戦いの世界を生き抜いた女主人公は様々な世界で冒険するようです。 作:銅英雄
今日も今日とて訓練に勤しんでいる。
ナナ「」シュッ!シュッ!
カカカッ!
ルナ「凄い……。今日も精度完璧だよナナさん!」
ナナ「えへへ……。ありがとう」
訓練室を利用しているのは私とナナ、ルナの3人。
ベル「じゃあ今日はここまでにしようか。ルナもナナを見習って精進するように」
ルナ「はーい」
ナナ「頑張ってねルナちゃん」
訓練が終わり、ルナと別れたら私とナナは私の部屋で話をする。
ベル(これもう3日に1度は必ずやってるよね……)
ナナ「ふぅ……。今日も疲れたぁ……」
ベル「確実に成長していってるよ。あとは土壇場での戦闘で上手く進化を発揮出来れば……」
ナナ「う、うん、頑張るね!」
ベル「期待してるよ」
今日の訓練の反省点を話し合い、そして……。
ベル「……そろそろ良いよ」
私が合図する。
ナナ「……はい、ありがとうございます『ベルさん』」
するとナナは何時ものドジっ娘キャラの仮面を外して、私達が初めて出会った頃の冷徹なナナに戻った。
ベル「もうすぐナナが私達と共にして1年が過ぎるけど、どんな感じ?」
ナナ「……大分慣れてきました。あの仮面にもそこそこの愛着はあるかと」
ベル「まぁ素のナナとは真逆だもんね……」
ちなみにナナの本性を知っているのは私、ミライ、シロ、ユキコの4人。アリスは勘づいてる位で、ナナを問い詰める真似はしない。
ナナ「ですがあの仮面を被る事で色々と学びました」
ベル「みたいだね。これからも大変だろうけど、頑張ってね」
ナナ「はい」
ベル「じゃあ私はちょっと出てくるけど、もう少し此処にいる?」
ナナ「……いえ、私も出ようかと思います。アリスとかに鉢合わせすると面倒なので」
ベル「了解、気を付けてね」
私達は部屋前で別れた。
ナナside
私はナナ。今はベルさん達と共に元カメダ海賊団を仕切っている幹部の1人。……だが私はベルさん達に拾われなければあの時に死んでいただろう。
~回想~
私の家は決して裕福とは言えなかったが、それでも幸せな人生を過ごしていた。しかしある日の事……。私の両親は海賊に殺されてしまった。
身寄りのいない私は施設に預けられて、そこで暮らした。
施設では生活に不自由こそないものの、来るべき海賊達との戦闘に向けて海軍の指揮の元で戦闘訓練を行っている。
戦闘訓練は厳しいものばかりだったが、私は両親を殺した海賊達に復讐したい一心で死にもの狂いで訓練に励んだ。もっと強くなる為に……!
~そして~
それから数年が過ぎて、今日の訓練が終わり村に戻ると……。
「海賊が攻めてきたぞーっ!」
施設のある町に海賊が攻め込んで来た。
ナナ(良い機会だ。海賊は1人残らず駆逐してやる……!)
私のその考えがどれ程甘かったか、この後痛感する事になる。
~そして~
攻め込んで来ているのは世界一極悪非道な海賊と言われているカメダ海賊団。
「はぁっ!」
海賊の何人かが此方に来ているので、私は護身用に持っている短刀で海賊達を迎え撃つ。
ナナ「はっ!」
ズバッ!ズバッ!ズバッ!
ナナ(ふぅ……。これで此処に来た海賊達は片付けた。このまま進めば向こうの頭に会えるだろうか?)
そう思い私は海賊達が来た方向まで走って行った。
ナナ(船は見当たらない。偶々此処に住み込んでいるだけ……?いや、それはない。もしも住み込んでいるのなら、この町はとっくの昔に海賊達の縄張りになっている筈……)
だが船は一隻もない。一体どうなっているんだ!?
???「そこまでです」
この時に私の前に現れたのがカメダ海賊団の情報収集担当のユキコだった。
ナナ(こいつ、一体何処から出てきた!?全く気配を感じなかった……)
ユキコ「貴女が私達に逆らっている人間ですね?」
ナナ「……だったらどうする?」
ユキコ「それなら貴女が私達に仇なす存在かを見極める必要がありますね」
彼女がそう言った瞬間、私の前に踏み込んできた。
ナナ(なっ!速っ!?)
ガキンッ!
ユキコ「今のを防ぐとは……。中々やりますね」
ナナ(こいつ……。恐ろしく強い。油断したら一瞬で殺される!)
カンカンッ!キィンッ!カンカンッ!キィンッ!
ナナ「はぁっ!」
ズバッ!
ユキコ「っ!」
ナナ(よしっ!一撃入れれた!このまま一気に畳み掛ける……!)
???1「へぇ……。ユキコに一撃を入れるとはね」
???2「うちの中でも上位の強さを持つユキコを相手に悪くない戦いぶりね」
ナナ(っ!敵の援軍か!?不味い……。敵の数が増えるとこいつを倒すのがより困難になる……!)
私達の所に来たのがベルさんとミライさん。この時はユキコとの戦いに集中していた為に彼女達の強さがわからなかった。
ユキコ「ベルさん、ミライさん……」
ミライ「良い動きをするわね。彼女」
ベル「そうだね。ユキコと戦っている時も一瞬の油断をしていない」
2人がそう言うとユキコは戦うのを止めて2人のところへ行く。
ユキコ「そちらは終わったようですね」
ミライ「ええ。あとはボスに報告するだけね」
ベル「それよりも彼女と戦わなくて良かったの?」
ユキコ「元より2人か戻ってきたら中断するつもりでした。2人の教えの通り無益な殺生はしませんので……」
私を殺す気がなかっただと……!?
ナナ「舐めるなっ!!」
私は3人の前に思い切り踏み込んだが……。
ユキコ「2人には近付けさせません」
ナナ「くっ……!」
ユキコが私の喉元に短剣を突き付けてきたので、私は足を止める。
ベル「あちゃ~。別に止めなくても良かったのに……。ユキコと互角に戦っている彼女の力を感じたかったから」
ミライ「そうね。折角だからこの目で確かめておきたかったわ」
この2人の闘気と殺気が私に伝わった。その時に私が感じたのは……。
ナナ(こ、この2人は桁が違う……!)
恐怖だった。ベルさんとミライさんは次元が違う。ユキコもかなり強く、下手すれば私は負けていた。しかも2人はそのユキコよりも圧倒的に強く、しかも底が知れない……。
ナナ「」ヘタリ
私は足が震えて座り込んでしまった。
ユキコ「……抵抗を諦めたみたいですが、如何致しましょう?」
ベル「そうだね……。ねぇ」
ナナ「」ビクッ!
ベル「そ、そんなに怯えなくても……」
あんな闘気と殺気を振り撒いておいて怯えるな等と無理を言うな!
ベル「私達と一緒に来ない?待遇は保証するから」
ナナ「……私にカメダ海賊団に入れと?」
ベル「ユキコとの戦いを見た時にピンときたんだよ。私達はまだまだ人員不足でね……。何れ起こる混沌に抗う為の戦力が欲しいんだよ」
何れ起こる混沌だと……?訳のわからない事を。しかしここで逆らえば間違いなく私は殺される……。そう思った私はその提案を受け入れる事に……。
ナナ「……わかりました。私で役に立つのなら、是非」
彼女達が攻め込んで来た時には施設の人間は皆殺しにされた。恐らく彼女達以外の人間によってだろうけど……。
ベル「決まりだね。ユキコ」
ユキコ「はい」
ベル「ユキコには今日からナナに付き添って面倒を見てあげて。ナナが慣れてきたら報告を御願い」
ユキコ「わかりました」
ベル「じゃあ私達と共に来てもらうよ。船に戻ったら仲間を紹介するから。ミライ、今日の戦死者は?」
ミライ「したっぱが30人。何れもナナが殺ったわ」
ベル「そっか……」
このベルさんは闘気と殺気こそは凄まじいが、とても優しい心の持ち主である事もこの時にわかった。ベルさんはそれぞれ仮面を付けて本性をわからなくする為に様々な表情を見せているのだろう。
ナナ(私はこの人達と共にして、もっともっと強くなってみせる……!)
その想いを胸にベルさん達に着いて行く事を決意した。
~現在~
ナナ(あの出会いは私にとって最悪なものだったが、最高なものでもあった。御陰で私は更に強くなった)
とりあえずの目標はユキコを越える事だが、未だに水面を走るという離れ業が出来ん……。
ルナ「あっ、ナナさ~ん!」
甲板で黄昏ているとルナが声をかけてきた。彼女の訓練が終わったところだろうか?
ナナ(……外していた仮面を着け直す。そして手鏡で表情を確認して、大丈夫とわかった私は彼女の方を振り向く)
ナナ「どうしたのルナちゃん?」
ルナ「御飯ですよ!御飯!今日は久し振りに戻ってきているミライさんの手作りだから、早く行かないと無くなっちゃいますよ!」
ナナ「わかった。今行くね」
今日も私は仮面を着けてもう1人の私を演じる。一部の人間はこの仮面を知っていたり、勘づいていたりしているけど、大半は私の事を気弱な人間だと思っている。
ナナ(何れはどんな相手も欺ける仮面を手に入れる……!)
その為にも私は私を押し殺して、もう1人の私が前に出る。それがナナ・ヒイラギの日常だ。
今回はここまでです。
次回、のんびりとした日常の一時……。