──中央暦1640年12月4日午後5時、王都アルクール上空──
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「手こずらせおって…貴様のせいでマウリ様より賜った有翼騎士が20騎も減ってしまったではないか!だが、貴様もここまで…所詮は多勢に無勢であったな!」
沈みゆく夕陽と市街地から上がる火の手により赤く染められた王都アルクール。その上空では、多数の火喰い鳥が一頭のワイバーンを追いかけていた。
そして、追いかけられているワイバーン…竜騎士ムーラとその相棒は、明らかに消耗している様子だった。
身に着けた鎧はすっかり煤けてしまい、ムーラは滝のような汗を流し、ワイバーンは鱗の合間から鮮血を滴らせている。このままでは撃墜されるのも時間の問題だろう。
「だが…貴様に選ばせてやろう!」
「選ぶ…だと?」
そんなワイバーンを追いかける火喰い鳥達の先頭に陣取る有翼騎士団長メッシュが勝ち誇ったような口調で告げた。
「我が有翼騎士団にこんなにも損害を与えた貴様の腕…確かなものである事は否定出来ん。どうだ?我が有翼騎士の戦列に加わらんか?」
「何だと!?」
意外な事にメッシュは、ムーラを勧誘し始めた。
「20騎も撃墜したと言う事は、貴様は有翼騎士20騎分の力があると言っても良いだろう。貴様が加われば、損害を帳消しに出来る」
「お前に従えば…助けてくれるのか…?」
まるで心が揺れているかのようなムーラの言葉。それを聞いたメッシュは、ニンマリと嫌らしい笑みを浮かべた。
「私の言葉ならばマウリ様も無視は出来ん筈だ。貴様がマウリ様の軍門に下った暁には、我が右腕として重用してやろう!そして、外の世界に我々の名を轟かせようではないか!」
自らの仲間を多数撃墜されたにも関わらずムーラを迎え入れ、そして地位も約束すると豪語するメッシュ。
おそらくは、敵であっても有能ならば認める器の大きな自分、という幻想に酔っているのだろう。
だが、ムーラはフッと鼻で笑ってみせた。
「だが断る」
「何っ!?」
相棒をホバリングさせつつ反転させ、導力火炎弾を撃たせる。
──ボンッ!
「ぎゃっ…!」
火球が直撃した有翼騎士が短い悲鳴をあげて堕ちて行く。
ムーラはそれを一瞥すると、メッシュを睨み付けるながら言葉を続けた。
「この竜騎士ムーラが最も好きな事の一つは、自分の事を強いと思っている奴にNOと断ってやる事だ!」
おそらくは人生最大であろうドヤ顔を披露するムーラ。
一方、強烈な拒絶の意思を叩き付けられたメッシュはそのプライドを大いに傷付けられたようだ。顔を真っ赤にして、ムーラをビシッと指差した。
「あの無礼者を殺せ!奴を堕とした者には褒美を与える!」
「「「うおぉぉぉぉぉっ!」」」
メッシュの言葉と共に目をギラつかせた有翼騎士がムーラとワイバーンへと殺到する。
消耗しきった状態で50騎近い火喰い鳥に対抗する事は難しい…いや、絶望的と言ってもよい。
「ははっ…今日が最期の日か…」
半ば諦めたかのようなムーラの言葉。
しかし、全てを諦めた訳ではない。
「こうなれば、1騎でも多く道連れにしてやる…!」
正に決死の覚悟を決め、手綱を取る。
「行くぞ、相棒!」
──ギャオォォォォォンッ!
まるで命の灯火を燃やし尽くすような覚悟…しかし、その覚悟は無駄に終わる事となった。
──シュンッ……バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
ムーラの背後から"何か"が高速で飛来し、彼を追い越して行ったかと思うと有翼騎士団の目の前で爆発した。
「ぎゃぁぁぁぁあっ!」
「痛え!痛えよぉぉぉぉ!」
「ごぼっ…ごぼっ!」
爆発に巻き込まれた有翼騎士は悲鳴を上げる間もなく、爆発の近くに居た者は乗騎もろとも大量の金属片に貫かれ堕ちて行った。
「…?」
突然の事態にポカンとするムーラ。
しかし、直後に聴こえてきた轟音により彼は何が起こったか全て理解した。
──ゴォォォォォォォォ…
「この音は…!」
首が千切れんばかりの勢いで後ろを向き、音の方向を確認する。
彼の目に映ったのは、夕陽を反射しキラキラと輝く金属の翼…
《やあ、中尉。生きてるか?》
「エンタープライズ殿…!」
轟音と共に空を飛ぶ金属の翼、エンタープライズが駆るF-8クルセイダーである。
──同日、F-8クルセイダーコックピット内──
《エンタープライズ殿!あの火喰い鳥は…》
「大丈夫だ、中尉。貴方の通信で彼らが市民を虐殺しているというのは把握している。待たせてしまってすまない。後は私達に任せてくれ」
《了解!》
ともあれムーラが無事だった事に胸を撫で下ろすエンタープライズ。
そんな彼女に別の通信が入る。
《エンタープライズ。対空目標は残り35騎…さっきのミサイルで14騎撃墜したからね》
「ミサイルは4発全部使ってしまった。あとは機銃で対処する」
《了解、くれぐれも気を付けて》
王都周囲の空域を旋回するノーザンプトンからの通信だった。
彼女が搭乗するF-111Bは、探知距離200kmにも及ぶAN/AWG-9というレーダーを搭載している。本来であれば長距離対空ミサイルを運用出来るのだが、生憎今回は機銃…M61バルカンしか装備していない。
それ故、万が一の為に対空ミサイルを装備したF-8をサポートする早期警戒機代わりとなっているのだ。
《エンタープライズ、ミサイルの調子はどうだ?》
再び別の通信が入る。
ヘリコプターに乗って王都上空に向かっている指揮官からだ。
「上々だ…と言いたいが、相手は火喰い鳥だ。標的機よりも遅くては正当な評価は下せないな。それより、指揮官。地上部隊も居るようだ。ヘリの武装で対処出来るか?」
《M2なら大概の奴には対処出来る》
「では頼む」
《任せな》
先程発射したミサイル、AIM-9Cは赤外線誘導ミサイルであるAIM-9シリーズ唯一のセミアクティブレーダー誘導ミサイルであり、強い熱源を発しない対空目標に対しても有効だ。
しかし、今回の目標は速度も遅く鈍重な火喰い鳥…古いレシプロ機にすら及ばない。
それ故、初の実戦相手には不足過ぎる。
「それでも貴重な実戦経験だ。報告書はちゃんと書かないと…」
コックピット内で呟き、操縦桿に取り付けてあるトリガーを引く。
──ドドドドドドドドッ!
機首に装備された4門の20mm機銃が火を噴き、火喰い鳥を有翼騎士ごとズタズタに引き裂いてしまう。
そのまま火喰い鳥の群れを通り過ぎ、後方で旋回すると慌てふためく彼らに横殴りの雨が如く20mm砲弾を浴びせる。
圧倒的な速度差と、攻撃手段の射程…それは、ワイバーンによるものよりも容易く空を塗り替えていった。
──同日、王都アルクール上空──
「なんだあれは!?何がどうなっている!?」
有翼騎士団長メッシュは完全に混乱していた。
"この世界の空"を支配する火喰い鳥を駆り、"外の世界の空"をも支配する筈だった有翼騎士団。
それが突然現れた謎の生物に翻弄された挙げ句、生き物かも分からない謎の飛行物体により屠られている。
城よりも高い場所を飛ぶという恐怖に打ち勝ち、血の滲むような訓練を積んだ騎士達がまるで赤子の手を捻るかのように撃墜されゆく。
こんな理不尽な事態の前に、メッシュは余りにも無力だった。
「と、とにかく陣形を整え…」
ともあれ部下の混乱を纏めるべく指示を飛ばし、陣形を組ませようとする。
しかし、彼が積み重ねてきた悪行の因果はここにきて彼に牙を剥いた。
「だ、団長!」
部下の一人が前方を指差しながら悲鳴のような声をあげる。
「はっ…!」
周囲を見回していて気付かなかったが、真正面から謎の飛行物体…F-8が迫っていた。
──ドドドッ!
F-8の機首が瞬き、一瞬にしてメッシュの視界が真っ暗になった。
「あぁっ!目が…目がぁぁぁぁっ!」
何とも情けない悲鳴をあげ、顔を押えて悶えるメッシュ。
F-8が放った20mm砲弾の1発が彼の乗る火喰い鳥の頭部で炸裂し、それによって飛び散った破片が彼の顔面に突き刺さったのだ。
「あぁぁぁ…」
命を失い、堕ちてゆく火喰い鳥の背で悶えるメッシュだったが、そのまま乗騎と共に地面に叩き付けられた。
そして、彼の死を以って有翼騎士団は全滅となった。
F-8のミサイルランチャーの取り付け方が結構好きです
あとA-7って設計をF-8から流用してますが、F-8にバルカンって搭載出来るんですかね?
買い集めた資料を見るに搭載出来そうな気はするんですが…
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい