学校についた士道は授業を受けていた。士道のいる学校は南関東大空災後、様々な最新技術のテスト都市として再開発が行われてきて、士道の通う来禅高校も普通の都立高校とは違い充実した設備を誇るうえ、空間震が起きたときに避難できるよう最新の地下シェルターが配備されていた。
そして授業が終わった後、士道の教室である2年4組では
「しかし、まあ奇遇だな五河。この殿町宏人、何だか運命を感じるな」
「ははは。そうかもな。だが、俺はそっちの趣味は無いからな」
「安心しろ俺もだ」
「まあ、またよろしく頼むよ宏人」
士道に話しかけたのは彼のクラスメイトであり士道・・・・いやセブンがこの世界に転生して初めてできた友人である。二人がそう話していると宏人のポケットからスマートフォンの音が聞こえてくる。
「おっと・・・彼女から電話だ」
「彼女ができたのか?」
「まあな。紹介するよ士道」
そう言うと殿町がスマートフォンの画面を見せてくる。そこに写っていたのは人間の彼女の写真などではなくピンクの髪のアニメ風の少女と何らかのパラメーターらしき表示が出ていた。これは紛れもなく彼女の写真ではなく二次元の少女の画像しかもギャルゲーであった。それを見た士道は
「忘れていたよ。お前は確かギャルゲーが趣味だったな」
「おいおい、そんなおっさんみたいな大人口調で言うなよ士道。それに彼女には変わりない。それにギャルゲーはいいぞ。女の事との接し方やデートの仕方諸々全てを学べる優れモノなんだぞ。まさに恋愛の教科書だ!それにこの・・・・」
と殿町が熱心に自分のギャルゲーのことを話す中、士道は
「(趣味は人それぞれというが・・・・この星の人間たちのこの先の将来が心配だ・・・・・)」
と目を細めそう思っていると
「五河士道」
「ん?」
不意に抑揚のない声で名前を呼ばれて士道が顔を向けるといつの間にか隣の席に一人の女子生徒がいた。その少女は白い髪で人形のように無表情であった。その少女はじーと士道を見ていた
「えっと・・・・・君は?どこかで会いましたか?」
「・・・・・覚えていないの?」
「すまない。君とは初対面だ」
「そう・・・・」
彼女はそう言うと無表情で席に座り本を読み始める
「・・・・殿町。あの子は誰だ?」
「士道、お前あの超天才少女、鳶一折紙を知らないのか?」
「鳶一折紙?」
「ああ、成績は常に学年主席でうちの高校の誇る大天才。しかも運動はお前同様、万能でしかもとびっきりの美人ときた。俺調べの恋人にしたい女子生徒ランキングでトップ3に入るぐらいの校内一の有名人だよ。知らないのか?」
「あいにくそう言うことには疎いんでね」
「まったくそれが体育で男子トップで学年二位の成績を残している。お前のセリフとは思えないな?」
「別に俺はただ死力を尽くして努力しているだけだ」
「そうかい。それよりもなぜ校内の有名人である鳶一がお前のことを知っているんだ?」
「わからない。俺も彼女とは初対面だ」
士道は何が何だかさっぱりという表情で殿町に言うと予鈴を知らせるチャイムが鳴り、皆は席に座る。その直後、教室の扉が開き、そこから眼鏡をかけ生徒たちと同様な外見の小柄な女性が入ってきて、教卓につく。
「おぉー!タマちゃんだぁ!!」
殿町がそう言うと、ほかの生徒たちが喜びの声を上げる
「みなさんおはようございます。これから一年、皆さんの担任を務めさせていただきます岡峰珠恵です」
と、笑顔でそういう教師。彼女の名は岡峰珠恵。社会科担当の先生で生徒と同年代ぐらいにしか見えない童顔と小柄な体躯、のんびりとした性格で生徒たちから『タマちゃん』と呼ばれ慕われている先生である。そしてタマチャンの授業が始まる中、士道のことをじっと見ている生徒がいた。先ほど士道に話しかけた鳶一であった。その視線に気付いていた士道は
「(・・・・・なぜ彼女は私のことをじっと見ているのだ?私の名前も知っていた・・・・一体何なのだ・・・・・それに)」
と、士道は窓の外を見る。
「(それにやはり…あの空に何かが浮いている・・・宇宙船か?だとしたら何の目的で姿を隠し、そこにずっと浮いているのだ?)」
セブンの能力で、セブンに変身できない士道に残された技の一つである透視能力で士道は先ほどから空に浮かんでいる。何か大きな飛行物体を捉えていた。上空にあるその飛行物体に気付いたのはほんの数週間前、だが、それが何なのか何が目的で浮いているのかはわからなかった。ただセブンに変身できない自分にできることはただあの飛行物体がおかしな行動をしないように見張ることしかできないということだ
そして時は経ち、正午になり始業式は終わって皆家に帰る支度をしていた
「五河。一緒に帰らないか?」
「すまない殿町。これから約束があってな」
「ほお~女子か?君にもとうとう彼女ができたのか?」
「いや、妹とこれから外食する約束があるんだよ」
「そうか。まあ、君と一緒に食事をする女性は妹しかいないからな」
「殿町。言葉とはよく考えてから口にした方がいいぞ?」
ジト目で殿町に言う士道。するとあたりからサイレン音が鳴る
「っ!?空間震警報!?」
「来るのか!?」
突然の空間震を知らせる警報に生徒たちは動揺し始める
「学校の地下のシェルターに避難すれば安心だ。とにかくそこに避難しよう」
士道がそう言うと、隣の席に座っていた鳶一が立ち上がりその場を離れる。しかも向かう先はせるたーとは違う方向だった。それを見た士道は
「待て鳶一、どこに行くんだそっちはシェルターの方角じゃないぞ?その先は危険しかない。罠に落ちるようなものだ」
「・・・・大丈夫。問題はない」
無表情でそういうと、彼女は急いで教室から出て行ってしまった。
「おい、五河。早くシェルターに急ごうぜ」
「あ、ああ・・・わかった」
そう言い士道はシェルターの方へと向かうのであった。そしてシェルターの前では教師達が生徒を誘導している。だた一人だけ
「み、みみみみなさん落ち着いてください!子いう時でも『おかしも』を忘れず!押さない、駆けない、しゃれこうべ!!」
とタマちゃん先生はパニック状態でそういうと殿町が
「先生が落ち着いてくださいよ」
「そそそs、そうですね!」
と、殿町に落ち着かされている。そして士道はスマホを取り琴里に電話をかけていた。だが通じない
「(琴里・・・・・ちゃんと避難できたのか?・・・・まさか!?)」
そう思い士道はスマホでGPSのアプリを起動し、琴里の居場所を検索する。するとGPSが表示していた場所は【五河琴里 ファミレス前】と書かれていた。その表示を見た士道は今朝のことさとの約束を思い出した
『絶対だからね!絶対約束だからね!地震が起きても火事が起きても空間震が起きてもファミレスがテロリストに占拠されても宇宙人が襲来してもだぞ!!』
「っ!?」
その言葉を思い出した瞬間。士道は走り出した
「おい、五河!!」
殿町が止めるがそれを聞かず、士道は学校を飛び出し、琴里との集合場所であるファミレスに向かっていた
「琴里…なぜ避難しない!約束は大切だが時と場合によるだろう!」
士道はそう言いながらファミレスの方へと走り出す。そして士道は先ほどことりと交わした約束を思い出す。
『お前はどんなことがあっても絶対に守ってやるからな』
「琴里・・・・」
そして走りながら懐に手を入れるが
「ウルトラアイがない・・・・・・そうだった。私はもうセブンじゃなかったんだな・・・・とにかく今は琴里のもとに行かなくては!」
そう言い士道は走り出すそしてファミレス近くまで付く
「よし、この先を曲がればすぐだ」
そういった瞬間。士道の第六感に何か危険なものを感じた
「っ!?」
士道はとっさに腕をⅩ字に組んだ瞬間、突如閃光が光ったと思ったら急に自分の前で大爆発が起きた。その爆発による爆風で士道は吹き飛ばされそうになったが、何とか耐え、爆風が治まり目を開けてみるとその先には何もなくあったのはまるで隕石でも降ってきたかのような大きなクレーターであった。そしてそのクレーターの真ん中に紫のドレスのような、騎士の鎧のような衣装を身に纏い、美しい黒の髪を靡かせ、両刃の大剣を左手に持った少女がいた
「(・・・・誰だ?人?・・・・・いや、違う。だが宇宙人でもない。一体・・・)」
士道がそう思う中、少女は士道に気付き、剣を振り上げ、こちら目掛けて振り下ろした。そしてその件から閃光が放たれ士道の横を通り過ぎたと思ったら士道の後ろにある建物が爆発し崩れ落ちた。士道はいきなりのことに驚く。すると先ほどの少女が士道の前に立ち剣を向け
「お前もか・・・・・?」
「なに?」
少女が話しかけ士道は彼女の顔を見ると少女は悲しげな顔をし
「お前も・・・・私を・・・・・殺しに来たのか?」
と、そう言うのであった
セブンの正体を明かす相手は?
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夜刀神十香
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五河琴里
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澤梓
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精霊全員
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最後まで正体を明かさない