転校生   作:帰宅部係長

14 / 21
第14話

 

 —学校—

 

 昼休み。今日は風が強かったため、俺は平塚先生に許可をとって、奉仕部で昼飯を食っていた。

 たまには別の場所で、1人で飯を食うのも悪くない。

 …なのに何故だ……何故雨矢上がいる…。

 

「何故、お前がいる…」

「何故って。今日、風が強かったから、ここで飯を食おうと思ってな」

「お前なぁ…。ちゃんと平塚先生に許可とってるのか?」

「許可を取るも何も、昼休みはここ、鍵かかって無いから、部員であれば、自由に使っていいんだぞ?」

「俺、そんな事知らないんだけど…」

 

 鍵かかって無いとか不用心過ぎだろ…。此処には雪ノ下が使っている、ティーカップとかあるんだぞ? 色々ヤバいだろ…。色々は明言しないけど。

 

「マジか…。でも、今知れたから別にいいだろ?」

「知ったとか知らなかったとか、そう言う話じゃ無いだろ…」

「ん、そうだ比企谷」

「あ?」

「雪ノ下の事なんだが。噂話とかあったりするか? お前、休み時間の時よく聞き耳立ててるだろ?」

「よく見てんなお前…ストーカーかよ…」

「で、どうなんだよ?」

「聞いちゃいねえ…。うーん…雪ノ下についての噂話は聞いたこと無いなぁ…。あっ。別の噂話なら聞いたことあるぞ。それも、お前に関係ある噂話だ」

「俺に関係ある…?」

「あー…通り魔事件の事か」

「そうだ。あの事件で、お前が身を呈して庇った学生いるだろ? その学生が、総武高校の生徒らしい」

「へぇ…」

 

 雨矢上は、特に驚くとかそう言うリアクションは、しなかった。強いて言えば、少し何か考える素振りを見せたぐらいだ。

 

「ていうかお前、庇った相手の顔見てないのか?」

「暗かったからな。相手の顔はよく見えなかったよ。さらに言えば、庇った相手は見舞いには来なかった」

「…そうか…報われないな…」

「いや。報われたいとか、そう言う事は思ってねえから」

「お前がいいならいいけどよ…」

 

 部室の空気が重くなる。

 それを感じてか雨矢上が話を戻す。

 

「まぁ、噂話が無いならしょうがないな」

「もういいのか?」

「別に、それ程知りたい訳じゃ無いからな」

「そうか…」

「あ、俺今から自販機に飲み物買いに行くけど、何か買って来るか?」

「いや、なら俺が行ってやるよ」

「いやいいって。いいから」

「そうか…ならマッ缶を頼む。金は後で払う」

「おう。じゃ、行ってくる」

 

 雨矢上が扉を開けて出て行く。さっきまでも、話をしてる割には静かだったが、1人になる事でより静かになる。

 まぁ、数分で戻って来るだろ。それまで少し考え事でもしているか…。

 

 

       ×    ×    ×

 

 

 奉仕部を出て、校内に設置してある自販機向かう中。

 

「やっぱり風強いな……ん?」

 

 目線の先。目的地である自販機の前に、人が立っていた。

 普通の生徒なら、気にすること無く近付いて行けるんだが。俺の目線の先にいる人は普通では無かった。

 

 その男は、ブレザーの上からコートを羽織り、手にはメンタリストじゃない方のDAIGOがはめていそうなグローブを、はめている。そして、太い体格で眼鏡を掛けていた。

 

 俺は見たままを説明しただけだ。決して、俺の頭がおかしくなった訳ではない。多分だけど頭がおかしいのは、俺の視線の先で、ずっと何を飲むか悩んでいる男の方だな。

 ……うん、奉仕部に戻ろう。比企谷には帰りに何か奢ってやればいいだろ。

 

 

        ×    ×    ×

 

 —放課後—

 

 今更ではあるがこの奉仕部と言う部活は、生徒のお願いを聞きその手助けをする部活である。 と、こうして確認しておかないとこの部活が何をしているのかわからなくなる。

 いつもどうり、奉仕部がある特別棟へ向かう。

 奉仕部に着くと、雪ノ下と由比ヶ浜が部室の扉を、少し開けて中の様子を窺っていた。

 本当に何してんだろうな…。

 

「何してんの?」

「ひゃう!」

 

 由比ヶ浜が変な声を出してびっくりする。雪ノ下は声は出さなかったが、ビクッ! とリアクションした。何か良い気分だ。

 

「いきなり声をかけないでもらえるかしら」

「悪かったよ。で、何してんの?」

「部室に不審人物がいんの」

「はぁ?」

「中に入って様子を見てきてもらえるかしら」

「はぁ…」

 

 俺は少し緊張しながら部室の扉を開ける。

 部室の扉を開けると、窓が開いていたようで、強い風が流れてきた。部室の中で何かの紙がパサパサと音を立てながら散らばる。そして部室の窓際で腕を組んだ男が立っていた。

 

「クックック…まさか此処で出会うとは驚いた」

「待ちわびていたぞ比企谷八幡!!」

「な、なんだとっ! 驚いたのに待ちわびていた?!」

「……あの不審者はあなたの知り合いなの? 名前呼んでいたけれど」

「知らない…こんな奴知っててもしらない」

 

 雪ノ下にジト目を向けられながら、実逃避をしていると、奉仕部最後の部員が少し遅れてやって来た。

 

「すまん。進路の紙提出していたから遅れてしまった……って、何してんの?…しかもなんだよ、この散らばった紙は…」

「雨矢上君。遅れるなら先に部員の誰かに伝えておいてもらえないかしら? それともそんな事すら——」

「はいはいすいませんでしたよ…」

「……ピクッ」

「…おい雪ノ下。今はそんな事している場合じゃ無いだろ」

「…そうね。ごめんなさい」

 

「むむっ! お主は噂の転入生殿!」

「お前は…昼休み自販機の前にいた奴か。てか俺、噂になってんの? …そりゃそうか…」

「なに。ウッシーも知り合い?」

「いや、知らん」

 

「はぁ……なんの用だ。材木座」

「やっぱヒッキーの知り合いじゃん!」

「へぇ、材木座って言う名字なのか。変わった名字だな」

「お前の名字だって変わった名字だろうが…」

 

どれぐらいの文字数が読みやすいですか

  • 1500
  • 2500
  • 3500
  • 4500
  • 5500
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。