戦いの世界を生き抜いた女主人公は様々な世界で冒険するようです。 作:銅英雄
イツキが5つ子の1人だとわかり、ルナは距離を取って戦いを挑むが……。
イツキ1「ファイアアロー!」ボウッ
ルナ「くっ……!」
イツキ3「カースストライク!」ブゥンッ
ルナ「わっ!」
イツキ4「ブレードネット!」ブンッ
ルナ「ひぇっ!」
イツキ2「アイスブラスト!」カッ
ルナ「危なっ!」
イツキ5「ポイズンミスト!」ボボボッ
ルナ「うわわっ……!」
一対一で戦っていた時よりも防戦一方でルナはそれぞれの攻撃をかわすので精一杯。そして……。
イツキ5「今です!アーマーブレイク!!」
ドスッ!
ルナ「がはっ……!」
遂にイツキの攻撃がルナを捉えた。魔法は囮で、拳が本命なのが彼女か……。これは欲しいな。他の4人の実力もかなりのものだし。
ルナ「うぐぐっ……!」
ベル「まだいけそう?」
ルナ「勿論……って言いたいんですが、今の一撃を貰ってしまって戦うには厳しいかもです」
ベル「わかった。あとは私に任せてよ」
ルナ「御願いします……」
ベル「了解。ユキコ、ルナを御願い」
ユキコ「わかりました」
ルナをユキコに任せて私は5人と対峙する。
イツキ1「次は貴女ですか……」
ベル「よろしくね」
イツキ2「アイスブラスト!!」カッ
ベル「リフレクション!」
私は飛んできた氷魔法をそのまま跳ね返した。
イツキ2「しまっ……!」
氷魔法は彼女に直撃して凍りついた。
ベル「これであと4人だね」
ヨウ(強い……。イツキ達では間違いなくベルには勝てない。イツキ達もかなり強いけど、ベルはそれ以上。今のやり取りでそれがわかる)
ユキコ(ベルさんのスペックに気付いた今白旗を上げるか、抗うか……。どう転んでも彼女達ではベルさんに勝つ事は不可能でしょう)
イツキ5「……降参します」
イツキ1「ちょっ!イツキちゃん!?」
……なんか降参してくれた。折角だから、5人の実力を肌で感じたかったのに……。
ベル「そう……?」
イツキ5「はい……。今の動きで私達では貴女に勝てない事がわかってしまいましたので。悔しいですが……!」
ベル「……わかった。ヨウ、ユキコ」
ヨウ「……どうしたの?」
ユキコ「なんでしょうか?」
ベル「2人は近くの宿でルナの治療を」
ユキコ「ベルさんはどうしますか?」
ベル「私はこの5人と少し話がしたい」
ヨウ「……そういう事ならわかった。ベルなら大丈夫だと思うけど、気を付けて……」
ベル「ありがとう」
ヨウとユキコは負傷したルナを連れて近くの宿まで歩いていった。
ベル「さて……」
イツキ5「……私達をどうするつもりですか?」
ベル「ちょっと話をしたいのと、御願いがあるから、それを聞いてほしい。近くの食事処で御飯でも食べながらゆっくりとね。勿論無理にとは言わないよ」
イツキ5「……わかりました。皆はどうしますか?」
イツキ1「イツキちゃんが良いなら大丈夫だよ」
イツキ3「……私も。個人的に興味もあるし」
イツキ4「勿論私も大丈夫!」
イツキ2「……皆が良いなら、私が反対する理由はないわ。ベルとか言ったっけ……?」
ベル「どうしたの?」
イツキ2「食事処を選んだ事を後悔するのね」
えっ?何か不味かった?
~そして~
私達は食事処に来ており、それぞれの自己紹介をする事にしたんだけど……。
イツキ5「おかわりください!」
この子滅茶苦茶食べるなぁ……。私も食べる方だけど、この子は更に凄い。
ベル「……まぁ言いたい事は色々あるけど、とりあえず自己紹介でもしようか。私はベル。よろしくね」
私の紹介が終わると、左の子から順番に紹介を始めた。
イツキ1「まずは私からだね~。イチカだよ。よろしく~」
紹介を終わるとウィッグを外した。イツキ1改めイチカの髪型は薄い桃色のショートカットだった。もしかしてイツキ以外はウィッグを付けてる……?
イツキ2「次は私ね。ニノよ」
続いてウィッグを外したのは氷魔法を放ったイツキ2改めニノ。ツンケンしているのは私が氷魔法を跳ね返したからだろうか?髪型は明るい桃色を長く伸ばしている。
イツキ3「私はミク……。よろしく」
3番目はイツキ3改めミクと名乗るウィッグを外すと茶髪を長めに伸ばして、前髪が目にかかっている少女。うちにもミクがいるから、2人が対面した時が色々とややこしくなりそう……。
イツキ4「はいはーい!次は私ですね!ヨツバです!これからよろしく御願いしまーす!」
その次にウィッグを外すと黄色寄りの橙色の髪型をしたイツキ4改めヨツバ。元気いっぱいなのが見ていて伝わる。こういった元気少女はうちにはいなかったから、ちょっと新鮮……。
イツキ「最後は私ですね。1度名乗っていますが、改めて……。私はイツキと言います。先程は無礼な真似をしてしまい申し訳ありませんでした。後で連れの方にも謝っておきます」
最後に紹介したのが本物のイツキ。前の4人がしていたウィッグのオリジナルで、赤に近い橙色の髪型を長く伸ばしている。そして先程から食べる手を止める事なく、おかわりをしてモグモグと食べていた。
ベル「紹介が終わったところで本題に入るね。……君達の力を貸してほしい」
イツキ「……詳しく教えてください」
シリアスな空気を感じ取ったイツキは食べる手を止めて、私の方に顔を向ける。
ベル「そう遠くない内にこの世界に大事が起こる……。私はそれに備えて仲間を集めているんだ」
イチカ「成程ね~」
ニノ「それでなんで私達なの?」
ベル「先程ルナと戦っている時に5人に見せた連携は事が起こった時の対処がスムーズにいくと思ったからね。そこから出てくる敵ともそれだけの実力があれば充分に戦っていける」
ミク「私達が……」
ヨツバ「そんな事が出来ますかね……?」
ベル「勿論無理にとは言わない。とても危険な事だし、命の保証も出来ない。私が今日連れていた3人もその覚悟は既に済ませているけどね」
私がそう言うと5人は息を呑む。まぁ命に関わる問題だから簡単に首を縦に振る事は出来ないよね……。
イツキ「……私は、ベルさん達に協力しようと思います」
ニノ「イツキ!?」
ベル「……理由は?」
イツキ「今日ベルさんと戦ってわかりました。私はまだまだ弱いと……。私は強くなりたいんです。皆を守れるくらいに……!」
イツキの目に闘志の炎が宿る。……良い気迫だね。これなら合格かな。
ベル「……私としては合格かな。でもこれからは命懸けの日々が続くよ?撤回するなら今しかないけど……」
イツキ「……決めました。私は貴女達と強くなって、大事をも迎撃出来る様になりたいです!」
どうやら本人の意思は固い。イツキ程の腕の持ち主だとカタストロフを迎えても抗う事が出来るだろう。
ベル「イツキは行くみたいだけど、残りの4人はどうするの?」
私が訪ねると少し考える素振りを見せて、4人全員が顔を上げた。
ミク「……私達の意見は全員同じ」
ニノ「正直不安要素が山盛りだけど……」
ヨツバ「可愛い妹の為にも私達は!」
イチカ「5人で1つだからね。だから貴女と共にある事を……」
『誓います!!』
ベル「……そこまで言うなら、私は何も言わない。5人共、これからよろしく」
『はい!!』
さて、これからは5人分の鍛練メニューを考えなくちゃね。
ニノ「……本音を言うとイツキが食べ過ぎたせいで食費がヤバいのよね」
イチカ「だから貧困脱出の為にも仕事とかで稼がなくちゃね」
ヨツバ「ししし!これからイツキの食費はベルさん達に払って貰いましょう!」
ミク「それだけで貧困脱出に大きく近付く」
イツキ「なっ……!」
君達?もしかしてそれが本音じゃないの?良い話が台無しだよ?今回の御飯代も安めの店なのに、10000ペラも減ったんだけど……。通貨が12裏と13裏が一緒で良かった……。
今回はここまでです。
次回、新たな依頼は……?