ビルド×エグゼイド×ラブライブ!サンシャイン!! 作:バース・デイ
浦の星女学院を背に、並び立つ4人の仮面ライダー達。
エグゼイド、パラドクス、ビルド、クローズ。
住む世界は違えど、人々の命を守る為に戦うライダー達の前に立ちはだかるのは最強のバグスターであるウルトラネクロズマバグスターLv100。
Lv100はLv99とたった1しかレベルが変わらないが、その1の壁は非常に厚い。
だが、負ける気がしない。
「戦兎さん!!龍我さん!!千歌ちゃんを……お願いします!!」
「永夢先生!!パラドさん!!負けるなー!!」
「応援されるってのは、最っ高だな!」
「あぁ!負ける気がしねぇ!!」
「よし……行くぞ!!」
パラドクスの掛け声で、4人は一斉に走り出した。
巨大なウルトラネクロズマが繰り出す強烈なキックを躱しながら、クローズマグマとビルドがウルトラネクロズマの後ろに回り込む。
クローズマグマナックルを構えたクローズマグマが、ウルトラネクロズマの脚に強烈なパンチを叩き込んだ。
バランスを崩したウルトラネクロズマに、今度はビルドがフルボトルバスターで追い撃ちをかける。
全ての攻撃が決まった……だが、ウルトラネクロズマはほとんどダメージを受けていない。
Lv100とは、それほどの戦闘力を持っているのだ。
『ロボット!アクション!クリティカルフィニッシュ!!』
『パーフェクトノックアウト!!クリティカルフィニッシュ!!』
「今度は俺達が決めるぜ!!」
「皆、心の躍る応援頼むぜ!」
「うん!がんばルビィ!!」
「がんばルビィずらー!!」
ガシャコンキースラッシャ―にゲキトツロボッツとマイティアクションXのガシャットを装填したエグゼイドと、ガシャットギアデュアルをガシャコンパラブレイガンに装填したパラドクス。
二人はエグゼイドがゲームエリア内に召喚したチョコブロックを土台にしてウルトラネクロズマの頭上まで飛び上がると、ウルトラネクロズマを上から切裂く。
ビルド達よりも多少はダメージを与えられたはずだが、それでもまだまだ足りない。
そして今度はウルトラネクロズマが動いた。
口に光を溜めると、それをライダー達目掛けて放つ。
極太のビームが地面を抉り、ライダー達に降り注いだ。
「「ぐあああああああああ!!!」」
「エグゼイド!!パラド!!」
「ま、マジつえぇ……!!」
今の攻撃でエグゼイドとパラドクスのライダーゲージが半分ほど持って行かれた。
ギリギリでかわしたビルドとクローズマグマが二人を起こすと、つづいてウルトラネクロズマの翼から、今度はAqoursに向けて無数のビームが放たれる。
「うわっ!!こっち来た!!」
「なにやってんの!逃げるわよ!!」
「ですがわたくし達が逃げたら校舎が……!」
『マックス!ハザードオン!!』
「うおぉおおおおりゃあああああああああああ!!!!!」
『Reay Go!!ハザードフィニッシュ!!ボルケニックフィニィィィッシュ!!!アチャチャチャチャチャアアアアアア!!!!』
ハザードトリガーを装着したクローズマグマが、目にも止らぬスピードでAqoursの前に飛んできた。
彼は自分のハザードレベルを限界まで引き上げ、ビーム全てをその拳で叩き落とす。
だが、最後のビームだけは間に合わずに喰らってしまい、ハザードトリガーが外されて彼は龍我の姿に戻ってその場に倒れた。
「龍我さん!!」
「くそっ……!怪我ねぇかお前ら……!?」
「果南!ヘリに救急箱があるはずよ!持って来て!」
「う、うん!」
「万丈がやられたか……。エグゼイド、なにかヤツを攻略する方法は無いのか!?」
「アイツは今、千歌を体の中に取り込んでいる……どうにかしてアイツの中にいる千歌を目覚めさせることが出来たら、攻略できるかもしれない!」
「だけどその手段が無い。リプログラミングだと、中の千歌まで影響を受けちまう。」
「………つまり、アイツの心に呼びかければいいわけか。なるほど、それなら、この天っ才物理学者の得意分野だ。」
「なんだって?」
そう言うとビルドは走り出した。
彼は走りながら、一心不乱にビルドドライバーのレバーを回す。
『ワンサイド!』
ウルトラネクロズマの猛攻を掻い潜り、龍我の犠牲を無駄にしない為に、彼は一瞬の隙を探る。
『ギャクサイド!!』
そして、ついにその隙を見つけた。
『『オールサイド!!!』』
「これが、勝利の法則だ!!」
『『ジーニアス!!フィニッシュ!!!』』
飛び上がったビルドは、ジーニアスボトルの力をフルに引き出したライダーキック『ジーニアスフィニッシュ』をウルトラネクロズマに叩き込んだ。
この力は相手の心と体を浄化し、感情を与える。
ウルトラネクロズマの心の中にいる千歌を浄化し、呼び覚ます事が出来るかもしれない。
帰って来たビルドは力を使い果たし戦兎に戻ってしまうが、ウルトラネクロズマは苦しそうにもがき始めた。
『ギャオオォオオオオオオオオオオオオ!!!!』
初めてウルトラネクロズマが大きな叫び声をあげた。
だがそれでもウルトラネクロズマの攻撃は止らず、更に暴れはじめてエグゼイドとパラドクスはその攻撃からAqoursや戦兎達、校舎を守る。
しかしウルトラネクロズマの放った強烈なビームで、エグゼイドも変身を解除され、永夢に戻り地面を転がった。
唯一変身が解除されていないパラドクスは3人を守る様に立ち上がり、パラブレイガンを構える。
「ビルドの攻撃は効いてる筈なのに……!」
「ヤツはエボルトに作られたバグスターだ。エボルトの力が強すぎるんだ!」
「どうすんだよ!無理ゲーじゃねーか!!このままじゃ全滅だぞ!!」
「………それはダメだ。アイツを倒せなきゃ、AqoursがAqoursで無くなっちまう!アイツらのパフォーマンスをネットで見て、ゲーム以外であんなに興奮したのは初めてだった!心が躍った!Aqoursは、一つじゃなきゃいけないんだよ!!」
「Aqoursは一つ………よしっ!」
手に汗握ると、ウルトラネクロズマの前に梨子が飛び出してきた。
ウルトラネクロズマは梨子を攻撃しようとするが、梨子は全く動じずにウルトラネクロズマを見つめる。
「千歌ちゃん。」
ウルトラネクロズマの足にそっと触れると、梨子は目を瞑った。
「ここにいると、思い出すね。去年の春の事……転校してきた私を、スクールアイドルに誘ってくれた日の事。あの時私、正直、千歌ちゃんの事……なんて変な人なんだろうって思った。でも、千歌ちゃんに励まされて、スクールアイドルを初めて、善子ちゃん達後輩や、鞠莉ちゃん達先輩が入って来て、私の中で、『Aqours』がどんどん大きくなってきた。ラブライブで優勝して、学校を救いたいって、本気で思った。……私を変えてくれたのは千歌ちゃんなの!アナタが、今の私を、私達を創ってくれたの!!」
いつの間にか、梨子の周りにAqoursの他のメンバー7人が並んでいた。
「そうですわ!わたくし達を救ってくれたのも、他ならぬ千歌さんでした!」
「スクールアイドル始めたおかげで、お姉ちゃんとも仲直りできた!」
「マルを、狭い世界から連れ出してくれたずら!」
「感謝するぞ、我がリトルデーモン。」
「負けず嫌いだったよね、千歌は昔から!」
「こんなにシャイニー☆なSchool LifeをEnjoyできたのも、ちかっちがまた浦の星にSchool Idolを誕生させてくれたから……本当に、感謝してもしきれない。」
「スクールアイドルを始めてからの千歌ちゃんは、本当にいつも輝いてた。何があっても、絶対にあきらめなかった……私が憧れた千歌ちゃんは、私達のヒーローだった!」
ウルトラネクロズマがうめき声を上げる。
それはウルトラネクロズマが発する声なのか、中の千歌が発する音なのかはわからない。
梨子は、大声で胸の内を叫んだ。
「アナタはこんな事で負ける様な人じゃない!!私達のヒーローは、そんなに弱い人じゃない!!!」
『シ……シカリ………ギャオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』
その時、ウルトラネクロズマの身体が光りだした。
それと同時にその光は永夢に注がれ、彼の懐に入っていたハイパームテキガシャットへと入って行く。
黄金の輝きを取り戻し、奪われていたムテキの力が、永夢の元へと帰って来た。
「! ムテキの力が戻ったのか!」
「………戻ったんじゃない。これは、あの子達がくれた………輝きだ!!」
『ハイパームテキ!!』
力強い声と共に、起動するハイパームテキガシャット。
それに心が躍ったパラドクスは、エナジーアイテムを操作。
エナジーアイテムにもウルトラネクロズマの光が注がれ、ゲームの設定に存在しない新たなエナジーアイテムを生み出した。
「心が躍るなァ!ビルド、クローズ!こいつを受け取れ!!」
『融合!』
新しいエナジーアイテム『融合』が、ジーニアスボトルに宿る。
するとジーニアスボトルは戦兎の持つラビットフルボトルと、龍我の持つドラゴンフルボトルを吸収……新たなボトル『クローズビルド缶』へと変化した。
パラドクスは変身を解除し、永夢と拳を合わせて永夢と合体。
戦兎はクローズビルド缶を振りながら、龍我と重なる様に縦に並ぶ。
『マキシマムガッシャット!!ガッチャ―ン!レベルマーックス!!』
「『全ての運命は、俺達が変える!!』」
「さぁ、最後の実験を始めようか。」
『クローズビルド!!Are you Ready?』
永夢の頭上にマキシマムゲーマが出現し、戦兎と龍我は一つのスナップライドビルダーに挟まれる。
Aqoursが見守る中、高らかに叫ぶ。
「『ハイパー!!大変身!!!』」
「「変身ッ!!!」」
『ドッキーング!パッカーン!ムーテーキー!!輝けぇー!流星の如く!!黄金の最強ゲーマー!!ハイパー!!ムテキ!!エグゼーイド!!!』
『ラビット!ドラゴン!Be The One!!クローズビルド!!イエェェェイ!!!イエエエエエエイ!!!!』
マキシマムゲーマに喰われ、その中で強化アーマーを装着し、永夢とパラドは最強無敵のエグゼイド……仮面ライダーエグゼイド ムテキゲーマーにハイパー大変身。
スナップライドビルダーで合体し、戦兎と龍我は愛と平和のビルド 仮面ライダービルド クローズビルドフォームに融合変身を遂げた。
二つの世界の最強ヒーローが並び立ち、ガシャコンキースラッシャ―とビートクローザーを構える。
「『ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ!!』」
「「勝利の法則は決まった!負ける気がしねぇ!!」」
光を失い、再び暴れだしたウルトラネクロズマ。
その攻撃を浮遊して躱し、ハイパームテキエグゼイドとクローズビルドはウルトラネクロズマの翼に降り立ち、その体を切り刻んでいく。
まずは翼を切り落とし、ウルトラネクロズマの機動力を奪う。
それでもウルトラネクロズマは怯まずに、周囲から光という光を吸収しはじめた。
ウルトラネクロズマ全力の必殺技『天焦がす滅亡の光』だ。
巨大な光の塊をハイパームテキエグゼイドとクローズビルドに向けて放つウルトラネクロズマ。
相手のあらゆる特性を無視するこの攻撃……いかなる攻撃も受け付けないハイパームテキでも受けたらひとたまりもない。
『デュアルガッシャット!!キメワザ!パズルファイター!!クリティカルフィニッシュ!!』
「そんな攻撃が、俺達に効くか!!」
しかし、ハイパームテキエグゼイドはパラドのガシャットを使った『パズルファイタークリティカルフィニッシュ』でその光を切裂いてしまった。
もはや、ウルトラネクロズマに勝ち目は無かった。
『キメワザ!ハイパー!!クリティカルスパーキング!!!』
『Ready Go!!』
「『フィニッシュは必殺技で決まりだ!!』」
「「愛と平和のために、この力を使う!!」」
青い巨大な龍が召喚され、それに乗り天高く舞い上がるハイパームテキエグゼイドとクローズビルド。
沼津を一望できる高さまで上がると、ウルトラネクロズマ目掛け、必殺のダブルライダーキックを放った。
「『はぁあああああああああ!!!!』」
「「ラブ&ピースフィニィィィィィィィィィィッシュ!!!!」」
『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』
『究極のォ!一発ゥ!!完全勝利ィ!!』
巨大な爆煙と共に、爆散するウルトラネクロズマ。
余りの衝撃に直視できないAqoursたちだったが、曜が『あっ』と声を出すと、爆煙の中から千歌を抱きかかえたハイパームテキエグゼイドとクローズビルドが歩いてくるのが見えた。
千歌はすでに目覚めており、エグゼイドが彼女を地面に降ろすと、変身解除と同時にAqoursの8人が一斉に千歌に抱き着いて来た。
「うわっ!ちょっと皆~!」
「千歌ちゃん良かった!良かったよー!!うわーーーん!!」
「曜ちゃん泣きすぎだよ~!」
「千歌ちゃん。」
千歌の前に、彼女がずっと心配していた梨子が来た。
千歌は梨子に微笑む。
「聞こえたよ、皆の声……ありがとう。」
「フフッ、いい笑顔。それでこそ、私達のヒーロー、普通怪獣ちかちー!」
「ちかっち!見て!」
「鞠莉ちゃん?あ……、」
鞠莉に言われて、彼女が指差す方向を見る千歌。
その方向にあるのは、浦の星の校舎。
あれだけの戦闘があったにも関わらず、校舎には一切傷はついていない。
千歌がネクロズマの動きを止めてくれていた事と、Aqoursの8人が千歌に呼びかけた事で、被害を出さずにオペを完了させることが出来た。
「守ったんだよ!!私達で、今度こそこの浦の星を!!」
「守れた……学校を……本当に……?奇跡は、起きたんだ………!」
「奇跡じゃ無い。これは、君達の想いが実を結んだ、結果だよ。」
ドクターである永夢は、これまで数々の奇跡を目の当たりにしてきた。
しかし本当に奇跡と呼べるものは現実ではほとんど起きる事は無い。
どんな完璧な治療を施しても、結局はその患者の生きたいと言う想いと努力次第。
今回の事も、Aqoursの9人の想いと努力が実を結んだ、現実の結果だ。
「梨子の友達って、スゲー連中ばっかだな。」
「フフフ、なにせ、ベストマッチですから!」
「なに戦兎みてーな事言ってんだよ。」
「………! 万丈、エグゼイド、パラド!!アレを見ろ!!」
戦兎に言われて、振り返った一同。
そこには、小さくボロボロになった黒い塊のような生き物が。
ネクロズマだ。
再びドライバーを巻き付けようとした4人だったが、千歌はそれを制止し、ネクロズマの下へ。
しゃがんでネクロズマと目線を合わせると、ネクロズマの頬に手を当てた。
「高海さん、危ない!」
「大丈夫。アナタの考えている事、今ならわかるよ。私はアナタ、アナタは私だもんね。」
『……………。』
「どうしてアナタがこんな事をしたのか………アナタも、輝きたかったんだよね。自分一人じゃどうしたらいいかわからなくて、難しくて、それでも、最高の輝きが欲しくて…。」
そうか、と永夢は納得した。
千歌にストレスを与えたいだけならAqoursを襲えばいい。
だけどネクロズマはひたすらに輝きを奪う事だけに執着していた。
永夢のバグスターであるパラドが永夢の影響を受けていたように、千歌のバグスターのネクロズマも千歌の影響を歪んだ形で受けていた。
「これからは、私達と一緒に輝こう!皆で、私達だけの最高の輝きを見つけよう!」
『……………。』
次の瞬間、ネクロズマの姿は光に消えて千歌の中に戻って行った。
バグスターウイルスは完治していない。
千歌は、永夢とパラドと同じ道を選んだ。
これから一生、自分の中のもう一人の自分と向き合って生きて行く。
これも一つのベストマッチの形だ。
「やっぱり、Aqoursは一つじゃなくちゃな!」
そう言いながらパラドが翳したのは、梨子、鞠莉、果南からサインを書いてもらった色紙。
これで9人、全員のサインが集まった。
富士山の方向を見ると、朝日が昇り始めてきた。
そこにサインをかざしながら、パラドは心を躍らせる。
オペの完了だ。
「あ、そういや戦兎、俺達どうやって戻るんだよ。」
「え?…………あ。」
「あ。じゃねーよ!!どうすんだよ馬鹿!!」
「馬鹿が人に馬鹿って言うんじゃないよ!しょーがないでしょーが、事故だったんだから!!」
「どうしよう………あ。」
梨子が何かを思い出し、ポケットに手を入れる。
そこから取り出したのは、エボルトに取り憑かれた時に現れたダイナソーエボルボトル。
向こうの世界から持って来た物だが、これが何かの役に立つとは思えない。
「梨子ちゃんそれなぁに?………わっ!?」
気になった千歌がダイナソーエボルボトルを手に取ると、次の瞬間、ダイナソーエボルボトルから小さなブラックホールが出現した。
梨子がビルドの世界に飛ばされた時と同じものだ。
これには全員何が起きたのかわからずに戸惑うが、戦兎はこれを冷静に分析。
「そうか……エボルトの力を持つボトルと千歌の中にいるバグスターが持つエボルトの遺伝子が反応して、一時的にエボルトと同じ力を使えるようになったという事か……。」
「つまり、どういうことだよ。」
「帰れるって事さ。」
ブラックホールの前に立つ戦兎と龍我。
コレをくぐればビルドの世界だ。
エボルトと戦っていた一海と幻徳を心配しながら、戦兎達はブラックホールをくぐろうとする。
だが、その戦兎のコートの裾を、梨子が掴んだ。
「戦兎さん、龍我さん………本当に……本当に、ありがとうございました…!」
「気にすんなって。言っただろ、ラブ&ピース、ヒーローとして当然の事だって。」
「もうこっちにくんじゃねぇぞ。」
「また、会えますか……?」
「どうかな。俺達の目的が達成すれば、会えるかもな。」
「今度の夏、ラブライブっていう大会があるんです!私達、絶対にその大会に出ます!そこで最高のパフォーマンスをします!!だから、きっと……いや絶対に見に来て下さい!!絶対に……うぅっ…!」
「バカ、泣くなって。約束する、絶対に見に行く。だからお前も俺達を応援しててくれ。それが、勝利の法則だ。……永夢ゥ!」
そこで初めて、戦兎が永夢の事をライダー名では無く名前で呼んだ。
戦兎が拳をつきだすと、永夢はそれに応えるように拳をぶつけた。
「後の事は頼んだ、永夢。」
「任せてください、戦兎さん。」
「……ハハッ!最っ高だ!」
戦兎と龍我がブラックホールをくぐってから1分も経たないうちに、二つの世界を繋ぐゲートは完全に消滅した。
廃校になった浦の星からしばらくの間富士山を眺め、永夢達も帰路へと着いた。
半日後 聖都大学附属病院
「「「「お世話になりました!!」」」」
果南の操縦するヘリで聖都大学附属病院に戻った後、バグスターが戻った事で千歌の身体に影響が無いかどうかの検査を受けた。
結果は異状無し、晴れて退院となった。
ダイヤが果南と鞠莉だけでは無く千歌の母にも連絡を取っていた様で、病院に戻ったら千歌の母が貴利矢と一緒に皆の帰りを待っていた。
「本当に、娘がお世話になりました。」
「もー、お母さんどうして病院にいるの?」
「当たり前でしょ!お母さんなんだから!」
「…………。」
「永夢先生?どうかしたの?」
「あ、ううん、何でも無いよ。高海さんはもう大丈夫です、どこにも障害は残っていません、健康そのものです。」
「本当にありがとうございました先生。ところで、先生おいくつなんですか?見た感じお若い感じしますけど……。」
「え?に、28歳ですけど……。」
「うち、旅館を経営してるんだけど、長女がまだいい人連れて来なくて……よかったらどう?」
「えぇ……。」
「もー!お母さん!!」
「なによ千歌。あ、もしかしてヤキモチ?先生、ちょっと年齢離れてますけど、千歌はどうですか?相手がお医者様だと私も旦那も安心できますし!」
「お母さん!!!!」
千歌と千歌母の親子漫才に笑うAqours。
怒りながらではあるが、千歌も楽しそうだった。
こういう笑顔を見れた時、心からドクターをやっていてよかったと思える。
「その笑顔が、健康の証だよ。」
かつて自分を救ってくれた恭太郎先生から言われた言葉を、今度は永夢が千歌に言った。
名残惜しそうにしながら、Aqoursの9人は聖都大学附属病院を後にした。
数か月後……夏
アキバドーム
CRにAqoursから招待状が届いた。
ラブライブ!夏大会本戦の、特別席の招待状だ。
前回優勝者であるAqoursは、特別に親しい人を一番見晴らしのいい席に招待できるが、そこに永夢達が招待された。
永夢の他にはAqoursの大ファンであるパラドとポッピーは勿論、普段こういうところには来ない飛彩と大我もやって来た。
貴利矢はあいにくの仕事、ニコは来たがっていたがゲーム大会の日程と重なると言うので来れなかった。
「おーい!こっちこっち!」
「松浦さん、小原さん、黒澤さん、来てたんですね。」
「とうぜんですわ!ルビィ達の晴れ舞台ですもの!!」
「本物のAqoursだー!握手してくださーい!!」
「勿論Okよ!でも、テンションを上げるのは、ちかっち達のパフォーマンスを見た時まで取っておいた方がいいわ!」
「梨子がセンターなんだろ?楽しみだなァ!」
「優勝した時のアンコール曲も完璧に仕上げてるそうですわ。千歌さんと曜さんのWセンターなんですのよ!」
「今から優勝した時の心配してんのかよ……。自信ありすぎだろ。で、物販はどこだ?」
「開業医?」
「か、勘違いすんじゃねーぞ!来れなかったニコに土産をせがまれた時の為だ!決して俺の個人的な話しじゃなくてだな!!」
「おはなー?」
「「まるー!」」
「開業医………。」
「……あぁそうだよ!!俺は花丸のファンだよ!!パラドにBD薦められてすっかりハマっちまったよ!!仕方ねぇだろ!!普段あんなうるさいヤツ相手してんだから、大人しめのヤツ推しになっても!!」
「前回優勝のAqoursのグッズは結構前から並ばないと買えませんよ大我さん。」
「それを早く言え!!」
「あ、私も物販みたい!でももうはじまっちゃう~!!」
大我の意外な趣味が発覚し、にぎわうAqours関係者席。
その頃、ステージの裏ではAqoursの6人が待機していた。
今回の曲と衣装は、現3年生が力を込めて作った力作。
センターの梨子は、ラビットタンクフォームをモチーフにした赤と青の衣装。
千歌はエグゼイドのLv2とムテキゲーマーをモチーフにした金をアクセントにいれたピンクの衣装、この為に少し髪を伸ばしてみた。
曜はパラドクスLv99をモチーフにした中華風の赤と青の衣装。
善子はクローズマグマをモチーフにしたオレンジと黒の衣装。
花丸はグリスをモチーフにした近未来的な黄色の衣装。
ルビィはローグをモチーフにして紫色の衣装、背中には『GANBA Ruby』の文字が。
今まで死にもの狂いで練習してきた……不思議と気持ちは落ち着いている。
ただし、梨子以外は。
「梨子ちゃん、不安?」
「う、うん……でも、踊る事への不安じゃないの………。」
「リリーはあの二人の事考えてるんでしょ。」
「約束してたもんね、決勝見に来るって。」
「来て無かったら悲しいずらよね…。」
「だいじょぶだよ!」
「千歌ちゃん?」
「だって梨子ちゃん、頑張ったもん!永夢先生も言ってたでしょ!想いと努力が結果を生むんだよ!だから、きっとだいじょぶ!!」
「……うん、そうだね!」
全員で円陣を組む。
これはライブの前、Aqoursが必ずやる恒例行事。
「1!」
「2!」
「3!」
「4!」
「5!」
「6!」
「0から1へ!1から、その先へ!!Aqours――――!!」
「「「「「「サ――――ン、シャイ―――――ン!!!!」」」」」」
やがて、ライブの幕が開けた。
梨子をセンターに据えて並び立つ6人。
前回優勝者だけあって、彼女達が登場する時にあがる会場からの声は他のグループの比では無い。
関係者席には、果南、鞠莉、ダイヤの3人と永夢達がいる。
深呼吸をする梨子……その時、彼女は会場の来場者数万人の中から、奇跡的に見つけた。
「うぉおおおおおお!!!梨子ぉおおおおお!!!うぉおおおおおおお!!!!」
「そのバカっぽい応援やめなさいよ。なんだよその頭のサイリウム。」
「バカって言うなよ!せめて筋肉つけろよ!!」
「はいはい。」
「…………!」
「良かったね、梨子ちゃん!」
千歌がボソッと呟いた。
もうこれで不安に感じる事は何も無い。
負ける気がしない、勝利の法則は決まった。
「今日私達が歌う曲は、今のAqoursを創ってくれたファンの皆さんや、地元の方々、そして……愛と平和を胸に掲げる、全ての人達へ捧げる曲です!!聞いてください!!」
ビルド×エグゼイド×ラブライブ!サンシャイン!!
- G A M E C L E A R -