異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

175 / 391
クルスニク様より評価9を頂きました!

そう言えばエアコミケのグッズが届きましたが、イラストリアスとユニコーンのタペストリーは購入年齢制限をかけるべき代物でしたねぇ…

あと、三笠大先輩のブルーレイ視聴しましたが特典の長門回もためになりましたね
下手な資料漁るよりも三笠大先輩を観た方が良い気がします


170.自動火器

──中央暦1641年7月20日午前8時、ムー国アルヴァタール兵器試験場──

 

短い下草で覆われた平地と、いくつかの小高い丘が連なる無人の大地。

そこはムー陸軍が射撃演習や新兵器の実験を行う為の演習場として利用されている。

 

──ターンッ…ターンッ…タタタタタッ…

 

丘の間を通り抜ける風の音に混じって木霊する乾いた破裂音…それは平地に築かれた小さな街から響いているようだ。

 

「うん…中々にこの銃はいいな。精度も射程も十分で分解清掃も容易…名銃だな」

 

街並みを貫く大通りに設置された土嚢の山で作られた陣地の背後で一人の士官が満足気に呟いた。

名はマレアス・ルーザー、階級は准尉。ムー陸軍の小隊長であり、一兵卒からの叩き上げ士官である。

そんな彼の手にあるのは一丁の小銃…木製のストックとハンドガードにそこから伸びたフロントサイト付きの銃身、機関部の下方には箱型のマガジンが装入されている一見すると特におかしな所は無い普通のライフルだ。

しかし、凡庸な見た目とは裏腹にムー陸軍にとっては革新的な点があった。

 

──パンッ!…パンッ!…パンッ!

 

マレアスが率いる小隊に所属する兵士が土嚢を利用した委託射撃で小銃を発砲する。

これまた普通の射撃訓練だが、普段とは違う点がある。

射撃を続ける兵士だが、彼の右手はグリップとトリガーに、左手はハンドガードを保持したままだ。

そう、このライフルは"トリガーを引くだけで弾丸を発射"する事が出来る『半自動小銃』と呼ばれるライフルなのである。

元々ムーはボルトアクション式の『8mm歩兵銃』と呼ばれる小銃を採用していたのだが、アズールレーンやロデニウス連邦で自動小銃の採用が進んでいる事に触発され自国でも自動小銃を採用するという計画が持ち上がった。

しかし、アズールレーンの自動小銃は『短小弾』と呼ばれる全長が短い実包を用いるというものであり、未だに旧型実包である6.5mm弾が残っている現状では新たに制式採用実包を増やす事は得策ではないと判断されて計画は一旦破棄されたのだが、ここで何とも都合の良い事が起きた。

アズールレーンの本拠地であるサモア基地、そこの陸戦部隊である鉄血部隊が採用していた半自動小銃が新型自動小銃配備に伴って破棄される事となり、それに目を付けたムー統括軍が交渉を行って中古品と製造機械を買い取る事に成功した。

しかもそのライフルの使用弾薬は7.92mmだったが、寸法はムーの8mm弾と一致していたのだ。

それこそ『Gew43』と呼ばれる半自動小銃である。

 

「それに…」

 

──ブォォォォォォォンッ!

 

言葉を続けようとしたマレアスを遮るように異質な銃声が鳴り響いた。

余りにも速く、一つに繋がった銃声はまるで電動ノコギリのようだ。

 

「っ…!…凄まじい銃声だな…聴き過ぎると耳が悪くなりそうだ…」

 

小隊所属の機関銃手が二脚を土嚢に食い込ませながら発砲していたのもサモアから輸入した機関銃、『MG42』だ。

今まで三脚に据え付けて使う重機関銃か、それを無理矢理持ち運び出来るようにした軽機関銃しか保有していなかったムー陸軍だが、このMG42は歩兵の進軍に合わせられる軽快な軽機関銃としても、三脚に据え付けて拠点防衛用重機関銃としても使える汎用性から、これも製造機械ごと買い取ってムー陸軍制式採用機関銃として旧来の各種機関銃を置き換えている。

 

「小隊長!小銃、及び機関銃の射撃訓練一通り完了致しました!これより擲弾筒発射訓練に移ります!」

 

MG42の発射音に顔を顰めていたマレアスの元へ、部下であり分隊長である曹長が駆け寄り敬礼しながら報告する。

それに対しマレアスは、頷きながら応えた。

 

「よろしい。だが、擲弾筒は我々にとって慣れない兵器だ。キチンとマニュアルの手順に従って訓練を行ってくれ」

 

「了解!」

 

マレアスの言葉を聞いた曹長は再び敬礼すると、キビキビとした動きで回れ右し小走りで分隊員の元へ駆け寄って行く。

 

「擲弾筒、発射訓練開始!」

 

「発射準備、開始!」

 

曹長の掛け声の後に分隊員が金属製の筒を長方形の箱から取り出した。

外見は太さの違う金属筒二本を繋げたような見た目をしており、細い金属筒の後端にはアーチ状に曲げた鉄板が溶接されている。

こちらは重桜製の『八九式重擲弾筒』のコピー品である。

元々ムー陸軍は『26型ガエタン70mm歩兵砲』と呼ばれる歩兵部隊が運用する軽量な歩兵砲があったのだが、いくら軽量とは言え小隊規模での運用は厳しいものがあり、それ故に小部隊の火力が貧弱という欠点があった。

そこで目を付けたのが『迫撃砲』…その中でも特に軽便な『擲弾筒』という兵器だった。

砲自体は軽量かつ簡素な作りになっており、低初速である為に炸薬量も十分。更には分隊規模での運用も可能で、遮蔽物に隠れた敵兵を頭上から攻撃出来るとあってムー統括軍はこの兵器の有用性を確信し、直ぐ様配備する事となったのだ。

因みに『50mm曲射分隊砲』と名付けられた本砲だが、輸入やライセンス生産ではなく無断コピーであり、製造権を持っている『蔵王重工』からは見逃されている状態となっている。

というのも、迫撃砲は原理さえ理解出来ていれば素人でも製作が可能という事から建前上は、「蔵王重工の兵器からインスピレーションを受けたムーの技術者が開発した」という事になっているのだ。

 

「発射!」

 

──シュポンッ!

 

砲身に専用砲弾を落とし込み、狙いを定めてトリガーを引く。

するとまるでスパーリングワインの栓を抜いたかのような発射音と共に、炸薬を充填した50mm対人榴弾が砲口から飛び出した。

 

──ヒュウゥゥゥゥゥゥ…

 

下手な口笛のような掠れた風切り音を発しながら放物線を描いて飛翔し、急角度で落ちてくる砲弾。

それはムー陸軍工兵隊が築いた住居に向かい…

 

──ボンッ!

 

二階建ての住居の屋根を突き破り、爆発音と共に倒壊させてしまった。

破壊する事を前提としている為、一般的な住居よりは脆いがそれでも十分な強度はあった筈だ。

それがいとも容易く、歩兵が小脇に抱えられる程の兵器で瓦礫と化した。

 

「うむ、凄まじい威力だな。これなら敵小隊と衝突した際にも火力で圧倒出来る。しかし…」

 

擲弾筒の威力に大変満足した様子のマレアスだが、隣の陣地で射撃訓練をする部隊を見ると若干表情が曇る。

 

──タタタンッ!…タタタンッ!…タタタンッ!

 

規則的に鳴り響く銃声。

それは隣の陣地で訓練をするアズールレーン部隊が携える自動小銃、『AK47』の発展型である『AKM』から鳴り響いていた。

機関銃のようなフルオート射撃が可能で、粗雑に扱っても故障しない程に頑丈であるそれはムーの兵士から見れば夢のような銃である。

勿論、連射時の命中精度が悪かったり従来のフルサイズ弾薬を用いるライフルより射程が劣る等の欠点こそあるものの、それでも射撃する度に高速で前後するボルトハンドルや30発装填のマガジンは何とも頼もしく見える。

 

「まあ…半自動小銃でも十分に戦える。他所を羨んでも仕方ないか…」

 

まるで自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐマレアス。

自らの頬をパンパンと叩き気合いを入れ直すと、射撃訓練を再開すべくGew43の安全装置を外した。

 

 




今年のバレンタインは樫野から貰う事にしました

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。