「雨矢上君が、比企谷君の知り合いと言う事は分かったわ。というか、比企谷君、知り合いなんていたのね」
「いるわ、知り合いぐらい」
「それと、比企谷君の知り合いって言う事は、目が腐っていたりするのかのかしら?」
「おい。俺の知り合いってだけで、目が腐っているなんて偏見はやめろ。俺の目の腐りは感染しない!」
「でもゆきのん。雨矢上君はヒッキーみたいに目腐って無かったよ?」
「あらそうなの? おかしいわね……」
「おかしいも何も、俺の目の腐りは感染しないって言ってるだろ…」
「というか。雨矢上君はどちらかと言うと隼人君みたいなタイプな感じがしたよ?」
「………そう」
由比ヶ浜の発言を聞いた途端、雪ノ下の顔に苦虫を噛み潰した様な表情が浮かび上がる。
多分…いや、確実に雪ノ下は葉山隼人が嫌いなのだ。
雪ノ下の様な人間が、葉山隼人という人間を見たら、九分九厘今の雪ノ下と同じ表情をするだろう。
俺も同じだ、葉山のあの薄っぺらい笑顔を見る度に不快な気分になる。
「どうしたの? ゆきのん?」
「何でもないわ、由比ヶ浜さん」
「まぁ、お前らとは関わることのない人間だろうから、もうこの話やめようぜ」
「そうね」
「えー? もっと話そうよー! …あ、じゃあ別の話ししよ!」
由比ヶ浜が煩くなり始めたところで、いきよいよく扉が開かれる。 …ナイスタイミング。
「失礼する! 今日も元気に部活してるか?」
扉を開けて入って来たのは、平塚先生だった。
…何でこの人はノックをしないんだろ?
「先生、入るときはノックをしてください」
「すまんすまん」
「それで、何の用ですか?」
「突然だが、新入部員を紹介する!」
「「「?!」」」
「入りたまえ」
「助けてくれ…比企谷」
「雨矢上!?」
「あ、雨矢上…君?」
「……何か、見た事のある光景だわ」
いきなり新入部員とか言われても困るぜ先生…。
…ていうか、何で雨矢上が? あいつ部活見学するって言ってなかったか? それに何で素なんだよ、いいのか?
「助けてくれとはなんだ。まるで私が、君に酷い事をしているみたいじゃないか」
「現在進行形で俺に酷い事をしてるじゃないですか…」
「ほーう?…君は私の、撃滅のセカンドブリットを食らいたいのか?」
「ごめんなさい何でもありません」
「おい、雨矢上。何でお前が奉仕部に入部する事になったんだ?」
「それはな——」
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20分前 生徒指導室
「失礼します」
「おぉ、来たか。それで? どの部活に見学しにいくかは決まったのか?」
「それの事なんですけど…。俺、部活入りたく無いんですけど…。帰宅部とか無いんですか?」
部活とか本当面倒くさいし、まぁどうせ部活入っても幽霊部員にでもなるか…。
中学校は、部活強制参加とか無かったから楽だったのになぁ…。
前の学校では、何処かのお嬢様に、変な部活に入らされたし…。
「は?」
「?」
「君はそれを本気で言っているのか?」
「はい…」
やっぱり怒られるかぁ…、まぁ分かってはいたけど……あれ?…先生何で拳構えてるの?
「衝撃のぉ…ファーストブリットォー!!」
「ゔぐっっ??!!」
先生の拳が無防備だった俺の鳩尾にめり込む。と同時に、体の中で内臓が動くのを感じる。
なんだこれ!? 痛いとかのレベルじゃねぇ! 死ぬ死ぬ! うまく呼吸ができん!
比企谷が言ってたのはこれか…。
確かにこれはやばい。てか、あんた本当に女性か? 拳の重みが達人のそれなんだが…。
ていうか先生、それ古く無いですか…?
「はぁ、最初は比企谷の友人と言うわりには、君はまともな奴だと思っていたんだがなぁ…」
「はぁ…はぁ…。先生、知ってますか? この世の中にまともと呼べる人間は、滅多にいないですよ?」
「まだ、言うか…?」
「何でもございません。すいませんでした」
「ん。そうだ、君にピッタリの部活を紹介しよう」
「……面倒くさくなければ、もう何処でもいいですよ」
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「と言う事があって、今に至る訳だ」
「お前…馬鹿だなぁ」
「雨矢上君ヒッキーと同じじゃん」
「…………」
雪ノ下は呆れて物が言えないと言う感じた。
「ま、そいうことで、雨矢上はこの部活に入るから。後は宜しく! 先生は忙しいんだ」
「ちなみに拒否権は?」
「実際拒否してみればいい。そしたら間もなく、撃滅のセカンドブリットが、君の鳩尾を貫くけどな」
「拒否なんてしませんよ。はぁ…本当、平塚先生って男勝りだよな」
「…何だとぉ?」
雨矢上が言葉の最後に、先生にボソッと一言言うとそれが先生の耳に届いたようで、先生から殺気が溢れ出す。
雨矢上…ご愁傷様。お前の事は明後日まで忘れねぇよ。
「撃滅のぉ…セカンドブリットォー!!」
「がはぁっ!!」
雨矢上は膝から崩れ落ち、倒れた。