今回はゲストに登場してもらってます
まあ、ちょっとした息抜きみたいなもんです
──中央暦1640年10月11日午前8時、ミルキー王国国境付近『パムナ砂漠』──
エモール王国に通じる道の一つであるミルキー王国領土の砂漠地帯を一隻の帆船が航行していた。
片側20個もの車輪を持ち、帆に風を受けて陸上を進むこの地域独特の船『砂船』である。
そんなゆっくりと航行する砂船の船内、多くの乗客がとある一角にすし詰め状態となっていた。
《ひょっひょっひょっ…来たな、『シルバークロウ』!》
《し、シルバークロウ!?来ちゃダメ!》
船室に集まった者達の視線の先、そこは帆を修繕する為に積み込まれていた白い布が掛けられた壁があり、それをスクリーンにして映像が流されていた。
《サイレン帝国…!何故、無関係の人を巻き込むの!アナタ達の目的は私でしょう!?》
《ひょっひょっひょっ…お前は優しいからなぁ…こうやって人質を取れば無視は出来ないだろう?》
映像に映し出されていたのは三人。黒のワイシャツと白いネクタイ、金のモールが装飾されたブレザーに加えてスリット入りスカートから覗く太ももが眩しい長い銀髪の女性…鳥をモチーフにしているらしい仮面を被っていても分かる程の美少女と、背中に大砲を背負った二足歩行する亀のような怪人。そして、その怪人の背後には太い鎖で縛り付けられた銀髪の美女の姿があった。
《なんて卑劣な…!》
《ふんっ…サイレン大皇帝様を裏切り、兄弟姉妹も同然の我が仲間達を殺してきたお前の方が卑劣ではないか!》
《違う!私は…世界征服の為に戦うなんて御免だわ!私は、皆の笑顔と自由の為に戦うって決めたの!》
流れている映像…それは、今ロデニウス連邦を始めとした第四文明圏で大流行しているアニメーション作品『マスクドネイビー・シルバークロウ』だった。
世界征服を目論む海底人の帝国『サイレン帝国』で生み出された地上侵攻用生物兵器『コードネーム・アビスレイブン』…偵察の為に人間が通う学園に潜入したが、そこで交流した人々の優しさに触れた結果正義の心に目覚め、サイレン帝国を裏切って人々を守る為に戦うというストーリーだ。
ド派手なアクションと可愛らしくも美しいキャラクター、生物兵器である自分の存在に苦悩する主人公の心情や、彼女の正体に気付きながらも陰から支える学園の先輩…勧善懲悪なストーリーの中に様々な考察要素、CGや手書きを駆使した超絶作画等、子供から大人まで楽しめる作品となっている。
《だが、人質を取られては何も出来まい!》
《フッ…それはどうかしら?》
人質を盾に勝ち誇った様子の怪人。
しかし、シルバークロウは不敵な笑みを浮かべると腰のベルトのバックルに手を翳した。
《\ギュイィィィィンッ!チェンジ…デストロイヤー!/》
すると特徴的な電子音声が流れ、旋風と共にシルバークロウの姿が消えた。
《な、何が起きた!?》
《こっちよ、ノロマな亀さん♪》
シルバークロウが視界から消えた事に驚き、キョロキョロと辺りを見回す怪人。
そんな怪人に対しシルバークロウは小馬鹿にするような口調で、怪人の真後ろに立っていた。
その姿はセーラー服を模したような服装となっている。
《大丈夫ですか、せんぱ…じゃなくて、お嬢さん?》
《え…えぇ、大丈夫…》
シルバークロウは怪人が知覚出来ない程のスピードで美女に近付き、拘束を解いてその銀髪美女をお姫様抱っこしていた。
《お、おのれ〜!俺様を馬鹿にしやがってぇ!》
ノロマと言われた怪人が背中の大砲をシルバークロウに向ける。
《おっと…》
《\チェンジ…バトルシップ!/》
大砲が発射される直前、シルバークロウは銀髪美女をお姫様抱っこしたまま後ろを向き、片手で器用にバックルに手を翳した。
──ズドォォォンッ!
《ひゃっひゃっひゃっ!俺様のキャノンはイテェだろぉ〜?まあ、木っ端微塵で痛みなんて分からねぇだろうがな!》
爆炎を前にして高笑いする怪人…しかし、その顔は直ぐに驚愕に染まった。
《ふぅ〜…大丈夫ですか?怪我、してませんか?》
《えぇ、私は大丈夫。貴女は平気なの?》
《勿論!戦艦が簡単に沈む訳ありません!》
《な…な…何ぃぃぃぃぃ!?》
爆炎が収まった後に現れたらのは、自身と銀髪美女を掲げたマントで防御したシルバークロウだった。
《まったく…乙女の柔肌に傷を付けようだなんて…》
《\チェンジ…クルーザー!/》
驚愕する怪人に笑顔を向けながらバックルに手を翳すシルバークロウ。
その姿は、優雅な赤いドレスとなっていた。
《少し…オシオキが必要なようね?》
《や…止めろ!来るなぁぁぁぁぁ!》
目元に影を落とし、可憐な…それでいて背後に鬼が見えるような恐ろしい笑顔を浮かべながら、僅かに腰を落とし…
「皆様!まもなくエモール王国に到着致します!」
目的地に到着した事を告げる砂船の船員の大声が響き渡った。
「なっ!いいとこだったのに!」
「もう少し…もう少ししたら降りる準備をするので!」
「シルバークロウの必殺技はスゴイんですよ!?これは見なければ!」
いよいよクライマックスという所で水を差された乗客達が口々に不満を口にする。
「ですが、エモール王国から戻る方々を乗せる為にも、皆様に降りて頂かなければ円滑な運行が…」
不満たらたらな乗客に困ったような表情を浮かべる船員。
すると、乗客達の合間を縫って小さな人影が乗客達と船員の間に割り込んだ。
「各々方!船に乗ったからには『お客様は神様』という考えは通用しません!船では船員の方々と船長殿に敬意を払い、指示に従う。それが常識ですよ!」
サイドテールに結わえた桃色の髪に、エメラルドグリーンの瞳。そして何よりも目を引くのは、額から生えた三叉に分かれた二本の角と後腰から生えた鱗に覆われた太い尻尾である。
「むぅ…確かに。少し大人げなかった…」
「それもそうだ。申し訳ない。」
「龍驤殿に言われてはな…」
乗客を叱咤したのはアズールレーン所属のKAN-SEN、重桜の軽空母『龍驤』だった。
「おぉ…ありがとうございます、龍驤殿」
「いえいえ。元はと言えば私が持ち込んだプロジェクターのせいなので…」
ロデニウス連邦はエモール王国と国交を結ぶ為に使節団を派遣したのだが、使節団の護衛として同行したのが龍驤だった。
その際彼女は、エモール王国に到着するまでの間の暇つぶしとしてアニメや特撮を保存したタブレットと、それに装着する小型プロジェクターを持参していた。
そして砂船に乗っている時にふと大画面で観たいと思い立ち、修繕用の布を借りてミニシアターとしていたところ他の乗客が物珍しさに集まり、最終的には乗客の大部分がアニメに釘付けとなってしまった。
「龍驤殿!エモール王国と国交を結んだら次は貴国に向かいますよ!」
「我が国も!我が国も国交を結びに参ります!」
「またお会いしましょう!」
荷物を纏めた乗客達が龍驤にそんな言葉をかけながら下船してゆく。
そんな中、一人の男性が龍驤に駆け寄ってきた。
「龍驤殿、我々も降りましょう。エモール王国の外交窓口は非常に混むようなので、早く行かなければ…」
「むっ、そうでしたね。急ぎましょう!」
男性…ロデニウス連邦外務省外交官ヤゴウの急かす言葉に応え、タブレットと小型プロジェクターを回収する龍驤。
「では、お世話になりました。他の船員の方々と船長殿にもよろしくお伝え下さい」
「ご丁寧にありがとうございます。帰りのご利用もお待ちしております」
深々と頭を下げ感謝を示す龍驤に、船員も心からの感謝を口にした。
好きなライダーはクウガとG3-Xです
今後、お色気シーンは…
-
今より増やせ
-
このぐらいでいい
-
もう少し減らしていい
-
もっと減らして
-
無くていい