異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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なんだか久々に登場する面子ですね
久々過ぎてキャラを忘れかけてます


あと、なんでアズレンは11月の終わりにバカンスとビーチバレーをさせつつ水着を買わせようとするのでしょう?
季節感狂うわ!


156.人事異動

──中央暦1640年12月20日午前10時、サモア基地ウポル島工業地区集会所──

 

サモア基地ウポル島の一角にある工業地区集会所。その大ホールに多くの人々が列を成していた。

 

「しまった…出遅れたな…」

 

長蛇の列の最後尾に並んだ男性…ムーからの留学生であるマイラス・ルクレールが苦々しい表情を浮かべて呟いた。

 

「これがムー統括軍名物、年末人事異動の大行列…書類を受け取るだけとは言え、中々に時間がかかりそうです…」

 

そんなマイラスの右腕に自らの腕を絡め、スレンダーな肢体を押し付けている少女…平行世界のムーが建造した戦艦がKAN-SENとなった存在、ラ・ツマサが同じくげんなりした様子で彼の言葉に同意した。

ムーの人事異動発表は年末に行われ、新年には新たな部署で仕事始めが出来るような体制となっている。

その為、ムーでは年末に人事関係の部署に大行列が出来るのが恒例となっているのだ。

そして、それはサモアに滞在するムー国人も同じなようだ。

 

「おーい!マイラス、ラ・ツマサ!」

 

そんな二人に声をかける男性…マイラスの友人であり、戦術士官であるラッサン・デヴリンだ。何故か制服ではなく、ジャージ姿で首にはタオルを掛けている。

 

「おぉ、ラッサン。シャワーを浴びたのか?」

 

「何、朝帰り?少し弛んでるね」

 

そんなラッサンの姿に首を傾げるマイラスと、ジト目で見てくるラ・ツマサ。

それに対しラッサンは頷きながら応えた。

 

「朝帰りは朝帰りだが…想像してるような事じゃないぞ。真夜中に叩き起こされて…ダメージコントロール訓練を叩き込まれてた」

 

「あぁ…それは大事な訓練だな。いくら優れた軍艦を持っていても、ダメコンが上手く出来なければ消耗するばかりになるからな」

 

そう、ラッサンのような戦術士官を始めとした武官達は戦術や兵器の運用方法だけではなく、より進歩した兵站管理方法や緊急事態への対処方法を学んでいた。

その一環として、軍艦のダメージコントロール訓練を行っているのだが…それが中々に厳しいものだった。

 

「ヨークタウンさん…大人しそうな割にかなり厳しいんだよ…笑顔でダメ出しされるのは結構来るモノがあるな…」

 

数日の間ダメージコントロール訓練用の施設で寝泊まりをし、ある日突然《浸水発生!》のアナウンスで叩き起こされて浸水箇所に向かう。

そうして浸水発生箇所にたどり着くと、破孔を毛布やマットで塞いで流入する海水の勢いを抑え、その隙に木材で壁や支柱を作って破孔を完全に塞いだ後に排水ポンプで溜まった海水を排出する…しかし、それで終わりな訳がない。

更に浸水発生のアナウンスが流れ、一晩中ダメージコントロールの為に訓練施設内を駆け回る事となる。

それで明け方に訓練が終了するのだが、訓練教官であるKAN-SEN『ヨークタウン』から小一時間ほど改善点等を言われ、ビショ濡れのまま次は火災消火訓練を行う。

かなりスパルタな訓練だが、そのかいもあってムー海軍のダメコン技術はこれまでとは比べ物にならない程に向上していた。

 

「それは…大変だったな。お疲れさん」

 

「ラッサンの割には頑張ったみたいね」

 

「ラ・ツマサ…それは褒めてるのか?」

 

そんなやり取りをしていた三人だが、その隣を一人の紳士が通りかかる。

 

「おや…君達は…」

 

カイゼル髭に黒い詰め襟をキッチリと着込んだ紳士然とした武官、かつて改良型マリンの運用テストを行っていたアックタ・ローメルである。

 

「あ、貴方は!」

 

「なんだ、マイラス。知ってるのか?」

 

アックタの姿を目にし驚くマイラスと、何故マイラスが驚いているのかイマイチ理解していないラッサン。

すると、ラ・ツマサが呆れたような口調でラッサンに解説する。

 

「はぁ…ラッサン、この方を知らないの?この方はアックタ・ローメル大佐。マリン開発時にテストパイロットを務め、"ミスター・マリン"と呼ばれる程の腕前を持つ凄腕パイロットよ」

 

「レディーラ・ツマサ、それは過大評価だよ。私はあくまでもただのテストパイロット…"公式"な撃墜記録は持たない、一般的なムーの戦闘機パイロットでしかないよ」

 

謙遜するような物言いではあるが、マリン制式採用にあたって彼は多くのテストを行い、細かな改善点を洗い出してきた。

その功績は図り知れず、一部では"マリンの父"とまで言われている。

 

「アックタ大佐。失礼ですが、昇進等は…」

 

おずおずとマイラスがアックタに問いかける。

彼は先の対パーパルディア戦において義勇軍扱いとは言え、多数のワイバーンロードを撃墜した腕前もさる事ながら様々な戦術を学び、教導隊の資格も取得している。それらを踏まえれば、昇進してもおかしくはないだろう。

 

「私は将軍位に就けるような教育は受けていなくてね。昇進は出来ないが…今度新設される艦隊の飛行隊司令官へ内定したよ。話によれば、ムー海軍で最も多くの空母を擁する艦隊だとか…」

 

「おぉ!それはそれは…」

 

「すみませーん!認識票をお願いしまーす!」

 

ラッサンがアックタに祝福の言葉をかけようとするが、人事部職員の呼びかけにより遮られた。

それにより漸く自分たちの番が来た事に気付いたマイラスとラッサンは、首に掛けている認識票をいそいそと外し始めた。

 

「では、私はこれで失礼する。君達は若い…煌めくような未来があるよう、祈っておくよ」

 

軽く会釈し、その場を後にするアックタ。

マイラスは人事部職員に自分の認識票を提出しつつ、彼の背に声をかけた。

 

「ありがとうございます!また、いずれ何処かで!」

 

振り向かずに手を振り歩き去ってゆくアックタの姿から視線を剥がし、人事部職員に目を向けるマイラス。

その隣では、ラッサンも認識票を出していた。

 

「情報通信部のマイラス・ルクレール中尉と、戦術参謀部のラッサン・デヴリン中尉ですね。えー…っと…これと…これですね」

 

人事部職員が2通の封筒を取り出し、1通ずつマイラスとラッサンに手渡す。

 

「ありがとうございます」

 

「どうも、ありがとうございます」

 

人事部職員に会釈しそれぞれ封筒を受け取ると、直ぐにホールの角に移動して封筒を開けにかかった。

 

「どうかなぁ…昇進とかしてるかな?」

 

「さぁな。配置換えぐらいはあっても、そう簡単には昇進出来ないだろ」

 

「主の功績を踏まえれば昇進なんて余裕ですよ!主が設計した戦車の評判も上々と聞きますし…佐官にもなれますよ!あ、ラッサンもそれなりには成績優秀だから期待していいんじゃない?」

 

やや期待するマイラスと、特に期待もしていなさそうなラッサン。そして、マイラスに多大なる期待を寄せつつラッサンにもそれなりの期待をするラ・ツマサ。

 

──ガサッ…

 

封筒を開け、ほぼ同時に中身を取り出す二人。

 

「「……」」

 

だが、二人は落胆のため息をつくでもなく、歓喜の声をあげるでもなく、取り出した書類の文面に釘付けとなっていた。

 

「主?ラッサン?」

 

まるで彫像のように固まってしまった二人の様子を不審に思ったラ・ツマサが首を傾げ、その手にある書類を覗き込む。

二人の人事異動に関する書類…辞令にはそれぞれこう書かれていた。

 

──情報通信部所属マイラス・ルクレール中尉を軍備総監部へ異動とし、新設予定の『先進兵器技術課』の課長に任命する。また、これに伴い中尉から少佐へ昇進とする。

 

──戦術参謀部所属ラッサン・デヴリン中尉を海軍へ異動とし、配備予定の巡洋戦艦『ラ・アカギ(仮称)』艦長に任命する。また、これに伴い中尉から中佐へ昇進とする。

 

昇進や栄転どころの騒ぎではない。

マイラスは佐官へ昇進した上に、軍備総監部というムー統括軍の兵器を研究開発する部署に配置換えとなった上、課長職に任命。

ラッサンも佐官への昇進は勿論、戦艦の艦長へ任命された。

余りにも衝撃的な人事にマイラスとラッサン、ラ・ツマサは暫しその場で硬直していた。




気付けば一年が終わろうとしている…新年イベントは何が来るんでしょうか…
いや、クリスマス生放送が先か

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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