イラストリアスにタシュケントにボルチモア、アルバコアとダイドーとローン…
これじゃμ兵装じゃなくてπ兵装ですよ
──中央暦1640年11月23日午後3時、カルアミーク王国──
カルアミーク王国三大諸侯の一角、ウィスーク公爵家の一人娘エネシーは、自らの行いを酷く後悔していた。
近々行われる『建国記念祭』、公爵家の娘としてドレスを着て参加する事は決定事項であったが一つ問題があった。
ドレスを装飾する為に必要な『べノンの花』、それが無いのである。
元々今年は不作気味だった上、隣国であるスーワイ共和国で疫病が発生したため支援として、様々な薬効成分を秘めるべノンの花が輸出されてしまったのだ。
それ故、エネシーは幼い頃に山で見たべノンの花の群生地に向い、無事に群生地を発見したのだが…
──グチュッ…グチュッ…ボリッ!バリッ!
「あ…あ…あぁ…」
べノンの花を摘んでいる最中に出会った無害な魔物『二重まぶたイノシシ』…それが醜悪な姿をした怪物に骨ごと食べられていた。
全長は3m程、脚が6本につり上がった黒目。皮膚は無く、筋肉が剥き出しになった体に、頭には角が12本。
エネシーはその姿に覚えがあった。
「何で…伝説の魔獣が…12角獣が…」
彼女が最近ハマっている物語、『英雄の伝説』に描かれている伝説の魔獣『12角獣』そのものである。
そして12角獣に関してもう一つ情報があった。
(確か12角獣って…人間に激しい敵意を持っていて、お腹が空いてなくても襲ってくるって…)
今にも失神してしまいそうになりながらも、必死に12角獣の伝承を思い出すエネシー。
しかし、そんな事を思い出しても意味は無い。
何せ12角獣は重武装の騎士団ですら撃退するのが精一杯だと伝わっているのだ。丸腰の…しかも食器以上に重い物を持った事が無い貴族の娘では、死の覚悟を決める事しか出来ないだろう。
──(最近、魔物が多いらしいから街から出てはいけないよ)
今更になって父の言いつけを思い出したが、今となっては後の祭り…着飾る事を諦め、屋敷で大人しく本でも読んでいれば良かった。
しかし、もうどうにもならない。
二重まぶたイノシシを平らげた12角獣は、エネシーに黒い瞳を向けると態と恐怖を与えるようにゆっくりと手を伸ばしてきた。
(助けて…誰か…私の"ナイト"様…!12角獣が出るって間違いなく王国の危機よ!?早く…早く来なさいよ!)
エネシーは『英雄の伝説』に記されている予言で言及されている異国の騎士に恋い焦がれていた。
予言曰く、《王国に危機が及ぶ時、天駆ける魔物を操りし騎士が現れ、王国を救うであろう》となっている。
もう20歳になったエネシーは、その騎士こそが自らの運命の相手だと思いこんでいた。
良く言えばロマンチスト、オブラートに包まなければ"頭お花畑"とでも評するのが妥当であろう。
しかし、ここで死んでしまえば運命の相手とのロマンスどころか今日のディナーすら味わえない。
「い……」
恐怖のあまり腰を抜かしていたが、生き延びようとする本能は彼女の口を大きく開けさせた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
──同日1時間ほど前、輪状山脈南西5km──
「それではなるべく居住区から離れ、尚かつ開けた平地を探せば良いのですね?」
「あぁ、ヘリが降りれる場所が必要だしな」
そびえ立つ輪状山脈の断崖絶壁が見える海上に浮かぶ一隻の船、全長300mを優に超える巨体を持つ空母の飛行甲板の一角で二人の男がそんなやり取りを交わしていた。
一人はカーキ色の士官用勤務服を着用した指揮官。そしてもう一人は、彫金が施されピカピカに磨き上げた銀色の鎧を身に纏った竜騎士…アズールレーン儀仗隊に所属するムーラだ。
「それにしても…役に立たないと思っていた技能がこんな所で役立つとは思いませんでしたよ」
「しかし、航空機よりも静かでしかも垂直離着陸まで出来るとなれば何かしらには使えるさ。もっと早く教えてくれれば良かったんだが…」
何故、儀仗隊であるムーラがここに居るのか。
それは、ムーラが調教したワイバーンが持つ特殊技能、垂直離着陸が今回必要だと判断された為だ。
と言うのも、今回接触しようとしている未知の国家には飛行機が離着陸出来るような場所が無い。そうなれば垂直離着陸出来る航空機が必要だ。
アズールレーンやロデニウス連邦では、新たに開発された回転翼機…ヘリコプターの配備が進んでおり、それらはもう運用開始されているが何せ煩い。
轟音を放ちながら空を飛ぶ機械なぞ、警戒されてしまうだろう。
しかし、ワイバーンであれば比較的静かに飛行する事が出来る。
その為、垂直離着陸が出来るムーラと相棒のワイバーンが今回の使節団に組み込まれたのだ。
「では、そろそろ時間ですね。行って参ります」
「気を付けろよ」
妻と子供の写真を蓋に嵌め込んだ懐中時計で時間を確認すると、指揮官に敬礼して出発する旨を伝えるムーラ。
それに対して指揮官も敬礼で応えた。
「よーし、行くぞ!通信感度良好、風速は微風…ムーラ特務中尉、発艦します!」
兜に仕込んだ無線・魔信兼用通信機の調子を確認すると、自らが纏う鎧と同じ意匠を施した鎧を着用した相棒のワイバーンに跨がる。
《こちらエンタープライズ。ムーラ特務中尉、道中気を付けてくれ》
「はい、エンタープライズ殿!」
巨大空母を操るエンタープライズからの激励を受け、ムーラは手綱を鳴らして相棒を羽ばたかせる。
するとワイバーンは旋風を巻き起こしながらフワッ…と浮かび上がった。
「よし…今日もいい調子だな」
そのまま高度を上げ、水平飛行に移ると未知の空を滑るように飛んでゆく。
「おぉ…スゴい地形だな…まるで天然の要塞だ」
ムーラの目に映るのはリング状に連なる断崖絶壁と、その内側に浮かぶ島。
この地形なら、船を着けて上陸したりは出来ないだろう。
「ん〜…お、あの山の辺りが良さそうだ。相棒、あの辺りに…」
山の裾野に丁度いい開けた平地を見付け着陸しようとするムーラ。
そんな時だった。
──「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「っ!?」
彼の耳に、絹を裂くような女の悲鳴が届いた。
どう考えても只事ではない。
「コントロール、こちらムーラ!女性の悲鳴が聴こえた!救助に向かおうと思うがよろしいか!?」
《止めても行くんだろ?好きにしろ》
「指揮官殿、ありがとうございます!」
イヤフォンから聴こえる指揮官の言葉に礼を言うと、手綱を引いてワイバーンを木々スレスレの低空で飛行させるムーラ。
すると、それが見えた。
「あれか…」
花畑のような場所に見える2つの影。
一つは腰を抜かして座り込む若い女。もう一つは、見たこともない化け物だ。
どう見ても女が化け物に襲われている現場である。
「マズイな…これじゃ女性を巻き込んでしまう」
相棒に命じて導力火炎弾か火炎放射を化け物にお見舞いしてやろうと考えたが、化け物と女の距離が近過ぎる。
しかし、何もワイバーンの攻撃手段は炎だけではない。
「よしっ…行くぞ、相棒!」
──ギャオォォォォォオンッ!
自らの主人の意図が理解出来たのか、猛々しい雄叫びを上げながら化け物に向って急降下しながら近付くワイバーン。
その雄叫びに気付いたのか、化け物と女が此方に目を向ける。
「はっ!」
ワイバーンはムーラの掛け声に合わせ、その鋭い爪を備えた足を化け物に向けた。
──ゴガァァァァ!
鋭い爪が突き刺さり、化け物が苦悶の悲鳴を上げる。
しかし、離しはしない。そのまま化け物を足で掴んで上空へと舞い上がる。
──ガァァァァァァッ!
おそらく生まれて初めて空を飛んだであろう化け物は、必死に体を捩って逃れようとするがワイバーンの脚力には敵わない。
「よし、離せ!」
──ギャオォォォォンッ!
急上昇中、ムーラが命じるとワイバーンはそれに従い化け物を上方へ放り投げた。
「撃て!」
──ギャオッ!
宙を舞う化け物を指差し、攻撃命令を下す。
首を伸し、顎に炎を溜め込むワイバーン。
そして、導力火炎弾を放つ。
──ゴガァァァァァァァァッ!!
火炎弾が化け物に直撃。その醜悪な姿は炎に飲まれ、重力に従い地に落ちて行く。
「汚い花火だ…」
消し炭となった化け物を一瞥すると、襲われていた女が居るであろう場所に向って手綱を取る。
「ふぅ…無事みたいだな」
女は花畑の中で座り込んだままだが、見る限り怪我一つ無さそうだ。
目を見開き、此方を見上げている。
「大丈夫ですか、お怪我は?」
彼女の近くにワイバーンを着陸させ、怖がらせないようにゆっくり歩み寄るムーラ。
それに対し女…エネシーは頬を朱に染めながら答えた。
「は、はい…大丈夫です…あの…騎士様、お名前は…?」
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暫くはカレー食べなくていいな…
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい