「今の言葉聞き捨てならねーです」
場所は戻り、真那が琴里に反論する
「DEMは記憶喪失の私を受け入れてくれて、存在理由を与えてくれやがりました。感謝してもしきれねーです」
「・・・・本気? 狂ってるとしか言いようがないわ」
「失礼な。何を言ってやがるのですか」
琴理はそこで真那の口ぶりに違和感を覚える。
「貴女、もしかして、知らないの・・・・? 自分の身体の事を」
「なんのことで?」
真那は分からないという表情を見せた。その表情に琴里は数日前のことを思い出す
それは士道が狂三とデートし、ツルク星人に襲われた夜のことだった
琴里はフラクシナクスに戻ると、令音はディスプレイで何かを見ていた
琴里は近寄り覗いてみると、なぜか真那の姿が画面一杯に拡大されていたのだ。
令音も集中していたようで、いつになく難しい顔をしていた。
「令音? 真那がどうかしたの?」
「・・・・・・・・!」
琴里の存在に気づいたのか、令音が隈まみれの目を向ける。普段から冷静沈着な令音にしては珍しい事だった。
「・・・・琴里か。ーーーん、少しね」
そう言って、令音は慣れた手つきでコンソールを操作し、真那が映った画面をズームアウトさせた。
「・・・・それより、シンの様子はどうだい?」
「ええ。落ち込んでると思ったけど、いつもの士道だったわ」
「・・・・そうか」
令音は小さく頷き、顔をフッと上げる。
「・・・・ああ、そうだ。頼まれていた解析が済んだよ」
令音の言葉に、琴里はピクリと眉を動かした。
先日入手した真那の毛髪と唾液を渡し、令音にDNA鑑定を依頼していたのである。真那が、本当に士道の妹であるかどうかを。
「で・・・・どうだったの?」
「・・・・ん、真那は、シンの実の妹と見て間違いない」
「!?っ、そ、そう・・・・」
琴理はゴクンと唾液を飲む。予想していなかったわけではないのだが・・・・やはり、少し胸がざわついてしまい、胸の辺りに手をやった。
「本当の・・・・妹、か。そんな子が、どうしてASTに入ったのよ?」
「・・・・いや、少し調べてみたが、正確には違う」
琴里の言葉を遮るように、令音が声を上げる。。
「どういうこと?」
「・・・・彼女はもともと自衛隊員ではなく、『DEMインダストリー』からの出向社員だ」
「それって、
「ああ…確かな情報だ」
DEMインダストリー社。
英国<イギリス>に本社を構える世界屈指の大企業であり、〈ラタトスク〉母体のアスガルド社やペダンカンパニーを除けば、世界で唯一顕現装置<リアライザ>を製造できる会社である。自衛隊ASTのみならず、世界中の軍や警察に秘密裏に配備されている
精霊を狩ることにも非常に積極的であり、精霊保護の〈ラタトスク〉とは商売敵と言う事できる。
無論、同社にはCR-ユニットを扱う
そして琴里の語ったペダンカンパニー。
通称「PDC」というのは10年前、突如現れたDEMと対をなす大企業であり。DEMの最大のライバル企業である
アーマードスーツや救助ロボットそして
そしてその会社の会長は謎に包まれており、精霊の存在は知りつつもなるべく介入しない方針を取っていた。
「ちょっと待ってよ。余計意味が分からなくなってきたわ。士道の妹が、なぜDEMなんかで
「・・・・それはまだ分からない。だが・・・・」
令音は言葉を切ると、ギリと奥歯を噛み、怒りに震えるように拳を握った。
琴里は眉を顰めた。長い付き合いだが、こんな感情を露らにする令音は初めて見たからだ。
「一体何があったの?」
「・・・・これを見てくれ」
令音がコンソールを操作すると、画面に真那の写真と、士道を路地裏から離す際に、顕現装置<リアライザ>を使ったときに計測された細かな数値が表示されていた。
「っ・・・・これはーーー」
「・・・・ああ、全身に特殊な魔力処置が施されている。・・・・だが代償も大きい。恐らく。あと十年ほどしか生きられないだろう」
「!?っ、何よ、それ・・・・!」
琴里は忌々しげに呻いた。
そもそも、DEM社製の
ゆえに脳波を増幅する為に、外科手術で小さな部品を埋め込むことが必要とされている。折紙達AST隊員も、髪に隠れて角のような突起が頭から出ている。
だが、真那の身体は、そんなレベルを遥かに超えていた。
それこそ・・・・身体の数割が精霊となっていると言っても良い状態だ。
「・・・・彼女がどんな決意でこれを受け入れたかはわからない。だが・・・・まだシンには明かさない方が・・・・いいだろう」
令音が重々しい口調でそう言い。琴理は、ゴクリと唾液を飲み込み唇を噛んだ
「・・・・・・っ、なんてこと」
まったく予想していなかった訳ではないが・・・・まさか令音の懸念通りであったことに、琴理は渋面を作って、真那に近づき、その肩を掴んだ。
「な、何をしやがるのですか?」
突然のことに真那は驚くが
「・・・・悪い事は言わないわ。貴女こそDEMを抜けなさい。〈ラタトスク〉が面倒を見たっていいわ。だから!!」
真那の現状に琴里は黙っていられなかった。たとえ愛する兄の実妹であろうとなかろうと琴里は彼女を見捨てることができなかった。士道もそこにいればきっと彼女と同じことを言うだろう
「はぁ・・・・? いきなり何を・・・・」
と、真那が眉を顰めて言いかけた瞬間、二人の携帯電話が同時に着信音を鳴った。
苛立たしげに顔を顰めてから、通話ボタンを押す。
「・・・・・私よ。何?」
《し、司令! 来禅高校に凄まじい霊波反応が!それに士道君との通信も映像も出ません!》
「何ですって・・・・?」
「それはできませんわ士道さん・・・・・・いいえ、ウルトラセブンさんと言った方がいいでしょうか?」
「っ!?」
狂三の言葉に士道は驚いた表情をするのであった。いつから狂三は自分のことがセブンだと気づいたのか?もしくはどこかで見ていたかそう思っていると狂三はニヤッと笑い
「『なぜそれを?』と言いたそうな表情ですわね士道さん?」
「・・・・」
「理由は簡単ですわ。以前のツルク星人とセブンの戦い・・・・ツルク星人を倒した後、私はセブンの後を追いましたわ。そして森の中で光に包まれたセブンから士道さんに変身したのをこの目で見たからですわ」
「・・・・・」
迂闊だった…人気のないところまで飛んで五日士道の姿に戻ったが、まさか狂三に見られていたとは・・・・
「それで・・・・私がセブンだと知って君はどうするつもりだ狂三?」
そう言うと狂三は狂気的な笑みを浮かべ
「決まっておりますわ士道さん‥‥以前おしゃったように、あなたと1つになる為に、私はこんなところまで来たのですもの。貴方のその能力を手に入れるため・・・・私が直接あなた方を“食べて”差し上げるのですわ」
狂気的な笑みと目でそういう狂三。“食べる”と言う表現が文字通りなのか比喩的なのか、それに判別はつかないが、士道の胃に冷たいものが広がった。彼の経験上、その姿はまるでボガールのような感じがした
「狂三!私が狙いであるなら、私を狙えばいいじゃねえか! 何でこんな!」
士道が叫ぶと、狂三が愉快そうに言葉を続ける。
「うふふ、そろそろ『時間』を補充しておかねばなりませんでしたし、それに」
狂三はフッと、視線を鋭くして士道を射貫く。
「あなたを食べる前に、先ほどの発言を取り消していただかないとなりませんもの」
「なに?」
「ええ。私を助けるだなんて、世迷い言を」
「・・・・っ」
狂三の、あまりの視線の冷たさに、思わず唾液を飲み込む。
「ねえ、士道さん。そんな理由で、こんな事をする私は恐ろしいでしょう? 関係ない方々を巻き込む私が憎いでしょう? 救う、希望になる、だなんて言葉をかける相手でないことは明白でしょう?」
狂三は、役者のように大仰に手振りして続ける。
「だから、あの言葉を撤回してくださいまし。そしてもう口にしないと約束してくださいまし。そうしたなら、この結界を解いて差し上げても構いませんわよ? 元々私の目的はあなただけですもの士道さん」
「・・・・・・・」
「きひひ、ひひ。さあ、早く止めなければなりませんわよねぇ。急がないと手遅れになってしまう方といらっしゃるかもしれませんわよォ?それともウルトラセブンに変身して私を倒しますか?」
狂三は薄気味悪い笑みを浮かべて身をくねらせる。士道が、言葉を撤回する。たったそれだけで。何も難しい事ではない。
逆にそうしなければ、結界の中にいる皆の命が危険に晒される。選択の余地は無かった。
そしてセブンに変身することもできない。彼女も精霊とはいえ地球人と同じ地球に住む者。理由はどうであれセブンの力を使うわけにはいかない。
これはウルトラセブンではなくこの世界に生きる地球人。五河士道として解決しなければいけない案件だ
「・・・・・・」
「さあ、士道さん。お答えを?」
「・・・・狂三」
「・・・・結界を、解いてくれ」
狂三はまるで安堵したかのように息を吐く。
「なら、言ったくださいまし。もう私を救うだなんて言わないと」
士道は言葉を続ける。
「それは・・・・できない」
「は・・・・?」
士道がそう言った瞬間、狂三はポカンと瞼と口を開く。何とも間抜けな有り様か。今まで士道は、狂三のそんな顔を見たことがない。
「・・・・あら、あら、あら?」
だが、すぐに狂三の顔が、不機嫌そうに曇る。
「聞こえませんでしたの? それを撤回しない限り、私は結界を解きませんわよ!それともウルトラセブンとして私を倒しますか?」
狂三は珍しく焦った表情でそういう
「それでもだ。それと今の私はM78星雲のウルトラセブンではなく私は地球人。五河士道としてお前を倒さず救う。その決意は変わらない!」
士道は力強くそう狂三に言い放つのであった
セブン以外に来るウルトラ戦士は誰がいい?
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