異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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Lankas様より評価4を頂きました!

とりあえず合同演習編導入部の導入みたいなものです


そんな事より、今年のクリスマス生放送も盛り上がりましたね!
年末年始イベントは鉄血…P級装甲艦のプリンツ・ハインリヒにグラーフ・ツェッペリン級ペーター・シュトラッサー…もう鉄血は計画艦が当たり前になってきましたね

あとはセイレーン作戦…よし、燃料溶かしまくって回しまくりましょう



163.三賢人

──中央暦1641年4月5日午後2時、サモア基地司令部指揮官執務室──

 

──コンコンッ

 

年が明け、あっという間に月日は過ぎて春となった。

もっとも熱帯に属するサモアに季節感なぞ無いようなものだが…ともかく、そんな日の昼下りに何者かが執務室のドアをノックした。

 

「入れ」

 

執務室の主である指揮官が短く、入室を許可する言葉を発する。

 

──ガチャ…

 

「ただいま〜…幽霊さんが帰ってきたの〜…」

 

言葉と共に開かれたドアから執務室に足を踏み入れたのは、サモア基地最古参KAN-SENの一人であるロング・アイランドだ。

普段からダウナーな彼女だが、今日は何時にも増して気怠そうにしている。

と言うのも、彼女はこの前までムーに派遣され現地で護衛空母やカタパルトの運用方法の指導を行っていた為、疲労が蓄積しているのだろう。

 

「お疲れさん。ムーでの生活はどうだった?」

 

フラフラとした足取りでソファーに倒れ込んだロング・アイランドに対し、指揮官は労いの言葉をかけつつも問いかける。

 

「VIP待遇で大変だったの〜…何をするにもお手伝いさんが着いてきて〜…気が休まらなかったの〜…」

 

ソファーに置かれているクッションに顔を埋め、ピクリともせずに応えるロング・アイランド。

その様子を見るに、やり慣れない事をしたせいで心身共に疲弊しているのだろう。

 

「お疲れ様。半年以上の長期間任務の後だから、2ヶ月の休暇が申請出来るよ。私が代わりにやっておこうか?」

 

そんなロング・アイランドに本日の秘書艦であるノーザンプトンが提案する。

サモアでは身一つで海戦を戦い抜くKAN-SEN達のケアを重要視しており、長期間任務の後には長期間の休暇を取る事が認められているのだ。

真面目なKAN-SENは練度の更なる向上の為に最低限の休暇で済ますのだが、少なくともロング・アイランドはそこまで真面目な訳ではない。

 

「2ヶ月休むの〜…アニメの録画も溜まってるし、新作ゲームも積んだままなの〜…」

 

「だってさ」

 

「ああ、構わんよ。だが、申請書のサインぐらいは自分で書けよ」

 

力無く腕を振り、長い袖をパタパタと動かすロング・アイランドの様子に苦笑したノーザンプトンが肩を竦めながら指揮官に目を向け、指揮官も呆れた様子で執務机の引き出しから休暇申請書を取り出す。

 

「あと〜指揮官さんに〜…お土産なの〜」

 

そう言って何処からともなく大判の封筒を取り出し、ソファーの前にあるローテーブルに投げ置くロング・アイランド。

するとノーザンプトンがそれを手に取り、執務机に置いた。

 

「土産ねぇ…」

 

封筒を閉じている糸を解き、中身を取り出す指揮官。

入っているのは、数枚の写真のようだ。

 

「…コイツは何処で撮影した?」

 

写真を執務机の上で広げ一通り目を通した後、ロング・アイランドに問いかける。

その写真に写っているのは、重桜の兵器と思わしきものだった。

 

「これはゼロ…の52型かな?機首の辺りに排気炎らしき物が複数あるね。こっちの艦艇は…特型駆逐艦?アンテナ類が増設されてるみたいだけど…」

 

ノーザンプトンもその写真を覗き込み、その被写体を確認する。

写真は白黒で若干ボヤけているが、確かにノーザンプトンが言った通りの特徴を見て取れる。

 

「ムーの北方海域で撮影したみたいだよ〜?何でも最近、グラ・バルカス帝国っていう国が領空や領海ギリギリまでやってくるらしいの〜」

 

相変わらずクッションに顔を埋めたままなロング・アイランドが答える。

それを聞いた指揮官は眉をひそめ、溜息をついた。

 

「はぁ…噂の国か。ラ・ツマサの話では、平行世界のムーはその国に滅ぼされたらしい…平行世界でもこういった兵器を保有していたとするなら、確かにムーでは手に余る相手だな」

 

「彼女の話では、平行世界のムーもこの世界のムーと同じ技術レベルだったらしいね。そうなるとマリンではゼロの相手は厳しいだろうし、魚雷の概念を知らなければ航空機や小型艦艇を侮ってしまうだろうね」

 

ノーザンプトンが特型駆逐艦らしき艦艇の船体の中程を指差す。

そこに砲塔等は無いが、何やら平べったい箱のような物が搭載されている。

現状では断定出来ないが、おそらくは魚雷発射管であろう。少なくとも重桜の兵器に酷似していると言う事は、強力な水雷戦力を保有していると想定すべきだろう。

そして、魚雷という概念を理解していなければ脅威度の判断を誤り、思いもよらない損害を受ける事になる。

 

「そうだ。それに…この駆逐艦らしき艦艇だが、アンテナらしき物が多いと言う事は…」

 

「レーダーピケット艦かな?もしくは、通信中継の為かもしれないね」

 

「多分、対空レーダーかもね〜。それを撮影したムーのパイロットの人が、主砲で威嚇射撃されたって言ってたの〜」

 

「となると…主砲は両用砲かもな。写真が鮮明じゃないからハッキリとは言えんが、少なくとも対空戦闘を意識した艦だ」

 

3人が各々の推測を述べるが、3人共に過小評価する事はしていない。

グラ・バルカス帝国が本当に敵になるのかは不明だが、万が一の事があっては遅い。故に、アズールレーンはグラ・バルカス帝国と衝突する事を想定し様々な戦略を練っているのだ。

 

「それに、前に鹵獲した潜水艦の件もあるよ。ロデニウス大陸近海まで潜水艦で来ているって事は、後ろ暗い目的があるんだろうね。仲良くしたいならわざわざ潜水艦で来る必要は無い」

 

「偵察かもな。何かしら事を起こす為の下準備だろう。最近、ムーの領域を侵犯しているのはムーの防空能力なんかを調べる為と考えるべきだな」

 

「でも〜そんな国がすぐ近くに居るのに、演習なんかしたら戦力を分析されるかも〜」

 

ソファーに寝転ぶロング・アイランドが懸念を口にする。

確かに3ヶ月後、ムーとロデニウス連邦とアズールレーンの合同軍事演習が行われる予定となっている。

しかも演習はムーの北方海域…グラ・バルカス帝国の領土となっている旧列強国レイフォルに近い地域で行われる事となっている。

そうなるとロング・アイランドの言う通り、グラ・バルカス帝国に手の内を晒してしまう事となるだろう。

しかし、指揮官はそれも織り込み済みだ。

 

「確かにな。だが、先の戦争…パーパルディア皇国との戦争の発端は、相手が俺達の力を把握していなかったからだ。もし、連中が俺達の力を正しく理解していたら起きなかった筈だ」

 

「だからこそ、態と戦力を見せ付けるのかい?」

 

 「そうだ。相手が俺達の力を理解すれば戦争に踏み切る事を躊躇するかもしれん」

 

「それでも躊躇しなかったらどうするの〜?」

 

勿論、それでも勝てると踏んで戦争を吹っ掛けてくる恐れもある。

現状、グラ・バルカス帝国の戦力とイデオロギーが不透明である以上、開戦止む無しという状況になるかもしれない。

 

「そうなれば、全力で相手をする。敵戦力を徹底的に粉砕し、二度と戦争が出来ないまで痛め付けてやるよ」

 

「野蛮だね。いつか世界征服でも始めそうだよ」

 

「ラスボスのセリフなの〜」

 

指揮官の言葉に、ノーザンプトンとロング・アイランドが誂うように述べる。

それに対し指揮官は不敵な笑みを浮かべると、冗談混じりに応えた。

 

「そうだな…もし、俺がトチ狂ってそんな事やりだしたらお前らが止めろよ?」

 

「そうだね。そうなったら、私達は指揮官の後を追ってノビノビと生きる事にするよ」

 

「指揮官さんは〜何しても死ななそうなの〜」

 

何とも忠誠心に欠ける二人の物言い。

だが、指揮官はそれを良しとしている。

彼は自分自身を余り優秀な人間だとは思っていない。それ故、間違いを犯す事もあるだろう。

そうなった時、この二人のような者が正してくれれば良い…そう考えている。

 

「泣けるぜ…まあ、いい。ともかく、俺が演習に行ってる間は基地を任せた。あとロング・アイランドは休暇申請書にサインしろ」

 

肩を竦めつつも二人に留守を頼みつつ、ロング・アイランドの休暇申請書を執務机に置く。

それに対しノーザンプトンは敬礼で、ロング・アイランドは気怠そうに手を挙げて応えた。

 

「了解」

 

「は〜い…後で書くの〜」




樫野のマウスパッド、5万ですか…3万ぐらいだったら買ったかも…

今後、お色気シーンは…

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