転校生   作:帰宅部係長

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 ふ、不定期だから…



第19話

 

 —翌日の昼休み テニスコート—

 

 昨日話した通り、昼休みにテニスコートに集まる面々。

 由比ヶ浜と戸塚は運動に着替えており。雪ノ下は運動をする気が無いのか、制服のままだ。 あ、俺と雨矢上も制服だよん。

 

「では始めましょう」

「まず今日は、筋力の強化ね」

「筋力を上げれば基礎代謝も上がり、より運動に適したん身体となって、カロリーも消費しやすくなるの」

「カロリー消費!? あたしも付き合う!!」

「では早速、腕立て伏せからやりましょう」

「「はい!」」

 

 

「……なぁ比企谷、俺達もやった方がいいのでは?」

「……雪ノ下からの指示もないしやらなくていいだろ」

「「……」」

 

 目の前で汗をかきながら腕立て伏せする巨乳女の子と、女の子より女の子っぽい男の子。視線が向かないわけがないよな? …俺だって男だ、煩悩は有る。

 ……理由は言わないが、どちらかと言えば女の子の方に目が行ってしまう。……これが万乳引力か。

 

「…すごいな。何かとは言わないが」

「…そうだな。何かとは言わないけどな」

「あなた達も運動してその煩悩を振り払ったら?」

「「ひッ!」」

 

 

        ×    ×    ×

 

 

 命からがら(大袈裟)逃げて来た俺達は、テニスコートの外で暇を持て余していた。俺的には教室に戻って本でも読みたいのだが、雪ノ下が許してくれないだろうな…。

 

「ずっとぼけーっとしてるのもあれだし、何か話でもするか」

「別にいいけど、いきなりだな」

「んーそうだな、何か俺に聞きたい事とかあるか?」

「あ? 何だよ。別に聞きたい事なんて……あ」

「ん?」

 

 そういや忘れかけていたが、以前雨矢上と葉山をつけたとき、二人はわざわざ人気の無い屋上でなんの話をしたのだろうか? 結局何話してたか聞かなかったが、ちょうどいいから聞いてみるか。

 

「以前お前葉山と屋上で話した事あっただろ?」

「ああ」

「何話してたんだ?」

「何故この街に帰ってきたのかと聞かれた…それだけだ」

 

「……別に俺に話せないような事なら、話さなくていいが?」

「うーん…いや、話すよ」

 

「…俺さ、以前転校したとき、転校先が葉山が通ってる小学校でな」

「俺が通ってた学校から、お前が転校した後の話か」

「ああ」

「へぇ、仲良かったのか?」

「まさか。普段から会話するような関係ではなかったし、そもそも会話をしたい相手でもなかった。…お互いな」

「でも、何回か衝突した事があってな」

「衝突?」

「知っていると思うが、俺が転校した理由のせいで転校したあとは少し性格が変わって…」

 

 雨矢上が転校した理由……母親の病死。その出来事をさかいに、母方の家の教育方針が変わって、今よりもっと学力が高い学校に転校する事になったわけだ。

 

「性格が変わったと言うより、壊れたんだろ?」

「まぁ、そうだな…」

 

「………」

「そんな暗い顔するなよ」

 

「まぁ、衝突って言っても、葉山が一方的に俺に突っ込んで来た様なもんなんだけどな」

「…?」

「当時、俺と葉山がいたクラス内で起きていた、ある問題の解決の仕方ので少しモメた…」

「クラス内での問題? …いじめか何かか?」

「そう、いじめだよ」

「…なるほどな」

「葉山のやり方じゃ問題の解決にならなかったから、俺が動いたんだが、俺のやり方が気に入らなかったらしくてな」

「…まぁ、考えの相違だな」

「で、結局その問題は解決できたのか? 俺の経験上、そういう問題は殆ど解決できないものだが」

「比企谷の言う通り、問題の解決はできなかったよ」

「……苦いな」

「苦いよ」

 

 暇つぶしをするつもりが、かなりヘビーな感じの話になってしまった…。自慢じゃないが、俺は今までかなり辛い思いをしてきたと思っている。でも、雨矢上はそれ以上に辛い思いをしてきたのだろう…。

 

「ちょっと重い話になってしまったな」

「こういった話には慣れているから、俺は平気だぞ」

「んじゃ、次は明るい話を比企谷がしてくれ」

「めんどくせぇ…」

「小町ちゃんの話でもいいぞ?」

「え?マジで?いいのか? それじゃまず小町が小さかった頃の話から—」

「いや、やっぱりいいわ」

「何でだ?」

「無駄に長くなりそうだから…」

「む、無駄…だと?」

「そんなことより。あっちでお前のお友達が仲間になりたそうにこちらを見ているぞ」

「あ? ……材木座は友達じゃないんだが…」

「んじゃ俺は、材木座連れて雪ノ下んとこ行ってくるわ」

「おう」

 

「はぁ…」

 

 そんなこんなで日々は過ぎ———俺達のテニスは第2フェイズに突入した。

 

 

        ×    ×    ×

 

「いっくよー、えいっ」

「フッ」

パコォン!

 

「次おねがいします」

「由比ヶ浜さん、もっとあの辺とか厳しいコースに投げなさい」

「わ、わかった」

 

 雪ノ下は本気で性格が悪かった…じゃなくて本気で鍛えていた。

 ……何で俺の考えている事分かるんだよ。

 

「今更なんだが、俺らはなんの為にいるんだ…?」

「聞くな雨矢上。俺にも分からん」

 

「さいちゃん!!」

 

「お、戸塚が盛大にコケたな」

 

「だいじょうぶ?!」

「大丈夫だから…続けて」

「まだやるつもりなの?」

「う、うん…。みんな付き合ってくれるから…もう少し頑張りたい」

「………そう」

「後は頼んだわよ由比ヶ浜さん」

「え?」

 

 そう言うと雪ノ下はすたすたと校舎の方へ去って行った。

 

「なんか怒らせるような事言っちゃったかな…?」

「いや、あいつは何時もあんなもんだ。愚かだの低能だの言ってない分機嫌いいかもな」

「じゃあ、いつまでたっても上手くならないし、呆れちゃったのかな?」

 

「それはないと思うよ—」

「ゆきのん頼ってくる人を見捨てたりしないもん」

「まぁ、お前の料理に付き合うぐらいだもんな」

「どういう意味だっ!?」

 

 雪ノ下は女王で暴君だが下々の者を見捨てない。どこかへ行ったのも何か理由があるのだろう。

 

「大方、保健室に救急箱を取りに行ったんだろうな」

「伏線を切るな雨矢上」

 

 

「あっ、テニスしてんじゃん」

 

 突如としてテニスコートにクラスの上位カーストの連中が侵略してきた。

 氷の女王の次は炎の女王が来るとはな。

 由比ヶ浜はあたふた仕出し、材木座はこの場から逃げ出そうとし(逃さないが)、雨矢上は俺が見た時には既に、何時もの仮面を被っていた。

 

「テニス部以外もコート使っていいんだ」

「ならあーしもテニスやりたいんだけど。この場所空けてくんない?」

 

「…あー、ここは戸塚が許可とって使っているものだから、他の人は無理なんだ」

「は?」

「あんたらも使ってるじゃん」

「いや、俺達は練習付き合ってて、業務委託っつーかアウトソーシングなんだよ」

「は? 何、意味わからない事言ってんの? キモいんだけど」

 

 チッ…これだからビッチは……犬の方がまだ話し通じるぞ。

 

「あ…あわわ…」

「落ち着け由比ヶ浜」

「でも…」

「まぁ、修羅場だもんな…しょうがないか」

「ウッシーはこういうの平気なの…?」

「…まぁな」

 

「まぁまぁ、ケンカ腰になるなって。"みんな"でやった方が楽しいしさ」

「みんな…だと?」

「おい、やめとけ比企谷」

「なんだよ…雨矢上」

「こういった議論、話し合いはするだけ無駄だ」

 

 雨矢上の言う通り、こういった議論、話し合いはするだけ無駄だ。相手に話しが通じなければ議論や話し合い何て、そもそもできっこないのだ。

 ふむ…何時もの様に自虐ネタ使って足元すくおうとしたが…しょうがない。

 

「じゃあどうしろと?」

「んー…」

 

 雨矢上は顎に指を当て、思案する。

 

「じゃあこうしよう」

 

 葉山が言う。

 思案中だった雨矢上は少し顔を歪めている。

 

「部外者同士、俺とヒキタニ君で勝負する」

「勝った方が今後昼休みにはここを使えるって事でどうかな?」

 

「え、えっと…」

 

 戸塚が困った様子でこちらを見る。

 

「もちろん、戸塚の練習にも付き合う」

「強い奴と練習した方が戸塚のためにもなるし、いいかな?」

 

 俺は無言で頷く。が——

 

「なにそれ超楽しそう! じゃ、いっそ"男女混合"のダブルスにすればいいんじゃん?」

「っつってもヒキタニ君と組んでくれる子いんの?」

 

 くっくっくく…く、悔しいがその通りなので言い返せもしねぇ…。あと、材木座、お前は笑うな。

 

「お前には女子の友達は皆無。見知らぬ女生徒にお願いしてみたところでボッチ野郎でジミオのお前に手を貸してくれる人などいないだろう」

「材木座、お前はちょっとこっち来い」

「な、なにゆえっ?!」

 

「ヒッキー、あたしやるよ」

「なんでお前がやんの? あっち側の人間だろ。バカなの?」

「…やーなんてーの」

「あたしも部活入ったし…、ならやるでしょ普通」

 

「ユイ。あんたさぁ、やるってあたしとやるって事なんだけど、そういう事でいいわけ?」

「そ、そういうわけ…って事でもないけど…」

「あたし、部活も大事だから」

「へー…そーなん。恥かかないようにね」

 

 

        ×    ×    ×

 

 数分後。テニスコートの外は、葉山隼人がテニスをするという噂を聞きつけた生徒で溢れていた。

 

 マジかよ葉山、そこらの政治家より人望あんじゃねえの…。

 

 俺と葉山は制服のブレザーを脱ぎ、三浦と由比ヶ浜はテニスウェアに着替えコートに立つ。

 

「ふむ八幡、作戦の方はどうする」

「まぁ、ペアの女子の方を狙うのが上策だろうな」

「ふむ…では転入生殿は何かあるか」

「比企谷の女子を狙うって策はやめておいた方がいいだろうな」

「相手の三浦って奴、多分強い」

「本当か?」

「俺が見た感じだからな、本当かどうかは分からない」

「それと、俺にも一つ策があるんだが」

「どんな?」

 

「まずどちらかの打球をわざと目に喰らう。これで目が潰れれば大事になる、そうすりゃ二人に罪悪感を植え付けられる、おまけに葉山か三浦の何方かの評判は最悪になる」

「どうだ?」

 

 雨矢上は至って普通に言っているが、思った以上にエグい策が出てきて正直引いている…。

 

「却下だ」

「我も」

「相手に勝つのが目的だろ、共倒れじゃ意味ねえだろうが。それに、こんなもんに目をかけるなんてバカげている」

「てゆーか俺痛いの嫌だし」

「そうか…」

 

 




 
 投稿遅れてすいません…。

読者の好きなカップリング

  • 八雪
  • 八結
  • 八色
  • 八陽
  • 八幡×戸塚
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