戦いの世界を生き抜いた女主人公は様々な世界で冒険するようです。 作:銅英雄
悲しそうな顔をした榎本さんは何かを決意した表情で語り始めた。
榎本「……私は2年程前に襲われそうになったの。数人の成人男性に」
十一郎「えっ……?」
2年前という事は小学6年生か。榎本さんを襲ったのは何かしら理由があるのか、はたまたロリコ……げふん!なのか……。
有栖「どうしてそんな事になったのですか?」
榎本「わからないわ。どうして私が襲われそうになったのか。それは2年経った今でも……」
真澄「襲われそうになったって事は未遂で済んだんでしょ?それを助けてくれたのが椿さんって訳?」
ああ……。そういうあれか。それなら榎本さんが椿さんに心を許しているのも理解出来る。
榎本「違うわ。その時に助けてくれたのは青色の変身ヒーローなの」
違うのかよ!……あれ?でも青色の変身ヒーロー……もといブルーの正体って確か椿さんだという説があるよね?後半からジオットにヒーロースーツをパクられていたけど。
十一郎「どういう事だ?椿さんと何か関係あるのか?」
榎本「……私と椿さんが出会ったのは事件の3日後で、私は男性に不信を抱いていたんだけど、何故か椿さんからはあの青色の変身ヒーローと雰囲気が類似してたの」
という事は少なくともこの世界ではブルー=椿さんという方程式が成り立つね。
榎本「そして小学6年生だった私はもうあんな事にならないように強さを求めた……。それで椿さんに頼み込んだの。自分の身を守れるようにもっと強くなりたいって……。そうしたら椿さんは何も言わずに私に身を守る術を教えてくれた。スパイとしてのいろはもね」
鈴音「それで今の榎本さんがいる……って訳だね」
榎本「そうなるね。でも椿さんは違う……」
一呼吸置いた榎本さんは次に椿さんの話をする。
榎本「椿さんは組織に全てを注いだわ。理想も青春も自分の全てを……。でもある日組織は壊滅したの。それ以来帰る故郷がない椿さんはずっと戦い続けているのよ」
十一郎「……椿さんは戦い終える事は出来ないのか?」
榎本「止める気がないのよ。……そして私はそれに着いていく。ずっとずっと……」
真澄「でも普通子供が危険に晒されるんじゃ親は止めるよね?」
確かに神室さんの言う通り実の娘が危険な目に遭うのなら何が何でも止めなければならない。でも……。
有栖「それは心配ないでしょう」
真澄「どういう事?」
有栖「もう既に榎本さんは親が反対意見を出すのをわかっている筈です。そうでなければ榎本さんは今こうしていない。そうですよね?」
榎本「うん……。坂柳さんの言う通りその心配はないわ。親との縁を切って椿さんと一緒にいるの。金銭面も自分で工夫してやり取りしているし」
坂柳さんが言うようにとっくの昔に親元を離れて椿さんと共に行動しているのだろう。
榎本「……この騒動が終わったら椿さんはこの町を離れるわ。それに着いていく形で私もね」
決意の瞳は揺らぐ事はないだろう。椿さんと榎本さんに安らぎが来るのを祈るばかりである。アーメン。
今回はここまでです。
次回、同時刻に未来達は学校に訪れる……。