雑草でいいじゃない   作:扶桑畝傍

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貴方は死んでしまいました

さて、どうしたものかね?

いや、開口一番失礼。

月は十一月の始め

仕事帰りの運転中だった筈なんだけど

「どこだ?ここ?」

何時もの道をいつも通りに帰っていた筈

辺りは森に囲まれ

舗装された筈の道路は未舗装となり

灯りは僅かに一軒の家だけ

「って、

 ナビも受信できませんになってるし。」

とりあえず、家の人に聞いてみよう。

車を家の敷地内の空き地へ止め

「すいませ~ん。」

インターホンが見当たらなかった為

少し大きめの声を出す

『は~い、ちょっとまって~』

アレ?知らない言葉?

なのに意味が伝わってる?

『はいはい、って?

 あれ?貴方は

 “まだこちらに来ない筈だったのに?”

 なんで?』

ブロロロ

ん?別の車だ

『あ、お父さん帰って来たから、

 事情を確認してみましょ?』

え?

『あぁ、言葉ね?

 気にしないで喋って頂戴?

 ここは、様々な世界から流れ着く中継点、

 言葉程度の壁は意味を成さないわ。』

バタン

『お?おや、

 もぅ彼がこちらに来る時だったか。』

「あの、俺は『残念ながら帰せない』」

あぁ、予想はしていたけど・・・

そっかぁ、折角仕事も慣れて来て

良い感じになって来た所だったのに

『ふむ、ソレに関しては申し訳ない、

 だがなんだ、

 ここで立ち話もあれだから

 中で話そうか。』

『今一度謝罪と、

 送り込む世界についてだ。』

要約すると

1、俺は巻き添え交通事故で

  ぺっしゃんこされました

2、人間にしては珍しく

  生きている内に

 “罪の清算が終わりつつあった事”

3、もはや死語の

 “チート能力”をあげるから

 その世界の安定に力を貸してくれないか?

今ここ↑

「まぁ、死んじゃってますし、

 やらして貰える事が

 あるんでしたら、是非とも。」

『そうか、我々が手を出すと、

 また最初からか、

 せっかくここまで育った文明を

 押し流すしか手立てが無いのでな、

 時間が無限に等しく存在する我々でも、

 何度も繰り返したくは無いのだよ。』

『それで、

 “偶然、交通事故”に

 巻き込まれたていで、

 貴方を呼び寄せたって所。』

『あ、コラ。』

ん?偶然に巻き込まれた体(てい)?

『ア、言ッチャッタ。』

「・・・ソウデスカ。」

『あ、あのだね?

 早急にその世界に行って貰わないと、

 君が居た地球にも影響が出てしまうんだ。』

ホゥ、ソレハ不味イデスネェ

『そ、そこでだね、

 3つ程、能力を決めて貰いたいんだけど、

 いいかな?』

「3つですか?」

『あ、あぁ、君の容量なら3つは行ける、

 それと、

 アチラの世界に行って

 “君に合わせた能力が

  世界から付加”される、

 従ってその容量も鑑みて、3つなのだよ。』

へぇ~

「一つ目。」

“人類史の武器、兵器、艦艇、航空兵器の

 2020年までの物を最大限使用できる状態で

 個人運用出来る能力”

『・・・致し方あるまい、

 しかし、その中には“細菌兵器”も?』

「勿論。」

『・・・わかった。』

「二つ目。」

“容姿はこのままで、普通に年を取り、

 その世界の輪廻転生の輪に加え

 《転生しても記憶の引継ぎ》をする能力”

『記憶か、身体能力はどうするのだね?』

「3つ目。」

“魔法に関しては周辺魔力から使用し、

 魔力機関を入れず、身体能力は

 《状況の処理特化》に見合う

 随時向上の能力”

『しかし、それでは“魔力無し”の

 迫害の元になるのだぞ?』

「いいんです、

 “そう言う奴”は

 そう言う最後を迎えて貰えば。」

(むぅ、これは人選を誤ったかのう?)

「で、何時向かうのですか?

 愛車もこのまま

 置いていくしか無いのは解るんですけど。」

『そこは安心せい、

 きちんとメンテナンスをさせる、

 角も言うワシも車は好きでな、

 お主の車、よほど愛着があるのだな、

 感心したぞ?』

「そりゃぁ、

 なけなしの預金通帳をかき集めて、

 初めて“自分のお金で”

 買った車なんですから、

 手放す道理はありません。」

『そうかそうか、

 なら時折りここに帰って来い、

 その為のカギを渡して置こう、

 それを適当な扉で開ければ、

 ここの裏口に繋がる、

 お主が許した人物であれば

 少人数は同行を許そう。』

「ありがとうございます!!」

『して、娘よ、

 何時まで黙って・・・おるわな、ソレは。』

「えぇ、

 真っ先に頂いた能力で

 “血管を喰らう

  バクテリアの細菌兵器”が入った注射器を

 刺す寸前で止めていたので。」

『だ、だずげで、お゛どう゛ざん゛。』

ずるずるに泣き崩れた声で

何時そのバクテリアが自分に刺される恐怖に

もう限界を迎えつつあった

「まぁ、お仕置きはこれぐらいにしておきます。」

『そうしてくれ、

 ワシにソレを向けないで助かったよ、

 反射的に受け返して

 キミに刺さっていただろうからね。』

「アハハハ、ヤッパリソウデシタカー。」

『そりゃそうさ、

 伊達に13もの世界を管理している神様を

 やってないからねぇ。』

「管理職はストレス溜まりますよねぇ~。」

『わかるかね?

 散々言い聞かせ、メモも取らせ、

 契約書も作り、血判書も作らせたのに

 出来ないヤツも居れば、余計な事をして

 世界を壊しかけたりと、色々あるんだよ。』

「お疲れ様です、神様、

 あと一つだけお願いしても良いですか?」

『お願いとな?』

「はい、家族には“異世界で生きている事”を

 伝えて欲しいんです、

 まぁ、会えないけど、生きているからと、

 もし、所帯を持って孫が出来たら

 見せに行きたいですからね。」

『ふむ、ソレに関してはワシも考えておこう、

 何分ここは“中継点”じゃ、

 上手い事繋げれば会えるように出来るやもしれん、

 よし、ソレに関しては責任を持って

 ワシが何とかしよう。』

「重ね重ね、ありがとうございます、

 では、そろそろ向かうべきかと?」

『うむ、

 その扉が“繋がっておる”

 “シャガ”どんな苦境に立とうとも

 耐え凌ぎ新たな芽を芽吹かせ、

 素晴らしい花を咲かせる意味を持たせた、

 だが、最近は種も芽も出ないのだ。』

「疲弊しているのか、

 世界を脅かす何かが

 働いていると考えるべきですね。」

『あぁ、頼んだぞ。』

「行ってきます。」

『うむ、行ってまいれ。』

『お父さんっ!!』

『なんじゃ今更?』

『事故の切っ掛けを作ったのは

 お父さんなのに、

 なんで私が怖い目に逢わなくちゃいけないのっ!?』

『気づいておらんのか?』

『なにを?』

『会って三口目から、違和感なく会話し、

 真っ先にワシに“アノ注射器”を

 向けようとしたのを。』

『なっ!?』

『しかし、なにかに気づいたのか

 その対象をお前に代えた、

 更に(娘さんは大事にし過ぎてもダメですよ?)

 などと、“教えていない念話”で

 会話をして来たのだ。』

『念話ってっ!?

 シャガの魔法じゃないっ!?

 なんで地球出身の人間が使えるのよっ!?』

『わからん、

 しかし、既に戻す手立てはない、

 彼が世界を救うのか亡ぼすのか、

 ワシらは、見守る以外に、

 手立ては無いんじゃ。』

『そんな・・・。』

(さて、

 あのように底知れぬ憎悪も抱えつつ、

 平常心を表にし、

 異常なまでの“警戒心”

 罪の清算も進んでいたこの謎、

 地球で一体なにが起こっていたのだ?)

 

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