▽
くんくん
うわぁ!!すごい良い匂い!!
こんな“死の森”に捨てられたから
死ぬしかないって思ってたけど
“神様はきっと居るんだね!!”
私はその匂いに釣られて
“森林の奥深くへ入り込んでしまった”
後ろから魔物が着いて来てるのも気づかずに
▽
ふぅ、とりあえず落ち着いたな
イノシシモドキの足で一食はキツイから、
もう一頭は狩る必要があるな
「・・・そっか、武器があった。」
早くこのシャガに慣れねば
「うし、これで頭を狙えば・・・。」
人?
(いや、オマケも居る)
窓から外を見ると
低木の影に小柄な人影が一つと
明らかデカいとわかる何かが後ろから迫って来ていた
「ふざけんな!
俺の拠点をやらせはしないっ!!」
▽
(はぁ~なんて良い匂いなんだろ)
ここ何日も食べて無いから
よだれとかでないと思ったのに
じゅる
「おっとっと。」
破けた袖で口を拭う
ぐぅ~
早く食べたいな~
ズシン
「え?」
この揺れで
私は“捕食対象”になっていた事に気づいた
▽
鈍い音と共に小柄な人影が殴り飛ばされた
「っ!?」
構えるのはマテバロングバレルカスタム
ガス銃でカスタマイズした事があるからこそ
“実銃でのカスタマイズ武器も呼び出せる事”に
気が付いたのだ
「当たってくれよっ!!」
ガォン
勿論、初めて実銃を撃つ行為は
掠りこそすれど脳天は貫けなかった
「うひ~、これもしびれる~。」
しかしそのオマケは
俺を脅威対象と認識してくれたようで
怒りの表情(たぶん)で迫って来た
「こっちだっ!!」
先ほどイノシシモドキの
食べれない部分を埋めた方へ誘導する
そして、また魔法が使える事を忘れていた
「っ!!」
ガォン
動きを鈍くさせる定番として足を撃つ
今度は膝らしき部分を見事貫き
オマケは倒れ込む
グボゥウウウ
「どう言う叫び声だよっ!!」
起き上がられてはたまらないので
反対の膝も撃ち貫く
ガォン
これで三発、後、三発
まだ、魔法が使える事を思い出せないでいた
腕も肩目掛け撃ち込み
後、一発
「・・・あれ?」
ここで漸く“魔法が使える事”を思い出した
「はぁ~・・・。」
盛大な溜息を付きながらしゃがみ込む
(なにやってんだろ、
どうして魔法が使える事を忘れるんだ?
ここは地球じゃないんだぞ?)
ウゴウゴ五月蠅いオマケ
「うっせぇ・・・。」
まだウゴウゴ言っている
「うっせぇってんだろうがっ!!」
弾丸に魔力を込めるイメージをし
弾着と同時に“爆発するイメージ”を
更に捻じ込んで
「ぶっちれっ!!」
頭を撃ち貫いた
ガォン
ボジュッ!!
あ、上半身が焼失しちゃった
「やべっ、さっきの人影。」
慌てて来た道を戻る
▽
(・・・いたい)
辺りが赤くみえる
「・・・ぇ。」
声もうまく出せない
(・・・血、
あぁ、私の血だ・・・
私、シンジャウヨ・・・
やだよ・・・シニタクナイヨォ)
「いたっ!!」
だれだろう?おとこの人のこえ?
“闇の魔法にて損傷部を除去
光の魔法にて損傷部の復元、
俺の血液から血清を製錬、
この者の不足分血液を
俺の血液から変換し補填
その不足分は所持している
イノシシモドキの血肉を製錬し補填
発動!!”
(んな無茶苦茶な魔法・・・
出来る筈がないのに・・・)
▽
?
「よぅ、目、覚めたか?」
「・・・こ、は?」
「俺の拠点、
んで、三日間眠り姫の気分は?」
三日も寝てた?
私が?
「・・て、る?」
「あ?
あぁ、生きてる。」
あ~ぁ、泣き出しちゃった
「ほれ、起きろ、
イノシシモドキの肉のスープだ、
いきなり固形物食べると
帰って胃に血が集中して
貧血起こすからな、
ゆっくり飲みな。」
あたたかい
おいしい
ん?
なんだか服が・・・!?
「ん?
先に謝る、
傷の手当と、
服がボロボロ過ぎてな、
俺が作った衣服を着せた、
悪かった。」
はたかれる覚悟で頭を下げる
あれ?
「どうした?」
「こんな高級生地の服は着れませんっ!!」
「そっちかよ!!」
恐らくこのシャガでは綿が衣服の主流と判断したが
まさかの高級生地だったのか、一つ学習したな
「そ、それに・・・なんだか、
その・・・。」
「ぁ~、なんだ、
寝てる間でも・・・その、
な?だからさ・・・あの~。」
まぁ、でるよね?
解るよね?オムツを付けときました
だって動かすには不味いぐらい
ボキボキに折れてたし、
破けた・・・ね?少し、中身が出かかってたし、
身体への負担を減らす為にも
オムツを選択したのは
間違いない!!多分!!
「・・・に、ん。」
「はぃ?」
「責任、とって下さい。」
まぁ、スープを会話の間に挟みながら
状況の説明を続けた
▽
「ごめんなさい!!」
拠点滞在5日目
彼女から改めて謝罪を受け、
とりあえず落ち着いた
「わかって貰えて良かったよ、
それで、この先はどうしようか?
先の説明通り、
俺はギルドに向かいそこの
イノシシモドキの胃袋を換金したい。」
彼女が寝ている間も
イノシシモドキの狩りは続け
スープを作り少しずつ飲ませていた
だからこそ“栄養不足で死ぬ事は無かった”
狩りを続けた結果、
胃袋は6個獲得し
燻製の方法を試したら
“20日は持つ保存食”も確保できた
「でも、私もここが死の森って名前以外
場所もよくわからないのよ。」
そうなのだ、彼女は
別の国の貴族だったのだが、
“魔力無し”の烙印を押され
ここに捨てられたのだ
「ふむ、
・・・なぁ?
この世界には“魔力無し”はあり得ないって
話だったよな?」
「言い伝えだけよ、
現に私が使えないし、
こうして捨てられた子供も
たくさん居るとも言われているわ。」
(・・・使えないのでは無く
使わずとも“別な何かに頼れるか使えるか”
無意識化による封印がド定番だけど
そっち系統の能力は頼まなかったからな~)
「まぁ、仕方ないか、
名前もないんだろ?」
「・・・メルジェーネ。」
「メルジェーネ?」
「私の名前、メルジェーネ・フォン・ルーカフィル。」
「そか、
んじゃ、俺の養子にならないか?」
「は?」
「いや、家名でまたそう言う迫害やら、
捨てたルーカフィル家からまた命を狙われるんだぞ?」
そう言うと、顔を伏せ
「わ、ってる。」
泣き出した
「・・・メネ。」
「っ!?どうしてお母様が呼んでだ略称をっ!?」
「おっと、そうなのか、
だけどこの“メネ”は、
そのお母様以外は?」
「絶対知らない筈よ、
だってお母様の娘は私だけで、
お兄様はお父様にべったりだったから。」
「なら、それで行こう。」
「どう言う事?」
「俺の名前、
仁淀(によど)五十六(いそろく)、
古臭い名前だけど、
メネは、“メネ・ニヨド”として
そのお母様に会えるんじゃないのか?」
「・・・あなた、
いま、なんて言ったの?」
「え?ニヨド・イソロクだけど?」
「・・・大犯罪者にして大英雄のイソロク、
この世界に10年の平穏をもたらした
最初で最後の人間の名前よ。」
「・・・その人は生きてるの?」
「死んだわ、
もう200年も前に。」
「あん?なんで200年前の事が
今も伝わってるんだ?」
「・・・小競り合いこそ続いてる今だけど、
その200年前はもっと酷かったらしいの、
それこそ世界中で戦い続けてたって、
家庭教師の先生が言ってたの。」
「それを10年も止めたのが、イソロクって人か。」
「そうよ、
でも英雄であり犯罪者、
その当時、誰もが追い求め、
手に入れようとした
“13の聖杯”を
根こそぎ奪って、
その“13の聖杯の力を”
《使い切って10年の平穏》を創り出したのよ。」
「・・・その聖杯に力は戻るのか?」
「・・・わからない、
その部分を教わる前に捨てられたから。」
「すまん。」
「いいのよ、
でも、イソロクの名前、
良い意味でも、悪い意味でも、
“注目を浴びるのは確実ね”」
「メネ、先ずはこの武器に慣れてくれ。」
持ち出すのは“三八式歩兵銃”
「なにこれ?」
「まぁ、そうなるか。」
要点を説明すると、
“俺よか素早くリロードし”
命中率も言わずもがな、
俺より確実に当ててくれた
・・・泣きたい