刀使ノ巫女RTA 漫画版離反ルート   作:イナバの書き置き

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すんごい難産でしたが初投稿です。



第6回(後編)/超越

 随分久し振りなRTA、はぁじまるよー!

 

 はい、大変御無沙汰です。

 ここ数回はストーリー的に重要なシーンが多く、出来るだけゲームの雰囲気に没入して頂けるよう黙っていました。

 解説役なんて必要ねえんだよ!

 

 ──と、言いたい所ですが流石にRTA走者の端くれを名乗っている以上、自らの使命を放棄する訳にはいきません。

 早速、前回までの解説を始めましょう。

 

 まず突然可奈美ちゃんが決闘を挑んできた件についてですが、これは偶然の棚ぼたです。

 本来は「可奈美ちゃんから最も好感度が高いキャラが『自己犠牲』に類する行為を行った時」発生するイベントであり、ただの特訓仲間でしかないほよでは条件を満たせません。

 ほよの行動もただの鬼畜ですしね。

 

 が、しかし実際は御覧の有様です。

 互いの体に刀めり込ませたまま力比べとかこいつらすげぇ変態だぜ?

 

 ……

 ……

 現実逃避も此処までにしておきましょう。

 ぶっちゃけてしまうと、可奈美ちゃんは既に「覚醒」しています。

 「覚醒」は特定の条件を満たしたキャラクターのステータスや精神面が大幅に成長する、ある種のボーナス要素です。

 例えば夜見ちゃんだったら「嫉妬」の感情を増幅させ続ける。

 例えば沙耶香ちゃんだったら「当人の目の前でHPを1割以下に減らした上で『理不尽な状態になる』」など、それぞれ設定された条件は非常に複雑かつ曖昧で、システムの存在にすら気付かずクリアされた兄貴達も多いでしょう。

 しかし「覚醒」に至ったキャラクターは例外なくゲームバランスをぶっ壊すレベルの強さを誇り、早期の覚醒に成功すれば大きなアドバンテージを得られます。

 

 さて、話を戻しまして可奈美ちゃんの覚醒条件ですが、実は意外と簡単です。

()()()()()()()()()()()()()()()だけで、彼女は覚醒します。

 と言うのもこれにはゲームの仕様が深く関わっており、もしシナリオを波瀾編(TV2クール目に相当)まで進めると彼女は必ず覚醒します。

 イチキシマヒメと融合し、タギツヒメを吸収した後自決を選んだ姫和ちゃんを止めようとする──と言う原作再現なのですが、何とこの仕様はゲーム開始時点で既に適用されているのです。

 

 要するに「姫和ちゃんが自殺しようとする」のと同じ位のストレスを掛ければ可奈美ちゃんは勝手に覚醒してしまう、という事です。

 ええ、きっと何にも知らされず、相談されず、ほよに「置いてかれた」認識が彼女を覚醒させてしまったのでしょう。

 本当に、本当に──

 

 

 

 

 

 

あ ほ く さ

 

 

 

 あのさぁ……(棒読み)

 可奈美ちゃんの安易な覚醒は防げってチャートにイワナ、書かなかった?(自戒)

 だから()()()()()()()()()()()()()()決闘なんかする羽目になるんですよ。

 勝てれば経験値モリモリの習熟度モリモリですが、負ければ当然企みを全部吐かされゲームオーバー待った無しです。

 

『依奈ちゃん、こんなに壮大で、無鉄砲な計画吐いちゃって……ダメじゃないか!こんな無謀なことしちゃ!』

 

 とか言われながらお縄に付く羽目になる事間違いなしです。

 それはよくない。

 よくないのでどうにかしたいのですが──これもうわかんねぇな(痴呆)

 

 いや、我ながら覚醒可奈美ちゃん相手によく粘ったとは思うんですけどね。

 如何せん体を斜めに裂かれた状態での操作は初めてなので、今後どうなるのかは想像もつかないのです。

 一応レバガチャで抜け出そうと試みてはいるのですが、ガッチリ固定されてて動けない以上なるようにしかならないでしょ──ファッ!?

 

「んぐっ、ぎぃぃぃッ!」

 

「うぅっ、あああぁぁぁぁッ!」

 

 いや、互いの体を蹴りつけて抜け出すとかコイツら精神状態おかしいよ……。

 あーほら、写シも解けてるじゃないですか。

 これはもう終わり!閉廷!以上、皆解散!って事で良いですかね。

 

「──ッ!まだ、だよ……まだ終わりじゃない……!」

 

 えぇ……?

 まだやるんですか?

 こっちは写シの張り直し1回しか出来ない上、もうスタミナカツカツなんですから止めましょうよ!ラブ&ピース!愛だよ愛!

 

「ううん、まだ終われない。何も話してもらってないのに、終われる訳がない。友達が悩んでるのに放っておける訳、ない────!」

 

 おっそうだな。

 こんな頼もしそうな事を言っていますが、現時点での可奈美ちゃんを暗殺に巻き込もうとしても拒否されますし、何なら止める側に回られます。

(端から見ればただのテロリストだから)当たり前だよなぁ!?

 可奈美ちゃんは、御前試合なりで決定的な証拠を目撃するまで原則中立という絶妙に扱い辛い立ち位置をしています。

 ですので、ほんへ前ですと戦闘員以外の目的ではあまり当てにはなりません。

 はーつっかえ、と感じる時もありますが基本的に当てにしてるのは戦闘能力だし多少はね?

 

「ねぇ、答えてよ依奈ちゃん。私と依奈ちゃんは、友達だよね?」

 

「……そうだね」

 

「だったら話してよ!辛い事があるなら、苦しい事があるなら頼ってよ!それが友達なんじゃないの……?」

 

 お太い友情感じるんでしたよね?

 いよいよ可奈美ちゃんも涙声ですが、ここで妥協してはいけません。

 1度可奈美ちゃんに気を許すとガッツリ踏み込んできてチャートを滅茶苦茶にされてしまいますから、しっかりと突き放しましょう。

 

「……友達さ、絶対」

 

「なら────!」

 

「でも友達だからこそ話せない事って、あるよ。ましてや可奈美や舞衣みたいに察しが良すぎるのが相手だとやり辛いんだ」

 

「私だから、ダメ……?」

 

(可奈美ちゃんは兎も角、舞衣ちゃんは絶対に)ダメです。

 電話で話しただけで居場所特定される相手にバレたら、洞察力と行動力の暴力で計画壊れちゃー↑う!

 実際不審者スレイヤーたるヤナセ=サンが関わってきたら我々走者は潔くセプクするしかありません。スゴイコワイ!

 

「……大体、可奈美みたいに純粋な気持ちで御刀振ってた訳じゃないしな」

 

「え……?」

 

 まぁ確かに、ほよ(と走者)の目的は折神紫への復讐ただ一点なんで、可奈美ちゃん程ロクな物じゃありません。

 ですが方向性は違えど剣術への執着は同じです。

 一緒に鍛練した思い出も、タギツヒメに対する怒りの炎に変えて両足に込め、己を支える礎にすべきだってはっきり分かんだね。

 

「なら、何であんな熱心に稽古してたの?あれは何の志も持たない人間がしようと思える鍛練の量じゃない。何か目的があるんでしょ?」

 

 まあ流石に勘づかれますよねぇ。

 RTAという目的がなければもう少し穏やかなペースでやれたのですが、最短最速を目指す以上仕方ない事です。

 ゆるして亭ゆるして、(このままだと)お計画壊れるわ。

 

 

「……」

 

「どうしても、話せない?」

 

「……そうだね」

 

「だったら、コレ(決闘)で決着を付けるしかないよね」

 

 えぇ……(困惑)

 可奈美ちゃん脳筋過ぎ……脳筋すぎじゃない?

 と言うか今まで色んな可奈美ちゃんを目撃してきましたが、こんなに頑固なのは初めてです。

 普段の察しの良さはどこ……ここ……?

 

「今の依奈ちゃんは私には勝てない。言葉にすら出来ない迷いが乗った剣じゃ、何にも斬れない」

 

「可奈美、私は斬れるよ。絶対に、何があっても」

 

「……なんで?」

 

 

 

 

 

 

 

「正しいから負けない」

 

 

■■■

 

 

 

「────それだけ。さぁ、闘ろうよ」

 

 当然のように言い切った依奈ちゃんは御刀を正眼に構え、写シを展開した。

 釣られて私も写シを展開し、9間の距離を保って睨み合う。

 

「──」

 

 黒い、深い黒の瞳に視線が吸い込まれる。

 一体依奈ちゃんは何を考えているんだろう。何の為に鍛練を重ね、何の為に刀使を志したんだろう。

 依奈ちゃんは自分を語らない。勝手に1人で納得して、完結して迷いは無いと思い込んでいる。

 でも、剣筋には間違いなく迷いがあった。もし本当に何の憂いも無かったら、私は既に負けている。

 技量の差など簡単に引っくり返せる気迫を依奈ちゃんは持っている筈なのだ。

()()()床を強く踏みしめ、全力の1歩を踏み出して────

 

「──ッ」

 

()()()()

 視界の全てを置き去りにして、私の全てを投げ捨てて。

 もう言葉なんていらない。邪魔な五感も削ぎ落として、少し身軽になろう。

 だって依奈ちゃんの心の壁を打ち破るには、この身体だって重すぎる。

 2段階迅移じゃ遅すぎる。

 3段階でもまだ足りない。

 もっと速く。もっと先へ。

 加速して加速して──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ上へと、何処までも続く石の階段に落ちた千鳥がカランと乾いた音を立てた。

 私は階段の真ん中で御刀を取り落とした姿勢のまま、ただぼんやりと突っ立っていた。

 

「──?」

 

 何処だろう、ここは。

 何で、こんな所にいるんだっけ。

 上手く頭が回らない。

 ただ漠然とした疲労が私の全身を苛んでいるけど、ずっと留まっている訳にもいかなかった。

 1歩踏み出そうとして──

 

 

 

「────やるじゃん、可奈美」

 

 

 

 満面の笑みで此方を見下ろす、お母さん(師匠)がそこにいた。

 

 

 

■■■

 

 

 

 べしゃり、と2人の少女が道場の床に倒れこんだ。

 

 決闘の結末はあまりにも壮絶で、同時に呆気なかった。

 人の理を超越した領域に踏み込んだ可奈美の突きは依奈に瞬きする事すら許さずその胸を貫いた。

 しかし同時に中段に構えた依奈の山鳥毛も可奈美の胴に突き刺さっていた。

 完全無欠に相討ちだった。

 だが────

 

「相討ち……?んなバカな……」

 

 愕然とした面持ちで益子薫は呟いた。

 最後の突きは間違いなく避けられる物ではなかった。並の刀使はおろか、薫自身ですら視認不可能な領域に踏み込んでいた。

 見てから避ける、なんて到底不可能な一撃だと刀使としての直感で理解したからこそ可奈美の勝利を確信したのだ。

 

「アイツ……()()()()のか……?」

 

 それが、相討ちに終わっている。

 見えなかった。

 追い付けなかった。

 益子薫が、舞草内でトップクラスの実力者ですら理解出来ない駆け引きが一瞬の間で行われていた。

 

「なぁ、ねね……」

「ね?」

 

 何があったらその領域に()()()のか。

 この2人は一体何なのか。

 ()()()()()()()()()()()()

 

「……アイツらヤベェな」

「ねー?」

 

 自身の背筋に冷たいモノが走るのを感じながら、薫は隣ではしゃぐ無邪気な守護獣に語りかけた。




・ほよ
口下手過ぎるっピ!

・可奈美ちゃん
(覚醒が)早すぎィ!
(美奈都さんの所に辿り着くまでも)早すぎィ!
多分メンタルだけTV終盤位まで成熟してる。
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