魔法少女リリカルなのは〜半壊の天使に惹かれる少女達   作:エム3

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空白期第一話となります。
長く書くつもりはなかったのに、1万字を超えている・・・だと?
まあ、楽しんでいただければ幸いです。
そして、新たに二人の使い魔追加です。これだけ人が増えると、大変になる・・・だが、私は書いていくつもりです。

P.S ある一人の人物の一人称は我と書いて、(おれ)と読みます。


空白期
邂逅 新たな使い魔と乙女座の戦士


ジュエルシード事件が解決した数日後、刹那はいつもの日常へと戻っていた。怪我をしたと言って、休んでいた学校に今日から再登校する。

 

刹那「・・・行ってくる」

 

「「「「いってらっしゃい、マスター」」」」

 

使い魔達の見送りの後、刹那は家を出て、なのはの家に向かう。一度、なのはと一緒に登校してから、桃子さんから頼まれてずっと一緒に登校している。だが、今回はそうもいかなかった。

 

刹那「・・・あれは・・・帝?また来ているのか?」

 

なのはの家に到着したのだが、そこにはもう一人の転生者、帝の姿があった。これまで、何度もなのはと登校するために迎えに来ていると、なのはから言われていた。もっとも誘われているなのは自身は迷惑なのだとか。だが、刹那は一度も帝と遭遇していない。何故なのだろうか?

 

刹那「・・・少し待つか?いや、それだと学校に間に合わなくなる可能性がある・・・仕方ないか・・・」

 

刹那は、帝の元へと向かう。

 

刹那「・・・おはよう、帝」

 

帝「!?お前は、刹那・F・セイエイ!?何で、なのはの家に来てんだよ!?」

 

刹那「なのはと一緒に登校しているからだ。いつもの事だ」

 

帝「何!?お前がなのはと!?俺の嫁に変な事してねぇだろうな!?」

 

刹那「それは、お前にも言える事だろう。まだ、なのはの事を嫁だと、訳のわからない事を言っているのか?それに、なのはの両親から頼まれていることでもある。だから、来ている」

 

刹那の一言に、帝は驚愕する。すると、玄関が開き、二人の視線は扉へと移る。視線の先にいたのは、なのはだった。

 

なのは「せ、刹那君!おはよう!///」

 

なのはが刹那に挨拶をしたのち、何故か右腕に抱きつく。あの時のフェイトの衝撃的な行動に、対抗心を持ったのか、それとも焦燥感に駆られているのかわからないが、自身の気持ちを行動に変えて、刹那にアプローチを始めている。

 

刹那「・・・おはよう。なのは」

 

帝「なっ!?やっぱり、てめぇ!なのはに何かしやがったな!!」

 

刹那「なにを思ってその言葉が出たのかはわからないが、少なからず、俺は何もしていない」

 

なのは「そうなの!私は、好きで刹那君に抱きついてるの!///帝君はほっといてよ!!ほら、刹那君、行こ!!///」

 

刹那「あ、ああ。」

 

刹那は、抱きつかれたなのはに引かれながらも、歩みを進める。

その後ろ姿を見ながら、帝は、二人に聞こえないように声を出す。

 

帝「何でだよ・・・!何で、あんな奴に・・・!こうなったら・・・あれをばらしてやる・・・!!」

 

不敵な笑みを浮かべながら、帝はある情報をクラスの全員に暴露する事を誓う。それが、自身にとっての絶望になると言う事を知らずに。

 

 

その後、刹那となのはは、途中、アリサとすずかに出会う。

 

刹那「・・・おはよう。二人とも」

 

アリサ「刹那!?あんた、今まで、何やってたのよ!!」

 

刹那「なのはから聞いてなかったのか?怪我をしたから、休んでいると言っていただろう」

 

アリサ「そんなのは知ってるわよ!!何で、私達に何も教えないのよ!!あんたが無茶して怪我をしたの、知ってるわよ!!」

 

アリサの言葉に刹那は首を傾げる。

 

刹那「無茶?何の話をしている?」

 

すずか「刹那君が怪我をしたのって、また誰かを助ける為なんでしょ?」

 

刹那「・・・どうしてそう思う?」

 

アリサ「セリカとカグラから聞いたのよ。実感が湧かないけど、あんた達は魔法が使えて、時空管理局の人達と協力して、ジュエルシードとか言う危険な物を封印してたんでしょ?」

 

刹那「・・・あの二人が・・・」

 

すずか「それで、刹那君は、フェイトちゃんって言う女の子を守る為に、怪我をしたりしてたって、セリカちゃんから聞いたから・・・それに、刹那君が怪我したって言われて・・・いてもたってもいられなくて・・・二人を問い詰めちゃった・・」

 

どうやら、刹那が話すまでもなく、カグラとセリカの二人が話してしまっていた。それに、二人は何か、刹那が危険なことに首を突っ込んでいると、直感的に感じ取っていた。

 

刹那「俺が怪我をするのは問題ではない。それに、あの時の行動を俺は間違っているとは思っていない。ああするしか手はなかった。」

 

アリサ「そんな訳ないでしょ!?私達が・・・どれだけ・・・!」

 

刹那の言葉をアリサは全力で否定する。その途中、アリサは涙を流していた。

 

アリサ「どれだけ・・・!!心配したと思ってるのよぉ・・・!!」

 

アリサは刹那に抱きつく。それに続き、すずかも刹那に抱きついた。二人とも涙を流しながら。

 

刹那(何故・・・涙を流す?)

 

刹那は二人が涙を流す理由がわからない。刹那にとってはなんて事のない行動なのだ。だが、二人は自分が傷付いたことに、心配し、涙を流している。その行動が、刹那は理解不能だった。

 

二人が涙を流し終えた後、刹那達は学校へ着く。いつものメンバーで談笑していた。

 

刹那「アリサ、すずか、二人に話がある。みんなにも聞いてほしい」

 

刹那の言葉に、他の全員の視線が刹那に向く。

 

刹那「アリサとすずか、二人には俺達と同じ、リンカーコアがある」

 

カグラ「な!?それマジなのか!?刹那!?」

 

刹那「本当のことだ。二人は気付いてないだけで、二人にもリンカーコアがある。それは、魔力運用の為に使う物だ。リンカーコアがあれば、二人も魔導士になれる。」

 

アリサ「それ、本当なんでしょうね?」

 

すずか「じゃあ、私たちも、刹那君達みたいに、戦えるの?」

 

刹那「できるかどうかと言えば戦える。だが、必要なのは本人の意思。お前達に戦う覚悟があるかないかだ。二人はどうする?」

 

刹那の言葉の後、アリサとすずかは悩んでいた。だが、その直後、二人は顔を見合わせ、肯き合う。

 

アリサ「そんなのあるに決まってるじゃない!私達を除け者にして、そんな危ない事してるなんて、黙ってる訳ないでしょ!」

 

すずか「私も・・・戦うのはちょっと怖いけど、私も戦いたい!」

 

刹那「・・・そうか。」

 

カグラ「でもよ、刹那、二人のデバイスはどうするんだ?今から、クロノに頼んで作ってもらうか?」

 

刹那「それは、追々でいいだろう。まずは、二人に魔力運用をさせてからだ。模擬戦や魔法の使用はその後だ」

 

そんな会話をしていると、乱入者が割り込んでくる。

 

「そんな奴と、話す必要なんてないぜ?俺の嫁達」

 

刹那「・・・・何をしに来た?帝」

 

帝「なに、嫁達やクラスのみんなにある事実を言おうと思ってよ?おーい!!お前ら!!」

 

帝はクラスの全員に呼びかける。そして、クラスの全員の視線は帝に釘付けになった。そんな中、二人の女子が、帝に話しかける。

 

「なに?帝、あんた、また刹那君に決闘挑むの?」

 

「もうやめたら?帝君が刹那君に勝つなんて、ありえないだろうし」

 

帝「いや、決闘はもうやめだ。今回はこいつの正体をここで発表しようと思ってな!!」

 

帝は、刹那に指を指し、高らかにそう宣言する。

 

「刹那君の正体?帝、あんた頭大丈夫?」

 

アリサ「刹那、あんたの正体って?」

 

刹那「俺が知る訳ないだろう」

 

そんな話をしていると、帝はその事実を突きつける。

 

帝「それはなぁ!!この男、刹那・F・セイエイはなぁ!!

 

 

 

 

 

 

 

【人殺し】なんだよぉ!!!!」

 

刹那「・・・っ!?」

 

帝の言葉に、刹那は驚愕する。

 

刹那(何故・・・この男が知っている!?)

 

「刹那君が・・・・人殺し?」

 

帝「そうだ!!刹那はなぁ!!人殺しなんだよ!!その手で何人も!!人を殺してきたんだよ!!」

 

その言葉に全員の刹那を見る視線が変わる・・・・訳などなかった。

いや、変わった人もいた。それは、刹那の周りにいた。アリサ、すずか、なのは、カグラ、セリカの5人。それは、帝に向ける憎しみと憤怒の視線。

 

アリサ「帝・・・あんたねぇ・・!!」

 

帝「どうした?なにも言えないか?刹那・F・セイエイ?それはそうだよなぁ?だって、本当のことだもんなぁ!!」

 

刹那「・・・・・・」

 

帝「なんとか言えよぉ〜!!こっちのテンションだだ下がりだろう」ドコォッ!!

 

その瞬間、帝の体が飛ぶ。女性達は軽く悲鳴を上げる。刹那にもその一瞬、なにが起こったのかわからなかったが、すぐに理解する。

 

カグラ「帝・・・てめぇ、もういっぺん言ってみろ・・!!」

 

カグラが己の拳を振るい、帝を殴ったのだ。全身全霊の力を込めて。

 

帝「な、なにしやがる、カグラ!!」

 

カグラ「それはこっちのセリフだ!!!てめぇ、それ以上、刹那を侮辱したら、許さねぇぞ!!!」

 

帝「何でお前も、そんな奴とつるんでんだよ!!その人殺しによ!!」

 

カグラ「俺は、刹那と友達だから、一緒にいんだよ!!刹那と一緒だと、楽しいからな!!てめぇが何を言おうが俺は刹那と縁を切ることはねぇ!!!」

 

帝「なっ!?・・・嫁達ならわかるよな!?その人殺しと一緒にいたら危険なんだ!!だから俺と一緒に「もういい加減にしてよ!!」っ!?」

 

なのはの大きな声に、帝は黙り込んでしまう。クラスの全員がなのはの方を向き、全員が気づいた。なのはが涙を流していた事を。

 

なのは「刹那君を悪く言わないでよ!!私達は好きで一緒にいるの!!刹那君が好きだから!!」

 

帝「・・・・・あ・・・」

 

なのは「帝君は刹那君の何を知ってるの!!何も知らないでしょ!?刹那君が辛い思いをして生きてきたのを私は知ってるの!!私以外にも、アリサちゃん、すずかちゃん、カグラ君、セリカちゃんも知ってるの!!辛くて悲しい思いをしたのを。でも、帝君は何を知ってるの!!」

 

すずかとアリサ、セリカはなのはの側につく。そして、帝を睨みつけていた。そして、なのはの言葉が胸に響いたのか、他のクラスメイトも便乗する様に言葉を紡ぐ。

 

「そうだぜ、帝!!お前の方が信用できねぇよ!!俺は、刹那がもしそんな事をしていても!!俺は刹那と一緒にいるぜ!!」

 

「そうだね。私も刹那君と一緒がいいな。」

 

「私も!!刹那君の方がいい!!帝君は少し頭冷やした方がいいよ?」

 

「俺も同感だ。帝、お前の言葉は信用に値しない。ましてや、刹那が人殺しなど全くありえん。今までの彼の行動を見たらわかる事だ」

 

「帝君、私も刹那君と一緒がいい。私は人を簡単に傷つけるあなたと一緒の方が死んでも嫌だ」

 

クラスメイトの罵声、自身の拒絶。それは、帝の完全否定だった。

 

帝「ふ・・・ふざけんな!!俺は・・・みんなを思って・・・!!」

 

刹那「・・・・・」

 

帝「ちっ!!なら・・・もういい!!俺の嫁にならないってんなら・・!!殺ってやる!!」

 

帝はどこからともなく、ナイフを取り出す。そして、構えを取り、走り出す。標的は・・・

 

アリサ すずか セリカ

 

「「「なのは(ちゃん)!!!!」」」

 

そう。彼が嫁と言っていた、なのは本人だった。なのはは、避ける間も無く刺されてしまう。全員がそう思った。だが、現実は違った。いや、ナイフは刺さったのだ。だが、それはなのはの体にではなく・・・

 

ザシュっ!!

 

帝「な!?」

 

刹那「・・・・・」

 

刹那の右腕にだった。ナイフが刺さり、血が垂れる。帝は、体を震わせ、その場から逃げる様に立ち去った。

 

カグラ「刹那!!無事なのか!?」

 

刹那「・・・ああ。すまないが、誰かナイフを抜いてくれないか?」

 

刹那の言葉に、近くの勇敢なる男子生徒が刺さったナイフを抜く。抜かれた場所から鮮血が更に垂れる。

 

「刹那君!大丈夫なの!?」

 

刹那「これくらいの傷ならば問題はない。昔から慣れている」

 

「慣れてるってどう言う事だ?まさか帝の言う通りだってんじゃねぇだろうな?」

 

クラスメイトの言葉に刹那は無言ながらも頷く。その行動に、クラスの全員の目が変わる。恐怖。そして軽蔑の目だった。先程の行動は何だったのだろうかと思うだろう。だが、これが普通なのだ。刹那はそう割り切っていた。

 

刹那「こうなる事は分かっていた。俺は必要以上にお前達とは関わらないことにする。だが、もし俺の友に手を出すなら・・・どうなるかわかるな?」

 

刹那の鋭い視線に、全員が身を強張らせる。そして、刹那は教室を立ち去る。

 

エクシア「あれでよかったのですか?マスター」

 

刹那「いつかなると思っていた。俺は普通ではないからな」

 

ラグナ「でもよ。俺はスカッとしたぜ?あいつらにはムカついたけどよ?」

 

刹那「だが、ここでの俺の居場所は無くなった。俺はこの学校に来る事は二度とないだろう」

 

ラグナ「・・・・そうでもねぇんじゃねぇか?マスターを見限る奴は、全員ではないみたいだぜ?」

 

刹那「・・・?」

 

「あ、あの!!刹那君!!」

 

刹那は呼び掛けられた声に、振り向く。そこにいたのは初対面の女性3人だった。それは、帝にからかわれていた女性、金髪の青い瞳を持つ女、フードをかぶっている女性、赤髪の女性だった。

 

刹那「お前達は・・・確か帝にからかわれていた・・・」

 

「あ、え、えっと!ノエル・ヴァーミリオンです!!」

 

「私はマコト・ナナヤだよ〜、よろしくね!刹那君!!」

 

「ツバキ・ヤヨイです。よろしく、刹那君」

 

刹那「・・・何故、俺を追ってきた?俺が、怖くないのか?人殺しだぞ?」

 

ノエル「わ、私は!!刹那君の事を信じてます!私を助けてくれた刹那君を!!」

 

マコト「私も刹那君がそんな事する人だとは思えないなぁ〜?もしそうだとしても、何か理由があると思うんだ」

 

ツバキ「私も、刹那君がそんなことするとは思えないわ。」

 

刹那「・・・勝手な事を言う。お前達の言うような、人間ではないぞ。俺は」

 

刹那は足早にその場を立ち去っていく。その姿をノエル達はただただ、見ることしかできなかった。

 

刹那「・・・あのような者たちもいるのだな」

 

エクシア「そうですね。あんないい人達もいるんですね」

 

刹那「・・・俺は・・・どうすればいいんだろうな」

 

学校という新しい居場所がたった一つの事で崩壊した。この世界での初めての友人達と過ごす居場所を失ったのだ。

 

刹那「・・・考えるのはやめよう。今は、1ヶ月後の運命の時までに、できる事をやろう」

 

刹那は学校から立ち去った後、ある場所へと向かった。自宅ではなく、ある場所へと。

 

刹那「・・・何故俺は・・・ここにきたのだろうか?」

 

そこは、なのはの家族が経営している翠屋だった。刹那は無意識のうちに、ここへ、足を運んでいたのだ。刹那は店の中へと入っていく。

そこには、なのはの母親、桃子さんと男性が立っていた。恭弥とは違う。恐らく、なのはの父親だろう。

 

桃子「いらっしゃいま・・・あら?刹那君?学校はどうしたの?」

 

「桃子、この男の子は?」

 

刹那「・・・俺は、刹那・F・セイエイ。今はなのはのクラスメイトだ」

 

「そうか。私は、高町士郎。なのはの父親だ」

 

刹那「・・・少し話を聞いてもらえないだろうか?」

 

桃子「・・・何か・・・あったのね?」

 

桃子の疑問に刹那は無言で頷く。桃子は、店を閉じて、席に座る。そして刹那は言葉足らずではあるが、説明をする。昔、人を殺した事、それを学校で明かされた事、そしてクラスの反応。それを説明した。

 

桃子「そう・・・刹那君はそんな辛い道を歩んできたのね」

 

刹那「普通ではないのは自覚していた。だが・・・ここまでとは思っていなかった」

 

士郎「私と同じだな」

 

刹那「・・・何?」

 

士郎「私も、今もだがそういう裏の仕事もしている。刹那君の気持ちもわからなくはない」

 

士郎の言葉に、刹那は目を見開く。まさか、この世界にも、自分の様な人間がいるとは思わなかったのだ。

 

士郎「刹那君、私は、君がなのはと一緒にいるのは反対だ。君が近くにいれば、なのはに危険が及ぶだろう。」

 

刹那「・・・わかっている。これからは「だが」・・・?」

 

士郎「なのはが、君が良いと言うのなら話は別だ」

 

刹那「・・・!?」

 

士郎「刹那君、君より長い人生を生きている人間として、一つ助言しておく」

 

士郎「君が今、一番辛く、苦しんでいる時であるのはわかる。だが、今は生きるしかないんだ。そうすれば、何かしら良いことがある。汚れている私が・・・桃子に会えた様に」

 

桃子に手を回し、抱き寄せる士郎。この様なことに鈍感な刹那でもわかる通り、幸せなのだろう。二人とも微笑んでいた。

 

士郎「だから刹那君、君は今は耐えるしかないんだ。だが、もし自分で抱えきれない様な事が起きたら、誰かに頼ると良い。もちろん私たちでも良い。」

 

桃子「そうよ。刹那君、君はまだ子供なの。子供が苦しい時に助けるのも大人の役目なの。だから・・・無理だけはしないでね?」

 

刹那「・・・わかった。だが、俺は自身が決めた事は貫き通す。俺は学校を辞める」

 

士郎「・・・何だって?」

 

刹那「俺が近くにいたら、なのは達に危険が及ぶ可能性がある。それが俺は耐えられない。だから、俺は学校を辞め、仕事を始めようと思う。」

 

桃子「刹那君・・・あなたは・・・」

 

刹那「俺の身に何かがあるのは別に構わない。だが、なのは達に何かあった時は、俺が守ると誓う。だから・・・」

 

士郎「・・・刹那君、君は自分の事を大事にしたらどうだ?」

 

刹那「俺は自身の事などどうでもいい。俺は・・・」

 

士郎「それをやめろと言っている!!」

 

士郎の怒声に、刹那は押し黙ってしまう。だが、直ぐに優しい士郎の声が続く。

 

士郎「刹那君、君に何かが起これば、なのはが悲しむ。君はそれがわかっているのか?」

 

刹那「・・・・・」

 

士郎「私はそれが許せない。刹那君、君が思っている以上に君を思っている人たちがいると言う事・・・それをわかってくれ!!」

 

刹那「・・・・俺は・・・何もわからない・・・何も知らない・・・!」

 

刹那は店を飛び出してしまう。残ったのは、桃子と士郎の夫婦二人だけだった。

 

桃子「士郎さん。刹那君が抱えているものは・・・とても重いものね」

 

士郎「そうだな。彼が私の想像以上に苦しんでいる事・・・それを見誤った。彼には・・・少し時間が必要なのだろう」

 

恭弥「父さん、母さん、誰か来ていたのか?」

 

美由紀「大声出してたけど、どうしたの?」

 

士郎「恭弥、美由紀、いや、今刹那君が来ていてな。少し話をな」

 

恭弥「刹那が?今は、学校のはずだろう?あいつ、休んだのか?」

 

恭弥の疑問ももっともだろう。彼は、なのはのクラスメイトだ。妹のなのはが学校に行っている以上、彼がここにいるのは不自然だろう。

 

士郎「彼は・・・私達と同じ、いや、それ以上に深い闇を持っている」

 

恭弥「何だって?刹那も、俺達と同じなのか?」

 

桃子「正確には違うわ。彼は・・・それが普通なの。人を殺して・・・何かを守ったり、何かを成すために、その行動が普通だったんだと思うわ」

 

美由紀「刹那君みたいな子供が・・・!」

 

士郎「これは・・・なのはには話せないな・・・」

 

自身の娘にこの話・・・いや、刹那の話だからこそ、話せないものだった。それを家族の全員の秘密とし、話さない事を誓った。だが、全員が気づかないでいた。店の入り口にいる・・・なのはの姿に。

 

なのは「・・・・・」

 

レイハ「マスター、刹那さんの居場所は特定しました。追いかけますか?」

 

なのは「・・・・」

 

レイハ「・・・・マスター?」

 

レイジングハートは呼び掛けるが、なのはの返答はない。

 

レイハ「・・・刹那さんの気持ちに気づかなかった事を・・・悔やんでいるのですか?」

 

なのは「・・・ねぇ、レイジングハート」

 

レイハ「どうかしましたか?マスター」

 

なのは「何で・・・刹那君だけ・・・こんな辛い思いをしなきゃならないの?」

 

レイハ「マスター・・・・」

 

なのは「何で・・・・!!刹那君だけ・・・!!」

 

なのはは、そこに座り込み、膝を抱えて、涙を流す。彼の気持ちに気づかなかった事を悔み、何も知らなかった自分自身に怒りを感じながら。

 

刹那「・・・・俺を思ってくれている人・・・か」

 

刹那は士郎の言葉を復唱しながら、自宅へと歩みを進める。

 

刹那「・・・エクシア」

 

エクシア「何ですか?マスター」

 

刹那「クロノに・・・連絡を取れるか?」

 

エクシア「了解です」

 

エクシアは刹那の命令を聞き、クロノに連絡を入れる。実は、時の庭園突入前に、連絡を取れる様、クロノと連絡先を交換していたのだ。数コール後、連絡が繋がる。

 

クロノ「急にどうしたんだ?刹那?」

 

刹那「・・・クロノ、お前に頼みがある。」

 

クロノ「頼み?」

 

刹那「俺を・・・執務官として、働かせてくれないか?」

 

クロノ「何だって?刹那、君は学校があるだろう?それは、どうするんだ?」

 

刹那「・・・俺は、学校を辞めることにした。だから、頼む」

 

クロノ「・・・何かあったのか?なんだか刹那らしくないぞ。」

 

刹那「学校で、俺が人を殺したことが明かされた。」

 

クロノ「な・・・そうだったのか。わかった。僕から君を推薦して、執務官になれないか、母さんと話してみる。だが、何故その事が?」

 

刹那「クロノと初めて会った時、緑色のロボットの様なものに出会っただろ?」

 

クロノ「ああ。ジュエルシードの時の・・・」

 

刹那「その男は俺のクラスメイトなのだが、何故か俺が人を殺した事があるのを知っていて、そいつが話したんだ」

 

クロノ「そう・・・だったのか。刹那、君もなのはもそうだが、もう少し誰かを頼ってもいいと思うぞ。その・・・僕でいいなら、なんでも力を貸す。」

 

刹那「・・・・・ありがとう」

 

刹那は感謝をクロノに伝える。

 

クロノ「別に気にする事はないさ。それに、こちらも刹那に用事があったからな」

 

刹那「・・・何かあったのか?」

 

クロノ「いや、刹那に会ってほしい人がいるのと、フェイトに頼まれた事をしてもらおうと思ってな」

 

刹那「会ってほしい人?フェイトからの頼み?」

 

クロノ「今から、アースラに来てくれないか?詳しく話したいからな」

 

刹那「・・・・・了解」

 

刹那はエクシアに転移魔法を展開させ、アースラへと向かう。転移先はアースラのブリッジ、眩い光に包まれ、転移が開始する。光が消えていくと、そこは見慣れたアースラのブリッジの光景だった。そこには、クロノとエイミィ、そして、顔に火傷の様な傷のある金髪の男が立っていた。

 

エイミィ「あ、刹那君、久しぶり♪」

 

刹那「久しぶりと言うほど、月日は経っていないが・・・二人とも元気そうだな」

 

クロノ「ああ。ジュエルシード事件の後始末に駆り出されてはいるが、僕も母さんも、エイミィも元気にやっている。刹那は・・・その・・」

 

刹那「あまり、気にしなくていい。それで、俺に会わせる人物とは?」

 

「私だ」

 

先程の男が、刹那と向き合う。その時、刹那は気づいた。彼と出会っていることに。

 

クロノ「刹那、この人は僕と同じ、アースラの執務官、グラハム・エーカー上級空尉だ。」

 

グラハム「グラハム・エーカーだ。君がクロノが言っていた。民間協力者の人か。いい目をしている」

 

刹那「・・・刹那・F・セイエイ。よろしく」

 

グラハム「君の戦いの映像・・・見させてもらった。流石、ガンダムのパイロットだな。少年。こうして私たちはもう一度巡り会った。やはり、私と君は赤い糸で結ばれている様だな?」

 

刹那「お前に会えたのは行幸だな。」

 

クロノ「グラハムさん。刹那とお知り合いだったんですか?」

 

グラハム「ああ・・・命のやり取りをした仲だ」

 

グラハムの返答に、クロノは目を見開く。そうだろう。刹那の過去に人を殺めたと言う言葉、まさかと思い、クロノは刹那に問いかける。

 

クロノ「刹那、まさか君が殺めた人物達は・・・」

 

刹那「・・・この男の・・・部下達だった」

 

グラハム「私は、今、この場で君を討ち、部下達の仇を取りたいと思っている。だが、それはしないでおこう。」

 

刹那「何故だ?」

 

グラハム「君は今から、管理局に入るのだろう?ならば、私とは同業者となる。そして仲間になる、と言うことでもある。ガンダムが味方になるのは心強いことだ。それに・・・君をここで討ち取れば・・・そこにいる少女達を悲しませてしまうのではないか?」

 

刹那「・・・・?」

 

グラハムが目を向けている方向へ、刹那も目を向ける。するとそこには、部屋を覗き込む、なのは、ユーノ、セリカ、カグラ、そして、アリサとすずかの姿があった。

そして、その時、刹那は士郎の言葉を思い出す。

 

刹那(俺を思ってくれている人がいる事・・・か)

 

グラハム「少年、君との因縁はここで終わらせる。今までの事を忘れるわけではないが、これからは仲間として、少年と接していく。これから、よろしく頼む。刹那少年」

 

刹那「俺がした行為は消える事はない。だから、今までの罪を償う為に、俺は管理局に所属する。こちらこそよろしく頼む。グラハム・エーカー」

 

刹那とグラハムはお互いに握手をする。今までの敵対関係ではなく、今は・・・同じ立場の人間として。二人の会話が終わった後、なのは達が刹那に駆け寄り、涙を流しながら、説教していた。曰く、何故何も相談しないんだと。曰く、もっと頼ってくれと。あの時の翠屋の会話を聞いていたなのはが、全員に話を伝達させてしまったらしい。そして、刹那は戸惑いながらも、説教を受けていた。

そして、カグラがクロノに話しかける。

 

カグラ「クロ助、少しいいか?」

 

クロノ「どうかしたのか?カグラ」

 

カグラ「あそこにいる、アリサちゃんとすずかちゃんなんだけどよ?刹那の話だと、リンカーコアがあるらしいんだわ」

 

クロノ「何だって!?あの二人にも、リンカーコアが!?」

 

カグラ「そうらしいぜ?だからよ、アースラで魔法や魔力運用の練習させたいんだわ。いいか?」

 

クロノ「そうか。カグラ達が一般人を連れてきたのかと思ったが・・・そう言う事情なら話は別だな。わかった。こちらでリンカーコアの有無を確認した後、訓練室を開けておく。好きに使ってくれ」

 

カグラ「サンキュー、クロ助、お?刹那、そっちも終わったみてぇだな?」

 

刹那「ああ。まさかなのは達から、説教を受けるとは思ってもいなかったがな」

 

カグラ「そんだけ、お前を心配してんだよ。」

 

刹那「そうか。それよりクロノ、あの時、俺に用事があると言っていただろう。それは何だ?」

 

クロノ「ああ。忘れないうちにと、思ってな」

 

すると、クロノは刹那にある物を手渡す。それは、一つの通信端末の様なものだった。

 

刹那「・・・これは?」

 

クロノ「フェイト達に向けての通信端末だ。これがあればフェイト達との連絡が取れる。なのはと一緒の時、彼女達と話でもしてくれ。それが、フェイトの頼みだったからな」

 

刹那「俺達と話す事が・・・・か?」

 

クロノは無言で頷く。

・・・そんな事をして何が楽しいんだ?・・・?

刹那はそんな事を思うが、あまり気にせず、通信端末をしまう。

 

刹那「了解した。時間がある時にでも、連絡を取ろう」

 

クロノ「ありがとう。それと、管理局員になる為には、少し時間がかかる。刹那、それまでは待ってくれないか?」

 

刹那「・・・了解」

 

そう言い、刹那達はその場から立ち去り、転移ゲートを発動させ、元の地球へと帰還していく。

 

アリサ「未だに実感がないけど、本当にあんた達、危険な事してたのね。特に刹那。」

 

すずか「あはは(苦)でも、これで私達も一緒に戦えるよ?これからもよろしくね?みんな」

 

すずかの言葉に全員が肯き合う。今ここに、新たに二人の少女が仲間に加わった。余談だが、刹那は全員に心配をさせた罪で、今度、遊ぶ約束をさせられたらしい。

 

その後、刹那は自身の家へと帰宅している。

 

刹那「・・・・今、戻った」

 

刹那は短く、言葉を紡ぐ。返答を聞かず、刹那はリビングに向かう。扉を開き、刹那が目にしたのは、2人の人物。一人は金髪の赤い瞳をした男。一人は白い髪、黒い瞳で、顔に傷が多くある少女だった。

 

刹那「・・・お前達は・・・?」

 

「貴様が我のマスターか?」

 

刹那「そうか・・・お前達がレイの言っていた使い魔達か?俺は刹那・F・セイエイ、お前達のマスターになる。よろしく頼む」

 

「ほう。他人の為ならば命を投げ出す愚か者でも、それなりの礼儀はある様だな。ふん、よかろう。我のマスターと認めてやる。感謝するのだな。雑種。」

 

刹那「・・・お前達の名前を教えて欲しいのだが」

 

「ほう?我の名前を知らぬとはな。よかろう。俺は英雄の中の英雄。ギルガメッシュだ。もう忘れるでないぞ?我のマスターならばな」

 

「アサシン、ジャック・ザ・リッパー。よろしく。マスター」

 

男の方は、ギルガメッシュ、少女の方はジャックというらしい。

 

刹那「二人ともよろしく頼む。」

 

ギル「それより、我らの他にも、サーヴァントがいる様だな?誰と契約しているのだ?マスターよ。」

 

刹那「サーヴァントというのが何かはわからないが、お前達の様な人物なら、沖田総司、魔神・沖田総司、オルトリンデがいる」

 

ギル「ほう。あの病弱剣士達と天使の紛い物がな。それに、サーヴァント以外にも契約をしている様だな?なるほど。思ったよりも楽しめそうだな。ふははは!!」

 

ギルは高笑いをする。

 

ジャック「ねえねえ、マスター、お腹すいたよ?」

 

ジャックは刹那の服を引っ張り、空腹を訴える。

 

刹那「ああ。すぐに準備をしよう。少し待っていてくれ」

 

そう言い、刹那は新しく加わった二人のためにと、義手を装備し、自身が作れる料理を手際完成させていく。その様子を二人はジッと見つめていた。

 

ギル「ほう。手際がいいな。いつもしているのか?」

 

刹那「普段は島風に任せているが、偶にだが俺も作っているな」

 

そう言いつつ、刹那は料理を完成させていく。すると、二階からドタバタと降りてくる音が聞こえる。どうやら他のみんなは上で眠っていたらしく、エス達が降りてきていた。

 

島風「ご、ごめんなさいです!眠ってしまっていて・・・?マスター、こちらのお二人は?」

 

沖田「ギルガメッシュ王!?それにジャックさんじゃないですか!?何でこんなところに!?」

 

ギル「戯けが。我は、この男を我のマスターにすると決めたのだ。だから、我はここにいる。王が民のところにいるのは至極当然のことであろうが」

 

沖田「うぇ!?ギルガメッシュ王が・・・家族になるという事ですか!?」

 

ギル「何を戯言を言っている?それより、我達の歓迎をせぬか!!」

 

ギルの怒声に体を強張らせる、使い魔一同。

 

 

 

その様子を見ながら、刹那は淡々と料理を作っていき、ジャックは目を輝かしながら、刹那の様子をジッと見ていた。

 




ご愛読ありがとうございます。
はい。FGOからこの二人が参戦です。片方のキャラが難しいんじゃあ!!

次回予告

新たに二人の使い魔を家族に加えた、刹那。
そして、平和な日常へと戻っていく日々。だが、何気なく訪れたその場所で、運命の出会いが待ち受けている。

次回 魔法少女リリカルなのは〜半壊の天使に惹かれる少女達

「刹那と車椅子少女」

その出会いは、新たなる物語の幕開けとなる。

最新章で出す、ダブルオーの形態

  • ダブルオーライザーまで
  • ザンライザーまで

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