デート・ア・セブン   作:疾風海軍陸戦隊

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覚醒

 

「あああ・・・・・・」

 

折紙は、対物ライフルのスコープレンズで、崩れ落ち血まみれで倒れる士道の姿を見ながら、自分の喉からそんな声が漏れるのを感じた。そしてその顔は青ざめ瞳孔が広がりガタガタと震えていた。そして彼女は手に持っていた対物ライフルを落とし力が抜けるように座り込んでいた

 

「わたしは・・・・・わたしは・・・・・」

 

震えながら言う折紙。士道を撃つ気はなかった。狙った相手は両親を殺した精霊と同じ精霊十香であった。狙いは完璧。完璧に狙いを定めてから引き金を引いた。外れる要素は微塵もなかった・・・・・彼が、士道は彼女の手を引き、盾にならなければ。

放たれた対精霊用弾丸は彼女に当たるはずが盾となった士道の腹を貫き彼の胴体の一部を抉り取った。そして折紙が彼を最後に見たものは彼が見えないはずなのに彼が自分の方を向いて手で制し、何かを叫んでいたということだ。距離があったため聞こえはしなかったが折紙にはこう聞こえた

 

《撃つなっ!!》

 

「わたしは・・・・・わたしは・・・・・」

 

「折紙!折紙しっかりしなさい!!」

 

上官である日下部がそう言い彼女を揺さぶるが彼女はただ今の現実を受け入れることができずにまるで人形のように固まってしまっていた。すると日下部は彼女の頬を数回たたくと、折紙は我に返る。すると日下部が

 

「悔いるのは後にしなさい! 後で死ぬほど責めるから! 今は生き延びることだけ、考えなさい・・・・ッ!」

 

そう言うと日下部は十香のいる方を見るのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・シドー?」

 

十香は倒れた士道にそう呼びかけるが彼は返事をしなかった・・・いや返事をすることができないのだ。今の彼はもはや生きた人間ではない。先ほどまで笑顔で十香に手を差し伸べた彼は今腹に大穴が開けられ血まみれで倒れていたのだ。それを見た十香の目には涙が流れていた。そして十香は士道の体に自分の上着をかけると

 

「シドー……お前と一緒なら・・・・お前となら。本当に・・・・・」

 

『人間と精霊は必ず共に仲良く暮らせるよ十香。私はこの星に暮らす人間を信じている。同じ人間としてな』

 

「士道となら・・・・もしかしたらと・・・・すごく大変でどんなに難しくてもできるかもって・・・・・・」

 

『それでも君を否定する者がいれば私はその数倍、君を肯定する!十香。手を握ってくれ。今はそれだけでいい・・・・私を信じてくれ』

 

「でも士道・・・・だめだった。・・・・・やはり・・・・だめだった!!」

 

十香は涙を流し、そして士道を撃った場所へ睨むと

 

世界は私を否定したっ!!!

 

激しい怒りに十香は手を天に挙げると赤い夕焼け空だった空が一気に曇り雷鳴が鳴る。そしてその黒雲から白い光が降り注ぎ彼女を包む。

 

神威霊装・十番(アドナイ・メレク)!!!」

 

そう叫ぶと彼女の体は精霊の服装に変わる。そして彼女は強く地面を踏むとそこから巨大な剣が現れ。十香はそれを抜くと

 

鏖殺公(サンダルフォン)・・・・最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)!!》」

 

と、叫ぶと彼女の持つ大剣、鏖殺公は先ほどよりもさらに巨大化する。そして十香は

 

「よくも!よくも!よくも!よくも!よくもぉー!!!」

 

先ほどの士道を撃った人物のいる高台へ向けてその大剣を振り下ろすと、そこからとてつもない衝撃波が発生し、その高台を切り裂いた。そしてその場にいた日下部は飛び上がる

 

「な、なんて威力なの・・・・・折紙!すぐに離脱しなさい!」

 

本来ならば支援部隊がいるはずであったが、例の行方不明事件で調査に行ったきり皆帰ってこず行方不明になっているのだ。そのため、今いる隊員は日下部と折紙だけであったのだ。日下部は必死に折紙に呼びかけるが彼女は動くことができなかった。なぜなら彼女の目の前には・・・・・・・

 

「・・・・・貴様だな?」

 

そこには怒りのオーラをまとい、今にも折紙を殺さんとばかりの殺気を含めた目で折紙を睨んでいた

 

「・・・・・貴様だな?・・・・わが友を・・・・・我が親友を・・・・・士道を殺したのは・・・・・・貴様だなっ!!」

 

「私が・・・・・五河士道を・・・・」

 

十香の言葉に折紙は改めて、自分が士道を射殺してしまったことを実感してしまう。そして十香は

 

「殺して、殺して、殺して、殺し尽くす……死んで、死んで、死んで・・・・・死に尽くせぇっ!!!!」

 

自分から大切な人を奪った人物に憎悪の目で睨む十香に折紙はただ恐怖で立ち尽くすしかなかったのであった。

 

 

 

一方、ラタトスクでは・・・・・

 

「士道君。脈拍無反応です!」

 

「空間震警報が発令されました!」

 

「住民避難、まだ7%しか完了されていません!」

 

ラタトスクの職員がそう言う中、琴里は

 

「幸い、周囲に人家がないのが救いだけど。このままじゃいずれすべて破壊されるわね。まあ士道も騎士(ナイト)としては及第点ね。あそこで助けなかったらお姫様は目も当てられなかったわ・・・・・」

 

「あ、あの・・・・・司令?士道君は?」

 

兄が瀕死の状態だというのに冷静に言う琴里に職員は首をかしげると琴里は

 

「いいから仕事を続けなさい。皆災。士道があれぐらいで死ぬわけないでしょ?」

 

『えっ!?』

 

琴里の言葉に職員はスクリーンを見ると士道の傷に小さな炎が燃えているのが見えた

 

「どうやら始まったみたいだわね・・・・・・・・・あれ?」

 

「どうしました司令?」

 

「い、いいえ・・・・・なんでもないわ」

 

そう言う琴里。職員たちは気が付かなかったが琴里は一瞬・・・・ほんの一瞬だけだが士道の姿がほんの一瞬だけ、士道の姿が人間とは違う姿に見えた。その姿は真っ赤なボディに肩や胸にプロテクターをつけた人間とは全く違うものに見えたのだった・・・・

 

 

 

 

 

 

 

『士道さん・・・・・士道さん?・・・セブン・・・・・ウルトラセブン・・・・・』

 

「(誰だ?私を呼んでいるのは?私は十香を助けるために撃たれたはずだ・・・・・?)」

 

暗い空間の中、士道は自分の耳に聞こえる声に訊く。その声は何度も聞こえたあの声だった

 

『5年前。あなたがこの世界に転生したとき私が預かっていたものを返す時が来ました・・・・・・』

 

「(預かっていたもの?)」

 

『この地球に精霊以外に、この星を狙う侵略者が現れます。その侵略者から救えるものはあなたしかいません・・・・・セブン。今こそ、その時が来たのです・・・・・この世界のことをお願いします』

 

その声が聞こえた瞬間、士道の視界は光る。そして士道は目を覚ますとそこは先ほどの公園だった

 

「ここは・・・・・・しかも傷がふさがっている」

 

そう言い士道は先ほどまで大穴が開いていた腹をさする。すると何やら胸ポケットに違和感を感じ士道はそこに触れる

 

「・・・・・・・・・」

 

触れた瞬間。士道は少し驚いた顔をするが、直ぐにあたりを見渡す

 

「そう言えば・・・・十香はどこに行った?」

 

そう思っているとインカムから

 

『士道。士道聞こえる?』

 

琴里の声が聞こえる

 

「ああ、聞こえる。琴里。十香は今どこにいる?」

 

『あんたね・・・・・・不思議に思わないの?あんた腹に大穴が開いて死にかけたのよ?よく平気な顔をしていられるわね?』

 

「今はそんなこと、どうでもいい。とにかく今は十香だ。あのとき私を撃ったのはASTの隊員だ。もしかしたら十香は彼女らと交戦している可能性がある。もし彼女を助ける方法があったら教えてくれ」

 

『そんなことって・・・・・いろいろ突っ込みたいところはあるけど、まあいいわ。今彼女はあなたが殺されたと思って激怒してASTの隊員を攻撃しているわ』

 

「それで、止める方法は?」

 

『簡単よ士道。デートのラスト。そして王子様がお姫様にすることは?」

 

「・・・・・まさかキスか?」

 

「ご名答。それをすれば彼女の力を封印できるわ。時間がないわできるわね士道?」

 

「・・・・・・わかった。十香を救うためだ。なんだってして見せる!」

 

『そういうお思ったわ。今からあなたをフラクシナクスに回収して十香のもとに送るから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、十香は、動けなくなった折紙にとどめを刺そうと剣を挙げて今にも振り下ろそうとした

 

「終わりだ・・・・・」

 

「(お父さん・・・・・お母さん)」

 

折紙は覚悟を決めて目をつぶる

 

「死ね・・・・・・士道の仇だ」

 

そう言い振り下ろそうとした瞬間。

 

「十香ぁぁーーーー!!!」

 

「っ!?」

 

聞き覚えのある声に十香は空を見上げる。そこには死んだと思っていた士道がこっちぬに向かって落ちてきたのだ

 

「士道!?」

 

十香は怒りを忘れ、落ちてくる士道に向かいそしてキャッチする

 

「し、士道?本物なのか?本物の士道なのだな?」

 

「ああ。心配をかけてすまない」

 

士道が微笑んで言うと十香は涙をため

 

「シドー!シドー!シドー!」

 

何ながら士道の胸に顔を埋める十香。士道は彼女の頭をそっとなでる

 

「すまないな心配をかけて・…けどもう大丈夫だ・・・・・それより十香。君のその大剣を何とかしないとな。今にも爆発しそうだ」

 

「ハルヴァンヘレヴの制御を誤った。どこかへ放出させるしか・・・・」

 

「それではほかの所に被害が出てしまう」

 

「ではどうすればいいのだ!?もう臨界状態なのだぞ?」

 

「方法がある。たった一つだけだ」

 

「なんだそれは?」

 

「(許せ。前世の妻よ・・・)キスをするしかない」

 

「キスとはなんだ?いいから教えろ!」

 

「キスとは互いの唇を合わせる・・・・」

 

士道がそう言いかけたとき、十香は士道とキスをする。すると十香の持っていた。大剣が消えるのと同時に、十香が身に纏っていたドレスのインナーやスカートを構成する光の膜が、弾けるように消失しいわば裸状態になっていた

 

「す、すまない。十香。君を救うとはいえ、まさか服が消えるとは・・・・」

 

顔を赤くしそう言う士道に十香は身を寄せて

 

「離れるなシドー・・・・見えてしまうではないか」

 

顔を赤くし恥ずかしそうに言う十香。そして十香は

 

「なあシドー・・・・またデートに連れてってくれるか?」

 

十香は目をウルウルさせてそう訊くと士道は微笑み

 

「ああ。またどこかに遊びに行こう十香」

 

そう言うと十香は嬉しそうに笑顔で頷くのであった。

その後、真夜中士道は自分の部屋で椅子に座っていた。

 

「・・・・・・・」

 

そして胸ポケットと懐にあるポケットから二つのものを取り出した。それは先ほど目を覚ました時にいつの間にか入っていたものだ。一つは小さな箱に4つのカプセル。そしてもう一つは赤いゴーグル状の物。そう士道が本来の姿,ウルトラセブンに戻るためのアイテム。

『ウルトラアイ』であった。

 

 




次回はクール星人を登場させたいと思います。

セブン以外に来るウルトラ戦士は誰がいい?

  • 初代ウルトラマン
  • ウルトラマンジャック
  • ウルトラマンエース
  • ウルトラマンタロウ
  • ウルトラマンレオ
  • ウルトラマンキング

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