今回からはムーの変化について描写します
大体5話ぐらいになると思いますが…もしかしたら増えたり減ったりするかもしれません
──中央暦1640年12月1日午前11時、ムー国アイナンク空港──
第二文明圏の雄であり、世界第二位の列強国であるムー。
同国最大の空港であるアイナンク空港に併設されたターミナルビルには、多くの報道陣や見物人が押し寄せていた。
「5秒前!4…3…っ…っ…」
集まった報道陣の中でも一際立派な機材を持参している一団…ムー最大の新聞社である『オタハイト・タイムズ』社内で新設されたテレビ放送部門のディレクターがカウントダウンをし、女性キャスターに放送開始の合図を出した。
「皆様、こんにちは。オタハイト・タイムズ記者のキャノーラ・バルニエと申します。我が社に新設されたテレビ放送部門…その最初の生中継がこのような歴史的出来事だという事は大変光栄な事です」
元々は記者として活躍していたキャノーラだが、自分の顔と声がムー全土に放映されているというのは流石に緊張するのだろう。
原稿を持つ手は小さく震え、喋りもぎこちないものに思える。
そんな時、人混みの一角から歓声が上がった。
「陛下!ラ・ムー陛下がいらっしゃった!」
報道陣のカメラが一斉に歓声の方を向き、パシャパシャとフラッシュが焚かれた。
「あ…もうそんな時間…コホンッ。えー…ラ・ムー陛下がお見えになられました!こちらに手を振っておられます!陛下もご臨席されるという事は、政府もこの式典を重要視していると思われます!」
人々の視線とカメラのレンズを向けらる人物…ムー国王ラ・ムーは柔和な笑顔を浮かべ、小さく手を振って人々の歓声に応えている。
一見すると身なりのよい初老の紳士といった風貌だが、その高貴な雰囲気は明らかに一般人とは一線を画すものだ。
「静かに!静かに!」
「陛下がご登壇なされます!道を開けて下さい!」
「メディアの方々も一旦下がって下さい!」
ムー王室警護隊が人混みを掻き分け、自ら壁となってラ・ムーの通り道を確保する。
そんな彼らにラ・ムーは会釈し小さく感謝の言葉を述べると、滑走路を一望できる窓の前に設営されたステージに登壇した。
それと同時に集まった人々は静まり返り、自然と姿勢を正してラ・ムーの言葉を聞き逃すまいと耳を傾ける。
「親愛なるムー国民の皆様、こんにちは。本日はお日柄も良く、天もこの記念すべき日を祝福してくれているかのようです」
笑みを深くし、冒頭の挨拶を述べるラ・ムー。
すると、観衆からの拍手と共に報道陣が持つカメラのフラッシュが瞬いた。
「さて…皆様既にご存知かとは思われますが、本日はロデニウス連邦と我が国が共同設立した航空会社、『ワールドエアライン』初運航の日です。今まで我が国や神聖ミリシアル帝国が運航していた旅客機よりも速く、大勢をより遠くまで運べる新型旅客機を運用するこの航空会社は多くの人々に空の旅を与えてくれる事でしょう」
──ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥン…
短いながらもこの日を心より祝福している事が分かるラ・ムーの祝辞が終わると同時に、ムーの人々にして見れば聴き慣れたレシプロエンジンの音…しかし、その音を放つ航空機はよく見る『ラ・カオス』ではなかった。
「テレビの前の皆様、ご覧下さい!ロデニウス連邦大統領を乗せた新型旅客機、コンステレーションです!今回、ロデニウス連邦大統領カナタ氏は我が国の国賓として招かれており、ラ・ムー陛下との昼食会の後、首脳会談を行うそうです!」
キャノーラが掌を向けた先にカメラを向けるカメラマン。
真っ青な空を悠然と飛行する大型の旅客機…洗練された流線形の胴体に4基のエンジン。3枚の垂直尾翼と、主翼端に装備された増槽が特徴的な航空機『L1049スーパー・コンステレーション』だ。
1万km近い航続距離と100名近い乗客を乗せ、500km/h以上の速度を発揮する大型旅客機である。
「デカイ…なんて大きさだ!」
「あれもロデニウス連邦が作ってるのか?」
「いや、どうやら我が国との共同開発らしいぞ?」
降下し、滑走路へと着陸するコンステレーションの先進的ながらも優美な姿を目にして思わず唸る観衆。
実を言えばこのコンステレーション、サモアへ留学した技術者達を開発チームに加え開発されたものである。
当初からロデニウス・ムー間の航路で使用する事としていたため、ムーでも重整備や部品の生産も行えるようにこのような共同開発の形をとったのだ。
「それでは皆様、陛下はカナタ氏のお出迎えがありますので道を開けて下さい!」
王宮警護隊の隊長が観衆に呼びかけると、人々は直ぐに道を開けた。
誰もがラ・ムーを敬愛しているからこその行動であろう。
「はい、えー…陛下はどうやらロデニウス連邦大統領を出迎えるために滑走路へと向かわれるようです。陛下自らお出迎えという事はやはり、ロデニウス連邦の実質的な盟主であるサモアとの関係を優先したが故なのでしょうか」
カメラが、タキシングし駐機場へ向かうコンステレーションを映す事に専念しているため幾分か緊張が和らいだのか、饒舌になるキャノーラ。
彼女の言う通り、ムー政府は地球に取り残された『サウ・ムー・アー』…現在のサモアとの再開を運命的なものだと考えており、サモアそしてロデニウス連邦に対して様々な便宜を図っていた。
今回のカナタ大統領を国賓待遇で招待した事や、ラ・ムー直々の出迎えもその一環である。
だが勿論、運命という曖昧な価値観ばかりで動いている訳ではない。
「陛下」
「おや…貴方は…」
駐機場へと向かうラ・ムーと護衛の一団。そこに合流する人影があった。
「海軍少将レイダー・ミレールです」
「あぁ…思い出した。確か一昨年、叙勲式に出席していましたね」
「お覚えでしたか…光栄でございます」
レイダーはラ・ムーと挨拶を交わすと護衛に断りを入れ、彼の側に立って共に歩き出した。
「ところで陛下。あの旅客機…コンステレーションはいかがでしょうか?」
「見た目と書類に書かれている諸元しか知りませんが…素晴らしい性能という事は理解出来ます。ですが…民間航路に就役する旅客機について、何故貴方がそのような事を?」
この世界において旅客機を運用している国家は現状、神聖ミリシアル帝国とムーしかなく、どちらも軍用機の設計を流用したものとなっている。
それ故、軍人であるレイダーが気に掛けるのは当然の事だが、ラ・ムーは敢えて問いかけた。
「陛下もご存知の通り、我が国の旅客機『ラ・カオス』は軍用輸送機や爆撃機としても活用されています。勿論、コンステレーションも軍用機への転用も可能となっていますが、とある特殊な用途の機体となるようで…」
「特殊な用途…とは?」
首を傾げるラ・ムーに対し、レイダーは小脇に抱えていたファイルを開いて一枚の図面を示す。
「早期警戒機、と呼ばれる機体です。胴体の背面に"レドーム"と呼ばれるレーダーを収めた機材を搭載し、飛行しながら敵航空機や艦艇を探知する物となります」
「なるほど…確かに、レーダーは高い位置にある方が遠くまで探知出来ますからね」
レイダーの言葉に感心しながら図面に目を向けるラ・ムー。
彼が見る図面には、背中にコブのような物が付いたコンステレーションの三面図が描かれている。
『EC-121ウォーニングスター』それが、その機体の名であった。
「更に、この機体に搭載されているエンジンは戦闘機にも転用出来、ロデニウス連邦からそれらの戦闘機のライセンス生産も許可されています」
「アクア発動機の方から窺いました。どうやら新型エンジンを搭載した戦闘機はコストが高く、それを補完する為にマリンよりも高性能な戦闘機が必要になると…」
そう、ロデニウス連邦はムーに対して様々な兵器の生産ライセンスを格安で提供している。
これはムーからの印象を良くする事を目的としているのは勿論、最大の貿易相手であるムーの安定こそがロデニウス連邦の利益となる、と考えている為だ。
それ故、ロデニウス連邦は航空機や戦車や小火器は勿論、果ては軍艦のライセンス生産まで許可している。
それに加え、サモアに留学している技術者や士官が新たな技術や戦術を持ち帰ってくる事もあり、ムー統括軍は急速に進化しているのだ。
「ところで…最近、私の元へ様々な報告が届きますが…"そういう事"でしょうか?」
ふと、ラ・ムーがレイダーに問いかけた。
ラ・ムーはムー国王であるが、実権を持たない立憲君主である。そのため彼にこのような細かな報告をしたり、意見を求めたりする事は滅多に無い。
しかし、ムーには有事の際…大規模災害や国家存亡の危機クラスの戦争等が発生した場合、国王に権限が集約する制度がある。
つまり、様々な人物がラ・ムーに報告を上げるという事は、その制度を使う可能性が出て来たという事だ。
「…グラ・バルカス帝国の航空機や艦船が我が国の領空・領海侵犯を頻繁に繰り返しています。今までは警告を行えば直ぐに旧レイフォルの領域に引き下がってましたが…最近はスクランブルに出たマリンに向って発砲する等、行動が過激になっています。いつ偶発的戦闘が発生してもおかしくない状況です」
「…ラ・ツマサ君が話していたような、我が国がかの国に滅ぼされるような戦争に発展するかも知れないと?」
「…軍人として、平行世界などというオカルトを信じる事は許されない事でしょう。しかし、彼女は嘘をついているようには見えませんでした。グラ・バルカス帝国の名を口にする度に彼女の目に浮かぶ激しい憎悪…どんな名優でもあのような演技は出来ないでしょう」
やや自嘲するように告げられたレイダーの言葉だが、ラ・ムーは柔和な笑顔で頷きつつ懐から一通の封筒を取り出し、レイダーに差し出した。
「ですが、異世界というものがあるなら平行世界があっても不思議ではないでしょう。あらゆる可能性を想定し、備える…貴方のような方が居れば、ムーも安泰でしょう」
「ありがたきお言葉ですが…これは?」
差し出された封筒を受け取り、問いかけるレイダー。
しかしラ・ムーは笑顔のまま、読んでくれと言うように手をクイッと動かすのみだ。
「…?」
怪訝な表情を浮かべつつ封筒を開け、中の便箋を取り出して内容を読む。
書き連ねられている文章を目で追いながら読み進めるレイダーだが、その表情は徐々に引きつったものとなってゆく。
「へ…陛下…これは…?」
「国交開設二周年と、私の50歳の誕生日を祝しての個人的な"プレゼント"という名目ですが…確かに、驚きますよね。では、私はカナタ氏との昼食会がありますので」
余りの衝撃に固まってしまったレイダーを置き去りにし、そのまま駐機場へ向ってしまったラ・ムー。
一方、置き去りにされたレイダーは何度も何度も…便箋の内容を繰り返し読んでいた。
細かい事は気にするな!
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい