あれは嘘だ
申し訳ありません
今後の展開を踏まえて書いたら海戦は後回しになりました
──中央暦1638年4月26日午前7時頃、マイハーク西方沖・ロウリア艦隊中央 ──
「いい景色だ、美しいな。」
4400隻にもなる大艦隊、その旗艦である帆船の甲板からロウリア海軍提督、シャークン将軍は呟いた。
陸軍がギムを抑えている間にマイハークへと強襲上陸をせよ。そんな命令を受けたシャークンはロウリア史上最大の艦隊を率いて、朝日を反射する波を切り裂いて突き進んでいた。
(しかし、王も心苦しいだろう。和解しようと考えていた相手と戦うなぞ。)
シャークンはロウリア王の計画の賛同者であった。
だが、パーパルディア皇国の横槍により計画は泡と消えた。故に、心苦しくも生きる為にこのような戦争に臨まねばならない。出来れば殺したくはない、だが自分を信じて命を預けてくれる兵士達の為にも、手を抜くような事はあってはならない。
そんな覚悟を胸に艦隊指揮を執るシャークンが水平線の向こうにあるであろう、マイハークの方向に目を向けた瞬間であった。
──ドンッ!
鈍い音と共に艦隊の先頭、中央の帆船が水柱に包まれた。
──同日同時刻、ロウリア艦隊後方──
ロウリア艦隊の後方には、マイハークに上陸し制圧するための兵士を乗せた帆船が多く配置されていた。
ロデニウス大陸における海戦とは、オールにより生み出された推進力を使うガレー船によって敵船に接近、兵士が直接乗り込み白兵戦による制圧もしくは、ガレー船の船首に取り付けられた衝角をぶつけて船体に穴を開けて、浸水により沈没させる、という戦法を主としている。
故に海戦においては風向きの影響が少なくガレー船が主力であり、帆船は艦隊旗艦や先導、揚陸作戦の為の輸送が主な仕事だ。その為、艦隊の後方に帆船が配置されている。
「はぁ…」
そんな帆船集団の一隻、まだ真新しい帆船の船室にてパーパルディア皇国の観戦武官ヴァルハルは首から掛けた指輪と飛竜の鱗を見詰めながら、ため息をついていた。
ヴァルハルはパーパルディア皇国の第三外務局…文明圏外国との外交を担当する部署に所属している。今回のロデニウス大陸への派遣はヴァルハル自らが熱望し、それが受け入れられた結果だ。
文明圏外国への長期派遣は本来、誰もやりたがらない。パーパルディア皇国での生活レベルに慣れた者は、質が劣る文明圏外国での生活なぞ苦痛でしかないためだ。
しかし、それでもヴァルハルはロウリア王国への派遣を熱望した。
「……父さん、姉さん。」
ヴァルハルがロウリア王国への派遣を熱望した理由。それは、"パーパルディア皇国への復讐"だった。
ヴァルハルの父は、ワイバーンの上位種であるワイバーンロードを駆る竜騎士であり、姉はとある文明国の王子との熱愛の末結ばれた将来の王妃だった。
パーパルディア皇国のエリートである父と、文明国の王妃となる姉…二人はヴァルハルの誇りだった。子供時代のヴァルハルは父から貰ったワイバーンロードの鱗をペンダントにして、友人に自慢していたものだ。
しかし、ある時…父が殺された。
とある文明国の刺客がワイバーンロードに乗る前を狙った。それを理由にパーパルディア皇国は、とある文明国に対して宣戦布告、1週間もたたずにその文明国は滅ぼされてしまった。
そう、その文明国こそヴァルハルの姉が嫁いだ文明国であった。
姉は元皇国民ながら、皇国兵により凌辱の限りを尽くされ街頭に吊るされた。
後から父の同僚から聞いた話では、パーパルディア皇国はその文明国で産出される資源欲しさに難癖を付けて、懲罰と称した攻撃を行った。それに激怒した文明国の王が報復として、皇国本国に刺客を送り込み皇国の力の象徴たる竜騎士の暗殺を行ったのだ。
残酷なる運命の巡り合わせにより、父と姉を亡くしたヴァルハルは子供ながら病弱な母や幼い弟と妹を養う事を強いられた。
初めは、父の軍人年金を受け取ろうかと思ったが軍からは、「不意を突かれて、無様に死ぬような者は皇国には居らん!」と突っぱねられた。
その時、ヴァルハルの心に灯った怨嗟の炎はそのまま彼の原動力となった。
必死に、勉学に励んだ。多くの知識を付けて政治を動かす立場に立つため。
必死に、働いた。残された家族を養うため。
苦しく挫折しそうな事もあった。その度に父から貰った鱗と、姉の唯一の形見である結婚指輪を握り締め乗り越えてきた。
そうして、遂に第三外務局に入る事が出来た。そして、ヴァルハルは長年温め続けた計画を実行する為に動き始めた。
「この戦争が終わったら…先ずは監察軍の装備をロウリアに密輸して…」
そう、彼の計画は"文明圏外国を文明国、そして列強相当まで育てる"、というものだった。
余りにも荒唐無稽な、余りにも幸運に頼った計画である。
この計画の為には密輸がバレず、技術開発を皇国に悟られず、尚且つそれが長期間続かなければならない。
パーパルディア皇国の横暴は、第三文明圏に列強が存在しない事による高慢さから来るものだ。故に、皇国を脅かす国家が存在すればパーパルディア皇国の横暴を抑える事が出来るかもしれない。そう考えたのだ。
パーパルディア皇国にはこんな諺がある『飛竜、風竜を知る』
これは、自らの力を誇る者でも更なる強者の前では萎縮してしまう。と言う意味だ。
つまり、ヴァルハルはパーパルディア皇国という飛竜を萎縮させる程の風竜を自らの手で生み出そうとしているのだ。
「ロデニウス大陸をロウリアに統一させれば不可能ではない筈だ。この大陸には、それだけの潜在能力がある。……後は、私の幸運次第か。」
ヴァルハルはロウリア王国だけではなく、クワ・トイネ公国やクイラ王国についても調べあげていた。
クワ・トイネ公国は、パーパルディア皇国の属領全ての生産量を足しても足りない程の食糧生産能力を持ち、クイラ王国に至っては第二文明圏のムーで消費される石油が豊富であるし、鉱石も豊富だ。
それに、人口が豊富なロウリアを組み合わせれば…そして時間をかければあるいは…
と、ヴァルハルが考えていた矢先であった。
──ドンッ!
その爆音に驚いたヴァルハルは、船室を飛び出し帆船の甲板へ転がり出た。
彼が見たのは、降り注ぐ海水と砕け散った木材…そして、水平線の彼方より飛来する光の玉であった。
──後に、ヴァルハルは語った。
「私の無謀なる計画は、波乱の幕開けと多大なる幸運に恵まれた。」
次回こそ、ドンパチパートです!
楽しみにしていた方、申し訳ありません!
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい