刀使ノ巫女RTA 漫画版離反ルート   作:イナバの書き置き

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スランプ中ですが初投稿です。

一時的に二重投稿してました。
申し訳ありません。


第7回(前編)/狂騒

「直球で言うぞ。お前、何を企んでる」

「はい?」

 

 午前4時──まだ陽も昇らない、暗い部屋でオレは星切依奈(監視対象)と睨み合っていた。

 クソババア(真庭学長)曰く「監視ってのは悟られずにやるモン」らしいが、既にその前提は崩れちまった。

 コイツと衛藤可奈美の決闘をボケっと眺めていたのが悪かったのか。

 或いは気絶したコイツを部屋まで運んだのが悪かったのか。

 どちらにせよこうして接触してしまった以上、監視等とは言っていられない。

 それに────

 

「決闘沙汰なんて、御刀返納の上退学処分でも文句は無いレベルなんだがな。羽島学長にチクってもいいんだぞ?」

「……ひょっとして、それは脅しですか?」

「興味津々と言ってくれよ、人聞きが悪い。ただお前が何をしたいのか知りたいだけなんだがな」

 

 そう、オレは星切に興味が──いや、危惧を抱いている。

 呆けた顔で無害感を演出しているが、コイツがつい数時間前にしでかしたのは間違いなく決闘だ。

 衛藤可奈美との関係性は分からんが、()()()()使()が同級生と斬り合う事が出来るか? 真剣(ガチ)の殺し合い染みた決闘が出来るか? 

 出来ない。出来るワケがない。

 御前試合でもねーんだから、御刀握って対人戦なんて正気の沙汰とは思えない。

 

「知りたいって、まさか口説いてるんですか? 私そういう趣味は無いんで……」

「ンな訳無いだろ。どんな形にしろ、労働の対価を得られなきゃやってらんねーからだよ」

 

 と言うか、オレが読んだ調査報告書と色々違い過ぎる。

 刀使として目立った技能はナシ、目立った経歴もナシと平々凡々。

 加えて舞草に所属こそしているものの何の役割も持たない、ただの「いるだけ」構成員だった筈だ。

 だけどこれじゃ殆ど別人じゃねえか! 

 あのクソババア(真庭学長)、面倒事押し付けやがって……。

 

「ほれ、はよ言え」

「……」

「チクるぞ?」

 

 この一件(決闘騒ぎ)が露見して「舞草の管理不行き届き」なんて折神紫に言われてみろ、あっと言う間に組織がペシャンコだ。

 そんな詰まらない事でタギツヒメ討伐計画をおじゃんにされない為にも、ここで全部吐かせるしかない。

 

「……」

「……」

 

 しばし、沈黙。

 余程口に出すのが憚られる「何か」を抱えているのか、星切はしかめ面を隠す事すらせずに天井を仰いでいる。

 そんなに言いたくないなら決闘なんかするなっての。

 

「分かった、分かりましたよ」

「おー、やっと言う気になったか。これで1限までは寝れるな」

「あのぉ、決闘騒ぎは睡眠以下ですかぁ……」

 

 そりゃそうだろ。

 大体今を何時だと心得てるんだ。

 4時だぞ、4時。それも午前の。

 普通の人間なら寝てるだろうが。

 それもこれもお前が1時間近く抵抗したからだぞ。

 気絶してたってのに、ホント生命力に溢れてんだな。

 

 ……いや、だからそんな物悲しげな顔すんなよ。何かこっちが悪いみたいじゃん。

 

「……で、何の為にあんな決闘してたんだ」

「ちょっと人に言いづらい悩みがありまして……その相談の一環ですね」

「相談?」

「そうです、相談です」

 

 ポリポリと頬を掻きながら、照れ臭そうに星切はカミングアウトした。

 成る程、人に言えない悩みと来たか。

 ……で、それが何で決闘に繋がるんだ? 

 痴情の縺れとかならまあ分からなくはないが、どうもそう言う雰囲気でも無いようだ。

 

「あ、今『それが何で決闘に繋がるんだ?』って顔しましたね!? コッチはそれに必死だったのに!」

「お、おお。すまん」

「全く! 反省して下さいよぉ!」

「あ、ああ……」

 

 読心術でも使えるのかよ。

 ……それにこの、掴み所の無い感じがなんか気色悪いな。

 ただ怒ったり考えたりするだけでも妙に芝居がかった、この粘性の不快感。

 まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()みたいだ。

 

「て言うか御刀持ち出す位人に言えない悩みって、一体何なんだよ」

 

 けど、オレはコイツ(星切)に問い掛けなければいけない。

 それがオレの使命だし、やりたい事でもある。

 中途半端はダメだ。

 やると決めたなら最後まで、面倒事から目を逸らすな。

 

「……答えろよ」

「それは────」

 

 さあ、言え。

 何を企んでるのか、何を考えてるのか全部吐き出しちまえ。

「人に言えない悩み」とやらが笑い話で済むようなら、それで良い。

 或いはとんでもない──それこそ人の生き死にに関わる事なら、相談に乗ってやっても良い。

 さっさと面倒事を片して、久方ぶりの休暇と────

 

 

 

 

 

「折神紫をどう殺してやろうかと悩んでまして」

 

 

 

 

 

 ……は? 

 

 

 

■■■

 

 

 

「折神紫を殺す……? お前、正気で言ってるのか!?」

「当たり前です。()()を幽世に叩き返すのが舞草の本懐でしょう?」

 

 大胆な犯行予告が飛び出すRTA、はぁじまるよー! 

 前回は可奈美ちゃんと相討ちになり気絶した所まででしたので、そのまま進めていきましょう。

 いやーしかし目が覚めるなり益子薫とご対面とは焦りました。

 どうやら自室までほよを運んでくれたらしいですが、そんな事はどうでもいいんだ。重要じゃない。

 

 さて、早速大胆な告白(女の子の特権)を続けて行きたい所ですが、先ずは現状と今後について説明させて頂きます。

 

 最初は薫が美濃関にやって来た理由です。

 まあ聡明な視聴者兄貴達はもう分かっていると思いますが、薫の任務は間違いなく「ほよの監視」です。

 幾ら最終的な目的が同じとは言え、舞草の方針に背いて1人で暴走しているんだから当たり前だよなぁ!? 

 そして監視されている最中はほよの行動が逐一報告されてしまうので、今までの様な自由行動が出来なくなってしまいます。

 やめてくれよ……(絶望)

 

「そうかよ。そんな馬鹿みたいな事を考えたなら、衛藤が止めようとするのも納得だな」

「益子先輩は馬鹿げてると笑いますか」

「組織立ってやるのならまだしも、お前1人でどうにかなる話じゃないだろ」

 

 本来なら御前試合予選直前でバラす予定でしたが、イベントの発生が大幅に早まっていますね。

 これは恐らく「経歴:被験者」のせいでしょう。

 この「経歴」を持つキャラクターは舞草や親衛隊等の組織と接触しやすく、かつ組織トップが他の「経歴」をゲーム開始時点から把握していると言う特徴を持っています。

 つまり最初から屑運だったと言う事ですね。

 ……

 

 

 

 

 

あほくさ

 

──と、言いたい所ですが! 

 

 そんなんじゃ甘いよ(棒読み)

 今回はこれを逆手に取って早い内から舞草を巻き込んでしまおうと思います。

『どうせ折神紫を暗殺する方針は一致してるんだから仲良くしまょうよ! ラブアンドピース! 愛だよ愛!』

 と、言った感じで結果的に舞草の利益になる行動を繰り返せば彼女達も此方の行動を追認するしかなくなる筈ですからね(28敗)

 そしてその為に活用するのが──

 

()()()()を使います」

「お前……ッ! いや、そもそも末端でしかないお前がどうして日高見派の事を知っている!?」

 

 今日交渉するのは、日高見派っ! 

 まだ純粋な理想を掲げるこの組織は、私の交渉術に耐える事が出来るでしょうか? 

 

 ……と言う冗談はここまでにしておいて、今回は舞草のマジキチ集団こと日高見派を利用していきたいと思います。

 日高見派は奥州を拠点としている舞草の一派閥であり、長船女学園高等部3年の「日高見麻琴(まこっちゃん)」をリーダーとする過激派組織です。

 荒魂による刀使の損耗を防ぐ為に様々な「活動」を行っている──と言えば聞こえは良いですが、その内実は狂気の一言に尽きます。

 

 だって普通は()()()()()()()()()()()なんて考えないでしょう。

 やっている事は折神派の冥加刀使となんら変わらず、寧ろ確立されてもいない技術で無理矢理実験しまくって失敗作を量産するやべーやつらです。

 しかも彼女達はこの凶行を100%善意で行っており、本気で人々を救うと思っているのが質の悪い所です。

 お前ら精神状態おかしいよ……

 

「益子先輩が私を止めるなら今、この瞬間が最後のチャンスです」

「なんだと……!?」

「それも生半可なのじゃあ止まりませんよ、最低でも手足を全部へし折る位はやって貰わないと」

 

 まあそれでも利用するんですが。

 何だかんだ言って組織としての地力はそこそこありますし、今のほよが人体実験に志願すれば喜んで協力してくれるでしょう。

 

「まあ、舞草にとって悪い話ではありませんから、ゆっくり待ってて下さいよ」

「お前……! お前は一体何を企んでんだ……!」

「──友情、努力、勝利って言ったら、納得します?」

 

 いくらリディアを拉致ったからと言って資材も限られる中でS装備の改修なんて夢のまた夢ですから、ガッツリ力を借りにイクゾー! (デッデッデデデデ! カーン!)

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

■■■

 

 

 

「なるほどなぁ、可奈美も中々に青春してんじゃん」

「これって青春なのかな……」

「青春だよ。ヘトヘトになるまで喧嘩するなんて最たるモノじゃん」

 

 そう言って隣に座った師匠はけらけらと笑う。

 師匠の言う事は、分かるような気もする。

 この決闘がなければ私はずっとモヤモヤしたままだろうし、依奈ちゃんとちゃんと話す事も無かったと思う。

 けど、何か腑に落ちない。

 まだ胸の痞えが取れていない。

 

この方法(決闘)で良かったのかな」

「可奈美はどう思ってるの?」

「どうなんだろ……正直分からない」

 

 口じゃなくて刀で語るって、普通は可笑しいよね。

 言いたい事があるなら直接口に出せば良い話で、態々打ち合わないと会話も出来ないなんて、回りくどいにも程がある。

 それでもこの方法しか選べない私と依奈ちゃんは、きっと似た者同士なんだ。

 

 ──でも、それで良かったの? 

 

「まあそうだね、正しい答えは無いんじゃないかとアタシも思うよ」

「無いの?」

「『何が正しい』じゃなくて『何がしたい』が答えだから、正解は千差万別なんだろうなぁ」

 

 ああ、そっか。

 人の「正解」は千差万別。

 だからもっと良いやり方があったんじゃないかって、私は思ってるんだ。

 御刀を突き付けなくても、もっと何かあったんじゃないかって。

 それしか無いって分かってても「もしも」が脳裏にこびりついて離れない。

 そうだ、私は依奈ちゃんと喧嘩がしたかったんじゃない。力になってあげたかったんだ。

 何かに取り憑かれたみたいに荒魂を狩って、それでどんどんやつれる様を見ていられなかったんだよね。

 それなら私は────! 

 

「多分、間違えちゃった……」

「可奈美がそう思うなら、そうかもね。それで、どうする?」

 

 どうする? 

 勿論、答えなんて最初から決まってる。

 

「仲直りする! ちゃんと伝えたい事を口で伝えて、今度こそ依奈ちゃんの隣に立つ!」

「ならば良し! 今からでも立ち合うかい?」

「うん!」

 

 無駄に燻るのはもう止めだ。

 御刀で語り合うのももう止めだ。

 ちゃんと言葉で伝えて、心で聞こう。

 これが私の見つけた「答え」だから、もう迷わない。

 さあ、第一歩として────

 

「しっかし、あの星切の娘にしちゃ凄まじいなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────え?




次章予告

「本州に13体の凶禍が上陸しました」

Sheath Armour(S装備)射出用意」

「東京の『霊角』活動開始!」

「依奈ちゃんはそれで良いの?」

「我はタギツヒメ。神である」

「刀使の本懐を果たせ、十条姫和」

「辛いモノを見る事になるかもしれないが良いのか」

「日高見派が今更止まるものかよ」

「吾らは一体何の為に生まれてきたのだろうな」

「お前が治した(殺した)子供の名前を覚えているか、折神紫」



「諸々の柾事 罪穢れ」

「拂い賜え 清め賜え 聞食せとーーーー」





「恐み恐み申すーーーーーー!」

最終章


夢の架け橋
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