お節介   作:送検

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最終話

 

 

家に帰ってきた後に始まった麗花のお引越し大作戦は恙無く終わらせることが出来た。

契約諸々を済まし、隣の部屋に荷物を置いて、表札適当に掲げたら麗花の王国の完成だ。

何かマンションの人達に別居とか騒がれてたけど、違うから。そもそもそういう関係じゃないから。

 

「ふー、終わったね〜!!」

 

時は過ぎて春前。

インテリア、家具の置き場所諸々を手伝いながら漸く麗花の王国が完成した3月の末。

明日からは新生活&麗花のアイドル活動初日である。

 

 

オーディションは無事に合格したらしい。

まあ、石嶺プロデューサーが直接スカウトしたくらいだ。

余程のことをしでかさない限り、受からないことはないと思っていたが案の定麗花は合格した。

その際に自作の歌を披露したらしいが、あれは本当にやったのかね。

良く失格にならなかったと心底思うぞ。

 

まあ、何はともあれだ。

 

「これで引越しは終了だ」

 

これからは同居人ではなく隣人。

関係性がさして変わることはないが、生活リズムは変わってくる。

自分で家事も、掃除も、片付けも頑張る。

そして、それは俺も同じことである。

 

「こっくん、私がいなくて大丈夫かな〜」

 

「言ってろ、お前こそしっかり片付けしろよ」

 

折角部屋も綺麗に纏めたのに一週間後には魔窟になってたら泣くぞ。

 

「えへへ、大丈夫だよ。こっくんは心配性だな〜♪」

 

「大丈夫じゃないから心配してるんだがな‥‥‥」

 

「えー、それを言うならこっくんだって心配だよ」

 

麗花のその一言に顔が引き攣る感覚を得る。

確かに、俺が大学生活をまともに送れていたのは少なからず麗花の影響もある。

帰るべき場所に人が居る。

その暖かさは既に実証済みである。

けど───

 

「大丈夫だ。俺だってお前と暮らして成長した。もう1人で居たって負けねえから」

 

昔はダメだったけど、俺だって大人だ。

人並みに生活することだって出来る。

それに、一生いなくなるわけでもあるまい。

その気になれば、何時でも会いに行けるんだからな。

 

「えへへ、そっか」

 

「ああ、信頼してくれて構わないさ」

 

「心配だなー、こっくん割と抜けてるところあるし」

 

「俺が何時お前に抜けた姿を見せたか、しっかり説明してもらおうか北上麗花さんよ」

 

それを言うならお前の方が抜けてるところあるだろうが。

そういうのブーメランって言うんだぞ。

 

さて、雑談も程々に時計を見る。

時刻は6時。

そろそろ帰って晩飯の支度をせねばならない。

以前と違って家事は全て俺がやらねばならなくなったからな。

麗花のありがたみを感じるところだが、いつまでも感傷に浸っている訳にはいかない。

寧ろ大学に入ってからの2年弱、家事を無理なく全て経験出来ただけマシって奴だからな。

 

 

 

「それじゃあ俺はそろそろ帰るけど、マジで自分の部屋を魔窟にするのは止めろよ?絶対だからな?ねえ、お願い。マジで一瞬で汚くするのだけは止めてよね?」

 

「分かった〜♪」

 

信頼出来ねー。

しかし、このまま過保護になるのも良くない。

後はなるようになれ、そんな面持ちで俺は麗花の部屋を後にして自室へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というのが昨日の話だ。

 

今日の俺の朝は上々。

起こす奴もいない。故にゆっくりと朝飯を作り、至福の時を過ごすことに成功する。

さて、本日は大学主催のインターンだ。

スーツに着替えて鞄を提げてネクタイを整えると自然と気持ちが引き締まる感覚がする。

良い傾向である。どんな物事に立ち向かう時でも気を引き締めることは大切だからな。

 

「‥‥‥今度、行ってみてもいいかもな」

 

石嶺プロデューサーに言われたことを、テーブルに置かれた1つの名刺を見ることで思い出す。

幾ら適当なスカウトとはいえ、石嶺プロデューサーなりに誠意を持って応えてくれたのだ。

誠意には誠意で返すべきだし、断ろうが了承しようが1度は連絡すべきだろう。

ま、電話したら電話したで気が付いたらインターン決定───みたいなことになっちまう可能性も無きにしも非ずだが。

 

しかし、麗花は俺のような中途半端な立場ではない。

もう、社会人としての1歩を踏み出しつつある。

何せ、アイドルとして成功してしまえばテレビにも出演出来る。そうしたら麗花は芸能人という職業を確立することになる。

その輝かしいキャリアの1歩目に立っているのだ。

成り行きとはいえ、凄いことだと思う。

 

だからかな。

いや、ぜってーそうだ。

 

心のどこかで、負けたくないという気持ちが溢れだしているのも否めないのだ。

 

これから始まる麗花のアイドル生活。

そして俺は就職に向けてインターンも前向きに検討していく。

 

2人がそれぞれの未来を描いていく。

 

麗花の言葉を借りるなら、これが『夢活』といった所なのだろうな。

 

 

 

「‥‥‥うっしゃ!そろそろ行こう!!」

 

感傷に浸っている場合じゃないということは分かっている。

頬を叩いて気を引き締め直した後、俺は大学に向かうために玄関を後にする。

確りと鍵閉めをしたら、準備は万端。

 

さあ、ここから俺の1歩目が始ま────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ‥‥‥あ、おはようこっくん」

 

「おう、麗花おはよう‥‥‥」

 

隣のドアから出てきた麗花。

やる気があると思いつつ、今できる最大限の笑みで俺は彼女に振り向いた。

が、その笑みは一瞬で凍りつくことになる。

 

 

「‥‥‥は?」

 

Why?

 

ドウシテ、レイカ、ネマギ、ワイ?

 

そんなカタコトが頭の中を駆け巡る。

そうだよ、おかしい。

何故この瞬間、麗花は寝間着姿で新聞取ってんだよ。おかしいだろ。

 

時刻を見る、麗花のレッスン開始時刻は9時。

そして、今の時刻は8時半。

今からじゃあ、全速力で駆け抜けても間に合うか分からぬ。

 

「あれ、こっくんどうしたの?」

 

寝ぼけ眼の麗花がそう尋ねると、俺は途端に現実に引き戻される。

コイツはもしかしたら今日、何の日かということを忘れているのかもしれない。

それを悟ったからこそ、俺は尋ねた。

 

「今日、なんの日だ?」

 

自分でも顔が引き攣ってるのが分かる中、何とか平静を装い、麗花に問う。

すると、麗花は暫し上をポカンと数秒見上げた後、視線を俺に移し、一言。

 

誰よりも明るい笑顔で。

親の顔より見たその溌剌とした立ち振る舞いで。

 

 

 

 

 

「レッスン初日だ〜」

 

 

 

衝撃の一言を言ってのけた。

 

 

 

 

見渡せば広がる青い空。

そんな綺麗な景色を背に、俺と麗花は新たなスタートラインに立つ。

確かに不安だ。目先の見えない暗闇、一寸先はフリーター。そんな怖さが就活にはある。

 

けれど、俺の隣には麗花がいる。

それだけで勇気が湧いてくる。根拠の無い自信に満ち溢れてくる。

どうにかなっちまいそうな気がしてならないのさ。

だから、俺はどんなときも負けやしない。

邁進して、突き進んで、当たって砕けてやるさ。

 

 

ただ、それよりもまずは───

 

 

「こっくん、後で遊びに行こっ♪」

 

 

「そんなことよりも先ずは支度だろうがよぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」

 

 

この問題児にお節介を焼くことから始めようかと思うんだが、どうだかな。

 

 

 

 

 

 




ここまで読んで頂きありがとうございました。
完結するためのパワーが足りず、グダグダになってしまいましたが何とか踏みとどまり、拙いながらもキリの良い所で終わらせることが出来ました。
続きは‥‥‥あれです、文章力の乏しさのせいで書けないです。ごめんなさい。
正直自分の作ったオリ主がプロデューサーやってるのとか想像出来ないし、このままアイドル編やっても更にグダグダしてしまいそうで、手をつけられませんでした。枯太郎君は一生就職活動のまま時が止まるんやで‥‥‥

某兎の小説書いてる作者様本当にリスペクトです。
文章構成力も、キャラの性格を描く表現力も、段違いです。
これからも精進させて頂きます。




それでは、またいつかどこかで。
繰り返しになりますがこの度は当小説をご覧になって頂き本当に、本当にありがとうございました。
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