異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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earthmoon様より評価8を頂きました!

雪の影響で投稿が遅れました…まさかここまで降るとは思いませんでしたよ

まあ、それはともかく
アニメびそく、始まりましたねぇ…単行本の特装版で既に観てましたが、やっぱり何度観てもいいものだ…


165.海上宮殿

──中央暦1641年7月17日午前10時、ムー国デヴァルポート軍港──

 

ムー国北方に置かれたデヴァルポート軍港の桟橋。

普段はムー海軍の軍艦や兵士達が軍務に励んでいる場だが、今日は様子が違った。

ムー海軍の艦艇が停泊しているのは勿論だが、剣を思わせる鋭いシルエットを持つ帆船やムー艦艇をより洗練させたような戦艦と空母…さらには近未来的なデザインの艦艇も停泊している。

しかし、そんな中でも特に目を引く一隻があった。

純白の船体は隣に停泊する大型空母にも匹敵する程の威容を誇り、多数の窓や装飾はまるで宮殿を思わせる。

これこそアズールレーン所属の豪華客船『クイーンズランス』だ。

サモアがこの世界に転移してきた当初、旧クワ・トイネ公国の使節団をサモア基地へ送り届けたあの豪華客船である。

 

「ふにゃぁ〜♡にゃぁ♡」

 

そんな豪華絢爛な客船の中でも限られた人物しか立ち入れない一等客室…そこは甘ったるい猫なで声が響いていた。

 

「変な声出すんじゃねぇよ。あとクネクネ動くな」

 

それに対し呆れたように述べたのは高級感のあるソファーに腰を下ろした指揮官だが、手には櫛がありその手は隣に座った女性の頭に伸びている。

 

「だってぇ…ダンナさまの手付き凄く…にゃふぅ♡」

 

熱に浮かされたような舌足らずな声で返すのは、濃い灰色の髪にエメラルドグリーンのメッシュと瞳、ネコミミのようなデザインのベッドドレスと実用性よりも可愛らしさを優先したメイド服で着飾ったKAN-SEN、ロイヤル所属の『チェシャー』だ。

 

「ふふふ、私の言った通りでしょ?指揮官に髪をとかしてもらうの癖になっちゃうって」

 

暖房を前にした猫のようにリラックスした様子のチェシャーに微笑ましげな視線を向けるのは、指揮官を挟んでチェシャーの反対側に座ったKAN-SENだ。

赤みがかった長い金髪とフサフサのファーが縫い付けられたマントが何ともゴージャスなロイヤル所属の『ハウ』である。

 

「はぁ、全く…ジョージも面倒な事を広めてくれたもんだな。お陰で櫛が手放せん」

 

「いいじゃない。私達KAN-SENのケアも指揮官の仕事よ?」

 

溜息混じりにボヤく指揮官の言葉に対して朗らかに応えるハウ。

そんな時、ソファーの前に置かれたレトロなデザインの電話機のベルが鳴り響いた。

 

──ジリリリリリリッ!ガチャッ…

 

「俺だ。…あぁ…分かった、応接室に通せ」

 

受話器を取った指揮官が電話の向こうの相手と短いやり取りを交わすと、受話器を置いてソファーから立ち上がった。

 

「客が来た。だから今日はここまでだ」

 

「えぇ〜…そんにゃぁ…」

 

突き放すような指揮官の言葉に対してあからさまにガッカリとした様子のチェシャー。

そんな彼女を見ていると放っておけない気分になるが、イチャつく為にムーまで来た訳ではない。

 

「演習が終わったら構ってやるからそれまで我慢しろ」

 

「むぅ…ダンナさまがそう言うなら仕方にゃいかなぁ…」

 

拗ねたように唇を尖らせるチェシャーを見ていると猫と言うよりは甘えたがりな子犬のようだ。

 

「ふぅ…なら、ハウと一緒にクッキーでも焼いててくれないか?いいか、ハウ?」

 

「勿論、腕によりをかけるわ!今日のティータイムが楽しみね♪」

 

「にゃっ!これはダンナさまに美味しいクッキーを出して愛情アピールするチャンス!よし…チェシャー頑張っちゃうよ!」

 

盛り上がる二人のKAN-SENに満足した指揮官は、そのまま部屋を出て客室に併設されている応接室に向かう。

客室とは言っても一部屋だけではなく、キッチンやダイニングにリビング、専用の浴室等もあるため下手なマンションよりも豪華な作りとなっているのは流石一等客室というところか。

 

「指揮官様、お疲れ様でございます。中でお客様がお待ちですよ」

 

応接室の前で指揮官を待っていたのは

一人のメイドだった。

一部を三つ編みにした長い白髪に翡翠のような瞳。黒を基調にしたシックなメイド服が特徴的なKAN-SEN、これまたロイヤル所属の『ハーマイオニー』だ。

 

「あぁ、ご苦労」

 

短くハーマイオニーに労いの言葉をかけると、彼女は応接室の扉をノックした。

 

「失礼します。指揮官様がいらっしゃいました」

 

──「はい、どうぞ」

 

扉の向こう側から男の声で入室を許可する言葉が聴こえる。

するとハーマイオニーが目配せし、指揮官はそれに応えて頷く。

 

──ガチャッ…

 

扉が開かれ、それと同時に応接室に足を踏み入れる。

そこに居たのは、二人の男性だった。

 

「お初にお目にかかります。ムー海軍少将、レイダー・ミレールと申します」

 

「同じく、お初にお目にかかります。ムー陸軍中将、ホクゴウ・ミルゾーレです」

 

ソファーから立ち上がり、指揮官に対して礼をする二人…ムー軍のレイダーとホクゴウだ。

それに対し、指揮官も礼をして自己紹介する。

 

「ご丁寧にありがとうございます。アズールレーン総指揮官、クリストファー・フレッツァと申します。わざわざご足労頂き、恐縮です」

 

自己紹介をすると二人に座るように促しながら対面のソファーに座る指揮官。

それに従い、レイダーとホクゴウがソファーに座り直す。

 

「いえいえ…わざわざ我が国まで艦隊は勿論、陸軍まで演習の為に派遣して頂いたというのに此方だけ動かないのは失礼に当たりますからね」

 

苦笑しながらそう応えるレイダー。

それにホクゴウも同意するように口を開く。

 

「それに…こんな豪華な船に乗れる機会なぞそうそうありませんからね。まるで海に浮かぶ豪邸…いや、宮殿ですな」

 

応接室を見回し、内装の豪華さに驚嘆するホクゴウ。

彼が驚くのも無理は無いだろう。

天井にはキラキラと輝くシャンデリアが吊り下げられており、壁は深い色の木材と大理石、床には幾何学的な紋様が施された毛足の長い絨毯…これが軍事組織であるアズールレーンの装備品というのはやや違和感があるが、それにはとある理由があった。

 

「この船はですね…KAN-SEN達のケアに必要な物なのですよ」

 

「ほう…それはどういう意味で?」

 

指揮官の言葉に興味を持ったのか、やや身を乗り出すレイダー。

 

「簡単に言えば…KAN-SENは兵器ですが、我々と同じ心を持った"ヒト"でもあります。長い航海となれば相応のストレスが溜まりますからね。心身ともに万全の状態を維持する為にもこのような船が必要なんです。まあ、この世界に転移してからはこのように各国の要人を饗す為に使用する事が多くなっていますがね」

 

「なるほど…」

 

その答えに納得したらしいレイダーは、腕を組んで何度か頷いた。

 

「っと…そうだ。今回の演習ですが…」

 

ふと思い出したようにホクゴウがバインダーを持参した鞄から取り出し、机上に置いて広げる。

 

「えー…そちらが用意した標的艦や標的機を使った実弾演習との事ですが…」

 

「はい。"量産型"と呼ばれる艦艇を標的艦とし、使い古した戦闘機や爆撃機を無線操縦出来るように改造した物を標的機とします。どちらも単純な動きしか出来ない物ですが…まあ、ハリボテ相手よりはマシでしょう」

 

アズールレーンには"量産型"と呼ばれる艦艇が存在する。

これは転移前にはアズールレーンは勿論、一時離脱した重桜と鉄血によるレッドアクシズも、共通の敵であるセイレーンも使用していた兵器である。

メンタルキューブを利用した建造方法により大量生産が可能で操縦には人員を必要とせず、遠隔操作かKAN-SENによる管制により操作可能だが単純な動きしか出来ないという欠点がある。

だからと言って人が乗り込んで直接操作しようにも操作に必要な機器が省略されている…つまり、無人以外での運用は不可能となっているのだ。

それ故、普段から実弾演習の標的として使用しており、今回の演習でも量産型を標的艦として運用する事となっている。

 

「此方としても市街地での戦闘を想定した演習用の街を設置していますが…ホクゴウ閣下、それは陸軍の方が…」

 

レイダーの視線がチラッとホクゴウの方を向く。

それに対しホクゴウは、胸を張って応えた。

 

「ご安心を。我が軍の工兵が本物の街と見紛う程の街並みを演習場に作り上げました。練度確認の為とは言え壊すのが申し訳ない程ですよ」

 

「どうやら貴国の工兵は優秀なようですね。それに…噂に聞く新型戦車と新型戦闘機の活躍にも期待しています」

 

「本来なら我々海軍も拡張したドックで建造中の新型巡洋艦をお披露目したかったのですが…まだまだ艤装中でして…」

 

得意気なホクゴウとは対象的に肩を落とすレイダー。

厶ー海軍はサモアの建造ドックを間借りして近代的な艦艇の建造を進めているが、国内でも新型艦の建造を進めている。

しかし、厶ー国内のドックでは手狭であり拡張工事から始める事になってしまった為に、新型巡洋艦の就役が遅れてしまっているのだ。

 

「確かに今回の演習に間に合わなかったのは残念ですが…まあ、次回に期待しましょう」

 

「そうですよ、レイダー殿。せっかくの純国産艦なのですから確りと仕上げ、次回の演習に備えましょう」

 

指揮官とホクゴウがレイダーに激励の言葉をかける。

その言葉が心に響いたのか、レイダーは何度か小さく頷くと笑顔を浮べて見せた。

 

「そうですね…間に合わなかった物は仕方ありません。新型艦は次回の演習でお披露目するという事で、今は今の演習に集中しましょう!」

 

気を取り直したレイダーに合わせるように指揮官とホクゴウも笑顔を浮かべると、今回の演習の流れについての最終確認を始めた。




ただただチェシャーをネコミミ可愛がりしたい

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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