往年のポンポン砲を思い出しました
まあ、性能は段違いでしょうが
──中央暦1640年12月11日午前11時神聖ミリシアル帝国ルーンポリス魔導学院──
神聖ミリシアル帝国魔導学院双璧の片割れであるルーンズヴァレッタ魔導学院がロデニウス連邦及びアズールレーンから提供されたシーヴェノムの評価試験をしている頃、最高学府であるルーンポリス魔導学院でもとある兵器の評価試験が行われていた。
「発射5秒前ー!4…3…2…1…発射!」
──カシュンッ!
試験場に設置されたバリスタの弦が空気を裂き、装填された太矢を発射する。
発射された太矢は独特な風切り音を放ち、空を進み…
──バンッ!
緩やかにカーブし、バリスタの射線上から右斜め方向でプカプカと浮かんでいたバルーンに直撃した。
「おお!当たった!」
「伝え聞いていた誘導魔光弾とは些か違うが…」
「だが、照準器を覗くだけで目標を指定出来るのは画期的だ!天の浮舟に搭載出来れば空対空能力を一気に向上出来るぞ!」
評価試験の参加者が一様に驚嘆し、歓喜の声をあげる。
「いやぁ…流石は魔法文明の総本山。我々は魔法の事となると力押ししか出来ませぬ」
参加者の中に混ざっていたガッチリした体格の男性…作務衣姿に頭には手拭いを巻いた刀鍛冶か職人にしか見えない蔵王重工の技術者が感心したように呟く。
そう、現在行われている評価試験の対象となっているのはアズールレーンが開発した誘導型風神の矢『バイアクヘー』とその照準器『燃える三眼』である。
当初は新興国がそのような物を開発した事に腰を抜かし、恐れおののいていたミリシアル側だったが、原理を教えサンプルを幾つか提供すると10日程で改良型を製作していた。
と言うのも、実はアズールレーンが開発した魔法誘導兵器はどれもこれも無駄に高出力かつ高機能なくせに、基礎の部分がイマイチなのだ。
例えるなら、扇風機を作れと言われたのにV8エンジンを動力に幾つもの減速ギアを介して羽根を回す扇風機を作ってしまったようなものだ。
一方のミリシアルは魔力の低消費化が得意だった。と言うのもミリシアルの兵器の元になった魔帝の兵器は莫大な魔力量を誇る光翼人が使用する事を前提とした為、人間やエルフでは満足に動かす事すら出来ない。それ故、光翼人以外でも稼働出来るように低消費化技術を磨いたのである。
そういった事もあり、ミリシアル側は提供されたサンプルを改良し射程や誘導性能の向上を成し遂げた。
「いえいえ、元々は貴殿らの発想があってこそ…これが無ければ、我々は延々と誘導兵器を理解出来ないでいたでしょう」
謙遜するように告げたのは若々しい姿をしたエルフ族の男性、ルーンポリス魔導学院主席のハンプトク・ニッセイだった。
「魔力の流出量を調整し、あえて速度を犠牲とする事で射程と誘導性能を向上。しかも我々しか使えぬ『ミズホの神秘』ではなく、魔法技術で類似の物を作るとは…」
「貴殿らの『式神』と言う物がヒントになりした。我々が開発したゴーレム…その小型版はせいぜい玩具にしかなりませんでしたが…このような形で利用出来るとは思いもしませんでした」
ミリシアルが改良した『バイアクヘー』は確かな性能向上を果たしていた。
先ずは射程だがオリジナルが1km程であったのに対し、改良型は5kmもの有効射程を持つに至り、速度こそオリジナルが1000km/h程であったのに対し改良型は800km/hと遅くなってはいるがその分運動性が向上し、誘導性能はオリジナルよりも高くなっている。
その上、オリジナルはアズールレーンに所属する重桜の民にしか扱う事が出来ない『ミズホの神秘』を製造に利用していたため量産性に劣っていたが、改良型は初歩的なゴーレム技術を利用しているため一定水準の魔法文明国であれば誘導装置自体は容易に作れるというメリットがある。
「それに、貴殿らの開発した高純度魔石が無ければこれ程の射程は見込めなかったでしょう。我々が出来る事は他人の物を分析し、コピーするだけ…しかし、貴殿らのお陰で魔帝を模倣せずとも優れた兵器を作り上げる事が出来ると認識出来ました。これは紛れも無く我が国の夜明けとなるでしょう」
「そう言って頂けると、我々も開発したかいがあると言うものです」
深々と頭を下げるハンプトクに対し、返すように同じだけ頭を下げる蔵王重工の技術者。
ハンプトクは神聖ミリシアル帝国の最高学府たる魔導学院の主席の座にあっても研鑽を忘れぬ人物だった。
魔帝の遺跡を解析する傍ら独自技術の開発にも勤しんでおり、超大型魔導爆弾『ジビル』の開発を主導した事でも知られている。
そんな人物像であるため、彼は自国でも成し得なかった誘導兵器を独自技術で開発したアズールレーンには多大なる尊敬の念を抱いていた。
「ですが魔帝の誘導兵器…『誘導魔光弾』はより長い射程を持ち、オリジナルの天の浮舟は超音速で飛行するとされています。更に性能向上に努めなければ…」
だが、ハンプトクはまだまだ満足はしていなかった。
遺跡から発掘された魔帝の天の浮舟は超音速を意識した後退翼を持ち、伝承によれば数百kmの射程を持つ誘導兵器も配備していると伝わっている。
この程度で満足していては魔帝に打ち勝つ事なぞ夢のまた夢…故に、ハンプトクは独自に魔法誘導兵器を開発しながらも優れた科学技術力を持つロデニウス連邦及びアズールレーンとの協力は必要不可欠、という結論に行き着いた。
「しかし、魔帝には軍艦もありますし魔帝本土を攻撃する手段も必要となりますな。我々は対艦・対地用の誘導兵器も開発中ですが、それらは純科学技術製です。魔法技術兵器を運用している貴国で運用するのは難しいかもしれません」
そんな言葉を述べる蔵王重工の技術者の言葉にハンプトクは同意するように頷く。
確かに航空機を撃墜出来たとしても艦隊や陸上基地を破壊する術を持たなければ意味が無い。
一応、アズールレーンでも対艦・対地ミサイルは開発が進んでいるが、それらはミリシアルからすれば未知とも言える科学技術製であるため開発しても安定した量産体制を整えられないという理由で、
魔法技術を使った兵器の開発を進める事となったのだ。
「しかし…貴殿らの仲間であるヴィスカー社であったか?彼らが何とも興味深い兵器を提示していたが…」
「ヴィスカー社…あぁ、彼らですか…」
ハンプトクの言葉を聞いた蔵王重工の技術者が苦笑する。
ルーンズヴァレッタ魔導学院でシーヴェノムの評価試験を支援しているヴィスカー社だが、彼らは時にとんでもない兵器を開発する事がある。
今となっては笑い話だが、第二次セイレーン大戦直前に『対空火炎放射器』なる物を開発したと聞いた時は、彼らの研究室に殴り込みをかけた事もあった。
しかし、ハンプトクはそんな事情も知らずに自らの構想を得意気に披露する。
「魔力の基本は円運動ですので、我々にとってあの兵器の制御は得意分野とも言えます。確かに見た目はふざけているとしか思えませんが…水上を100km/h以上で滑走する1トンクラスの爆薬となれば対艦・対地共に十分な威力でしょう。こんな秘密兵器の図面を提供してくれたヴィスカー社にはいくら感謝しても足りません」
「は、はは…その言葉を聞けば彼らも喜ぶでしょう」
新兵器への期待からか表情が緩むハンプトク。
しかし、蔵王重工の技術者は当たり障りの無い言葉で返す事しか出来なかった。
何故なら彼は知っている。ヴィスカー社の秘密兵器とは、"他国に知られたくない秘密の兵器"という意味ではない。
秘密"にしておきたかった"兵器、という意味だという事を…
ミ帝編はあと2話ぐらいします
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい