異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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少し短めですが
あと、超兵器出ます


14.バルムンク

──中央暦1638年4月28日午前9時頃、ロウリア軍東方征伐軍・ギム司令部──

 

ギムを占領したロウリア軍の司令部にて、東方征伐軍総司令官パンドール将軍が部下から報告を聞いていた。

 

「なるほど…エジェイに向かわせたワイバーン80騎だけではなく、ジューンフィルア伯爵が率いる先遣隊の消息が不明…」

 

「はい、ですのでワイバーン1騎を偵察騎として飛ばし状況確認を致したいのですが。」

 

パンドールに報告していた、副将アデムが同時に提案する。

 

「ふむ、ジューンフィルア伯爵の指揮でこのような事があるとは予想外だが…ここは敵地、何があってもおかしくはない。」

 

「では…」

 

「うむ、偵察騎を出しなさい。」

 

「承知しました。」

 

パンドールより、許可を得たアデムは偵察に出す竜騎士を選ぶ為に、竜舎へ向かった。

 

 

──同日同時刻、エジェイより西方24km地点──

 

黄色と黒の縞模様でペイントされたスコープドッグが、2機がかりで巨大かつ頑丈そうな銀色のケースを持って線路の脇を歩いている。

元々、ギム再開発のため資材運搬用の線路を敷設していたのだが、対ロウリア戦の影響により工事が中断していたのだ。

 

「ほぇ~…本当に大きいですね~。何時もはアネキの船体に乗ってるから実感が湧きにくいですけど。」

 

「そうね。ロイヤルやユニオン、重桜では40cm砲を搭載した戦艦が居るけど…地上では、この子より大きな砲はそうそう居ないわ。」

 

U-556とビスマルクがスコープドッグを先導するように歩く線路脇、U-556が見上げる線路上にそれはあった。

全長31.32m、重量286t、搭載されるは口径38cm、銃身長およそ18m…

ビスマルク級戦艦の主砲を流用し、竜殺しの英雄の名を持つ巨大陸上火砲『38cm ジークフリート K(E)列車砲』である。

 

「ここにお願い。それと、操作要員以外は退避するように伝えてくれるかしら?」

 

ジークフリートの砲尾付近にケースを置いたスコープドッグは、ビスマルクの言葉に敬礼するとローラーダッシュを使ってもと来た道を戻っていった。

それを見送ったビスマルクは、ケースに埋め込まれているコンソールを操作し開封する。白い冷気が、もくもくと地を這うように溢れ出し、徐々に納められている物の姿を露にした。

 

「これが…アネキの初代艤装から回収した…」

 

「えぇ、禁忌の力…セイレーンより与えられた未知の技術。そうね…ジークフリートから放たれるのであれば、こう呼ぶべきかしら。」

 

漆黒の38cm砲弾…だが、まるで血管のような赤い光の線が縦横に走っている。

 

「……『バルムンク』」

 

 

──中央暦1638年4月28日午前11時頃、ギム東方3km──

 

「腹減ったな…」

 

そんなぼやきと共に、竜騎士ムーラは愛騎であるワイバーンに騎乗し偵察に向かっていた。

早めの昼食をとり、正午からの哨戒任務に備えようと思った矢先にアデム直々にエジェイへの偵察を命令されたのだ。

そのため、昼食を食いそびれてしまったのだ。

 

「全く…誰かが言ってたぞ?腹が減っては戦は……」

 

──ズゥゥゥゥゥゥゥン……

 

東方から遠雷のような音が聴こえた。

 

「なんだ?」

 

音が聴こえた方向に目を向けても、雲一つ無い青空。雷なんて起きそうにもない天気だ。

何だったのだろう?ムーラが首を傾げた瞬間……

 

──シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!

 

空気を切り裂く音と共に、何かが頭上を通り過ぎて行った。

バッ、と振り向く。一瞬だけ、何かが見えた気がする。

しかし、それはギムの上空で"黒い太陽"となった。

 

「う…?おぉ…?」

 

オレンジ色の陽炎を纏った黒い太陽は、ムーラをワイバーンごと引き寄せようと不可視の力を行使した。

 

「う…う…おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

ムーラは引き寄せられまいとワイバーンに拍車をかける。

 

「頑張れ、相棒!あれは…ヤバい!」

 

必死にワイバーンを操るムーラ、だがギムは更なる地獄となっていた。

 

 

──同日同時刻、ギム──

 

ギムは未曾有の事態に陥っていた。

遠雷の後に聴こえてきた風切り音、そして上空に現れた、黒い太陽とした言い様の無い物体…それはまるで渦潮のようにあらゆる物を"吸い込み始めた"。

初めは、軽いぼろきれ。次に空の桶や外していた馬具。そして遂には…人間も馬もワイバーンも、挙げ句の果てには建物も土台ごと吸い込み始めた。

 

「アデム君!これはっ…一体…!?」

 

「わっ…分かりません!もしやっ…これは…っ!」

 

司令部の柱に掴まって、窓から吸い出されまいと踏ん張っていたパンドールとアデム。

アデムが知る物に、このような力を持つ兵器も魔法も無い。だからこそ、最後に残った可能性を思い浮かべた。

 

「まっ……まさか…魔法帝……」

 

ふわり、と浮遊感を覚えた瞬間、パンドールとアデムは瓦礫の一部と化した。

 

 

──実験報告《市街地に対する特殊弾頭使用について》製作者・ビスマルク──

 

今作戦において使用された特殊弾頭、コードネーム『バルムンク』はエジェイより西方24kmから、38cm砲弾に搭載しジークフリート列車砲から発射。

時限信管によりギム上空、500mにて炸裂の後に高重力場を空中に発生させギム中央部より範囲1kmを上空に巻き上げ完全に破壊、保護されたロウリア軍竜騎士の証言では3km先でワイバーンの全力飛行であっても500m程引き戻された模様。

出力5%状態であっても、上記の破壊力を発揮したため大量破壊兵器に分類すべきと判断する。

 

《セイレーン技術解析の為、研究は続行

なれど、生産は現状では行わない》

サモア指揮官クリストファー・フレッツァ准将より




黒鉄の楽章のEXビスマルクは強敵でしたね
……エセックス(手加減)は殿堂入りです

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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