そろそろ…大型イベントを…(溢れる資金)
──中央暦1640年6月19日午後3時、サモア基地ウポル島建造ドック──
「「「「「…」」」」」
建造ドックがある建物に到着した使節団だったが、皆一様に口をつぐんで押し黙っていた。
それもその筈、自身の理解力を遥かに越える驚愕の事実を目の当たりにしてしまい、何を言っていいか分からなくなっているのだ。
「私だ。指揮官からの指示で、神聖ミリシアル帝国使節団をお連れした」
「ジョージ殿、ご苦労様です」
そんな使節団の驚愕の対象であるジョージこと、キング・ジョージ5世は警備の兵士にそう伝えて扉を開けさせた。
「さあ、此方に」
「は、はい…」
ジョージが先導するように歩き出すが、使節団の代表であるフィアームは真っ青になった顔でまるでゾンビのようにフラフラと彼女に着いて行く。
そんな中、一際顔を青くしていたのは軍務次官であるアルパナだった。
(ひ、一人の女性があんな巨大戦艦に変化するなんて…これじゃあ、戦力分析も偵察も意味が無い…)
彼の脳裏に浮かぶのは、KAN-SENの戦略的機動性の高さについてだ。
(KAN-SEN…彼女達を使えば大艦隊を1隻の小型艦に詰め込む事も、秘密裏に上陸させて大河や湖を利用して内陸部を攻撃する事も出来る…!そんな手段を使われたら…どうやって防げばいいんだ!?)
そう、KAN-SENがその気になればたった一艘の漁船が一国を滅ぼす程の艦隊に変貌したり、内陸部の川沿いに築かれた工業都市等が艦砲射撃に晒されたりする可能性がある。
勿論、普通の艦隊相手であれば海上封鎖や哨戒網の充実等で動きを封じたり、察知する事が出来るだろう。
しかしKAN-SENは200mを超える巨艦の姿と、人間の女性の姿を自由に使い分ける事が出来るのだ。
つまり有事の際は、海上だけではなく沿岸部や市街地…その他、人が隠れる事が出来るような場所全てを警戒しなければならない。
極少数の人員による大規模な破壊工作を警戒しながら、敵通常戦力による攻撃に備える…そんな事は、流石の神聖ミリシアル帝国でも難しい。
だからと言って少しでも気を抜けば、それこそ首都ルーンポリスが瓦礫の山となるだろう。
「おや、あれは『ジェネラル・パンドール級』だったか…進水までもう少しだな」
ゾンビのような使節団を引き連れながら、ジョージがその視線を真横に向ける。
そこにあったのは、全長270mにもなる大型空母『ジェネラル・パンドール級』のネームシップ『ジェネラル・パンドール』だった。
エセックス級の後期型であるタイコンデロガ級を、ロデニウス連邦海軍向けに小改良したものだ。
「あれは…普通の空母なのですか?」
「あれは、ロデニウス連邦海軍向けの空母だ。我々のようなKAN-SENではない」
ベルーノの問いかけに、ジョージはさも当然のように答える。
KAN-SENではない…しかし、ドックに横たわる巨体はそれでも驚異的だ。
どう少なく見積もっても、神聖ミリシアル帝国の『ロデオス級魔導航空母艦』よりも大きく、搭載機数も多いように思える。
「ユニオンの艦は内装が気に入らんが…まあ、量産には向いている。中々に良い選択だな」
何やら独りでに納得した様子のジョージが不意に足を止める。
「ここだ。ここに、指揮官が居る」
ジョージが示すのは、『KAN-SEN建造ドック』と書かれたプレートが掛かった分厚い気密扉だった。
「は、入っても…良いのですか?」
「指揮官が良いと言ったからには、良いのだろう」
如何にも機密が詰まっていそうな扉の先に足を踏み入れる事への不安を覚えたのか、おろおろとしだすライドルカ。
だがジョージは、彼には構わず自らの手で扉のハンドルを回して開け放した。
「此方だ」
扉の先へ足を踏み入れ手招きするジョージに従い、扉の先…KAN-SEN建造ドックに足を踏み入れる使節団の面々。
そんな彼らが目にしたのは、ガラスの向こう側に広がる純白の空間。
そして…
「まったく…ダンケルクとかに頼めなかったのか?」
「いいじゃない。私、指揮官に髪をといてもらうの好きよ♪」
ガラスの手前に置いた椅子に座って、美女の髪を櫛でといている指揮官の姿だった。
「あら、Bonjour。指揮官、お客様よ。」
使節団の姿に気付いた美女が、にこやかに微笑みながら会釈する。
一部を縦ロールにした長い銀髪に、紫水晶のような瞳。黒と赤と金という豪華な配色の衣装を身に纏ったKAN-SEN『アルジェリー』だ。
「む、アルジェリー。それは、そんなに良いのか?」
「えぇ、上手くはないけど…癖になるわ♪」
髪をとかれる事に興味を抱いたのか、指揮官の手をまじまじと見ながら問いかけるジョージ。
その問いかけに、アルジェリーはどこか嬉しそうに答えた。
「上手くないは余計だ。…客が来たからここまで。持ち場に戻れ」
「ふふっ、分かったわ。またお願いね?」
指揮官の言葉を聞いたアルジェリーはどこか残念そうに言って立ち上がると、使節団にヒラヒラと手を振りながら颯爽と建造ドックを後にした。
「…指揮官」
「後でな」
目をキラキラさせて何かを期待するジョージだが、あっさりと指揮官の言葉によって制された。
それとなく不満なジョージであるが、流石に客の前だという事で自重したようだ。
「さて…フィアーム殿とアルパナ殿とは、この前お会いしましたね。ですが…今回、用があるのは貴方です」
立ち上がり使節団の元へ歩み寄った指揮官は、メテオスの前で立ち止まると彼に何処か面白そうな目を向ける。
「私に…いったい、なんの用が…?」
巨体から放たれる威圧感と、得体の知れない雰囲気に気圧されながらも真意を確かめるべく問いかけるメテオス。
すると、彼の目の前に指揮官の手が差し出された。
そこにあったのは、ぼんやりと輝く青い立方体…メンタルキューブだった。
「…これは?」
「メンタルキューブです。KAN-SENの肉体や艤装、艦体を構成する未知の物体…触って下さい」
僅かに手を突き出し、キューブに触れるように促す指揮官。
メテオスとしては、そんな得体の知れない物なぞ触りたくはない。
「…」
しかしその青い輝きを見ていると、何故だが無性に触りたくなってくる。
まるで、光に寄り付く羽虫のように…メテオスの手がキューブに触れた。
「こ、これは…!?」
目が潰れる程の目映い閃光。
彼の意識は、青い輝きに飲み込まれた。
──■■■年、■■島──
「これは、破棄するのですか?」
「そうだ。思った通りの働きも出来んというなら、無駄飯食らいにしかならん」
砂浜に幾人かの人影が見える。
話している二人だけが白衣のような物を羽織っており、逆光の中にあるようにその姿はよく見えない。
「では、爆破準備を…」
「要らぬ。無駄に頑丈に造ってしまったからな…爆破するにも一苦労だ」
「しかし、放置したままでは下等生物共に奪われるのでは?」
「ふんっ。下等生物如きには、我々の技術なぞ一片たりとも理解出来ぬ」
人影の内の一人はそう吐き捨てると、背を向けて歩き去って行った。
「まあ、確かに…それもそうか。おい、撤収するぞ!」
もう一つの人影がそう言うと、他の人影はよたよたとした足取りで歩き出した。
それはぼろきれのような服を纏ったヒトやエルフ、ドワーフに獣人…奴隷の身分なのだろう。皆、首輪と錘付きの足枷が着けられている。
それらの人影が砂浜の先に広がる森に消えた時…辺りが青い光に包まれた。
──同日、建造ドック──
「…ど…テオ…殿!」
誰かが叫ぶように呼び掛けている。
頬を叩き、肩を揺さぶりながら乱暴に叩き起こそうとしているようだ。
「メテオス殿!」
目を覚ましたメテオスの眼前にあったのは、額に脂汗を浮かせているベルーノの顔面だった。
起き抜けに男の顔のドアップというのは文句の一つも言いたくなるが、どうやらそれどころではないようだ。
──キィィィィィィィンッ!
「な、なんだ!?何が起きている!?」
「魔法…違う!魔法ではない!」
部屋の中を埋め尽くす青い光…その中心部ではキューブが浮遊しながら高速回転しており、ライドルカとアルパナが腰を抜かしてその光景に恐れ戦いている。
「驚いた…まさか、ドックも使わずに始まるとは…」
「な…なんですかこれは!?」
回転するキューブをニヤニヤしながら見詰める指揮官と、彼に食ってかかるフィアーム。
混沌とした中でも、メテオスは何故か冷静に事態を注視する事が出来ていた。
(まさかこれが…KAN-SENが生まれる瞬間…?)
メテオスの脳裏にそんな考えが浮かんだ瞬間だった。
──パリンッ!
ガラスが割れるような音が響き、部屋全体が目映い閃光に包まれた。
皆、顔を伏せて閃光から目を守る。
しかし、全員の耳に声が聴こえてきた。
──あぁ…屈辱だ…捨てられた挙げ句、下郎に拾われるなぞ…
半ば怒りを含んだような女性の声。
フィアームのものでも、ジョージのものでもない。
それが聴こえた後、光は収束して人の形となった。
「まさか…本当に、二人目だったとはな…」
口角を吊り上げ、笑みを浮かべる指揮官。
彼…いや、その場に居た全員は新たに現れた"ヒト"に釘付けだった。
「ふん…まさか、我がこのようなカタチで目覚める事になるとはな…」
オパールのように光の加減によって七色に輝く白銀の長い髪に、右目は金で左目は銀のオッドアイ。
大柄な指揮官に匹敵する程の長身で、近未来的なピッタリしたボディースーツの上から見慣れない工具が大量に挿してある丈の長いコートのような物を羽織っていた。
「ふん…まあ、既に廃棄された身。創造主に従属する義理も無いだろう。…特設工作艦『テュポーン』、不本意ながら貴様らに力を貸してやろう」
まるで全てを睥睨するように、彼女は胸を張って告げた。
原作キャラ魔改造の時間だぁぁぁぁ!
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい