ビルド×エグゼイド×ラブライブ!サンシャイン!!   作:バース・デイ

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第2話

CR

 

「永夢、止めても無駄だ。俺は行くぜ。」

「ダメだパラド!やめるんだ!」

「永夢、俺はお前。お前は俺。俺の考えてる事、わかるよな?」

「パラド!!」

制止する永夢の手を振り払い、パラドは机の上に置いてあったゲーマドライバーを手に取った。

そうして彼は、意識が戻った千歌がいるベッドまで行くと、彼女の前でゲーマドライバーを構える。

更に、もう片方の手にサインペンを持つと、彼女に向けてゲーマドライバーとサインペンを差し出した。

 

 

「なぁ、サインくれよサイン!ここに、『パラドへ』って書いてくれ!」

 

 

「「……はい?」」

 

キョトンとする千歌と曜。

そこへ永夢がやってきて、パラドからゲーマドライバーを取り上げた。

「パラド……患者にサインねだっちゃダメだよ。しかも、僕のゲーマドライバーに……もしここに黎斗さんがいたら怒られるよ。」

「ゲンムは関係無いだろ!なぁ、お前らってスクールアイドルの『Aqours』…だろ?俺、お前らの事知ってるぜ。今年の春先のラブライブ決勝は心が躍ったなぁ!まさかこの俺がゲーム以外で人間にここまで心を躍らせられるだなんて思ってもみなかったぜ!」

「あ、ありがとうございます……。えっと、色紙とかあれば……。」

「千歌ちゃん、私持ってるよ。」

曜がカバンからサイン色紙を取り出して、そこに自分と千歌のサインを書いてパラドに渡した。

彼は無邪気に喜び、永夢はハァとため息をつく。

「ごめんね。CRの仲間にポッピーっていう子がいるんだけど、その子が歌とか大好きで君達のファンなんだ。それで、その子と一緒に見てるうちにパラドも君達のファンになったみたい。今ポッピーは、今回の非常事態で衛生省の方に行ってるけどね。」

「そうですか。嬉しいな……梨子ちゃんにも、教えてあげたいな…。」

「高海さん、君は今ゲーム病なんだ。バグスターは宿主がストレスを感じるとどんどん強くなる。桜内さんとバグスターの事は僕達に任せて、君は自分の健康の事を考えてて。」

「永夢先生、梨子ちゃんはどうなったんですか?千歌ちゃんのバグスターも、どこに行ったんですか?」

「バグスターの行方は今、衛生省と、CR専属の監察医が追ってるよ。こういうの専門の仲間がいるんだけど、あいにく今アメリカに行っててね。桜内さんの方は………うん、大体の見当は付いてるから、心配しないで。」

「そう、ですか……。」

少し落ち込む曜。

さすがに今の説明だと、納得いかないか。

特に梨子の説明は、自分で苦しいと思う言い訳だった。

彼女は今、ビルドの世界にいる……現状ではどうしようもないが、千歌にストレスを感じさせないためにはある程度真実はボカさなければいけない。

 

 

その頃、CRの外で待機していた2年生組のルビィ、花丸、善子。

「だからヨハネよ。」

「? 善子ちゃん、誰に言ってるずら?」

「何でもないわよ。それより、どうするのよ、これから。ダイヤに連絡、取る?」

「そうずらね……ルビィちゃんはどう思う?」

「ルビィは……、」

スマホの画面には『お姉ちゃん』と表示されている電話番号。

元々今日は、ルビィ一人でダイヤの家に遊びに行くと約束し、実は全員でおしかけてドッキリ、という予定だったのだ。

なのでダイヤは今Aqours全員が東京にいるとも、ましてや千歌がゲーム病で梨子が行方不明という事ももちろん知らない。

もうそろそろいい時間だ……ダイヤから電話が掛かってきてもおかしくないかもしれない。

スマホをもったまま固まるルビィの手の上に、花丸がそっと手を置く。

 

「ルビィちゃんの気持ち、わかるよ。ダイヤちゃんに心配かけたくないずらね?」

「うん……。」

「だったら、言わなければいいじゃない!」

「善子ちゃん?」

「我がリトルデーモンの危機……このヨハネの力で、病魔を滅してくれようぞ!」

「こういう時、空気の読めない善子ちゃんがいると元気がもらえるずら。」

「だからヨハネよ!!っていうか前々から思ってたけど、アンタ私とルビィに対する扱い違い過ぎない!?」

「そんな事ないずらよー。ねー、ルビィちゃん♥」

「それよその対応よ――!!!」

 

 

「みんな、静かにしててもらえるかな。」

 

 

「「「……はーい……。」」」

 

あんまり騒がしいので、出て来た永夢に怒られてしまった。

千歌が大丈夫と言うので、曜とパラドも永夢と一緒に2年生たちと合流。

今日のところはひとまず帰る様に永夢に言われたが、今日は元々アポ無しで先輩の家に泊まりに来たと言うので、永夢が少し考えた後、パラドが彼の荷物の中から鍵を持ち出してきた。

 

「だったら永夢の家に泊まれよ。」

「パラド!お前何言って…、」

「いいじゃねーか別に。どうせ俺達はしばらく帰れないんだし、気にする事無いだろ?」

「そう言う問題じゃ無くて!!」

「ほらよ。住所はコレな。家にあるゲームは適当に遊んでてもいいぜ。」

「いいんですか?永夢先生。」

「………はぁ………えっと、玄関から入って左側の部屋は仕事の資料とかあるから触らないでね…。」

「ありがとう、ございます。」

 

名残惜しそうにしながら、曜を先頭にして4人は病院をあとにした。

永夢とパラドはネクロズマを追う貴利矢からの連絡を待ちながら、ある人物へと連絡を取った。

 

 

 

 

ビルドの世界 

 

行くあての無い梨子は、出会った桐生戦兎と万丈龍我と共に、nacitaを訪ねた。

初対面の男二人と一緒にいるのは少し怖かったが、戦兎と龍我道中夫婦漫才のような口喧嘩を繰り広げていたため少しは緊張がほぐれた。

「たっだいまー!あー、腹減ったー!カズミーン、メシー。」

「バカ、一海と幻さんもパトロール中だろ。カップ麺でも喰ってなさいよ。」

「しゃあねーなぁ。美空と紗羽さんは……下か。梨子ー、お前もカップ麺喰うかー?」

「え?えっと、あの……、」

 

グ~……ッ

 

「あ…………。」

「身体は正直みたいだな。万丈、俺の分も作って。」

3分後、プロテインラーメンとかいう得体のしれない物が出て来たが、案外美味しかった。

お腹が膨れて、龍我がおかわりのカップ麺に手を付け始めた所で、梨子が恐る恐る戦兎に尋ねる。

 

「おじさm」

「せ・ん・と。」

「……戦兎さん、さっきの街どうなってるんですか?なんであんなに壊れてて……それに、変な壁もあって、まるで日本じゃないみたい……。」

「ズルルルル……モグモグ……珍しいな、今どきの若い奴で、この国の事まだ『日本』なんていうヤツがいるなんてよ。それに、さっき自己紹介で、自分の事『スクールアイドル』とか言ってけど、学校通えるほど金持ちのヤツがなんであんなとこほっつき歩いてるんだか。ズルルルル。」

「この国……?金持ち……?あの、なんの事ですか?」

「………まさか………梨子、お前『スカイウォール』って知ってるか?」

「す、すかいうぉーる…?私、友達がバグスターっていう怪物に襲われたんです!早く帰らないと!」

「バグスター……なるほど、決まりだ。」

「何が決まりなんだよ戦兎。あ、無くなっちまった。3杯目喰おーっと。」

 

戦兎の中では、梨子の正体の目星はついていた。

彼女はこの世界の人間では無く、『スカイウォールの存在しない世界』……いわゆる、『平成二期ライダーの世界』からやって来た人間。

詳しく話を聞いてみたら、彼女は知っている限りで教えてくれた。

彼女は友達6人で遊びに来ている最中にバグスターに襲われたという事、その最中で友達がゲーム病に感染した事、その友達から生まれたバグスターによって変な空間に放りこまれ、目が覚めたら東都にいた事、そして、極めつけは、

 

 

「たしか、怪物が言ってました。『エボルト様の兵士を作る』とかなんとか……。」

 

 

「! エボルト……またアイツの仕業か……。」

「知ってるんですか?」

「知ってるも何も、エボルトは俺達の敵だよ。」

「梨子、心して聞いてほしい。実は……、」

 

 

それから2時間ぐらいだろうか。

『ここは自分の世界じゃ無い』、そう聞かされた時の梨子はパニック状態に陥ってしまった。

声を聞いた紗羽と美空が地下室から出て来て梨子をなだめている。

辛い現実をためらいなく告げた戦兎を龍我が責めたが、彼は『考えがある』と、パソコンの前に座るとそれきり一言もしゃべらなくなってしまった。

退屈しのぎに筋トレをしていた龍我のところに、多少回復した梨子が美空に連れられてやってきた。

 

「大丈夫か?わりぃな、戦兎のヤツが。」

「いえ……謝るのは私の方です……折角助けて戴いたのに……あの、戦兎さんは?」

「あぁ、アイツなら今頃、」

 

 

「ヒャホホホヒャッホイ!!!」

 

 

「「「!?」」」

 

突然聞こえた奇声。

すると冷蔵庫を開けて、中から戦兎が躍りながら出て来た。

彼は梨子の手を取ると、何故か社交ダンスを踊り始める。

 

「凄いでしょ!さいっこうでしょ!?天才でっしょぉ――――!!!」

 

「え?えぇ!?なに!?なんなの!?」

「戦兎!梨子ちゃん困ってる!!刻むよ!!!」

 

美空に怒られて正気に戻った戦兎は梨子と龍我をパソコンの前まで連れて行く。

そこにあったのは何かの図面……いや、地図だ。

北都と東都の国境にある『何か』を示した地図、これに首をかしげる龍我と梨子だったが、戦兎がこれは何か説明し始める。

 

 

「これはエニグマだ。」

 

 

「!? エニグマって、最上の使ってたアレか……!?どういう事だよ、アレは俺達がぶっ壊したはずだろ!!」

「エニグマって言っても試作品だ。世界同士を融合させる力は無いし、使うエネルギーも半端じゃ無い、その上起動できる時間が2時間弱と短い。だけどコイツはエグゼイド側のエニグマを起動させる必要が無い。おそらく、俺が葛城巧だった頃に向こうへ行った時に使った物だろう。」

「あのー………なんですか?その、エニグマって?」

「平行世界移動装置『エニグマ』……かつて俺達の世界にいた最上魁星という男が……いや、最上魁星と、記憶をなくす前の俺が作った、世界同士を行き来できる装置だ。ヤツは以前、コレを使ってお前らの地球と俺達の地球を融合させて滅ぼそうと企てた事がある。コレを使えば、梨子を元の世界に帰してやる事が出来る。」

「本当!?」

「じゃあ早速行こうぜ!」

「待てよ筋肉バカ。エボルトは何故か梨子をこの世界に送り込んできた。今までの経験を考えると俺達の動きはヤツに読まれている可能性が非常に高い。エニグマが巨大な装置である以上、梨子をそこへ連れて行く必要がある。ここからエニグマまでの間、ヤツに襲われる可能性が常に付きまとう。梨子を連れて歩くのは危険すぎる。梨子、お前はどうする?」

「私は……、」

 

自分の世界に帰れる。

願っても無い事だ。

しかし、同時に非常に危険な旅になる事は必至だ。

 

「俺達の最終目的は俺達とお前達の地球を融合させてエボルトを消滅させる事。時間はかかるが、お前にとってはそっちの方が安全だ。急がなければ、俺達が必ずお前を友達に会わせる事を約束する。」

 

 

「………行きます……行きたいんです!私が余計な事をしたせいで、きっと千歌ちゃん、自分を責めると思う……だから、早く会いたいの、皆に!」

 

 

「……決まりだ。美空、一海と幻さんが帰ってきたら俺達はまだ帰らないって伝えておいてくれ。行くぞ万丈。」

「おう。」

「あ、俺のバイク二人乗りだから。梨子乗せるからお前は歩きな。」

「はぁっ!?」

 

 

 

 

平成二期ライダーの世界

宝生永夢宅

 

「み……未来ずら~!!」

 

永夢の家に来てまっさきに花丸が言った言葉がそれだった。

彼は医大を現役で卒業した小児科医……もちろん、給料はそれなりに高い。

そこそこいいマンションに住んでいて部屋も清潔に保たれている為、お寺暮らしの花丸からしてみたらまさに『未来』だ。

永夢の家に来たらルビィはすぐにダイヤに連絡。

 

『もしもし?ルビィ?今どこにいるんですの?』

「お姉ちゃん、ごめんね。今日ルビィ、お姉ちゃんのお家に泊まれないの。」

『何かあったんですの?』

「あ……う、うん。実は、偶然理亜ちゃんに会って、理亜ちゃんの泊まってる宿に泊めてもらう事になって!」

『………………そう、わかりましたわ。理亜さんによろしく伝えておいてくださいませね。』

 

フゥと、ベランダで一息つくルビィ。

実の姉を心配させないためとはいえ、嘘をつくのは心苦しい。

部屋に戻ると、曜がソファの上でマイティのぬいぐるみを抱きかかえたまま俯いていた。

ルビィが話しかけようとすると、それより先に善子が曜の後ろに回り、曜のほっぺを思いっきりつねる。

 

 

「いたたたたたた!!!い、痛いよ善子ちゃん!!」

「アンタ、さっきから見ていて暗すぎよ!!心配なのはわかるけど、落ち込んでたってどうにもならないでしょ!!」

「それはそうだけど………。」

「アンタがそんなんだから、千歌だって私達が帰る時不安そうにしてたんでしょ!!リリーだって、アンタのそんな顔見たくないわよ!!」

「うっ………。」

「……元気だしましょ。廃校が決まった時に誓ったでしょ、これからは前だけ見て行くって。」

 

「善子ちゃんが……!」

「まともな事言ってる……!!」

 

「アンタ達は余計な事言わなくていいの――――!!!」

「ずらー!」

「ピギィー!」

「アハハ……。」

 

千歌と梨子に心配をかけないように、そこからは全力で楽しんだ。

永夢のゲームを遊んだり、皆でお風呂に入ったり、善子が冷蔵庫のありあわせで堕天使の涙を作ったせいでルビィが口から火を噴いたり。

夜が更けて行く。

 

「やったわ!!またヨハネの勝ちー!」

「もー、善子ちゃん手加減して欲しいずらー。マルとルビィちゃんは初心者なんだよ。」

「ルビィ、スマブラって初めてやったけど面白いね!今度善子ちゃんの家にやりにいってもいい?」

「ククク……歓迎しましょう、我がリトルデーモン。」

「よいしょっと。」

 

皆でゲームをして遊んでいる最中、曜が立ち上がった。

ゲームをやっていたせいで鈍った体をほぐすと、財布を持って玄関に行く。

 

「どこに行くの曜ちゃん?」

「タハハ、ちょっと小腹すいちゃって……ひとっ走りコンビニに行ってくるであります!」

「こんな時間から……太るわよ。」

「少しぐらいなら大丈夫大丈夫。」

「あ、じゃあマルはのっぽパン買って来て欲しいずら!」

「東京には無いわよ。」

「ずら―――!?」

 

靴を履いて玄関を出ると、空を見上げる曜。

スーッと息を吸い込み、深呼吸をすると、振り返って一言つぶやいた。

 

「ごめんね、皆。」

 

 

 

しばらくして、ゲームに勝てない花丸がコントローラーを投げ出した。

さすがに格闘ゲームでは善子にかなう者は誰もおらず、ルビィもそろそろお疲れ気味だ。

名残惜しそうにゲームの電源を切る善子だったが、次の瞬間、『ギラン』と何かを閃いた。

それは、永夢の自室を覗くという事。

「だ、ダメだよ善子ちゃん!永夢先生が入っちゃダメだって言ってたでしょ!」

「ちょっとぐらいいいでしょ!だって気にならない?男の部屋って。」

「ダメずらよ!それが約束だったずら!」

「医者だものね。きっとたくさん本とか揃ってるんでしょうね。」

「ルビィちゃん、これも勉強のためずら。」

「はーなーまーるちゃーん!!」

恐る恐る、永夢の部屋のドアノブに手を掛ける善子と花丸。

ゆっくりとドアノブを回すと、少しずつドアを開けて……、

 

 

 

「なにしてんだお前ら?」

 

 

 

「え?ぴ、ピギィィィィィィィ!!!!」

「ずら―――――――――!!!!」

「ヨハ―――――――――!!!!」

 

突如後ろからした声に驚き、悲鳴を上げる3人。

善子が悪魔祓いの呪文を唱えながら後ろを振り返ると、そこにいたのは長身の男……パラドだ。

「ぱ、パラドさん……?え?どこから入って来たの?いつの間に?」

「俺はバグスターだからワープが出来るんだ。そこどいてくれ。永夢の着替えを取りに来たんだ。」

「は、はい…。」

パラドは永夢の着替えはいくつか取ると、ある事に気づく。

 

「曜はどうしたんだ?」

「曜ちゃんなら、さっきコンビニに行ったずら。」

「そう言えば遅いわね。もう1時間ぐらい経つじゃ無い。」

「………いや、それはおかしい。」

 

パラドは違和感を覚えた。

永夢の住むマンションは、すぐ隣にセブンイレブンがある。

何を買うか悩んでいるとしても、1時間は時間がかかり過ぎだ。

嫌な予感がしたパラドは永夢の着替えを放り投げると、すぐ様ワープで聖都大学附属病院へと向かった。

 

 

 

CR

 

「本当ですか!?ありがとうございます!!」

 

その頃、永夢はとある人物に連絡を取っていた。

その人物の持つ『ある物』が、千歌と梨子を救う為の鍵になると考えたからだ。

こんな時、あのはた迷惑な神がいたら……こんな事態も、簡単に収集出来たのだろうか。

電話を置いて、椅子に座る永夢。

そんな永夢の隣に、一人の男がコーヒーを持って座って来た。

彼は永夢にコーヒーを差し出すと、自分もコーヒーに口をつける。

 

「! 飛彩さん!」

 

「根を詰め過ぎるなよ、小児科医。」

「はい、ありがとうございます。いただきます。」

「……すまないとは思っている。今回の件。お前ひとりに任せてしまった事を。」

「いえ。負傷した人達のオペは、飛彩さんじゃなきゃここまで早く終らせられませんでした。」

「開業医が女子ゲーマーの風邪を見る為にアメリカに行っていなければ……。」

「不幸中の幸い、ゲーム病患者は高海さんだけですから。今の僕のやるべき事は、高海さんのゲーム病を治して、桜内さんと会わせてあげる事です。飛彩さんも、飛彩さんのやるべき事をしっかり果たしてきてください。」

「言うようになったな、研修医の分際で。」

「もう研修医は卒業しましたから。」

 

飛彩としばらく話をして彼を見送った後、永夢は千歌の下へ。

さっきの様子が彼女から見えたのか、彼女は笑いながら永夢に語りかけてきた。

 

「さっきの人、永夢先生と仲良いんですね。」

「うーん……どうだろ……飛彩さんは色々と気難しい人だからなぁ……。」

「でも、さっきの永夢先生の表情、あの人の事凄く信頼してるんだなぁって事が伝わってきました!」

「それを言うなら君達だって。僕が学生の頃は『μ's』っていうスクールアイドルが流行ったんだけど…、」

「μ's!!私も大好きなんです!!」

「ハハハ。でも、あの頃よりも何倍もハードルが跳ね上がったラブライブで優勝しちゃうなんて、本当に凄いと思う。本当に信じあえる仲間じゃないと、とてもあそこまで耀けない。」

「輝き………。」

 

 

「永夢!!」

 

 

次の瞬間、パラドが血相を変えて病室にワープしてきた。

ワープを初めて目の当たりにしてうろたえる千歌とは逆に、永夢は冷静にパラドに聞く。

 

「何があったんだパラド?」

「大変だぜ永夢。曜が……、」

 

「………曜ちゃん……?」

 

 

 

 

 

ビルドの世界 

 

東都・北都間 国境

 

マシンビルダーを走らせながら、エニグマを目指す戦兎と梨子……と、後ろからロープで引きずられている龍我。

初めて乗るバイクに揺られながら、梨子は戦兎に疑問に思っていた事を聞いてみた。

 

「戦兎さん、どうして私を助けてくれるんですか?私、あなた達に何も恩返し出来ていないのに……。」

「別になんも見返りなんか求めちゃいねーよ。それがヒーローって奴だからな。困ってる人がいたら手を差し伸べる、ラブ&ピースってやつさ。」

「フフ……なんですかそれ。」

「あ、笑うなよ!人の折角の志を!……まぁ、そうは言っても、俺がハッキリと愛と平和の為に戦うって決めたのは、あのバカのせいだけどな。」

「龍我さん?」

「最初にアイツを拾ちまった時、きっといつかこの出会いを後悔するって思ってた。だけどあのバカは、俺が壊れちまった時、俺に言ってくれたんだよ。」

 

 

 

『誰かの力になりたくて、戦って来たんだろ!!誰かを守る為に、立ちあがって来たんだろ!!それが出来るのは、葛城巧でも……佐藤太郎でもねぇ!!桐生戦兎だけだろうが!!!』

 

 

 

「あの言葉があったから、俺は戦ってこれた。何度折れても、立ちあがって来れた。今の俺を創ってくれたのは、万丈なんだよ。いわゆる、ベストマッチってやつだ。」

「戦兎ォォォ!!!!なんか言ったかぁああああ!!!」

「なんも言ってねーよ!!」

 

臭いセリフを言ったが、幸いそれどころでは無い龍我には聞こえて無かったようだ。

それを聞いて、くすくすと梨子が笑った。

 

 

「私も同じなんです。千歌ちゃん達がいたから、私は今まで曲を作って来れたし、何度挫けても、また歌って来れた。Aqoursの皆が、今の私を創ってくれた。これも、ベストマッチってやつですかね?」

「……あぁ、ベストマッチってやつだ!おっと……お客さんのお出ましだ。」

 

 

マシンビルダーを停める戦兎。

彼等の眼前には、エボルトの配下……内海成彰率いるファウストのガーディアンの軍勢が。

間違いなく、エボルトに自分達の行動パターンは読まれている。

彼の性格を考えると、エニグマを破壊するとは考えづらい……やるとしても、戦兎達が到着してからじっくりとやるはずだ。

戦兎は龍我と共に並び立つと、ヘルメットを梨子に押し付け、戦兎はビルドドライバーを、龍我は久しぶりのスクラッシュドライバーを手に取る。

「下がってろ梨子。」

「はい!」

 

「女の御守りか?葛城。」

 

「内海さん……。」

「邪魔すんじゃねぇよ。エボルトに寝返った根暗野郎が。」

「ここを通りたければ、我々を倒してから行く事だな。」

 

『エボルドライバーァ!!』

『スクラッシュゥ!ドォライバーァ!!』

『マックス!ハザードオン!』

 

 

それぞれドライバーを腰に巻きつける3人。

戦兎はハザードトリガーを装着し、フルフルラビットタンクボトルを、龍我はドラゴンゼリーを、内海はバットフルボトルとエンジンフルボトルを振る。

 

『ラビット!ラビット&ラビット!ビルドアッープ!』

『ドラゴンゼェリー!!』

『コウモリ!発動機!エボルマッチ!!Are you Raedy?』

 

『ガタガタゴットンズッタンズッタン!!ガタガタゴットンズッタンズッタン!!Are you Raedy?』

 

 

「「変身ッ!!!」」

 

「変身。」

 

 

『オーバーフロー!紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!!ヤベーイ!!ハエーイ!!』

『潰れる!流れるゥ!溢れ出るゥゥ!!ドラゴン イン クローズチャージ!!ブルァアアアア!!!』

 

『バットエンジン!!フッハッハッハ……!』

 

 

戦兎は一旦ハザードフォームを経由し、仮面ライダービルド ラビットラビットフォームに、龍我は仮面ライダークローズチャージに、内海は仮面ライダーマッドローグへそれぞれ変身。

まずはビルドがラビットラビットの跳躍力を活かしてマッドローグへと飛びかかり、クローズチャージはツインブレイカーを構えてガーディアン達へ突っ込んでいく。

スチームブレードとフルボトルバスターをぶつけながら、ビルドはマッドローグと交戦を始めた。

 

『Ready Go!レッツブレイクゥ!!』

 

「今の俺は、負ける気がしねぇ!!!うぉぉぉりゃああああああ!!!!」

 

ツインブレイカーにクローズマグマナックルを装着し、炎を纏いながら敵を次々と撃破していくクローズチャージ。

力任せな戦法だが、万丈龍我という男にはこの戦い方が一番似合っている。

もはや、ガーディアン如きではこの男は止められない。

 

一方で、マッドローグと交戦するビルド。

いくら以前よりもハザードレベルが上がったとはいえ、いくら何でもマッドローグが弱すぎる。

まるでわざと負けようとしているぐらいに。

フルボトルバスターでマッドローグを地に伏せると、3本のフルボトルを構える。

その状態でマッドローグはビルドの首の装甲を掴むと、ビルドの顔を自分に引き寄せた。

 

 

「良く聞け葛城。今、エニグマの下にはエボルトがいる。」

「!!」

「ヤツは異世界の人間をこの世界に連れて来て、その体を乗っ取る事でロストボトルを使わずに完全体の更に先のフェーズに進化するつもりだ。向こうの世界に放ったバグスターは、その為の駒に過ぎない。」

「何故、そんな情報を俺に……!?」

「俺は難波会長の仇を討つためにヤツの軍門に下った。だが、奴があれ以上の力をつけると俺にはもう止める事ができない………あの子を、必ず元の世界に戻せ!!」

 

 

『ラビット!ハリネズミ!ニンジャ!ミラクルマッチデース!ミラクルマッチブレイク!!』

 

 

「ぐあああああああ!!!!」

 

 

ビルドの『ミラクルマッチブレイク』が炸裂し、マッドローグは内海に戻った。

彼が難波を裏切っていなかった事……他の仲間には言わない方がいいだろう。

特に幻徳には。

エボルトはどこで見ているのかわからない……エボルトを欺くためとはいえ、敵では無かった内海を倒すのは心苦しい。

 

クローズチャージの方も敵を全滅させたようで、二人は変身を解除すると、梨子の下へ。

エボルトがいる……あまりにも危険すぎるが、3人とももう覚悟は出来ている。

 

「行くぞ、エニグマの所へ。」

 

 

 

 

 

平成二期ライダーの世界

 

「千歌ちゃん……梨子ちゃん……必ず、助けてみせるよ……!」

 

一人、夜の東京を彷徨い歩く少女……渡辺曜。

彼女の手には、永夢の部屋からこっそりと持って来たパラドのゲーマドライバーと、永夢のマイティアクションXガシャットが。

二人の親友を助ける為に、曜はネクロズマを探し、夜の闇の中へと消えて行った。

 

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