡す。
疑問を浮かべるような表情になっているヴラディに
「こいつをやるよ。今日会った記念とでも思ってくれていい。」
「え!?良いですか!?こんなそうな高価な物!?!」
「部品を加工した物だから金はかかってねぇよ。まぁ、どうしてもって言うなら少し勇気を出してくんねぇか?」
「―――――え?」
「皆だって、これから眷属としても仲間としても友としても、お前と仲良くなりたいだろうからな。」
そう言うと表情が曇り、何かを思い出す様に彼は
「でも、僕には無理ですよ・・・・。僕と一緒に居たら全部止まっちゃいます。僕はもう止まった友達の顔は見たくないんです。」
それはかつての俺を幻視させる言葉だった。自分の無力さに嘆いているばかりで何もしようとして居いなかった俺の姿を思い出させる。だからだったのだろうか、溜め息交じりに自然と声を出してた
「はぁ、お前さんが自分の力をどう思っているなんて俺にとっちゃ関係ねえよ。」
「そ、そんなぁ・・・・。」
「だが、本当に”自分を変えたい”ってんなら俺に言いな。」
「―――――え?」
「そん時は俺がどうにかしてやる。―――――――力の制御が出来る様にしてやるがお前に覚悟があると思って接する。泣こううが喚こうが、容赦はしねぇからな。だからちゃんと考えた末で決めろ。」
「・・・・・。」
そう言って立ち上がり元の今さっき立っていた場所に戻り始める。もうそろそろ精神が安定しだす頃だからあんな所に座ってたら不自然だ。俺が今さっき立っていた場所に戻ろうとした時、不意に声をかけられる。
「あ、あのぉ・・・・。」
「――――――うん?」
「え、えっとぉ・・・・。あなたをお名前は―――――。」
「俺は悠だ。霊烏路 悠。俺はここの二年でグレモリーで傭兵をやっている人でカラスで龍だ。――――――――よろしくな。泣き虫半吸血鬼。」
さらに彼は声をかけようとしたが、既に安心しきった彼の心に反応しなくなった神器《セイクリッドギア》がその活動を停止しようしていた。
そして時は動き出す。兵藤達はきょろきょろと辺りを見渡してヴラディを探し、部屋の隅に居るのを発見する。
姫さん等の会話を聞くと彼の神器は停止世界の邪眼《フォービトゥン・バロール・ビュー》と言うらしい相応しいというかなんというか、どっかの一説にはバロールは女装していたという物がある。後天的か先天的か知らないが、そう言う要素まで似るんかね。これは・・・?俺は面倒そうに頭の後ろを掻きながら
「―――――今日は先に上がらせて貰うわ。」
「え、ちょっと!ユウ!!」
「悪いな。用事がこれだけだってんなら帰らせて貰うぜ。俺には俺の用事があるんだ。」
そう言って俺は止める言葉を聞かずにアーシア嬢に刀舞を渡して扉の方に行き、そのまま扉を開けて思い出したように俺は
「あ、ゼノヴィア嬢。」
「なんだ?霊烏路。」
「俺が作った。お前の新しい武器だ。―――――――――使い方は胸でも何でもいいから体に押し込んどけ、後は眠った時に中の奴が説明してくれる。後合わないと思ったら強制的に出てくるから心配するな。ホレ!」
そう言って俺は収納空間から静かに燃えるように青い輝きを持った宝玉をゼノヴィア嬢に投げ渡し、彼女がそれを受け取る頃には俺はその場を後にし、部屋を出るが追ってくる者は居なかった。
そう言って出ていった悠に対してイッセーは
「いくらいそがしいからってちょっとは新しい仲間に関心を持てよ。」
「そう言わないの。イッセー。彼は私達の為に頑張っているんだから、と言っても少し彼にしては不干渉的すぎるとは思うけど・・・。――――――――ゼノヴィア。宝玉から赤龍帝の籠手《ブーテッド・ギア》に似た。かなり強い力を感じるけど、それって神器《セイクリッド・ギア》なの?」
リアスは渡された宝玉を見ているゼノヴィアに視線を向けて
「彼の言い分だとそうみたいだな。それでは試しに――――。」
「大丈夫だと思うけど、ちょっと抵抗感無さすぎじゃないかな?」
「・・・・あぶなければ、出てくると言っていましたから大丈夫と思います。」
「ユウさんは神器《セイクリッド・ギア》まで作れるようになるなんてホント凄いです。私も頑張らないといけませんね。」
ゼノヴィアが宝玉を自分の胸に入れていくのを苦笑しながら木場が言い。それ心配が無いと小猫が言いって、アーシアは悠が神器を作った事に自分も頑張らないといけないと言う。
そんな中、朱乃はギャスパーが持っている物に視線が行き
「あのギャスパー君。それは・・・?」
「あ、これは今さっき、先輩が・・・・。」
それを聞いて少し彼女は驚く様に眼を見開くと直に何時もの笑みに戻るが、彼女は少し優しそうな顔をして
「あらあら、ホントあの方は何も言いませんわね。」
「―――――え?」
「彼は気の向くまま心の行くままに勝手に動いている方です。貴方に彼が何かしら手助けのような行為をしてもそれを他者に言う必要がなければ特に喋りません。
まぁ、そのような感じであの人は最低限の事しか喋ったりしない所為で誤解されやすいんですの。」
「あ、あの、先輩はどう言った人なんですか?」
「悠君はちゃらんぽらんで面倒臭がりで、貧乏性でドケチ、変な所で繊細な性格のどうしようもない駄目な人ですわ。」
あんな言葉をかけられた本人からしたらそういう風には見えなかった。そう聞いたギャスパーは少しがっかりしてしまうのだが、朱乃は続ける様に言う
「―――――ですが、ここぞと言った所で何時も強く温かく輝く魂を持った太陽のような人ですわ。」
「せ、先輩をし、信じているんですか?皆も・・・。」
「ええ、前まではそうでもなかったんですが、少しづつ彼がそうであると分かったきたんです。でも何時も肝心な所を話さないので、そこは直して欲しいのですけれどね。」
そう言って苦笑交じりに笑う彼女。それを見て彼は本当に信頼されているのだと思う。
そしてああやって言葉をかけてくれたのも本心から出た言葉。自分の力を制御したいと本当に思うなら自分に声をかけろと言った言葉が彼の心に深く残った。
そうして出て言った。俺は帰路に足を向けていると黒い浴衣姿に同じ色の袢纏を羽織った総督さんが此方に歩いて来ていた。
そして俺に気づくなり、片手を上げて軽く挨拶するように
「おお、よお。太陽龍王じゃねぇか、帰りか?」
「そう言うアンタはこんなとこで何やってんだよ?闇討ちされても助けてやれねえぞ。」
「おいおい。この俺様が何処の馬の骨かわかんねえ奴に遅れを取るとか言いてぇのか?」
「本体が出てくるとは思わねぇが、黒き獣関連でやべぇ奴が二人付いているから気をつけろって言ってんの。」
「”黒の巫女”と”冥王の剣”の事だろう?分かってるって。」
以前アースラとは戦って実力は知っているが、それでもさらに強くなっている事を考えると少しヤバいし、もう一人の方はラグナからエスと同タイプのヤツだと聞いている。
両方ともかなりの強者な上にアースラ同様、もう片方もあの能力を使えるのであればかなり危険だ。
そう思っていると気さくな笑みを見せながら総督さんが
「おいおい。いつもの余裕はどうした?顔が怖くなってるぜ。」
「うん?ああ、こっちの個人的な問題だ。気にするな。」
「そうかい。」
「それよりアンタ。この方角だと学園に何か用か?」
「まぁな。少し散歩がてら報告にあった聖魔剣を見に行こうかと思ってな。」
それを聞いて俺は溜め息を吐きながら呆れた様な顔で
「アンタ自分の立場わかって言ってるんだろうが、程々にしてくれよ。後、兵藤以外には神器の件はまだ他の奴には内密に頼む。」
「そう心配すんじゃあねぇよ。分かってる分かっている。」
そう言いながら総督さんは俺に近づいていき、俺の肩を叩いた瞬間
――――――――――――――お前には借りがある。死ぬんじゃねえぞ。
そう言ってその場を後にする。うるせぇ、言われなくてもこんな所で死ぬ気はねぇよ。そう思ったが口には出さずに俺はそのまま歩み始める。
そして暫くして日も暮れ始め、全然出てこない為か、俺が出てきやすいように人通りを避けた場所を歩いているにも拘らず一向に出てこない。
そして街灯が点き始める頃になっても動きが無いまま視線があるだけで何もしてこない。さらにこっちはずっと歩き通しだ。いい加減にしてくれと思い今まで溜めていたイライラが爆発し、俺は立ち止まって声を上げる。
「おい!!もう日が落ちてんだけど?いい加減に出てきて来んねぇかな?俺、家帰りてぇんだけど!!ここ最近
こそこそ俺の方を見やがって一体何なんですか?ストーカー被害に会う事なんて身に覚えがないんですが!!どうなんだよ答えろよ!!コノヤロォォォォォォォォォォ!!!!!」
日が落ちた大きな橋の中心で叫ぶ男が一人。明らかに人通り無いと言っても誰もいなければ独り言以外の何物でもないし、それを叫んでいる彼が変質者に思われてもしょうがない。それか自意識過剰な馬鹿。
だが、大分離れた川辺の大きな橋まで歩いてくるのに大分時間がかかった。行き当たりばったりで人気のない場所を彼方此方歩き回ったが出てこない。さらにこの時間帯になってまで見ているだけとなるといい加減にして欲しいと思うのが本音である。
そんな事を思っていると後ろに降り立つような足音と身につけている物が擦れるような音に俺は振り向くと俺より少し大柄な影が
「まったくこんな所で大声出すんじゃねぇよ。馬鹿野郎。――――――――こっちは監視だけで対象と接触はもう少し後にするつもりだったが、まっ、気づかれてんじゃあしょうがねぇか。我、あんまし気配消すのは得意じゃねってのに・・・。」
そう悪態をつきながら姿を現したのは、背の高い悠とラグナより少し大きいオールバックに決めた黒髪の大柄の男。眉毛の先が毛羽立っており、獣の様な三白眼にすうっと通った鼻に、口元は野性的な笑みを浮かべ、獣のような歯が見える凛々しい顔つき、頭には額当て、草摺の様なプロテクターなどを加えて少しタクティカルベスト風に改造された胴甲冑。
鎧の下に裾が足首の度ある羽織、袈裟の順にを着て、左肩から大きな数珠を掛け、籠手、帯で腰のあたりで縛って絞っており、脛当て、足袋にサンダルを合体させたようなシューズを履いている。
そして穂先の大きなの和槍を持った鎧武者がそこに立っていた。俺は明らかに残念そうな声だすが、表情が食い違ったおり、嬉しそうな好戦的な笑みを浮かべているその男に
「まるで俺を抹殺するみてぇな口ぶりだな?」
「あ?我が人間だからって舐めてんのか?」
やっぱし今さっきから感じている感覚は間違っていないようだ。こいつ人間だ。だけど普通の人間にしては感じる覇気というか、闘気と言うか、そう言うのが全然違う。そんでアイツが持ってるあの槍。なんか凄く嫌な感じがする。俺が警戒していると彼は力強く片手で持った和槍の石突をコンクリートに突き立てる様に振り下ろし、コンクリートが砕ける
そして彼は謳うように声を張り上げる。
「まぁ良い。――――――我は東国無双!!本多 忠勝!!悪いが、お命頂戴つかまつる!!」
「はぁ?本多 忠勝だと?――――――――うわぁ!?!!!」
忠勝?は穂先の大きい和槍を手の中で回し、柄を長く持って刃を顔面に此方に突き込んで来るのを俺は寸前の所で避け、後方に飛びながら直に太陽龍王の剛爪《ソーラー・ステーク》を展開し、追撃に迫ってくる刃をステークの切っ先で受け止める。だが、明らかに人間の身体能力を超えた動きと強さを感じる。俺は一度ステークを引いて刃の腹を裏拳気味にステークで弾き飛ばし、一気に間合いを詰めて肘を折る様にステークを構える。
「―――――――――いけぇ!!!」
「―――――――――甘めぇんだよ!!」
その声が響いた時には突き出すステークを上手く柄を盾にする事で受け止め、後ろに引き、受け流す様に俺の突き出すステークを柄の上を滑らせる。
そして俺の前に進む力を利用して体を入れ替えるように槍の柄で俺の背を叩き飛ばす。
「――――――――――がぁ!?!」
「その隙貰うぞ!!」
前のめり吹き飛んだ俺に刃を突き出してくる。どうにか回避する為に地面に手を突いて一度肘を折り、突き出して前に宙返りするように飛び上がって突き出して来る槍を回避する。俺は膝を折って着地してさらに奴から距離を取る様に飛び退き、反転して俺はステークを構えながら向き合う。なんだあの槍捌き、こっちの間合い立ってのに普通に受け流された。舐めたつもりも無い本気でやった。ただ身体能力がずば抜けた人間程度ならそこまで苦戦しそうにないんだが、この動きは先生がやっていた劣っている者がそれを補う様に考えられた動き、その思想に共通するものがある、だが・・・。
「―――――――――――お前、何なんだ?」
「何だとは何だ?我は名乗っただろう。本多忠勝だと・・・・。」
「昔の武将の名前を普通、個人の名前だとは思えねぇよ。偽名かなんかか?」
「ちげぇよ。我は本多忠勝の子孫だけど本命も本多忠勝なんだよ。」
「――――――はぁ?」
「当時の事を夢の中で見るっつうか、それが何なのかわかったのが大分前だったんだけどな。」
はぁ?本多忠勝の子孫だぁ?訳が分からん。ずば抜けた身体能力の理由が忠勝の子孫だからって身につくものなのか?槍捌きは自分の体が覚えていたという事で納得するとしても、コイツの動きは人外相手の戦いにかなり慣れている。場数はかなり踏んでいると考えていいだろうな。俺は思考を戦闘のものに変えるとそれに気づく様に好戦的な笑みが深くなる
「―――――お前が何であろうとこんな所で死ぬわけにはいかん。行くぞ。」
「いいねぇ、その目。―――――――――俄然やる気になってきたぜ。」
俺はマシンキャノンを突き出そうとするが、その前に柄を長く持った槍の穂先が突き込まれ、丁度銃口に入る様に突っ込んでくる。
それを三本の銃身で挟んで進行方向を変え、右肩に担ぐような位置に槍を持っていき、火花を散らせながら抑え込んだ状態で突っ込む。
そこで槍が使えなくなった所で間合いに入った俺は一度、右腕をコンパクトにショートアッパーで弾き飛ばし、そのままステークを突き出そうと左足を踏み込むが、忠勝に足払いをされる。それをどうにか踏ん張ったが重心がずれた状態でステークを突き出すのが遅れてしまう。
「―――――――――!?」
「――――――――このぉ!!」
その頃には弾かれた槍を盾にするまでに余裕があり、完全に受け止められ、一度引いて槍の柄でステークを下からかち上げられてしまう。そこで直に後方に飛ぶと右から横薙ぎ振られた刃が目に入る。
そして着地したと同時に重機関銃のように連続して突き出される刃。
「――――――――――――――そらそらぁ!!いくぜぇ!!!」
「―――――――――――――っちぃ!!?」
俺は致命傷だけ避ける様に動くが、だんだんと服を切り裂き、俺は直撃コースだけをステークで逸らせる。身体能力以上に技量も伴って余計に強い。つか、コレ帰ったらどう説明すんだよ。ヴァーリの時は鎧着てたからよかったけど、コレはどう言い訳したらいいだよ。ここまで服をボロボロにして帰ったら何かあったと思われる・・・・・とか今考えている暇はないか!!
そして俺は槍の切っ先にステークの切っ先をぶつけて止める。甲高い金属と金属のぶつかり合う音が辺りに響き渡る。向こうは無傷、こっちは一様、服に無数の傷を作るだけに収まっている。何時もこのパターンだよなホント・・・。思った以上に高い身体能力に技量がこれじゃ俺が劣っている。禁手化するか?だが、こんな事で禁手化してたらダメだよなぁやっぱ。偉い肩書を持ってても劣っているのはいつもの事、別に驚く事じゃねぇ。力の制限だけでも解ければ良いのだが、こんな所で全力全開って訳にもいかねぇし、特にあの槍が気にいらねぇ、何か嫌な感じが匂いやがる上に今さっきから忠勝の力を増幅しているようにも見える。さらに長物の死角の対応も熟知してるのは流石と言うか、まったく如何したもんかねぇ。
能力無しの身体能力では大差をつけられ始めているし、さらに技量でもと言った所か・・・。
「いつもながらの分の悪い賭けだ。――――――だが嫌いじゃない。」
「ノリノリじゃねぇか。ええ?」
「―――――まぁな。いくぞ!!」
「―――――ああ!!」
そう言って互いにぶつかり合う。推進機は無くてもその代わりに防御力と脚力が強化されている。服を傷付けられようと肉が切り裂き、血を流していなければどうにでもなる。加速する俺に対応するように向こうも速度が増して行く、閃光がぶつかり合い。一種の竜巻となってる。
弾けるように互いに距離を取り合って、先に動いた俺はステークを肘を折る様に構えて一気に自分の間合いにまで躍り出る。そうして前に出てきた俺に対して忠勝は上段から刃を叩きつける様に和槍を振り下ろすが、それを読んでいた俺は後方にステップを踏んで前に飛んで穂先の上に片足で降り立つ。
「我の槍を足場に――――――!?」
「まだまだこれくらい―――――!」
そう言う俺は足に力を入れて一度膝を折って、そのまま力強く奴の後方に飛ぶ。
そして着地して反転すると背中に風穴を開ける為に自分の間合いまで詰め寄る。それに応戦する様に背を向けたまま持っている槍の石突で突いて来る。
「――――――だから甘ぇって言ってんだろうが!!」
「そうか、ならまずはその得物から撃ち抜く!!」
俺は狙いを石突に変えてステークの切っ先を中心に叩き込み、撃発させる。腕を突き出す事で加速し、炸裂して突き出るステークは石突だけでなく、槍自体を破壊する程の衝撃を伝える。
だが、突き出された石突に変化は無く、槍自体にも欠ける所か罅すら入っていない。奴の持っている槍は一体なんで出来ているんだ!?
「――――――――――がぁ!?」
それでもステークの一撃から生じた衝撃は尋常ではない。忠勝はしっかりと槍を保持する事が出来ずに弾き飛ばされる。
仮にも武将の名を名乗る人物が自分の得物を取り落とすとは思いもしなかったが、渾身の一撃を叩き込んだにしてはつりが合わない。本当はあの一撃で槍を完全にと言わないが破壊するつもりで叩き込んだ。
疑問は残るが、今は
「―――――――――ここでぇ!!」
「―――――――――くそぉ!!?」
そして離れた場所でそれを宥めている者が居た。それは蛇に様な雰囲気を持つ頭に白い帯の中折れ帽を被った緑髪の黒いスーツの男。”ハザマ”彼に寄り添うように居る黒いマントで身を隠した青髪に赤いメッシュの入った長髪の女。アースラがその戦いを見ていた。
そしてアースラが
「あのような者にあの槍を渡してよかったのですか?」
「ええ、良いのですよアースラさん。彼は弱いですが素質はある。あんなイロモノヒーロー共よりよっぽど使えますからね。それに彼の命令、命の恩人だからって扱いが鉄砲玉なんてあんまりですよ。だから・・・・。」
切れの長い糸目が少し開き、獲物を見るようなぎらついた金色の瞳が姿を現す。
「せめて忠義位は果たさせてあげようとお膳立てをしたまでですよ。―――――対価は彼の魂ですけどね。」
橋の方では弾き飛ばされた槍は忠勝の後方の方で回転し、穂先がコンクリートに突き刺さり、悠が振り向いた彼の喉元でステークの切っ先を止め、構えたまま二人は彼はその動きを止める。
「――――――――コイツで詰めだ。」
「くぅ――――――――!」
そんな膠着している二人に走って近づいている気配があったが、互いに目先相手を睨んで他に意識を向ける余裕はなかった。
そんな彼らを気にする事無く状況は動く、そして女性の叫び声が響く。
「―――――――――忠勝様!!」
その声に視線を向けようとした時、悠とイグニスは感じた。今までの違和感にが何かと答える様に突き刺さった槍から広がる闇、彼が前に感じた物と同じ黒き獣の力。この槍から感じた嫌な感じはコレだったのか。そう思った時には既に何もかもが遅く、闇が染み出す様に辺りを覆い。
そして三人と一緒に橋を丸ごと闇が包み込んだ。
ではまた次回