俺が現在住んでいる家は船橋にある。梨汁ぶっしゃしてる非公認ご当地キャラもとい、梨の妖精が住んでいる街だ。え?古い?しるか。
船橋にある高級タワーマンション。そこに俺は一人で暮らしている。
× × ×
カードキーで鍵を開け。無機質な音と共に扉を開け、暗い部屋に入る。
「ただいま」
返事は無い。まぁ一人暮らしだしな。これで返事が返ってきたら。それこそ驚くどころの話しじゃない。
なんか今日は疲れたな…主に精神的に。
部屋の照明をつけて、一人暮らしにしては大き過ぎるソファに身体を投げる。
……あぁそうだあの人に電話しねぇと。
床に置いた鞄に腕を伸ばす。
「…うぅっ」
微妙に届かない。仕方ない立つか。
ソファから立ち上がり、鞄から携帯電話を取り出し、携帯を開いて電話帳からある電話番号に電話を掛ける。
プルルルル♪プルルルル♪
3回目のコールが鳴るところで電話が繋がる。
『もしもし——です』
電話の向こうからダンディな男の声が聞こえる。いや、ダンディと言うより渋いかな? 何方でもいいや。
「もしもし雨矢上善光です。すいませんお忙しい中」
『いやいや気にすることないよ。今丁度移動中だったからね』
「そうですか…」
『君から連絡が来るのは久しぶりだね? どうかしたのかな?』
「少し時間が経ってしまったけど、依頼の件です」
『そうか…。そういえば、もう怪我は完全に治ったのか?』
「はい。殆ど兄のお陰ですがね」
『本当、君のお兄さんはすごいね、流石アイツの息子だな……っと話がそれてしまったね』
『依頼の件は本当によく頑張ってくれた。後日、使いの者に、何かしら持たせて訪ねさせるよ』
「大丈夫ですよ。それに、俺は殆ど何もして無いですから」
俺はただ刺されただけだ。他には殆ど何もして無い。かっこ悪い。俺にとって、この依頼の解決は不完全燃焼だ。 心の中に、何とも言えないモヤモヤしたものが残っている。
『いいや。君は人を助けたろう?身を呈して』
「見ず知らずの赤の他人ですけどね…」
『見ず知らず??……ふむ』
「どうしました?」
『いや、何でも無いよ』
「今、少しニヤッてしませんでした?」
『してないが?』
「そうですか?あ、それともう一つ」
『ん?』
「———さんが薦めてくれた学校、比企谷がいる事は、あっちの親父さんから聞いていましたけど、貴方の娘がいるとは、聞いていなかったんですが?」
『おお!娘に会ったのか?どうだったかな?可愛かっただろ?』
「…ノーコメントで」
『君らしいね』
電話の向こうから愉快な笑い声が聞こえる。
『おっと。そろそろ時間だ。土曜日か日曜日に使いの者を向かわせるから』
「分かりました」
『…怪我の事は申し訳無いと思っている。やはり君の親父のアイツには、今度もう一度謝るよ』
「怪我の事は気にしないで下さい。親父の事に関しては好きにして下さい」
『そうか…。それじゃ、そろそろ』
「わかりました。電話切りますね」
「……はぁ」
明日学校行きたくねぇー…。
× × ×
朝。カーテンの隙間から射し込む光で目を覚ます。
「朝か」
何時も通りの朝だ。
寝ぼけ眼を擦っていると、誰かが階段を登ってくる音が聞こえてきた。足音的に小町だろう。
足音は俺の部屋の扉の前で止まり、直ぐに部屋の扉が開かれる。
「お兄ちゃん起きてる? 朝ご飯できてるから」
「おう」
「早く降りてきてね」
「おう」
小町。何時もより元気がないみたいだな…。昨日の事か?
部屋着から制服に着替えてリビングに向かう。 ブレザーは着てないよ。汚れると困るからね。
「おはよう」
「おはようお兄ちゃん」
小町は、既に椅子に座っていて、俺が座ったら何時でもいただきますできるような状態になっている。何時も通りだ。けど、やはり元気がないように見える。
俺も椅子に座って二人で手を合わせる。
「「いただきます」」
お互い、話すことなく黙々と飯を食べる時間が過ぎていく。
…気まずいし話し掛けてみるか。
「なぁ小町」
「なに」
「元気無い様に見えるんだけど…何かあったのか?」
「別に」
「そうか…」
昨日の事じゃ無いのか? まぁ、昨日の事じゃ無いなら俺には分からない事だし、そのうち元に戻るだろ。
人の気持ちは大抵時間が解決してくれる。でも時間が解決してくれない事もある。例えば、傷付きまくった心とかな。
俺ガイル14巻読み終わりました。