やや時間を遡って、まずはエモール王国編です
とは言っても2〜3話で終わるとおもいますが…
あと、活動報告にお知らせを上げております
二次創作をされている方以外には関係のないお知らせですが…
140.竜の王国
──中央暦1640年10月6日午後9時、エモール王国竜都ドラグスマキラ『ウィルマンズ城』──
中央世界と呼ばれるミリシエント大陸北方の内陸部に、その国はあった。
"亜人"の中でも特に珍しい"竜人族"単一民族国家…それがこの『エモール王国』である。
大して広くもない領土な上、その領土も大半は居住に適さない森林と渓谷ばかりであるため、よくある中小国であるように思えるかもしれない。
しかし、実際の所は国民全員が人間やそこらの亜人よりも身体能力や魔力に優れた竜人である上、竜人達は竜とコミュニケーションを取り使役する事が出来る。
そのため竜人族と、この世界における最強クラスの航空戦力である風竜からなる軍勢は在りし日のパーパルディア皇国をも上回るとされ、列強三位に君臨している。
「では、皆の衆。これより『空間の占い』を執り行う」
そんなエモール王国の首都、竜都ドラグスマキラの北部に座すウィルマンズ城の北にある別棟で国家元首である竜王ワグドラーンが厳かに告げた。
『空間の占い』とは、莫大な魔力を用いて未来を垣間見る…占いとは名ばかりの"予言"である。
エモール王国では年に一度、この『空間の占い』を行う事で国家運営の方針を決定している。
「では…──空間の神々に許しを請い、これより未来を視る…」
国の重役が見守る中、集められた30人もの占い師を纏める大魔導師アレースルが緊張感に満ちた声色で宣言した。
「むぅ……むうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
座禅を組んだアレースルが全意識を未来へと集中し、その為に必要な魔力を占い師達がアレースルへ送り込む。
「むっ…!ぬぅぅぅぅぅぅ!」
歯を食い縛り、全身に青筋を立てるアレースル。
すると彼の脳内に曖昧なイメージが浮かび上がり、それはやがて徐々に鮮明になって行った。
──中央暦????年──
「こ…ここは…?」
アレースルが視る未来。
そこは年代は愚か、場所すらも分からなかった。
──ズドォォォンッ!ズドォォォンッ!
「うえぇぇぇん!お母さぁぁぁん!」
「助けてくれ!死にたくない!死にたく…ぐべぁっ!」
「い、命だけは助けてください!奴隷にでも何でもなりま…ぎゃぁぁぁ!痛い痛い痛い痛い痛い!」
絶え間なく響き渡る轟音と悲鳴…周りを見渡してみても火災と、元が何だったのか分からない程に破壊された瓦礫ばかり。
正にこの世の地獄と形容するに相応しい光景だ。
(これは…戦争か?助けを求める者は…同胞ではない。では、何処と何処の戦争だ?)
地獄の中へ足を踏み入れるアレースル。
逃げ惑う人々は彼の存在に気付く事も無く、一心不乱に走っている。
彼はあくまでも"視る"だけである。ただの傍観者であるため、干渉する事なぞ出来ない。
「まさか…まさか、本当に復活するなんて!」
「何処に逃げればいいんだぁぁぁぁ!」
「エミリー!エミリー!何処に行ったの!?」
人々の流れに逆らうように歩き続ける。
こんな所業を行うのは何者なのか?それを突き止めねばなるまい、と考えたからである。
(何故…神々は私にこれをお見せになられたのだ?この戦争は我々にも関係するものだと…?)
エモール王国は基本的に他国に対しては不可侵を貫いている。流石に宣戦布告をされれば武力を行使する事もあるが、列強三位にケンカを売るような国なぞあるはずもない。
それ故、他国同士の戦争が視えた事に対して若干腑に落ちないでいた。
「ギャハハハハハ!」
「ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ!」
「フハハハハハハ!」
思考しながら歩いていると、耳障りな品の無い笑い声が聴こえてきた。
ふと気付くと逃げ惑う人々は既に居らず、辺りには瓦礫とモノ言わぬ骸ばかりが転がるようになっていた。
「なっ…ま、まさか…」
笑い声の方に目を向けたアレースルは、その眼を目玉が零れ落ちんばかりに見開き人生最大の驚愕の表情を見せた。
「ギャハハハハハ!」
顔や身なりは霞がかったかのようにボヤけているが、それでも分かる特徴があった。
背中に生えたギラギラと光輝く翼と、鱗の付いた革で出来たバッグらしきもの…
「光翼人…!」
顔を青褪めさせながら絞り出すように言葉を発した。
世界を手中に収めあらゆる種族を奴隷とし、エモール王国の原点となった『インフィドラグーン』に対し「竜人族の革は工芸品や軍用品のいい材料になるから民を寄越せ」などと傲慢にも程がある要求をした挙げ句、『コア魔法』を使用してインフィドラグーンを滅亡させたに留まらず神々にすら弓を引いた古の魔法帝国こと『ラヴァーナル帝国』に住まう者…その光翼人が人々を追い立て、戯れの如く屠っていた。
「ギャハハハハハ!ギャハハハハハ!」
「ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ!」
余りにも醜悪な笑い声は、おぞましい光翼人の性根を表したものであろう。なんと言っているのかは分からないが、身の毛もよだつ聞くに耐えない邪悪な言葉を交わしているのであろう事は分かる。
「まさか…魔帝の復活!?馬鹿な!奴らの復活は直ぐそこまで近付いていると言うのか!?」
この事実から目を逸し、必死に否定したい気分だ。しかし、『空間の占い』の的中率は98%を誇っている。
今回ばかりは、この高い的中率を呪いたくなった。
「なんという…事だ…!」
もしこれが現実のものとなるのなら、それは最早エモール王国だけの問題ではない。
列強国も文明国も非文明国も関係無い。この世界に生きる者全ての危機である。
「ギャハハハハハ!ギャハハハハハ!」
「ヒャッヒャッヒャッ!ヒャッヒャッ?」
尚も鼓膜を引っ掻くように響き渡る笑い声。しかし、それは不意に終わりを告げた。
──サァァァァァァァァ…
悲鳴と轟音と笑い声が支配していた地獄に、穏やかなそよ風が吹いた。
その風は炎を消し、瓦礫を元の建物に戻し、骸に命を吹き込んで行く。
「ギャハハハハハ?ギャハハハハハ!?」
風と共に再生する街並みや人々を目にした光翼人達は、何が起こったのか理解出来ずに辺りをキョロキョロと見回しながら慌てふためいている。
──サァァァァァァァァ…
「…蝶?」
不思議と落ち着く風を浴びていたアレースルは、そよ風の中で舞うように羽ばたく蝶の姿を目にした。
光翼人のギラギラとした翼とは対象的に、ぼんやりと落ち着きのある光を持った蒼い蝶の群れ…それは光翼人に群がり始めた。
「ギャァッ!ギャァッ!」
「ウガァ!ウガァァァァァ!」
「ギィィィィィィィ!」
蒼い蝶を振り払おうと出鱈目に腕を振り回す光翼人達。
しかし、蒼い蝶はまるで実態が無いかのように彼らの腕を通り抜け、その醜悪な姿を覆い隠して行く。
「な…何が…」
再び驚愕に目を見開き、事の行く末を見守るアレースル。
すると再び風が吹き、蝶達が飛び去り…その後には何も残っていなかった。
「これは…一体どういう…!」
あまりの急展開ぶりに困惑し、辺りを見回す。
綺麗に舗装された道路に、天を突くかのような摩天楼…街並みを行き交う人々は種族関係なく、親しげに談笑していた。
そんな中、一人の人物と目が合った。
「…っ!」
アレースルは『空間の占い』で未来を視ているだけであり、肉体が未来にある訳ではない。だからこそ、未来の人物はアレースルの存在を認知する事は出来ない筈なのだ。
しかし、その人物はアレースルを認識しているようだった。
「──────」
月光のような冷たい灰銀の長髪に、眠たげな蒼い瞳を持った女性。ヒラヒラとした青と藍を基調とした特徴的な衣服はアレースルにとっては見馴れない物だが、それがどこか神秘的な雰囲気を漂わせている。
そして何よりも目を引くのが、彼女の頭に生えている尖った三角形の耳と、腰の辺りに生えているフワフワとした毛並みを持つ九本の尻尾だった。
「美しい…」
アレースルの口から、思わずそんな言葉が零れ落ちた。
他種族とは美的感覚も違い、排他的な傾向があるとされる竜人族。アレースルも例外ではないが、そんな彼でさえも彼女の美しさに目を奪われてしまった。
「──────」
「な、何と?」
口が動いているのを見るに彼女はアレースルに何か言葉を投げ掛けているようだが、その言葉は全く聴き取れない。
「──────」
「申し訳ない。貴殿の言葉は、私には届かないようだ」
暫く口をパクパクさせる彼女に頭を下げ、そう述べるアレースル。
すると彼女は、やや悲しげな顔をすると何かを思い出したようにアレースルの背後の上方を指差した。
「…?あれは…?」
ほっそりした白い指が差す方に目を向ける。
そこに見えたのは、天を突くかのような高層ビル…その屋上から下ろされた垂れ幕だ。
「船の錨と…3つの星?」
──サァァァァァァァァ…
「ぬっ…?」
再び風が吹くと、景色が急激にボヤけ始めた。
「なっ…ここまでか!」
街並みも人々も、白いモヤの中に消えて行く。
そんな中、ただ一人…"彼女"はアレースルをジッと見据えていた。
「貴殿が…貴殿が魔帝を倒す為の鍵なのか!?名前だけでも!」
消えゆく世界の中、必死に手を伸ばすアレースル。
それに対し、彼女は静かに告げた。
「────アズール──レーン──信濃」
──中央暦1640年10月6日午後10時、エモール王国竜都ドラグスマキラ『ウィルマンズ城』──
「……!…レース…!アレー……!アレースル!」
「はっ!」
「アレースル!無事か!?」
目を覚ましたアレースルの前にあったのは、竜王ワグドラーンの顔だった。
その周りでは、国の重役や占い師達がホッと胸を撫でおろしていた。
「私は…」
「アレースル…お主は今までの意識を失っておったのだ。1時間もの間…呼び掛けても目を開けず…」
ワグドラーンの言う通りアレースルは『空間の占い』の最中、急に意識を失い今までの目を覚まさなかったのだ。
王国随一の占い師にして大魔導師である彼に何かあっては一大事と、ワグドラーン達は回復魔法を掛けたり、祈祷をしたりとてんやわんやの大騒ぎであった。
「申し訳ありません…ですが、"視え"ました」
「何が…視えた?」
ワグドラーンの問いかけにアレースルは重々しく口を開いた。
「…魔帝なり」
「なっ…!」
驚愕するワグドラーン達。
だが、アレースルは更に言葉を続けた。
「しかし、恐れる事なかれ。魔帝を打ち滅ぼし、人々に安寧を与える者あり」
更に驚愕する一同。
それを代表するように、ワグドラーンが問いかけた。
「安寧を与える者…とは?」
「アズールレーン…錨と三つ星の旗を掲げる者…」
それを聞いた重役や占い師達が動き出そうとする。
アズールレーンなる者の事を調べ、接触するためだ。
しかし、アレースルはそれを手で制した。
「慌てる事はない。かの者は…今、こちらに向かっている」
16日からカレー生活だ…
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい