異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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私は、イベント報酬の強化ユニットでチェシャーとマインツの強化レベル30を達成しました
あとはオーディンとドレイクですねぇ…


146.野望の炎

──中央暦1640年11月23日午後11時、霊峰ルードより東側約50km──

 

カルアミーク王国にて信仰の対象となっている山、『霊峰ルード』

その円錐形の山の周囲にはいくつかの遺跡が点在している。

そんな遺跡の一つ…新しく作られたであろう集落に囲まれた遺跡の一角で、一人の男が高笑いしていた。

 

「フハハハハハハ!あのラーガが…王国最強の魔法剣士ラーガをこうも容易く屠るとは!良いぞ…実に良い!この兵器があれば、この世界…いや、"外の世界"を我が手に収める事も容易いわ!」

 

その男とはカルアミーク王国三大諸侯の一人、マウリ・ハンマン公爵であった。

彼の視線の先にあるのは、石垣で囲われた円形の平地…闘技場のような空間に横たわる黒焦げの死体と、左右合わせて8つの鉄輪を持つ鉄の箱だった。

 

「200人の騎士にも勝ると謳われたラーガも『魔装炎戦車』の前では、まるで岩に打ち付けた枝のようですなぁ…流石は魔帝の兵器。この力に敵う者なぞ居りますまい」

 

心底楽しそうに笑うマウリ・ハンマンの側に控えていた魔導師が、ご機嫌とりのように彼の言葉に同調する。

 

「フッフッフッ…大魔導師オルドよ。貴様には感謝しているぞ。この世界を征した暁には褒美をくれてやろう。何が欲しい?」

 

「では、研究に必要な資金と人手を所望します。魔帝の遺物はまだ9割以上が未解析の状態にありますので…」

 

「左様か…貴様は相変わらずだな。良かろう。金も奴隷も好きなだけくれてやろうではないか!」

 

「ありがたき幸せにございます」

 

大魔導師オルド…彼は異端の魔導師である。

歴史に名を残す程の才能を持ちながらも、王宮魔導師の誘いを蹴ってまで遺跡の解析に没頭する変人であった。

 

「しかし、よもやこの山脈の内側が魔帝の要塞であったとはな…」

 

ふと、マウリ・ハンマンが呟く。

実は、輪状山脈とその内海に浮かぶ島…それらは在りし日の魔帝が神々を攻撃する為に建造した要塞であったのだ。

島に様々な兵器と、景気付に嬲り殺しにするための奴隷を集めた光翼人達であったが、そこへ神々が星を落として先手を打った。

その結果、集まっていた光翼人は全滅したのだが狭い穴蔵に押し込まれていた奴隷達だけは生き残り、その生き残りの奴隷達は永い時を経て国を作った。

それこそが、カルアミーク王国を始めとする輪状山脈内の国々である。

遺跡を解析したオルドは独力でそれを解明し、世間に公表したのだが眉唾物として一笑に付されてしまった。

しかし、そんなオルドの言葉を信じたマウリ・ハンマンがパトロンとなって彼の研究を後押しし、その見返りとして魔帝の兵器を開発させていた。

 

「完全に再現されている訳ではありませんが…騎兵や歩兵では魔装炎戦車を止める事は不可能でしょう。更に、同じく遺跡を解析する事により得た魔物を操る術…魔物は勿論、空の王者である火喰い鳥すら使役する我々は正に無敵でございます」

 

得意気に胸を張り、更にマウリ・ハンマンを煽てるオルド。

だが、実を言うとオルドが開発した魔装炎戦車は戦闘用ではない。嬲り殺しにした奴隷の死体や、ゴミを焼却処分する為の作業用機械…それをオルドは最新鋭兵器だと勘違いしているのだ。しかも、この魔装炎戦車は弓矢やバリスタ位なら防げる装甲だが、魔導砲を防ぐ事は不可能である。

更に言えば、確かに輪状山脈内であれば火喰い鳥は最強の航空戦力だろう。

しかし、輪状山脈外に広がる世界では火喰い鳥なぞ2線級の戦力でしかなく、あらゆる面で火喰い鳥を上回るワイバーンや航空機が犇めいているのだ。

はっきり言ってこんな戦力では世界征服なぞ不可能であろう。

 

「無敵…フッフッフッ…そうか無敵か…フッフッ…フハハハハハハ!」

 

そんな事なぞ露知らず、マウリ・ハンマンは世界中の人々が自分に傅く様を想像して大笑いする。

正に井の中の蛙…明確に上の存在を知っていた在りし日のパーパルディア皇国がマシに思える程に傲慢で身勝手な考えだ。

 

「では、マウリ様。さっそく王都に攻め入りますか?」

 

「そうしたい所だが…戦車は20台しかないのであろう?」

 

「はい。如何せん製造には魔鉱石が大量に必要となりますので…」

 

「ならば、イワン侯領にあるワイザーを落とすぞ。あそこは魔鉱石の採掘場があり、たんまりと魔鉱石を溜め込んでいる。出発は夜明けだ。一気呵成に占領するぞ!」

 

「かしこまりました!」

 

その後、夜明けと共にマウリ・ハンマン率いる反乱軍はイワン侯領の地方都市ワイザーに進軍。

伝統と実力を両立した鳳凰騎士団は魔獣の波状攻撃と火喰い鳥による空襲、戦車による突撃で瓦解。

半日も経たずに占領され、ワイザーの住民は老若男女問わず悲惨な最期を迎えた。

 

 

──中央暦1640年11月25日午前6時、王都アルクール──

 

「号外!号外!」

 

早朝の町並みに新聞屋の叫びが響き渡る。

家の前を掃除していた人々は勿論、寝ていた者も寝ぼけ眼を擦りながらその叫びに耳を傾ける。

 

「なんとなんと!王国三大諸侯が一人、マウリ・ハンマン公爵が謀反を起こしたよ!どうやったかは知らないが、伝説級の魔獣をウジャウジャ引き連れてイワン公爵領のワイザーを占領して住民を皆殺しにしたらしい!」

 

それを聴いた住民達の眠気は吹っ飛び、皆一様に目を丸くする。

 

「国王ブランデ様は各騎士団に王都防衛の命令を下したぞ!マウリ・ハンマンが攻めてくるぞ!戦争だ!もっと詳しく知りたいなら今日のモルーツ新聞を買ってくれ!さぁ、大変だ大変だぁー!」

 

ざわめく住民達。

そんな中、一人の男が驚愕を顕にしたまま立ち尽くしていた。

 

「た、大変だ…!」

 

その男、ムーラは喉から絞り出すように呟いた。

日課の早朝トレーニングの為に王都を走っていたらこんな衝撃的なニュースを聞いてしまうとは。

こんな状況では国交開設交渉はおろか、下手をすれば戦闘に巻き込まれてしまうかもしれない。

そう考えたムーラは、直ぐ様ウィスーク公爵の邸宅へと戻って行った。

 

 

──同日、ウィスーク公爵家邸宅──

 

「うむ、分かった。こんな非常時なのだ。客人には私から言っておこう」

 

ウィスーク公爵家の邸宅の玄関にて完全武装の騎士数名と、邸宅の主であるウィスーク公爵が話し込んでいた。

 

「では、陛下と王都を頼むぞ」

 

「「はっ!」」

 

ウィスーク公爵の激励を受けた騎士達は敬礼をし、一糸乱れぬ足取りで王宮へ続く道を戻って行った。

 

「むぅ…」

 

腕を組み、顔を顰めるウィスーク公爵。

 

「ウィスーク公爵!」

 

そんな彼を呼びかける声があった。

 

「ん?…おぉ!ムーラ殿!」

 

「はぁ…はぁ…ウィスーク公爵。さっき、街の新聞屋が…」

 

余程急いでここまで走ってきたのだろう。

額に汗を浮べ息を荒げるムーラだが、ウィスーク公爵は彼の言わんとする事が理解出来た。

 

「謀反の話ですかな?」

 

「は、はい…」

 

「ご安心下さい。王国の騎士団は精強です。確かにマウリ・ハンマンは三大諸侯に数えられる程の勢力を持っていますが…それでもイワン公爵と我が家、王国直属の騎士団の連合軍を打ち破る事は不可能です」

 

ウィスーク公爵の話は間違いではない。

確かにマウリ・ハンマンは三大諸侯に相応しい騎士団と私兵を揃えているが、数では正規軍の方が上だ。

普通に考えればマウリ・ハンマンが勝つ可能性は無い。

 

「ふぅ…ふぅ…しかし、こんな状況では国交開設交渉は難しいでしょう。私は一旦、仲間の所へ帰還しようと思います」

 

息を整え、そう述べるムーラ。

自分達はあくまでも外交の為に訪れたのだ。観戦武官ではない。

それ故の言葉だったが、ウィスーク公爵は首を横に振った。

 

「申し訳ありませんが…先程、騎士団からの要請がありまして…反乱軍鎮圧までは王都への出入りを禁止するとの事です。スパイを警戒するための措置だそうですが…」

 

「そ、そんな!」

 

絶望的な言葉だ。

ただ一人、戦場となるかもしれない地に取り残されてしまった。

輪状山脈の外側で待っている指揮官に指示を仰ごうとも考えたが、装備している通信機は小型の物でバッテリーが切れてしまっていた。

相棒のワイバーンに装備させている鎧に内蔵している小型の風力発電タービンを使えば充電は出来るが、厳戒態勢の都市部にワイバーンを飛ばすのは要らぬ警戒をさせてしまうだろう。

 

「ご安心下さい。王都は難攻不落…マウリ・ハンマンの軍勢如きでは城門を破る事なぞ出来ません」

 

「そう…ですか…」

 

得意気に語るウィスーク公爵だが、ムーラは対象的に嫌な予感を覚えていた。




霊峰ルードってエーレンベルクみたいな衛星軌道掃射砲だったりしたら面白いなぁ…

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
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