転校生   作:帰宅部係長

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短いです、すいません。


第2話

「さて、まず何から説明しようか…」

「いや、まず名前を教えろよ…」

「あぁ、そういえばそうだった、まだ名乗って無かったな」

 

 

 

「俺の名前は雨矢上善光だ。雨天の雨に一矢報いるの矢に上座の上、善光寺の善光でよしあきと言う」

「おう…長かったな…」

 

 なんだよなその自己紹介、何処ぞの詐欺師だよ。その自己紹介名前長い人がやるとこんなに長くなるんだな…。

 

「あの詐欺師、最低で最悪の悪党なのに、カッコいいよ。な俺の憧れだ」

「そうだな…って心読むな、気持ち悪い。てゆーか、あんなもんに憧れを持つな」

「ん? 読んだつもりはないけど?」

 

「……と言うか、お前変な名前だな」

「お前には言われたくない、比企谷だって変な名前だろ」

「うるせぇ、俺は八幡って名前結構気に入ってんだよ」

「それは俺も同じだ」

 

 

「…さて、次は俺と比企谷の関係について説明するか」

 

 そうだ、これが一番気になっている。何故コイツが俺の事を知っているのか、未だに分からない。

 

「…って言うか名前聞いて思い出すとかないの?」

「……?」

「えぇ……少し傷付いたわ」

 

 頭の中の記憶を遡ってみるが、こんな奴知り合いにいた記憶がないぞ? …って言うかあまり昔の事思い出したくないんだけど…。 あ? 理由は察しろ。

 

「うーん…小町さんなら覚えてると思うんだけどなぁ」

「小町の事も知っているのかよ」

「ん?…いや、家族ぐるみの付き合いだったし」

「と言っても、俺だけしか付き合いに参加しなかったんだけど」

「?………あ」

「お?」

 

 あぁ…そうだった。ずっとボッチだと思っていたけど、居たな、俺にも友達と言う奴が。長い間ボッチだったから友達が居た記憶すら忘れていた。

 ……都合よく思い出す事だってあるだろ?

 

「…思い出したよ。お前変わり過ぎだろ、さっきの仮面もそうだが今の俺みたいな腐った目も」

「確かに……変わった、色々あったからな。だが、お前には言われたくない、何だその腐った目は」

「それはお前もだろ」

 

「……フフッ」

「……何が可笑しい?」

 

 俺が睨みつけながら言うと、雨矢上は俺が睨んでいるのを全く気にする事なく、静かに笑いながら答える。

 

「いやな? 俺と同世代の人間で、腐った目の奴を見るとは思わなくてな? ましてやそれが、自分の昔の友人だったからさ、少し可笑しくて…」

「……」

 

 コイツ…。知り合いじゃなかったら殴ってたところだった…。あ、知り合いじゃなかったとしても殴らないよ? 八幡暴力嫌い。

 

「なぁ比企谷」

「あ?」

「異常だと思わないか?」

「何がだ」

「若くして、こんな腐った目になってしまう事がだ」

「俺のは生まれ付きな気がするが?」

「お前は目つきが悪かっただけで、腐ってなんかいなかったよ」

「……」

「どれほど辛い事があったんだ? 言いたくなければ言わなくてもいいけど」

 

 雨矢上は明るく話しているが、表情は暗く、目からはハイライトが消えている。多分こいつも散々な人生だったんだろう…。 話しを変えたほうがよさそうだ…。

 

「そういやお前、小3の時転校したろ? 何で帰って来たんだ?」

「あー…」

「?」

 

 雨矢上は少し考えてから口を開いた。

 




MAXCOFFEEって甘過ぎないところが好きです。

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