デート・ア・セブン   作:疾風海軍陸戦隊

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赤き戦士と黒の狂乱

その頃、天宮市にある大きなビル。そのビルにある会社の名前は

「ペダンカンパニー」

DEM社と対をなす大企業であり、AATにアーマードスーツ「ARIEL」を貸し出しているところだ。

そのビルの屋上の会長室では一人の少女が椅子に座り外を眺めていた

 

「・・・・・」

 

彼女の名は金城杏、若くしてペダンカンパニーを立ち上げ、大企業にまで育て上げた人物であり、この会社の会長でもあった

だが彼女の経歴は謎のままであった。

するとドアからノックの音が響く

 

「開いてるよ~」

 

「失礼します」

 

そこへ秘書らしき、ポニーテールの女性と片眼鏡をした少女が入ってきた

 

「会長。陸上自衛隊に貸し出している新型アーマードスーツの報告書を持ってきました」

 

「ご苦労さん、小山」

 

小山と呼ばれた女性は金城に書類を渡す、

 

「あっちゃ~~アーマーの装甲にヒビか~結構やられてんね~。まあ他の装備は問題ないみたいだけど」

 

困った表情をする会長に、片眼鏡の女性が

 

「仕方ありません。なるべく地球産のものに近い精度にしなければいけないので」

 

「わかってるわかってるって河島。100%うちのものにしちゃったら怪しまれるもんね‥‥でもそれでも頑丈に作ったつもりなんだけどな~」

 

「しょうがありません会長。相手はツルク星人・・・・あの狂気の刃は我がペダン星の物でも傷をつけることがありますで」

 

「まあ、同じ宇宙金属だからな~。ま、その通り魔もAATの子たちが倒せたんでしょ?」

 

「はい・・・・ですが、実際に倒したのは・・・・」

 

河島と呼ばれた女性は一枚の写真を見せる。それは赤き戦士ウルトラセブンの物だった

 

「・・・・・まさか宇宙警備隊がこの世界にも来ていたなんてね・・・・それで何か情報つかんだの?」

 

「いえ、これと言っては‥・・・ただ、この頃、DEMの動きが怪しいみたいです」

 

「ああ・・・あの会社か・・・・厄介だな~この前の裁判負けちゃったし。地球のルールでやるのも難しいね…宇宙のルールだったら簡単に勝てたんだけど・・・・まあいい。とりあえず、あいつらの行動には常に目を光らせるように、アレが悪用されたら、さすがの私も目覚めが悪いし、責任感じるからね」

 

「はい。迅速に対処します・・・・それでこのウルトラセブンの件は・・・」

 

「ああ…それなら近々、向こうから来ると思うよ。たぶん防衛省のお偉いさんからアポ来ると思うから、その時は小山よろしく」

 

「はい。わかりました」

 

「河島は、アーマードスーツの強化の件、技術長と一緒にお願いね~」

 

「はい!かしこまりました」

 

そう言い二人は部屋を出るのだった。そして杏は

 

「ここに流れ着いて幾数年・・・・・そろそろ始まるかもしれないね‥‥精霊出現期と同時に……怪獣頻出期も・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り

 

「それでもだ。それと今の私はM78星雲のウルトラセブンではなく私は地球人。五河士道としてお前を倒さず救う。その決意は変わらない!」

 

士道は力強くそう狂三に言い放つ、この戦いはウルトラセブンではない、地球人である五河士道自身が解決しなければならない。今それを撤回してしまったら、彼女に手を出してしまったら、きっと士道はもう二度と、狂三に手を伸ばす事ができなくなる

 

「・・・・聞き分けがない方は嫌いですわ・・・・ッ!」

 

狂三は叫び、トン、トン、と軽やかにバックステップし、士道と距離を取り、そして右手をバッと頭上に掲げ、その手を中心に、空気がビリビリと震える。

 

ーーーその瞬間。

 

ウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーー

 

空間震警報がけたたましく街全域に鳴り響く。士道は戦慄に顔を染めて呻く。

 

「(これは、まさか空間震か!?)」

 

士道は狂三の狂気に満ちた笑みを見て確信する。この空間震は、狂三が意図的に起こそうとしている。そんな事ができるだなんて聞いたことがないが、今この状況が全てを証明していた。

 

「きひ、きひひ、きひひひひひひひひひひひひッ、さぁさ、どォうしますの? 今のこの状態で空間震が起こったなら、避難もしていないこの学校の人たちはどうなるでしょうねぇ士道さん?」

 

「・・・・!」

 

今ここで空関心を起こされたらこの学校にいる人だけじゃない。その時に起きる爆風で回りの町にも被害が起きる…のだが

 

「(おかしい・・・・なぜ狂三はそんなに焦った表情をする?)」

 

明らかに狂三の表情に焦りが見えた。そんな士道の様子に気づかず、狂三は勝ち誇ったように唇を舐める。

 

「ーーーさあさ、士道さん? いかがですの? わたくしが恐ろしいでしょう? わたくしが憎いでしょう? これでも同じ事が言えまして? 弱き肉が! 強き捕食者に!」

 

「・・・・・・・・」

 

士道の頭は冷静に1つの疑問が浮かんだ。なぜ狂三はそんなにも士道の言葉を撤回させたがるのか、士道が何を言おうが、そんな言葉を。

士道を『食べる』事が目的ならば、そんな言葉に構わなければ良いのに、それなのになぜ、そこまで気にするのか。

 

ーーー彼女曰く強き捕食者である筈の狂三が。弱き肉の士道の言葉を。

 

だがそれと同時に士道はあることに気付いた

 

「(・・・狂三。やっぱり君は悪役に向いていないな・・・・)」

 

「さあ! 士道さん、どうしますの? 貴方が言葉を撤回しなければ、何人もの人が死ぬ事になりますわよ!?」

 

狂三は士道から視線を逸らさないまま、高く掲げた右手をくっと握った瞬間、キィィィィィーーーン・・・・と言う耳鳴りのような音が辺りに響く。まるで空間が悲鳴を上げているかのように。

 

「く・・・・」

 

この空間震を何とかしないといけない。士道は必死に思考を巡らせた

 

「(イチかバチか・・・・やるしかない)」

 

「・・・・狂三」

 

「何ですの? ふふ、ようやく取り消す気になりまして?」

 

不敵に笑って言う狂三に士道は

 

「すまないが君の動き留めさせてもらうぞ!」

 

「え?」

 

士道の言葉に狂三が驚いたその時士道は腕をクロスさせる

 

「デュワっ!!」

 

その瞬間、彼から念力が発せられ、狂三の動きを封じる。それは「ウルトラ念力」であった

 

「くっ・・・体が動かない」

 

無理に体を動かそうとするが身動きが取れない、分身の自分を呼び出そうにもそれができない

 

「狂三・・・・念力を解いてほしければ空間震を止めろ。君にはこんなことしてほしくない」

 

「よ…世迷言を・・・・・自力で‥解いて見せますわ」

 

そう言い狂三は自力で念力を振りほどこうとするが解けない、それもそのはずだ。士道のウルトラ念力は、巨大怪獣の動きも封じるほどの強力なのだ、いくら精霊の力を持った狂三でも振りほどくことはできない。

だが、士道のこのウルトラ念力も完璧ではない

ウルトラセブンとしての姿ならいざ知らず、人間体のままでの念力技は、かなりの負担をかける、長時間使用すれば士道の寿命も著しく減ってしまうのだ。

長期戦になれば互いの体に大きなダメージを負うことになる。狂三が折れるか士道が倒れるのが先かの対決でもあった

 

「狂三・・・・・君が何の目的で、俺の力を求めるかは知らない。ただそれだけのために多くの人の命を奪うことは私は許さない。それは狂三おまえ自身だってそうだろ・本当は空間震を起こして人の命を奪うつもりなんてないんだろ?」

 

「く・・・・・」

 

狂三は顔を歪める。まるで図星をつかれたかのような顔だった。そして・・・・

 

「わかりましたわ・・・・止めますから、解いてください」

 

ついに狂三が折れた。

 

「わかった・・・・」

 

そう言いうと、士道はウルトラ念力を解くと、狂三は糸が切れたように地面に膝をつく、そしてパチン鳴らすと、周囲に響いていた耳鳴りのような音と重い空気が消えた。

 

「ま、まあ、構いませんわ。もともとわたくしの狙いは士道さん達だけですもの。何も問題ありませんわ。何も問題ありませんわっ!」

 

まるで自分に言い聞かせるように言う狂三

 

「それにしてもまさか・・・・士道さんにあんな技が仕えたのは想定外でした・・・・」

 

そう言い士道を見る狂三だったが、士道の眼は疲れたような眼を市顔色もどことなく悪かった

 

「士道さん?」

 

狂三がそう言った時、士道は膝をつき倒れる

 

「士道さん?」

 

突如倒れた士道に狂三は驚く、だが士道はよろけながらも立ちあがり

 

「心配ない・・・少し、すれば回復する・・・・」

 

「もしかしてその技・・・・長く使えることができないのですの?」

 

「ああ・・・・下手をすると寿命が縮む」

 

「っ!?」

 

その言葉に狂三は驚き、キッと士道を睨み、興奮した様子で声を荒らげた。

 

「信じられませんわ! 信じられませんわ! そんな危険な技で、もしわたくしがあなたの要求を受け入れなかったら死んでいましたわよ!」

 

「だが、これ以外君を止めるすべがなかった」

 

「あああああああああ、もうッ! 馬ッ鹿じゃありませんの・・・・ッ!ほんんとううに!あなたはお人よしですわ!お人よしにもほどがありますわよ!」

 

士道は頭をワシワシとかく狂三に向かって声をかける

 

「だが、君は空間震を止めてくれた。約束を守ったふりをして、空間震を発動させることだってできたはずなのに、君は約束を守ってくれた」

 

 

「あなたって人はどこまでお人よしなんですの?」

 

呆れたように言う、

 

「それでも私は自分の意思を突き通したい・・・・たとえその想いが何百回裏切られようともな」

 

息を切らしながら、そう言う士道…「その想いが何百回裏切られようとも」かつて自分の兄弟が地球人に言ったセリフだ。

セブンらウルトラ兄弟は地球を守り続けてきた。その星に住む人たちが守に値する人たちだと信じて、今もなお人間を信じている

 

「で、どうする狂三?」

 

「どうって?」

 

「これ以上戦いをするかっという話だ。また空間震を起こそうとするなら、俺は全力で君を止める。やめるのであれば、このまま争わず、普通に平穏に暮らせる方法を共に探そう…精霊としてではなく一人の少女として」

 

「・・・・・」

 

そう言い、士道は彼女に手を差しの出る、狂三は少しだまり考えるような表情をするが、やがて首を横に振る

 

「残念ですが士道さん。その提案には乗ることができませんわ」

 

「なんでだ?」

 

「あなたの優しさは分かりました。ですが今わたくしの精霊の力を封印されるわけにはいきませんの。まだやることが多く残っていますから」

 

「そうか・・・・それは残念だ…だが、あまり破壊行動はやめてくれ」

 

「わかっていますわ。セブンに変身されて倒されてはたまりませんからね・・・・・ですが保証はできかねますわ」

 

「その方がいい」

 

と互いに軽く笑う二人。これで狂三が今回の襲撃を諦めると思った・・・・しかし・・・

 

 

 

    『我々の怨念を晴らすまで…幾度だって蘇る』

 

 

「っ!?」

 

急に、血が凍るような、殺気と怨念を感じた

 

「(なんだ?このまがまがしい気配は・・・・狂三のじゃない…もっと邪悪な・・・)」

 

まるで怨念の塊のような邪悪な気配を感じる士道。その瞬間、

 

ウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーー

 

空間震警報がけたたましく街全域に鳴り響いた

 

「空間震!?」

 

「な、なぜですの!?止めたはずなのに・・・・・」

 

どうやら、狂三にとってもこの空間震は予想外だったのか、うろたえた表情をしていた

 

「狂三!この空間震を止めることはできるか?」

 

「自分で発生させたならいざ知らず、今この状況では・・・・」

 

確かに空間震は精霊がこの地球に転移する時に発生する現象だと士道は最初思っていた、だが、狂三の時のように意図的に起こすこともできる。

まだまだ未知数なのだ。

 

「だが、このまま放ってい置けば、学校にいるみんな・・・・十香たちが」

 

まだ、学校内には狂三の決壊で気絶した生徒たちや先生、十香達がいる。この空間震を何とかしなければ、犠牲が出る

 

『空間震の破壊力は絶大だ。あれを無くすにはそれ以上の破壊力をぶつけなければいけない』

 

ふっと、以前、ペガッサ・・・平賀参謀と話した内容を思い出した。空間震はそれ以上の空間の揺らぎをぶつければ相殺され消えるっと・・・

 

「(なら、方法は一つ)」

 

士道は懐からウルトラアイを出し、セブンに変身しようとした瞬間、近くで爆弾が爆発したかのように、空間が震えた。

だがーーーそれだけだったのだ。

 

「「・・・・?」」

 

来禅高校の周辺には、空間震が起きた、空間そのものをごっそりと削り取られたように消失した跡がなく、いつもと変わらぬ、街並みが広がっていた。

 

「どういうことだ?」

 

「これは・・・・どう言うことですの・・・・?」

 

士道と狂三が不審そうに眉を歪める。すると。

 

「ーーー知らなかった? 空間震はね、発生と同時に同規模の空間の揺らぎをぶつけることで相殺できるのよ」

 

頭上から、凛とした声が響いた。

 

「っ!?、何者ですの?」

 

狂三が頰をピクリと動かし、顔を上に向ける。そして士道達も同様に顔を見上げ、揃って目を見開いた。

 

空が、赤い。

 

屋上の上空。士道達の頭上に、巨大な炎の塊が浮遊していた。そして、その炎の中に、一人の少女の姿があった。

和装のような格好をした女の子である。風になびく袂は、半ばから炎と同化しているように揺らめき、腕や腰に絡みつく炎の帯は、さながら天女の羽衣のようだった。

 

そしてその頭部には、無機角な角が二本、生えていた。その様はまるで、お姫様のようであり・・・そして、鬼のようでもあった。

だが、士道が目を奪われた理由は、それだけではなく、呆然と呟く。

 

「琴、理・・・・?」

 

そう。士道の妹にして、〈ラタトスク〉司令官。

炎を纏った少女の姿は五河琴里にしか見えなかったのである。

琴里が、徐々に高度を下げ、士道の方にチラッと視線を落とす。

 

「“少しの間、返してもらうわよ、士道”」

 

「お前・・・その恰好は・・・」

 

士道が驚いた表情をする中、琴里は

 

「ーーー焦がせ、〈灼爛殲鬼<カマエル>〉」

 

次いで、琴里がその名を口にする。

すると再び彼女の周りに炎が生まれ、巨大な棍のような円柱形を形作る。

そして、琴里がその棍を手に取った瞬間、その側部から真っ赤な刃が出現する。

それはーーーあまりに巨大な、戦斧。

 

琴里がその戦斧を軽々と振り、狂三に向けた。

 

「さあーーー私たちの戦争<デート>を始めましょう」

 

炎の戦姫が、戦場に顕現した。

 

 

 

ー『狂三キラー』・FINー

 

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