お節介   作:送検

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書きたいと思った時にササッと書いて、ササッと失踪します。
完結するかは未確定です。


第2話

 

 

 

 

 

北上麗花という女の子について語る上で欠かせないピースというものは、山ほどある。

例えるなら、髪が長くて変な結び方をしていたりとか。

はたまた肺活量が異常な程高く、公園内を長距離マラソンしても汗ばむ程度だとか。

 

そういったように北上麗花という女の子を語ろうと思えば、俺はいくつでもそのピースを見つけ、話すことが出来る。

それだけの仲だ。

それだけ長い年数腐れ縁をやってきた。

 

その中で、北上麗花を語る中で尤も欠かせないピースってのはやっぱり───

 

 

 

 

 

何をしでかすか分からない、年齢と思考がマッチしてない頭の中なんじゃないかと俺は思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「散歩〜♪散歩〜♪歩くの大好き〜♪」

 

「俺達は通学をしているんだがな‥‥‥」

 

朝。

なかなかスイッチの入らない麗花に世話を焼きつつも、何とか大学の1時限目に間に合うであろう時間帯に俺達は通学することが出来た。

マンションは、大学の近くで徒歩10分もすれば辿り着く。電車を使うのもありだが、麗花たっての希望で徒歩に落ち着いた。

俺としては、電車を使いたい気分なのだが麗花から目を離したら何処で道草を食うか分かったもんじゃない。

 

「大体、お前は何時になったら1人で起きれるんだ。いい加減自立をしなさい。部屋だって汚くして‥‥‥」

 

「お母さんみたいだね、こっくん♪」

 

「はっ倒すぞ」

 

笑い事じゃないんだよ。

毎日毎日朝起きて、飯を作って、麗花を起こして、着替えさせて、メシ食わせて、講義受けて、バイト。

そろそろ就活も視野に入れなければならないんだからな。

 

「お前も、自立した後のこと考えとけよ。OLになんのか、何か始めるのか」

 

「将来かー、昔はやりたいこと沢山あったなぁ」

 

ほう、やりたいことね。

麗花は今でも夢で頭の中が1杯のお花畑ガールとでも思っていたのだが、どうやら奴にも諦める力があったらしい。

試しに何したかったのか聞いてみるか。

通学中の暇潰しにはもってこいだろ。

 

「因みに何になりたかったんだ?」

 

「そうだなー、登山家とか!!」

 

おう、登山家か。

今でもお前ならなれそうな気がするけどな。

 

「後は、歌手!」

 

おう、歌手か。

お前ん家のお母さんに似て、歌は上手かったよな。

目指せるんじゃないのか?お前なら。

 

「あと、こっくんのお嫁さん!」

 

ほう、こっくんのお嫁さんね。

先ずは貞操観念から覚えて、肝心な時にパニくる未熟で初心な恋心を鍛えればその夢も達成‥‥‥

 

達成───

 

「ねーよ、アホ」

 

「あう」

 

麗花の頭にチョップを食らわせる。

軽く頭を抑え、てへっと笑う麗花。

こら、舌を出すな。てへぺろしてるお前なんて見とうない。

 

「えへへ、本当だよ?昔は本当にこっくんとずーっと一緒に入れたらなー‥‥‥なんて思ってたんだから」

 

「まあ、現に今も一緒だしな」

 

「夢、叶っちゃったな〜」

 

間接的にはな。

ただ、これから人生は何年と続くんだ。

何時俺が麗花と離れ離れになったとしても、それは不思議ではない。

大体、俺だって麗花がまともに生活出来るようになって、好きな奴でも出来たら離れるつもりだしな。

 

「さあ、こんな所で道草食ってないで、とっとと大学行くぞ」

 

「あ、あの葉っぱ美味しそう!天ぷらにして食べてみない?」

 

「文字通り道草食おうとしてんじゃねえよ」

 

洒落にならんから、本当にヤメロ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかしい」

 

1限目を終えたら、俺と麗花はそれぞれ違う講義室に向かうことになる。

麗花は必修の講義。俺も必修の講義。

しかし、学籍番号の違いで講義室が別々になってしまっている。

幾ら腐れ縁といえども、くっつく確率が100%な訳あるまい。

こうなるのは薄々勘づいていた。

 

 

「で、何がおかしいんだ?」

 

顔を隣の席の野郎に照準を合わせると、男───今どきあまり若者がする髪型ではなかろうロングヘアを後ろで纏めあげている男が俺をじーっと擬音がつくような様子で睨んでいた。

なぜ睨む、何故俺はお前の目の敵にされているんだ。

 

「俺は色んなサークルをやって、男友達も女友達もそれなりに増えた。高校時代、ぼっちで有名だった俺がここまで来れたのはある意味快進撃と言っても過言ではない」

 

そうか。

まあ、快進撃の原因のひとつにその金髪ロングヘアーが入っているのだとしたらこれ程見当違いなこともないのだが、1年生からこの友人とつるんでる俺からしたら、彼は快進撃を起こしたといっても確かに過言にはならない。

依然として、その金髪は受け付けないが。

もっとヘアカラーを落ち着いた色に出来ないもんかね。

 

「おめーにはこの色の良さが分からねえんだよ。結局な、男の価値は1位でこそ輝く。敢闘賞じゃ意味がないんだ」

 

「そう思って一念発起したのがその金髪ロングヘアーってか」

 

「良いか、枯太郎。人は金メダルに憧れる。なら、この金髪も、皆の憧れの象徴なんだ」

 

訳が分からん。

お前さんがあの野球漫画のギブソン並の富と名声と実力を身につけたら、そうなったとしても分からなくもないがチャラいだけのお前に憧れる奴なんて俺はいないと思うがな。

 

「まあ、100歩譲って俺の事はどうでもいいんだよ。問題はお前だ、南宮枯太郎」

 

「俺?」

 

「何で俺に彼女が出来ないで、お前に彼女が出来るんだよ!!おかしい!!現実が可笑しすぎる!!」

 

待て。

冷静になれ。

何処から拾ったそのガセネタ。

 

「うるせえ!!俺は見たんだよ‥‥‥!!あの綺麗な女の子とふたりっきりで‥‥‥仲睦まじく歩いているその様をな!!」

 

まんま今日のネタじゃないか。

 

「お前、まさか俺がその子と付き合ってるとでも言いたいのか?」

 

「付き合ってないとは言わせないぞ!?あんなに密着して‥‥‥しかもお嫁さんとか、そんなことを抜かしてた筈だ!!」

 

「あのな‥‥‥」

 

勘違いも甚だしい。

そもそもの話、麗花はその手のことについて100年は早いと俺を含む他に公言しているんだ。

あの時のお嫁さん発言はジョークだと聞くやつが聞けば分かるし、そもそも数十年前の話で今じゃそんな素振り全く見せないからな。

お前らにとっては過剰なスキンシップも麗花にとっては当たり前。そんな俺達の関係は良くて親友以上彼女未満だから。

 

「断言する。俺とあの女の子は付き合ってはいない」

 

「なんだと‥‥‥?」

 

「ただ、俺はアイツの家族と約束したんだ。東京の大学通わせる引き換えに、俺が麗花の面倒を見るって。ただそれだけだ」

 

本当にそれだけの関係なのだと思う。

約束をして、それを遂行している最中。

その生活の中で俺が麗花の面倒を見ている。

何らおかしなことはないだろ。

 

「ただそれだけ‥‥‥?おまっ、あんな綺麗な女の子の面倒を見るのが、たったそれだけ‥‥‥?」

 

たったそれだけだ。

言っとくがな、こちとら恋愛感情なんてちっとも持っちゃいねえんだ。

そう考えたら腑に落ちないものかね?幾らお似合いだろうと、本人にその気がなけりゃくっつく必要ないのと原理は同じだと思うんだがな。

 

ぶつぶつと何かを呟きながら男は立ち上がる。

そういや此奴の名前なんだったかな───と思っていると、男は涙を浮かべ講義室を出ていった。

 

「このプレイボーイがァァァァァ!!!!」

 

 

去り際に大きな声で、俺を糾弾しながら。

 

解せぬ。

 

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