戦いの世界を生き抜いた女主人公は様々な世界で冒険するようです。 作:銅英雄
「インカの遺跡が見えてきました!」
パラポルトを出て十数日。その間私達はコンキスタ号の人達とコミュニケーションを取りつつも、冒険者としての心得を互いに聞いていた。
カイトの話は私達にとってとても参考になるものだった。御返しとして私達が戦闘の時の戦い方なんかも彼等に教えた。これが後に私達が彼等と敵対した時の面倒事になるのだが、それはまた別の話……。
カイト「いよいよだな……」
ベル「緊張してる?」
カイト「……そうだな。ベルさん達の話を聞いてから武者震いする位にはな」
武者震いって……。まぁ今回の敵は見えない亡霊……。しかも冒険者達に乗り移って相討ちを誘うタイプの相手だ。私達の方は事前に対策しているけど、彼等は出来ているのだろうか?
カイト「それじゃあインカの遺跡に出発!」
その掛け声を皮切りに私達は進んでいった。
~そして~
インカの遺跡に着いた訳だけど……。
ベル(な、なんだこれは!?この遺跡の至る箇所に亡霊が……っていうか亡霊しかいない!)
これじゃあまるでこの遺跡自体が亡霊で出来ている様なものだよ!
カイト「……亡霊らしきものはいないな」
エンゼル「情報がガセだったのかな……?」
ユキコ「そんな事はありません。目に見えないだけで、もう既に私達に接触している可能性は高いでしょう」
レン「ちょっ、ちょっと!怖い事を言わないでくださいよ~!」
ユキコの指摘は概ね正解だ。違う事といえばもうこの遺跡は亡霊まみれだという事。な、なんか寒くなってきた……。
アリス「ベルさん、大丈夫ですか?震えている様ですが……」
ベル「あ、ああ……。うん、大丈夫だよちょっとびっくりしただけだから……」
私はドラゴンボールの世界で霊感が身に付いたけど、それがこんな事になるなんて誰が予測したのか?私こういった耐性は余りないから、顔色も悪くなるよ!
ユキコ「……気配は至る場所にありますから、亡霊自体はもう既にいるでしょう。乗り移られない様に警戒する必要があります」
ジュン「そうなの?見えないから不安になるんだけど……」
ベル「……正直見えるからと言って安心出来るとは限らないよ。今回ばかりは見えない方が良かったのかもしれないね」
もっと言うならこの場所に来ない方が良かったと思うよ。本当にね。
カイト「そんな訳にもいかないだろう。亡霊がさ迷っているなんて危険だ。それが悪霊なら尚更……」
言ったね?言っちゃったね?それなら見て貰おうじゃん!
ベル「……そこまで言うなら見て貰った方が良いね。そうしたら私の言いたい事が伝わるだろうから」
シルヴィア「見るって言ったってどうやって……」
私は鞄から人数分のアイテムを取り出した。私以外ね。
ベル「これを装着すれば幽霊の類いを見る事が出来るよ。私は見えているから、皆で使ってよ」
カイト「ベルさんは亡霊達が見えているのか?」
ベル「うん、だからこれを使う必要がない。でも覚悟しておいてね?」
カイト「な、何を……?」
ベル「これを装着したらもう後戻り出来ないから。……色々な意味でね。引き返すなら今の内だよ」
私の発言を聞いて皆の息が呑まれる音がした。今回の仕事はそれ程のものだからなんだと困惑しているからだろう。
カイト「……それでも引き返す訳にはいかない。俺達はこれを付けて亡霊達が何処にいるのかを確認しておきたい」
カイトの意見に満場一致だった。それなら見て貰った方が早いだろうね。私が顔を青くした理由がわかると思う。
皆がアイテムを装着した瞬間、硬直した。
今回はここまでです。
次回、亡霊を見た皆は……。